著者
孫 懿 清水 隆房
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.187-195, 1996-03-29

本稿の目的は,稲作生産関数を東北と近畿の地域別,時期別に計測して,技術進歩の性格と労働および土地の限界生産力(均衡価格)の変化を把握し,稲作生産の地域差の変化を明かにすることである.稲作生産関数は,荏開津・茂野モデルに従って,生産過程を生物学的・化学的過程(BC過程)と機械的過程(M過程)とに分け,各過程ごとに計測した.分析結果は下記のとおりである.1)稲作生産のM過程は,1960年代では,東北に比べて近畿では,労働使用,資本節約的であり,BC過程は,経常財使用,土地節約的性格が強かった.2)両地域の稲作生産では,その後,圃場と灌漑排水施設の整備によって,労働節約,資本使用的な技術が進展し,規模の経済性が増大した.また,優良品種の普及によって,経常財節約,土地使用的技術が進歩した.これらの技術進歩は,近畿より東北で大きかったために,両地域の稲作技術は,ほぼ類似した性格を示すようになった.3)稲作の均衡労賃は,両地域のすべての時期を通じて,大規模経営ほど高いが,1970年代の初期までは,東北の方が近畿よりもより高く,均衡地代は逆であった.しかし,その後の稲作技術の変化によって,これらはいずれも地域間で均等化する傾向を示してきた.
著者
清水 篤 中島 博之 長田 裕明 長澤 淳 京極 方久
出版者
The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.77-80, 2011

症例は73歳,男性.遠位弓部大動脈の最大径66 mmの嚢状瘤に対し全弓部置換術を施行した.胸骨正中切開,上行大動脈送血と上下大静脈脱血で人工心肺を確立し,中等度低体温循環停止,選択的順行性脳灌流を行いエレファントトランク,ステップワイズ法にて遠位側吻合を行った.その後頸部3分枝再建を先行し,最後に中枢側吻合を行った.手術時間515分,人工心肺時間305分,大動脈遮断時間213分,脳分離灌流時間143分,下半身循環停止時間97分であった.術後5日目に発熱と右側腹部痛,炎症反応上昇を生じ,翌日になっても症状は改善せず,CTで急性胆嚢炎および急性腹膜炎と診断し,術後6日目に緊急開腹胆嚢摘出術を施行した.胆嚢周囲に漏出した胆汁性腹水が存在したが,培養結果は陰性であった.病理所見は,胆嚢頸部に虚血による非細菌性非貫璧性の胆嚢壊死が存在するとの結果であった.胆嚢摘出術術後は経過良好であり,初回手術から16日目に独歩退院となった.全弓部置換術後は下半身循環停止やdebrisの飛散など消化管虚血のリスクは高く,術後の急性腹症の鑑別診断として稀ではあるが重篤化することもある胆嚢梗塞を考慮する必要があると考えた.
著者
清水 るみ子 藤田 圭子 村井 美香 井口 伸 山岡 由美子
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.173-182, 2012 (Released:2012-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Objective: The aim of this study was to ascertain information on supplements and health foods desired by consumers, as well as consumer demands in pharmacies and drugstores.Method: We conducted a questionnaire survey of 740 patrons of two drugstores.  And data from this questionnaire survey was analyzed by simple and cross tables.Results: We received responses from 206 patrons (response rate: 27.8%).  The level of recognition that some supplements should not be taken by consumers with past illnesses was low among those who are older than 50 years.  Furthermore, the percentage of the population that does not recognize the possibility of interactions between supplements was higher.  In addition, it was suggested that, regardless of the low recognition level, consumers did not try to improve their knowledge by obtaining more information.  People who take supplements to improve dietary imbalances were found to have a strong desire for a short course in pharmacies and drugstores, and they also desire supplement advisers to be available at each drugstore in comparison with people who don’t select the choice “to improve dietary imbalances”.Conclusion: Thus, the present findings suggest that the level of consumers’ knowledge and their desired information differ depending on age.  Furthermore, consumers’ demands in pharmacies and drugstores differ depending on consumers’ intent to take supplements.  Therefore, it is important for pharmacists to provide information that is useful for individual consumers in consideration of consumers’ age and intent, and pharmacists must be able to independently identify consumers’ needs.
著者
宮腰 夏輝 板東 充秋 清水 俊夫 川田 明広 松原 四郎 中野 今治
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000618, (Released:2015-05-22)
参考文献数
14

症例は21歳の女性.先行感染後,発熱,頭痛,痙攣発作を生じ入院.前向性健忘,逆向性健忘が残存したが,それ以外は生活に不自由のない状況であり痙攣再発もなかった.髄液で軽度の細胞数増加あり.脳波では左側頭部起源がうたがわれる鋭波をみとめた.入院5日目に初対面の医師や看護師,入院中の患者に対し会ったはずがないのに以前にみたことがあるように思うと訴え,この症状は約20日間持続した.既知の相貌に関する異常はなく,相貌失認もなかった.心理検査では言語性の記憶障害がうたがわれ,退院時も逆向性健忘は残存した.類例の検討では言語性記憶障害例もあるが記憶障害のない例もある.左側頭葉病変とhyperfamiliarityには関連が示唆される.
著者
宇治 達哉 古川 哲心 清水 千絵 兵頭 昭夫 石田 直文 戸塚 恭一 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-310, 1994

<I>Klebsiella pnemonn</I>に対するgentamicin, cefodizimeおよびceftazidimeの再増殖抑制作用におよぼす白血球の影響を<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>で検討した。各薬剤の4MICで前処理した菌の増殖は白血球存在下で薬剤非処理菌に比べ抑制された。一方, マウスの敗血症モデルにおいて, 菌の増殖は各薬剤投与によりX線照射マウスに比べて正常およびG-CSF投与マウスで有意に抑制された。これらのことより, gentamicinとともにcefodizime, ceftazidimeにおいても生体防御因子との協力作用により, 再増殖抑制効果の増強が認められることが明らかとなった。
著者
古川 哲心 清水 千絵 宇治 達哉 三宅 美行 兵頭 昭夫 出口 浩一
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.310-317, 1993

Methicillin-resistant <I>Staphylococcus aureus</I>(MRSA)に対するCefodizime(CDZM)とMinocycline(MINO)のin vivo併用効果を検討した。Fractional effective dose indexによる併用効果の検討では, 両剤はセフェム高度耐性MRSAに対して相乗又は相加効果を示した。更にCDZM, MINO併用時においてマウス多形核白血球存在下で単剤よりも有意な増殖抑制が認められた。このことがMRSAに対しCDZM, MINO併用時において優れた治療効果が認められた理由の一つと示唆された。

1 0 0 0 OA 水戸文籍考

著者
清水正健 編
出版者
須原屋書店
巻号頁・発行日
1922
著者
清水 寛之 金城 光
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-21, 2015-08-31 (Released:2016-02-16)
参考文献数
44

本研究の目的は,日常記憶質問紙(the Everyday Memory Questionnaire, EMQ)を用いて,成人期における日常記憶の自己評価に関する発達的変化を明らかにすることである.299名の一般成人(19~25歳の若齢者99名,38~55歳の中年者97名,63~75歳の高齢者103名)が本調査に参加し,日常生活における記憶活動の忘却や記憶失敗に関する28項目についての発生頻度を“最近6カ月で1回もない”から“日に1回以上”までの9件法で評定した.先行研究(清水・高橋・齊藤,2006, 2007など)によるEMQの因子構造に基づいて全項目を五つの下位項目群に分類したうえで項目群ごとに各年齢群の評定値を比較したところ,その発達的変化は(a)若齢者=中年者=高齢者,(b)若齢者>中年者>高齢者,(c)若齢者=中年者>高齢者,(d)若齢者>中年者=高齢者,(e)若齢者>高齢者,の五つのパターンに分かれた.日常記憶の自己評価は成人期に自己の記憶能力に対して悲観的な見方から楽観的な見方へと段階的に移行していくことが示唆された.
著者
平田 雄一 宮本 直樹 清水 森人 吉田 光宏 平本 和夫 市川 芳明 金子 周史 篠川 毅 平岡 真寛 白土 博樹
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.238-246, 2014 (Released:2015-03-14)
参考文献数
14

がんの放射線治療においては患者の呼吸等にともなって放射線の照射中に患部の位置が変化する可能性がある。放射線の患部への照射効果を向上させるとともに、周辺の正常部位へのダメージを最小化するために、患部の3次元的な位置の時間的な変化を考慮した4次元放射線治療が最近日本で開発され治療効果を上げている。この時間軸を付加した4次元放射線治療を実現するシステムの安全性に関する技術的要件を盛り込んだ規格を日本から国際電気標準会議(IEC)に提案した。理由は、IECの国際標準は、各国の規制当局によって引用されると、強制力を有するようになるため、IECにおける国際標準化活動は、4次元放射線治療システムの確固とした安全性担保のために非常に効果的であるためである。この論文は、今後さらに需要が増す4次元放射線治療システムに関する国際標準化の戦略について分析した内容をまとめたものである。戦略の要は、4次元放射線治療システムの安全性に関する技術的要件の国際標準化に焦点を絞り、臨床的視点を盛り込む形で、幅広い分野の専門家の意見を結集して国際的な合意形成を図ることである。今後4次元放射線治療を一層普及させるために、このような戦略にもとづいて、4次元放射線治療システムを構成する個別装置に関する既存規格の改訂に加えて、4次元放射線治療システム全体についてシステムとしての安全性評価を行ったうえで、新しい規格の作成を推進する。
著者
星野 立夫 田辺 光子 大塚 裕子 清水 文子 山下 幸枝 坂下 清一 大濱 正 宮崎 博子 三浦 賢佑
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.152-155, 2002
被引用文献数
1

禁煙指導の一助とするため,男性の喫煙率と年齢および職種との関連性を人間ドック受診者で調べた。受診者数の多い5職種を選び,その職種の2000年度の男性受診者全員を対象とした。男性の喫煙率は,若い年代で高く,年代が進むにつれて低下する傾向を示したが,年代だけでなく職場環境も喫煙率に影響している事が示唆された。生活習慣病予防のためには若い年代に対する禁煙指導の強化が望まれるが,職場環境を考慮したたばこ対策が必要と考えられた。