著者
塩澤 綾乃 清水 嘉子
出版者
Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.271-283, 2010

<B>目 的</B><br> マダガスカル共和国における伝統的産婆(Traditional Birth Attendants,以下TBAとする)の世話に対する認識,世話を受ける女性の受け止めを明らかにする。<br><B>対象と方法</B><br> マダガスカル共和国アンチラベ市郊外のA村に研究者が2ヶ月間滞在し,現在活動しているTBA4名,TBAより現在または過去に世話を受けている女性11名に対し,TBAの世話の内容と世話に対する考え,世話を受ける女性の受け止めに関する半構成的面接を行った。さらに,1名のTBAに同行し世話の場面の参加観察を行った。得られたデータは質的に分析を行い,分類し検討した。<br><B>結 果</B><br> TBAは妊娠中の世話,分娩時の世話,産後の世話を行っていた。世話に対するTBAの考えでは,子どもの位置を確認,お産を早く進める,褥婦が寒さを感じることが大切などがあった。TBAより世話を受けた女性の受け止めでは,疲れが取れる,お産についてよく知っていて頼りになった,分娩時に力を貸してくれるなどであったが,一方でTBAは何もしないと受け止めていた。TBAの世話に対する考えと女性の受け止めでは,語られた内容の半数に認識の差異があった。認識の差異には母親が分娩中の世話を記憶していないこと,TBAの指導は経験や言い伝えを基にしており,具体性に欠け内容が薄いことなどが影響していると考えられた。<br><B>結 論</B> TBAのドゥーラとしての役割は女性に評価されており世話の必要性は高い。その役割を継続することに加え,世話の課題として,女性のニーズに対応した世話ができるよう知識を補う必要があると考えられた。そのためには,地域の助産師が専門職者としてのプライドという垣根を越えて,TBAの世話や考え方を理解した上で,研修を開催するなどの具体的な行動が期待される。
著者
永森 久美子 土江田 奈留美 小林 紀子 中川 有加 堀内 成子 片岡 弥恵子 菱沼 由梨 清水 彩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-27, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
4

目 的 母乳育児中および母乳育児の経験がある母親の体験から,混乱や不安を招き,母親の自信を損なうなどといった効果的でなかった保健医療者のかかわりを探索する。対象と方法 研究協力者は都内の看護系大学の母乳育児相談室を利用した母親35人と,第2子以降の出産をひかえた家族ための出産準備クラスに参加した母親5人の計40人であった。データ収集は研究倫理審査委員会の承認を得て,2007年8月~11月に行った。データ収集方法は半構成インタビュー法で,内容は,「授乳や子どもの栄養に関して困ったこと,不安だったことは何か」,「それらの困ったこと・不安だったことにどのように対処したか」などであった。録音されたインタビュー内容を逐語録にしたものをデータとし,母親が受けた支援で,「混乱を招いた」,「不安になった」などというような医療者のかかわりを抽出した。抽出された内容をコード化しサブカテゴリー,カテゴリーに分類した。結 果 母乳育児をしている母親が混乱や不安を招くような保健医療者のかかわりとして,【意向を無視し押し付ける】,【自立するには中途半端なかかわり】,【気持ちに沿わない】,【期待はずれなアドバイス】,【一貫性に乏しい情報提供】の5つのカテゴリーが抽出された。母親は保健医療者から頻回授乳や人工乳の補足を強いられているように感じ,授乳の辛さや不安を受け止められていないと感じていた。その結果,母親は後悔の残る選択をし,授乳に対して劣等感や失敗感を抱いていることがあった。また,母親が自分で判断・対処できるようなかかわりでなかったために,自宅で授乳や搾乳の対応に困難を抱えたままでいることもあった。結 論 母親は母乳育児への希望を持っていたが,保健医療者のかかわりにより混乱や不安を感じていることがあった。保健医療者には,母親の意向を考慮した母親主体の支援,母親が自立していくための支援,母親の気持ちを支える支援,適切な観察とアセスメント能力,一貫性のある根拠に基づいた情報提供が求められていると考えられた。
著者
清水 洋治
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1153, pp.116-121, 2015-03

では、内部の構造や部品を詳しく見ていこう。スマートフォンなどの場合、基本的にユーザーが分解しないことを前提にしているため、特殊なネジがよく使われる。例えば、ネジ穴が三角だったりするネジだ。
著者
杉本 元子 清水 栄司 SUGIMOTO Motoko 清水 栄司 シミズ エイジ SHIMIZU Eiji
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 = Chiba medical journal (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.199-208, 2015-10

【目的】学生などの若者を対象に,デート中の暴力(デートDV)の予防教育を行うための,約20分のe-ラーニング・コンテンツ「デートDV防止教育プログラム」を開発し,コンテンツ視聴前後のデートDVに関する知識の理解度質問票によって,その効果検証を行うことを本研究の目的とした。 【方法】18歳以上の大学生・専門学校生131名,平均年齢19.8歳を対象とし,研究内容の説明の後,書面での同意を得た。コンテンツ視聴前後に16項目のデートDV理解度質問票の回答を得た。使用したe-ラーニング・コンテンツは「デートDV防止教育プログラム」(約20分)である。コンテンツの内容は,第1章はデートDV・配偶者DVの基本知識,第2章はデートDVに巻き込まれた時の対応,第3章は,短いアサーティブネス・トレーニングの3章から成るフラッシュアニメ動画である。また,デートDV被害経験等の質問票の回答を封筒に入れて回収し,解析を行った。 【結果】16項目デートDV理解度質問票の総得点は,視聴前の21.85点から視聴後の25.73点と有意な上昇がみられた(P<0.001)。また,2種類以上の暴力を受けたと回答した者(デートDV被害者)21名(16.0%)に限定した解析によっても,視聴前後で同様に有意な上昇がみられた。 【考察】今回開発したe-ラーニング・コンテンツによって,視聴前後で有意な知識の向上をみた。今後,今回の予備的研究をさらに発展させるため,より多くの被験者を対象に,コンテンツ視聴者群と視聴無し群を設定し,2群に割り付けたランダム化比較試験を行っていく必要がある。また,我が国におけるデートDV被害状況を踏まえ,このコンテンツについて以下のWebサイトで自由に視聴してもらうことで普及を進めていく。 (https://www.stop-violence-chiba.jp./el/)
著者
清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.12-23, 2003-05-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
11

エイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) などのn-3系多価不飽和脂肪酸 (n-3系PUFAs) を多量に含有する魚脂が, 最近様々な分野で注目されている. その作用は, 細胞膜の構成成分としての作用やプロスタグランディン (PGs) およびロイコトリエン (LTs) などのエイコサノイドを介しての作用のほか, まだ解明されていないものもある. 小児科領域では, 新生児・乳児の視機能および脳の発達に対する作用, 抗炎症および抗アレルギー作用・脂質低作用などが実際に臨床応用されている. 当教室での臨床および動物実験においても, 炎症性腸疾患やアレルギー性疾患に対するn-3系PUFAs投与の有効性が確認されている.
著者
清水 博
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.280-284, 1973-05-01 (Released:2011-09-21)

生体高分子はさまざまな興味のある機能をもっている。この機能が生体高分子のどのような性質(物性)によって起きるかは,これまで自由エネルギーの減少則を使って解明されてきた。しかし,今後の展望として,生体高分子の機能の解明はこれだけに終るものではなさそうである。その理由は,実際生きている生体系は熱的に絶えず非平衡になっており, その変化の方向は, 自由エネルギーの減少方向と一致しないからである。このために,細胞のオルガネラ( 器官) 以上の構造体では, 自由エネルギー則に従わない変化が起きている可能性があり,それが生命現象が発現する原因になっているように思われる。このような自由エネルギー則に従わない例として, 筋肉の収縮現象があり, その熱力学的解明は単に生体高分子系の新法則の発見だけにとどまらず,生命現象の解明にとっても重要な意義をもつものと考えられる。
著者
垂見 明子 三松 早記 森田 達也 内藤 明美 坂本 康成 奥坂 拓志 清水 千佳子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.301-305, 2016 (Released:2016-01-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

終末期についての話し合いは患者家族のquality of lifeを規定する重要な要因である.本研究はがん治療医を対象とした質問紙調査の自由記述の質的分析から,終末期の話し合いにおける課題に関するがん治療医の意見を収集した.質問紙は864名に送付し490名から回答を得た.自由記述から合計420意味単位を分析対象とした.がん治療医が終末期の話し合いを行う際の問題として(1)患者家族の課題(【患者家族の個別性に対応することの難しさ】【病状理解の難しさ】)(2)医療者に起因する課題(【患者家族・医療者双方への精神的サポートの不足】【医療者間の考え方の相違】など)(3)システムと体制に関する問題(【時間・人的リソースの不足】【教育・研究の不足】など)が抽出された.本研究の知見は,今後緩和ケア医とがん治療医が共同してがん患者との終末期の話し合いを行う際の相互理解に役立つと考えられる.
著者
田中 邦雄 清水 哲也 佐野 文男 阿部 善右衛門
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.25-32, 1976-02-29 (Released:2011-03-09)
参考文献数
19

Since R. Damadian suggested the detectability of tumors by nuclear magnetic resonance (NMR), the authors have focused their attention on the facts such as the quantities related to the kinds of water and tissues. And at least qualitative information could be non-invasively obtained.In this paper, in order to clarify the applicabilities of our proposed magnetic focusing method for non-invasive tumor detection, the nuclear magnetic relaxation time (T1) of transplanted malignant tumor (AH-66) in rat, excised normal and cancerous tissues in man were measured in vitro experiment.The resultant findings are summarized as followings.1) Transplanted malignant tumor in rat showed (30-120) % longer value of T1 than that of the respective normal tissues.2) In 14 cases of the uterus, breast and stomach in man, the T1 of cancerous tissues increased (10-150) % than that of their normal portions.3) When mixed tissue was studied, T1 changed as the ratio of tumor to normal tissue changed.4) The longer the time elapsed, the greater the T1 value exhibited by normal and the smaller the T1 measured for cancerous tissue. When both normal and cancerous tissues coexist, T1 decrement of the tissue is small.
著者
清水 釘吉
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.52, no.636, 1938-03-20
著者
清水 建
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.232, pp.113-132, 2013-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第232集『帝国・人種・ジェンダーに関する比較研究』栗田禎子 編"Comparative Studies on Empire, Race and Gender" Report on Research Projects No.232
著者
鎌田 彩子 大日方 薫 鈴木 光幸 春名 英典 木下 恵司 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.256-260, 2012-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
20

症例 (13歳4ヵ月女児) は1歳頃より偏食傾向と体重減少がみられ, 1歳11ヵ月時に大球性正色素性貧血, 骨髄での巨赤芽球性変化, 血清ビタミンB12の低下を認めビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された. ビタミンB12投与後貧血は改善し, 摂食状態や身体発育も正常化した. しかし補充を中止するとビタミンB12値は漸減した. 低ビタミンB12血症の原因として摂取不足のみならず, 吸収障害の関与も考えられた.