著者
渡辺 洋三
出版者
日本評論社
雑誌
法律時報 (ISSN:03873420)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.63-71, 1998-08
著者
渡辺 洋 WATANABE Hiroshi
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
歴史と文化
巻号頁・発行日
pp.191-204, 1981-02-20

行動主義の文学といえば、日本では昭和九年から十年にかけての一時期、衆目を集めながら短命に終った一種の文学運動として理解されている。実際、「行動主義文学」は華々しい論争を展開したわりに実体に乏しく、とりわけ実作化の面で見るべき作品が少なかったことは事実である。しかし、短期間であったとはいえ当時の文学界に投じた波紋は大きく、その主張、理論、活動を無視することもできない。元来「行動主義」は「大戦後佛蘭西の思想、文学の主流をなしていた懐疑・不安・否定の傾向に反発して抬頭したものである」という。戦争という悲劇がヨーロッパ全土を非人間的世界の集合体に一変させ、社会に対する、否、人間存在に対する不安を人々の心に植えつけたことはたしかである。そしてこの暗い影は文学の世界にも当然波及していった。名目だけの戦勝国フランスではその傾向が一層顕著であった。フランスは戦後、経済の面で驚異的な繁栄を謡歌したが、それは束の間の出来事にすぎず、文学の世界はぬぐいきれぬ不安と絶望の雲に厚く覆われていた。こうした社会環境を背景に生まれたのが「行動主義文学」であるといわれている。さらに厳密にいえば、一九二七年ラモン・フェルナンデスによって提唱された「行動的ヒューマニズム」(Humanisme de l'action)に端を発したもので、必らずしも体系的にまとまった文学理論、あるいは運動ではなかった。換言するなら、当時フランスで発表された文学作品に共通して認められた思想、様式、文体などの総称であり、従来のダダイズムや超現実主義の絶望的、懐疑的傾向を否定し、意識的に不安や絶望の克服を目標に掲げた積極的なひとつの姿勢であるといえる。つまり、人間の価値の権威と実存を回復しようとする人間性把趣に関する新しい試みであった。フェルナンデスは、「個的人間をその全体性と独自の現実の上に見るためにはただ行動的角度においてのみ可能である」と主張した。これは時期的にいって絶好の提言であった。実際、フランス文学史上に、今日なおその名をとどめている多くの著名な作家たちによってこの主張は支持されたのである。これをいわゆる「行動主義」として日本に紹介したのが、長年フランスに滞在し昭和六年、帰国した小松清であった。ちょうど文学者の「能動精神」が盛んに叫ばれ出した時でもあり、「行動主義」は日本の文学界に少なからぬ反響を巻き起した。しかし、それほどまでに騒がれ論議されながら、なぜ日本において「行動主義」が短命で終り、実作化に成功しなかったのか。この小論では行動主義の文学といわれている実際の作品を通してその点について考察し、同時にフランスと日本の「行動主義」の文学を比較検討してみたい。
著者
伊藤 真琴 三重野 はるひ 藤沼 誉英 大倉 典子 渡辺 洋子
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.161-170, 2010 (Released:2016-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The main purpose of this paper is a proposal for restoration support system of historical buildings using virtual environments. Trend has developed to restore historical Japanese buildings such as theaters as symbols of town renovation. However, the restoration of such buildings commonly encounters many difficulties such as a lack of documents, and different construction materials and structures between the old era and the present. Virtual images of a restored building should be a great help in evaluating and discussing various restoration plans. We have constructed a restoration support system for historical buildings, using virtual environments to help the design plan for indoor restoration. CAD data based on actual measurements of an old theater, Tsurukawaza in Kawagoe, were employed to construct the 3D model for the system, which ensures reproduction of the interior details of the theater. The experimental results show the effectiveness of the support system.
著者
渡辺 洋介
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衞生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 1983-06-15
被引用文献数
1
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
太田 安彦 清水 淳三 小田 誠 林 義信 OSARI Ayumi 梶田 剛司 渡辺 洋宇
出版者
The Journal of the Japanese Association for Chest Surgery = 日本呼吸器外科学会雑誌
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.539-544, 1996-05-15
参考文献数
16
被引用文献数
5

最近われわれは, 稀な胸腺腫瘍の2例を経験した.症例1は72歳, 女性の胸腺に発生した悪性黒色腫であった.悪性黒色腫の胸腺発生例は本邦報告史上2例を認めるのみであり, 本例は第3例目に相当した.腫瘍は6.5×5.5×3.5cm大の被包化された充実性腫瘍であった.周囲組織への浸潤はなく, 周囲のリンパ節に転移はなかった.原発巣不明黒色腫の転移の可能性は否定しきれないが, 胸腺原発を最も疑った.正常胸腺を含めて腫瘍を摘出した。術後5ヵ月を経て再発なく生存中である.症例2は21歳男性に発生した胸腺脂肪腫であり, 周囲の脂肪組織を含めて腫瘍を摘出した.摘出腫瘍の重量は390gであり, 重症筋無力症の合併はなかった.