著者
高原 智夫 柳澤 俊行 渡辺 俊典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.2090-2103, 1994-10-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

情報通信ネットワークは巨大かつ複雑であり、状態や構造の変動にさらされる、このため、系の特性の精密なモデル化は困難であり、対象のモデルを用いる適応制御には限界があり人知に頼らざるを得ない。また、制御の評価法も確立されているとは言えない。これらの問題を解決すべく知的通信網制御が模索されてきたが、制御規則の人手による記述が必要であるなどの問題を残している。そこで、呼の受け付け規則およびルーティング制御問題に関して、管理者が評価関数という形でネットワーク・オペレーシヨン方針を与えるのみで、これを反映した制御を自律的に実現することを意図して、事例学習機械TAMPOPOを応用した自律化ネットワーク・オペレータANATAの構想を別の諭文で報告中である。本論文ではこのANATAのシミュレーショでモデルを計築機上に実現し、様々な条件のもとで挙動を調べた緒果を報告する。ANATAは、評価関数を与えるのみで、呼を受理し課金収入を増す、長距離呼を迂回路にまわして全体の課金収入を増加させる、短距離呼を規制して長距離呼を受理して全体の利益を上げる、呼の接続率の下限を保証しつつ課金収入を最大化させる、などの能力を自律的こ獲得した。これは従来、望妻れながら実現できなかった機能であり、ANATAが大規模通信ネットワーク制御に薪たな可能性を与え得ることを示している。
著者
高橋 俊也 渡辺 菊眞 布野 修司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.619, pp.133-139, 2007
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

The purpose of this study is to consider the characteristics of urban space in Kyoto based on the analysis of the distributions of Cemetery. From the ancient times, there was funeral area in the hillsides of three mountains (Higashiyama, Kitayama and Nishiyama), which surround Kyoto City. The urban periphery was very different from the inner urban area in the term of spatial and cultural quality and those two areas have long been interrelated each other. Cemeteries located in the urban periphery had been greatly changed on the process of so called modernization from Meiji Restoration. This paper clarifies the changing of distribution of cemeteries based on the analysis of historical maps. Major point of consideration is the transformation of urban space in Kyoto through the analysis. This paper concludes that the environmental change cemeteries and around cemeteries brought the fall of the relative relation between a life space and urban periphery.
著者
戸高 義一 梅本 実 渡辺 幸則 土谷 浩一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.690-696, 2003 (Released:2008-04-24)
参考文献数
30
被引用文献数
15 24

The surface nanocrystallization of various steels by air blast shot peening was investigated. It was found that nanocrystalline layers can be produced when higher shot speed and longer process period than those of conventional shot peening were applied. The produced nanocrystalline layers are several μm thick and show extremely high hardness. The layers have clear boundaries with the adjacent work-hardened regions. By annealing, slow grain growth without recrystallization is observed in the layers. Those characteristics are similar to those observed in the nanocrystalline layers produced by other techniques, such as ball milling, ball drop and particle impact deformations.
著者
上倉 洋人 横地 さち 福田 友美 橋本 八洋 四家 卓也 澤原 卓 鈴木 邦彦 武藤 久司 田中 繁 野田 友和 川崎 仁史 岸田 知子 渡辺 聡美 石井 伸尚 久下沼 元晶
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.E1080, 2006

【はじめに】<BR> 理学療法士がアプローチすべき運動として、特に歩行が重要視されるのは言うまでも無いが、疾患・加齢・障害などによってそのアプローチ方法は様々である。近年では免荷式歩行練習の成果が報告されつつあるが、それらのほとんどはトレッドミル上での練習である。しかし、医学的リハビリテーションにおける歩行練習は単なる機能練習としてのみでなく、実際のADLの中でも行われる必要があると考える。立位という抗重力姿勢での移動とADLが組み合わさることで、種々の運動機構が使われ、動作の学習や習熟などによる神経学的・生理学的な効果が期待されると考えるからである。<BR> 我々はこれまで上記のような効果を期待し、移動手段としても利用可能な形態を持つ歩行器型免荷式歩行練習装置を開発し、それによる自主歩行練習の可能性について調べてきた。この発表においては、装置の開発経緯についてと、実際に利用し練習の効果や生活場面での実用性などについて検討してきたので報告する。<BR>【装置、対象、調査方法】<BR> 装置は、メーカー、演者の所属する施設、および大学研究室が協同で開発してきたもので、体重の30%~40%までの免荷が可能である。一号機を利用して頂いた対象は60歳男性の脊髄損傷不全対麻痺者(L3残存)で、使用した時の感想を聞くと共に、演者らが主観的に問題点を明らかにした。<BR>【結果】<BR> 一号機の問題点として抽出された事柄を以下にあげる。1.総重量77.8kgであり介助が無い状態での推進が困難であり実用的ではなかった。2.トゥーオフで踵部が後方のフレームに当ってしまい不快感を訴えた。3.練習用としては良いが、実生活で使用した際は形態に違和感があった。4.免荷を行うための機構操作時の音が大きく不快であった。5.スリング装着時の手順が複雑、かつフィット感が十分でなかった。6.装置に着くまでが困難であり、立位が可能でないと難しかった。<BR> 二号機はこれらの点に改良を加え以下のような装置となった。1.総重量61.8kgと軽量化を図った。2.通常の歩行器と同様に前方にフレームがあり後方には無い形態とし踵部が当たらないようにした。3.またこれによりベッドからあるいは車いすから直接装置に着くことが可能となった。4.免荷機構を改善し操作音は無音に近くなった。5.スリングの全面的な見直しを図りベッド上臥位の姿勢でもスリングが装着できようになった。6.前腕支持部分を取り除くことによりADLでの上肢参加が可能となった。<BR>【考察】<BR> 二号機での改良を施したことにより、装置を用いた歩行練習の適応者が増加したと判断している。ベッドからのアプローチが可能なので立位保持不可能な対象でも練習が実施可能であり、また軽量化により介助なしの自主練習も可能なレベルとなったと考えている。<BR> 今後は、再度モニタリングして問題点を抽出し、三号機で実用化を、そして四号機での商品化を目指していく。
著者
前田 浩人 小林 加奈 三品 美夏 渡辺 俊文 曽川 一幸
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.43-47, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
7

慢性腎臓病(CKD)は,多くのネコに発症が認められ,死因の一つとされている.獣医国際腎臓病学会(International Renal Interest Society,IRIS)の分類では,ステージI期およびステージII期におけるCKDを正常なコントロールと比較して,マーカーを用いて正確に診断することは難しい.正常およびステージI期CKDネコにおける尿中アルブミン濃度は6.0±4.5および11.2±8.4 mg/dlであり,尿中トランスフェリン濃度は0.09±0.42および0.52±0.79 mg/dlであった.ROC曲線分析に基づいて,尿中アルブミンおよび尿中トランスフェリンの感度および特異性は,現在使用されているバイオマーカーである血漿クレアチニンレベルの感度および特異度より高かった.いくつかの候補の中で,CKDの最も有望なバイオマーカーとして39.2 kDaタンパク質であるカルボキシルエステラーゼ5A断片に焦点を当てた.カルボキシエステラーゼ5Aフラグメント測定を診断に応用出来るように,我々は,尿中カルボキシルエステラーゼ5Aフラグメントを測定することを可能にする酵素イムノアッセイを開発した.ELISAの性能については,回収率(96.1–106.4%)および同時再現性(3.5–5.1%)および日差再現性(4.8–8.2%)と良好な結果であった.
著者
山口 裕也 山縣 元 平瀬 伸尚 塩崎 宏 桑野 晴夫 渡辺 次郎
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.70-75, 2006 (Released:2006-12-08)
参考文献数
12
被引用文献数
3 3

症例は83歳男性.心窩部のつっぱり感を自覚し当科受診.血中膵酵素の増加とCTにて膵全体のソーセージ様腫大を認め,自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)が疑われ入院となった.ERCPでも膵体部を中心に主膵管の狭細化を認めAIPが強く疑われたが自己抗体,IgG,IgG4の増加を認めず確診にいたらなかった.一旦退院となるも退院2日後より排便困難が出現し再入院.大腸内視鏡で直腸の狭窄と粘膜の浮腫を認め,CTでは膵腫大に加え新たに腹水を認めた.直腸生検にて異型リンパ球の粘膜内浸潤を,また腹水中にも異型リンパ球を認めたため可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)を測定し3,183U/mlと高値を確認,悪性リンパ腫と診断した.化学療法(THP-COP)にて膵腫大,膵管狭窄は改善し腹水は一旦消失したが,その後短期間のうちに治療抵抗性となり呼吸不全にて死亡した.
著者
渡辺 久雄
出版者
兵庫地理学協会
雑誌
兵庫地理 (ISSN:13414054)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.29-36, 1960-03
著者
山口 浩二 笹部 哲也 倉恒 弘彦 西沢 良記 渡辺 恭良
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.533-542, 2008-06-15

はじめに 「疲労」は誰もが日常生活の中で感じることのある一般的な感覚で,また大多数の疾患において程度の差こそあれ経験する症状の1つであり,心身の疲弊を自らに知らせ,休息を求める生体のアラームである。ありふれた感覚ではあるが,今まで,医学の対象として重要視されていなかった。その理由として考えられることは,疲労が多数の因子が関与した複雑な現象であること,個人により,また同一個体でも状況により感じ方が異なることにより,客観的評価が困難で,科学の対象として扱い難いということに帰している。また,疲労を表現する言葉が,関西では「しんどい」というが,関東では「だるい」,九州では「きつか」,東北では「こわい」というように,狭い日本の国内においても種々の表現があり,その意味する内容も微妙に異なっていることも客観的評価を困難にしていると思われる。このように疲労は主観的な感覚であるため,これまでの評価は各種問診表やvisual analogue scale(VAS)を用いた自己申告式のものが中心となっており,評価として十分に耐え得るものとは言い難かった。一方,なんらかの課題を行った際の反応時間の遅延や,誤反応の増加,多重注意の困難といった疲労時におけるパフォーマンスの低下をもって疲労を評価する手法もあるが,疲労感とこれらパフォーマンスの低下が乖離することが多々あることも我々は日常生活でよく経験し,こういった事情が疲労の客観的評価を困難にしている。 ところで,慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は,ウイルス感染やストレス曝露を機に発症する疾患であるが,高度の全身倦怠感をはじめ,微熱や全身の疼痛,脱力感などの身体症状や,思考力・集中力低下,抑うつなどの精神症状,睡眠障害などの症状が長期間持続し,健全な社会生活が困難となる症候群で,今もって原因は不明とされている。診断は日本疲労学会による診断指針や米国CDCの診断基準に基づくが,いずれにおいても,高度の疲労により日常生活に支障を来していることが診断の必要条件となっている。しかし,高度の疲労か否か,疲労を訴える患者の疲労を客観的に評価することは難しい。 そこで,本稿では,今まで定量化手法を持ち合わせていなかった疲労という現象に対し,加速度脈波を用い,自律神経機能や複雑系の観点から,疲労を定量化する試みについて,CFSを例に紹介することとし,最後にいくつかの慢性疾患の疲労についても検討した結果を例示する。
著者
渡辺 謙仁
巻号頁・発行日
2018-12-09

日本のアニメなどは国内のみならず海外からも注目され、アニメキャラクターなどに扮するコスプレもまた、オタク趣味やハロウィンの一般化に伴って、若い世代を中心に普通の行為になってきている。発表者は、近年の参加者数が5万人を超えるTOYAKOマンガ・アニメフェスタ(TMAF)において、過去6回にわたりアニメファンやコスプレイヤーに向けた観望会などの天文イベントを実施してきた。本発表では、2018年に実施した天文イベントを中心に、TMAFにおける天文イベントについて報告する。
著者
水野 貴之 渡辺 努 齊藤 有希子
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.68-81, 2010-01
被引用文献数
1

In this paper, we propose a new method to measure the price stickiness caused by strategic complementarities in price setting behavior using the autocorrelation coefficient. Then we apply this method to the online marketplace data. Since Bils and Klenow's (2004) seminal study, the frequency of price adjustment or the average price duration have been intensively examined to measure price stickiness. While the average price duration is 1.9 days, the autocorrelation coefficient shows 6 days' path-dependency for the sample data of a liquid crystal television. This means that retailers change prices three times to complete a price adjustment. The size of price changes is lowered by the strategic complementarities, which requires a longer price adjustment time. In previous papers, price stickiness might have been underestimated due to disregarding the path-dependency of price adjustment.本稿では,各企業が互いの価格設定行動を模倣することに伴って生じる価格の粘着性を自己相関係数により計測する方法を提案するとともに,オンライン市場のデータを用いてその度合いを計測する.Bils and Klenow (2004)以降の研究では,価格改定から次の価格改定までの経過時間の平均値をもって価格粘着性の推計値としてきたが,本稿で分析対象とした液晶テレビではその値は1.9日である.これに対して自己相関係数を用いた計測によれば,価格改定イベントは最大6日間の過去依存性をもつ.つまり,価格調整の完了までに各店舗は平均3回の改定を行っている.店舗間の模倣行動の結果,1回あたりの価格改定幅が小さくなり,そのため価格調整の完了に要する時間が長くなっていると考えられる.これまでの研究は,価格改定イベントの過去依存性を無視してきたため,価格粘着性を過小評価していた可能性がある.
著者
大久保 仁 渡辺 勇 石川 紀彦 渋沢 三伸 石田 博義 大柿 徹 大木 幹文 羽成 敬一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.495-499, 1985

The Eustachian tube opens and closes in response to swallowing movements. Sonotubometry records these opening and closing movements as changes in sound pressure. Moreover, it shows that the timing of the opening and closing of the Eustachian tube varies with the material swallowed (saliva, Barium, liquid, etc.) even in healthy adults. These differences effect the interpretation of the test results. We considered that the soft palate might have some relationship to nasal closure when the nasopharynx is closed in response to swallowing movements.<br>Since the contribution of the soft palate to nasopharyngeal closing can be estimated by observing pressure changes, its relationship to the tubal opening and closing time was examined by combining various swallowing movements with sonotubometry during Toynbee's maneuver. It was found that the incease in intranasal pressure during saliva swallowing was lower than that during liquid swallowing; however, its decrease was greater. This may indicate that the soft palate is moved more voluntarily during swallowing behavior which requires an increased negative pressure of the pharynx. It was further estimated that the movement of various muscular groups involved in the tubal opening may also be activated, ultimately providing more positive results sonotubometry.