著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。
著者
小林 りか 田村 朝章 渡辺 学 鈴木 徹
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.155-161, 2015-06-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

食品冷凍において,凍結,低温貯蔵,解凍といった一連の冷凍操作すべてが品質劣化に影響を与える.特に大部分をタンパク質で構成される魚介類の品質は,タンパク質の冷凍変性に大きく影響を受ける.そのような中,解凍過程におけるタンパク質変性挙動に関する研究は,凍結貯蔵過程と比較してあまり着目されてこなかった.そこで本研究では,マグロ魚肉の解凍過程でのタンパク質変性の反応速度をCa-ATPase 活性値を指標として算出し,解凍中保持温度よる影響を議論した.同時にドリップ流出量を測定して両者の相関性を検証した.結果として,10℃以下の解凍中保持温度によってタンパク質変性進行は抑制され,Ca-ATPase 比活性値とドリップロスには緩やかな相関関係が確認された.
著者
田中 方士 渡辺 隆 宮内 義浩 伊良部 徳次 村上 信乃
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-107, 1994-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8

慢性腎不全で内シャントによる血液透析を受けている356例571手術につき, そのシャント閉塞の危険因子につき検討を行った. 検討した因子は, 手術時年齢, 性別, 原疾患, Ht値である.全体での5年開存率は68%, 10年では57%であった. 性別, Ht値は, シャント開存に関係なかったが, 原疾患 (糖尿病), 手術時年齢はシャント開存に影響を与えた.
著者
渡辺 健一 土肥 二三夫 冨田 寛 竹本 律子 村上 弦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.Supplement78, pp.53-62, 1995-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
38
被引用文献数
2

The topographical anatomy of the chorda tympani nerve (CTn) was investigated macroscopically in 45 ears of Japanese adult cadavers, aged 38-88 yr, with special reference to its topographical relationship to critical structures encountered in otorhinolaryngological practice such as the auditory tube and Wharton's duct. Fifteen cases of the “separated type” of CTn running independently along the posterior margin of the lingual nerve, which were noted in our previous study, were included among the 45 specimens. Major findings considered relevant to clinical practice are described below.1. The course of the CTn, passing inferiorly and medially in the petrotympanic fissure, was classified into 2 types: that traveling immediately anterior to and parallel with the auditory tube, and the becoming progressively more distant (inferior and anterior) to the auditory tube.2. Immediately after emerging from the petrotympanic fissure, the CTn cons istently communicated with the sympathetic plexus around the middle meningeal artery, and often issued twigs reaching the otic ganglion area.3. In cases where the CT n was trapped by tendinous tissue around the lateral pterygoid muscle (17.8%), the nerve merged into the lingual nerve from the medial or anterior aspect, and not from the usual posterior aspect, at the level of the mandibular notch.4. The lingual nerve sometimes (20.0%) showed a strongl y curved sigmoid course behind the mandibular ramus. Several buccal branches innervating the oral lining, without containing the CTn element, were issued at the anterior projecting protion of the sigmoid course.5. At the base of the oral cavity, the major CTn element traveled al ong the superior margin of the lingual nerve, therefore the CTn element was located away from the submandibular ganglion.6. A thick communicating branch on both sides of the lingual nerve was rarely observ ed under the mucous lining or in the mucous layers at the tip of the tongue. These findings suggest that morphological variations of the CTn should be considered during surgical procedures and for understanding the nature of related clinical symptoms.
著者
安藤 亘 門脇 徹治 渡辺 篤史 崔 奈美 加部 義夫 恵良田 知樹 石井 紀彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.214-223, 1994
被引用文献数
7

14族典型元素からなるセスキスルフィド(RM)<SUB>2n</SUB>Y<SUB>3n</SUB>(M=Si,Ge,Sn,Y=S)は,アダマンタン構造(IIa)(n=2)又は,まれにダブルデッカー構造(IIb)(n=2)をとることが知られている.これらセスキスルフィドから向かい合っている一対の硫黄を一つずつ減らすとノルアダマンタン(VIIIa),ビスノルアダマンタン(IXa),ノルダブルデッカー(VIIIb),ビスノルダブルデッカー(IXb)と呼ばれる新規なペンタ及びテトラスルフィドが生成する.トリクロロモノゲルマン([1a]と[lb]),トリクロルモノシラソ([8a]と[8b])トリクロロモノスタナン([10a]と[10b])の硫化水素/ピリジン,硫化リチウム,硫化ナトリウム,五硫化アンモニウム,ビストリメチルシリルスルフィドなどによる硫化反応では,トリクロロモノゲルマン([1a]と[1b])のみがゲルマニウム-ゲルマニウム結合を有するペンタスルフィド([5a]と[7b])を副生した.主生成物は,アダマンタン構造のセスキスルフィド([2a],[2b],[9a],[9b],[11a]と[11b])が,トリクロロモノゲルマン,トリクロロモノシラン,トリクロロモノスタナンにおいても生成してきた.一方,テトラクロロジシラン[12]とテトラクロロジゲルマン[15]の硫化リチウムとセレン化リチウムによる硫化ないしセレノ化では,ペンタスルフィドとペンタセレニド([13a],[13b]と[5a])が収率良く生成した.X線結晶構造解析は,ケイ素-ケイ素結合の切断されたノルアダマンタン構造を明らかにした.テトラクロロジゲルマンは,硫化水素/ピリジン,硫化リチウム,五硫化アンモニウム,テトラチオタングステン酸ピペリジニウムなどの種々の硫化剤と反応し,ゲルマニウム-ゲルマニウム結合の切断されていないテトラスルフィド[16]も副生した.その構造は,ビスノルアダマンタン構造であるとX線結晶構造解析により確定した.トリクロロモノゲルマン([1a]と[1b])からのペンタスルフィド([5a]と[7b])の生成は,硫化剤が還元剤として働くことにより,又,テトラクロロジゲルマン[15]からのペンタスルフィド[5a]とテトラスルフィド[16]の生成は硫化剤の求核性の強さに依存しているものと考えられる.
著者
野宮 謙吾 渡辺 静香
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.11-18, 2004
参考文献数
15

本研究は、和文書体を見ることにより想起される視覚イメージと、読むことにより想起される音声イメージの関係について明らかにすることを目的としている。本調査では、語感の音声イメージ及び和文カタカナ書体の視覚イメー-ジそれぞれについてアンケートを行い、共通に選択されたイメージ(形容詞)を抽出した。さらに、和文カタカナ書体の特徴的なエレメントのみによる視覚イメージ調査を行い、特定のイメージを想起させる要素の絞り込みを試みた。分析の結果、和文カタカナ書体の視覚イメージと語感からの音声イメージの間には、共通のイメージ(形容詞)が存在することが確認できた。細いウェイトの書体についても、特定の音声とイメージの一致傾向がみられることから、本文組みの文字においても、書体の違いによって意図的に音声イメージを感じさせることができる可能性もあると考察した。
著者
大熊 達義 佐藤 洋湖 湯浅 光悦 幡手 雄幸 長内 智宏 石田 正文 渡辺 孝芳 高梨 信吾 金沢 武道 小野寺 庚午 花田 勝美 方山 揚誠 工藤 一 藤田 〓 松井 哲郎 吉田 穣
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.1213-1221, 1983-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13

A 32-year-old taxi driver was admitted with complaints of coughing and exanthema. The respiratory symptoms and exanthema had appeared in April, 1980 and he had been tatooed on his back and arms about a year previously. His tatoo was composed of four distinctive colours (red, yellow, green and black). Exanthema was seen in only the red, yellow and green parts. Bilateral axillar and cervical lymph nodes were palpable. Chest X-ray films revealed diffuse shadows in both lung fields. Serum and urine test were normal. a biopsy of skin tissues and a lymphotic gland showed granulomatous changes caused by the tatoo dyes. Analysis of the dyes suggested that the red coloring matter consisted of organic mercury.Pathological findings of the specimen obtained from a lung biopsy showed thickening of the alveolar wall, with infiltration of lymphocytes and epitheloid granuloma. Electron microscopy showed that the tatoo dyes were localized in his skin, lymph nodes and lung. We concluded that this was a case of diffuse, granulomatous interstitial pneumonia due to his tatoo.
著者
秋山 賢人 渡辺 知恵美 北川 博之
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.31-35, 2017-12-13

クラウドサービスの発達にともない,暗号化データベースシステムに関する研究がさかんに行われている.暗号化データベースシステムはデータを暗号化して保存し検索を行うことができるため,データ所有者はクラウドサービスのプロバイダに対してデータを秘匿することができる.一方,データ所有者はクライアントに対してもデータ開示の制御を要求する場合がある.その一例としてデータ所有者がクライアントにデータを販売し,クエリによって得られた情報に対して検索結果を提供する前に費用を要求することなどが考えられる.本稿では,暗号化データベースでの秘匿検索フレームワークOSITにおいてデータ販売をする場合のクエリマーケットスキームを提案する.クエリによってクライアントが得る情報をヒストグラムで表し,情報利得スコアをエントロピーで定義した.実験ではこのスコアが問合せによって減少し,すべてのデータがクライアントにわたったときに0となることを示した.With the development of cloud services, privacy preserved query schemes for encrypted database systems have been proposed. In the system, queries can be processed without decryption, therefore the data owner can preserve the confidential data against the cloud service provider. On the other hand, the data owner may require the data disclosure control towards the clients in case that the data owner sells the data to the client. In this case, we consider that the data owner may require the fee according to the amount of data the client obtains before returning the result. In this paper, we propose a data marketing scheme by using the secure query processing framework OSIT on the encrypted database system. We express the information which the client obtains from a query by histogram, and we define the information gain score by conditional entropy. From experiment, we show the score decreases by a query, and the score is zero when the client obtains all attribute values in the data. We assume the contract of buying and selling data between the data owner and the client. Then, we propose a method to calculate the information gain score for the query result.
著者
渡辺 大作 阿部 省吾 植松 正巳 阿部 榮 遠藤 祥子 後藤 浩人 小林 隆之 藤倉 尚士 小形 芳美 伴 顕 平野 貴 杉本 喜憲 斎藤 博水
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.41-45, 2004-11-10 (Released:2009-04-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

牛クローディン-16(CL-16)欠損症19頭およびそれ以外の腎不全黒毛和種牛2頭におけるビタミンA(VA)とレチノール結合蛋白質(RBP)の動態および過長蹄の発現について調査した。CL-16欠損症では、1-6ヶ月齢の子牛3頭を除き84%で過長蹄がみられた。CL-16欠損症を過長蹄群と正常蹄群にわけて正常黒毛和種子牛群36頭と比較したところ、過長蹄群ではRBP、VA、尿素窒素(UN)およびクレアチニン(Cre)の有意な増加がみられ、正常蹄群ではVAのみ有意な増加がみられた。RBPはVA、UN、およびCreと有意な正の相関を示し、VAはVA添加飼料が給与される5-13ヶ月齢で著しい高値を示した。腎不全牛2頭(腎盂腎炎、腎低形成症)でも過長蹄がみられ、VAおよびRBPは高値を示した。CL-16欠損症で正常蹄の牛は、若齢または軽度の腎障害であったことから、過長蹄はCL-16欠損症に特異な症状ではなく、重度の腎機能障害の持続により発現すると考えられた。
著者
程木 義邦 渡辺 泰徳
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.27-37, 1998-03-01 (Released:2009-06-12)
参考文献数
23
被引用文献数
3 10

5つの湖沼の22定点において水中の太陽紫外線の消散過程とその要因を調べた。測定を行った全ての水域において,太陽放射は水深とともにほぼ対数的に減衰し,UVB(280-315nm),UVA(320-400nm),光合成有効波長(400-700nm)の順で強く減衰された。太陽放射の減衰の程度は水域により大幅に異なり,UVBの水面での放射量に対して1%となる水深(Z1%)は,富栄養水域で0.3から1m,貧から中栄養で2m以上であった。また,UVBとUVAのZ1%はそれぞれ透明度の0.5倍,0.9倍であった。UVBとUVAの消散係数(m -1)は,湖水中のクロロフィルおよび懸濁態有機炭素濃度と強い正の相関を示し,溶存有機炭素濃度と弱い相関を示した。これ迄の報告では,水中紫外線の消散要因として溶存有機物による吸収が強調されていたが,植物プランクトン量が多くDOC濃度が低い水域では,植物プランクトンが水中紫外線の主な消散要因となることが推測された。
著者
カタージェフ ティホミール 渡辺 兼五 東城 清秀 内ヶ崎 万蔵 藍 房和 ホゥアング バーニ
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.183-189, 1995

空気整根育苗を目的にした底面開放型トレイを供試して苗ブロックを下方へ吸引移植する場合の抜き取りエネルギについて検討した。ピートモスと土を混合した苗ブロックの充填密度および含水率をそれぞれ2水準設定して試験を行った。第1試験は育苗トレイに培土を充填した直後に植生なしで行い, 第2試験は播種後40日間育苗したキャベツ苗ブロックについて行った。テーパのないトレイセルの抜き取りエネルギはテーパのあるトレイセルより12倍のエネルギを消費した。
著者
渡辺 三男
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤國文 (ISSN:04523652)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-14, 1977-03
著者
渡辺 恭良 倉恒 弘彦
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.5-9, 2018-01-01

1990年に木谷照夫,倉恒弘彦らにより日本第一号の患者が発見された筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群は,慢性で日常生活に支障をきたす激しい疲労・倦怠感を伴う疾患であり,1988年に米国疾患管理予防センターが原因病原体を見出すための調査基準を作成し,世界的にその診断基準が広まったものである。かなりのオーバーラップがみられる疾患に線維筋痛症があり,また,機能性ディスペプシアなども含めて,機能性身体症候群という大きな疾患概念も存在する。客観的診断のためのバイオマーカー探索も鋭意行われ,わが国におけるPET研究によって,脳内のセロトニン神経系の異常やさまざまな症状と神経炎症の強い関わりなどが明らかになってきた。一方,このような最新の知見を踏まえた治療法の開発研究も鋭意行われている。