著者
雨宮 登三 八田 力二郎 坂本 四郎
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5-6, pp.121-125, 1950-06-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1

松根油その他テレビン油の主成分であるα-ピネンの化學的利用法に就て綜説し, 特に醫藥及び香料原料としての抱水テルビン並にα-テルビネオール, 或は殺蟲剤としての高次酸素誘導體のビネンよりの誘導に就て著者等が研究した結果の大要を報告した。抱水テルビンの合成に關しては, 古くから提案されている硫酸法を詳細に検討し, 從來よりも一層好適な反應條件を見出したが, なお助觸媒の添加によつて收率を15~20%増加させ得ることを認めた。次に, 殺蟲剤合成の目的でα-ビネン及びその中間體 (鹽化ボルニル, p-サイメン等) の直接鹽素化 (時には更にニトロ化) をを行つたが, それ等の生成物は何れもBHC, DDTに匹敵する殺蟲効果を示した。なお該生成物中から數種の有効成分を分離, 確認した。
著者
西村 純 矢島 信之 藤井 正美 横田 力男
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.13-19, 1990-12

この論文では金星大気の運動や組成を観測する金星気球を開発するため, 金星気球のモデル試験の方法を提案する。金星浮遊気球としては, いくつかの形態が提唱されてきたが, ここでは適当な液体をつめた相転移気球について詳しく検討する。金星大気の主成分は炭酸ガスで, 高度が下がるとともに温度が上昇するので, 気球内に入れた液体が蒸発して浮力を生ずる。ある高度を境として蒸発と液化が起こるので, 気球は一定高度に安定に浮遊することができる。金星大気から金星気球への熱伝達について詳しく解析するとともに, 温度勾配をつけた小型の水槽にモデル気球を浮かべて, 相転移気球の試験を行えることを実証した。
著者
八幡 芳和 阿部 優子 角田 力彌
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.807-812, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

ペラグラは3D(dementia,diarrhea,dermatitis)と表現され,主としてビタミンの一種であるナイアシン(niacin)の欠乏により発症する疾患で,食糧事情の改善された現在では極めて稀な病態だが,本症例は単純糖質を主とした特殊な偏食による状態で発症した.診断,治療には精神神経症状や消化器症状など全身的な代謝障害の1つに,本症名称の皮膚科疾患が位置づけられていることの認識が重要である.
著者
森田 勲 山口 明彦 須田 力
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.631-639, 2002-11-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究はショベリング除雪に必要な,パワーおよび身体資質の関係を明らかにすることを目的に行なった.258名の男子大学生が被検者となったが,その内訳は,積雪地出身者(SG)が126名で,非積雪地出身者(NSG)が132名であった.それぞれ握力,背筋力,脚伸展パワーの測定を行なったほか,5 kgと10 kgの負荷によるショベリング投擲を行なった.両グループの身長,体重,筋力および脚伸展パワーの平均値に有意な差が認められなかったにもかかわらず,投擲距離においてはSG群がNSG群を上回り,5 kg負荷時(6.5±1.3 m vs 5.9±1.1m)と10 kg負荷時(4.2±0.77 m vs 3.9±0.79m)で有意な差が認められた.投擲距離とそれぞれの測定項目との間に有意な相関関係が認められたほか,SG群を除雪の実施状況に応じたグループに分けて比較をしたところ,常習的に行なっていたグループが,ほとんどしないグループおよびNSG群を上回る結果が得られた.これらのことから,ショベリング除雪能力を規定する因子として,体力と技術の関与が示唆された.
著者
山本 訓史 徳原 太豪 西川 正博 西澤 聡 西岡 孝芳 野沢 彰紀 高橋 亮 渡邊 芳久 和田 力門 若狭 研一 久保 正二
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.164-174, 2012 (Released:2012-04-03)
参考文献数
44
被引用文献数
2 14

症例は60歳代,男性.8年前に肝細胞癌に対し肝部分切除術が施行された.平成23年2月の精査で肝S4/8とS6に再発が認められたため手術予定となった.糖尿病のコントロールが悪くHbA1cが8%台と長期間高値であったため術前にdi-peptidyl peptidase-IV(以下DPP-4)阻害薬内服によりコントロールを行った.DPP-4阻害薬内服前の腫瘍最大径はダイナミックCTでS4/8が5.0 cm,S6が2.5 cmであったが,内服開始3週間後のダイナミックCTでは腫瘍最大径はS4/8が2.5 cm,S6が2.0 cmと縮小した.AFPとPIVKA-IIはDPP-4阻害薬内服後に著明に低下した.病理組織学検査で肝細胞癌内に著明なリンパ球浸潤を認め,免疫組織化学染色で浸潤リンパ球はCD8陽性T細胞であった.免疫応答が強く関与していると考えられる肝細胞癌自然退縮の1例を経験した.
著者
須田 力 河口 明人 森田 勲
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
no.97, pp.1-25, 2005

豪雪地住民の冬季の身体活動の実態を明らかにし在宅での自発的なトレーニングによる体力の変化を検討するため,豪雪地帯の栗沢町,特別豪雪地帯の三笠市および士別市の中高年者を対象に,運動実施記録による調査(三笠市および士別市),無雪期及び積雪期の生活における身体活動の強度測定(三笠市),降雪始めと降雪終了期の2回の体力測定(3地域)を行った結果,⑴除雪の運動時間が歩行を上回ること,⑵無雪期の畑仕事,歩行,積雪期の歩行よりも除雪の運動強度が酸素摂取量,心拍数とも高いこと,⑶降雪始めに対して降雪終了期には男女共6分間歩行において有意な向上を示し,全般的に体力が向上したものの血圧値が増加傾向を示すなど,豪雪地域特有の特徴が浮き彫りにされた。これらの結果から,冬季間は運動不足により体力が低下するという問題が必ずしも妥当しない現実と除雪の効果と問題点を考慮した運動指導の必要性が明らかとなった。
著者
吉田 正人 向原 伸彦 大保 英文 尾崎 喜就 本多 祐 金 賢一 溝口 和博 井上 武 深瀬 圭吾 三里 卓也 志田 力
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.61-65, 2007-03-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

2000年1月から2003年12月までの4年間に当院で施行した80歳以上の大動脈弁置換術(AVR)症例29例を高齢者群とし,その手術成績ならびに中期成績について検討した.使用した弁は,全例,生体弁(Carpentier-Edwards PERIMOUNT)であった.また,同時期に施行された75歳以下の生体弁によるAVR症例36例を対照群として,2群間で比較検討を行った.平均年齢は高齢者群で82.9歳,対照群で71.6歳であり,病変は高齢者群では大動脈弁狭窄(AS)症例が79%と対照群の53%に比較して有意に多く,ASの程度も高度であった.術前合併症としては,高齢者群では糖尿病と腎機能障害(Cr≧1.5)の頻度が有意に高く,緊急手術例も高齢者群24%,対照群6%と高齢者群で緊急手術の頻度が有意に高かった.術後合併症は,48時間以上の長期の人工呼吸器管理を要した症例と一時的にCHDFを必要とするような腎機能障害をきたした症例の頻度が高齢者群で有意に高かったが,病院死亡は高齢者群6.9%,対照群5.6%と差はなく,3年生存率も高齢者群89%,対照群78%と差は認めなかった.80歳以上の超高齢者に対するAVR症例では術前の重症度が高かったが,その手術成績ならびに遠隔成績は良好であり,外科的治療を積極的に考慮すべきであると考えられた.
著者
乙丸 孝之介 岩本 悠紀 洪 惠英 永井 克尚 窪田 力 山内 清哉 野地 智法
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.344-347, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
18

本研究は,黒毛和種子牛に対するベータ(β)カロテンの経口投与による糞便中の免疫グロブリン(Ig)A濃度へ及ぼす影響について検討を行った.2週齢の黒毛和種子牛22頭をランダムに2群に分け,11頭の子牛には,2週齢から4週齢まで,1日当たり20mgのβカロテンを経口投与した(投与群).一方,11頭の子牛にはβカロテンの投与は行わなかった(対照群).すべての子牛は,2週齢及び4週齢(投与2週間後)で血液及び直腸便を採取された.投与群の血清βカロテン濃度は,投与2週後において対照群と比較し有意に高値であった.また,投与2週間後において投与群の糞便中IgA濃度は,対照群と比較し有意に高値であった.これらの結果から,黒毛和種子牛に対するβカロテンの投与は子牛の消化管内におけるIgA産生を増加させる可能性がうかがえた.
著者
栗木 恭一 佐々木 進 横田 力男
出版者
日本マイクログラビティ応用学会
雑誌
日本マイクログラビティ応用学会誌 (ISSN:09153616)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.211, 1997-07-31 (Released:2021-01-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

The Space Flyer Unit (SFU) is an unmanned free flyer flown in orbit from March 18, 1995 to January 20, 1996. Space environments such as microgravity and surrounding atmospheric condi­tions were monitored and are reviewed as reference for future missions. Engineering impacts of microgravity on spacecraft are also reviewed including post flight analyses.
著者
中田 力 西澤 正豊 藤井 幸彦 鈴木 清隆 KWEE Ingrid L. KNIGHT Robert T.
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、本邦唯一のヒト用超高磁場(7.0T)装置を用いた高分解能画像を開発し、特定疾患における組織特性を反映するコントラスト画像法を導入することにより、組織標本に匹敵する臨床生体顕微鏡を開発することを目的とした。様々な技術開発を行い、SusceptibilityWeighted Imaging(SWI)を導入した生体顕微鏡法では、世界に先駆けて、最終園標とされたAlzheimer病の老人斑の画像化にも成功した。
著者
中田 力 西澤 正豊 藤井 幸彦 五十嵐 博中 ヒューバー ビンセント 辻田 実加 鈴木 清隆 柿田 明美
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

本研究は世界の研究者が過去30年間以上失敗し続けてきたリガンド型MRI分子イメージングの開発を行う極めて挑戦的なプロジェクトであった。その宣言通り期間内で不可能と思われていた夢の画像法開発に成功し、研究代表者によりJJ Vicinal Coupling Proton Exchange(JJVCPE)と名付けられた。具体的には、H2O17を用いた水分子と、O17-PiBを用いたアミロイド分子イメージングが施行され、アクアポリン4を介したVirchow-Robin腔の間質流がβ-amyloidのクリアランスに必須でありその機能不全がAlzheimer病の発症機序に強く関連していることを突き止めた。
著者
望月 恒子 諫早 勇一 中村 唯史 岩本 和久 宮川 絹代 井澗 裕 イコンニコヴァ E.A. 越野 剛 塚田 力
出版者
北海道大学大学院文学研究科
巻号頁・発行日
2010-03-31

平成21-24年度科学研究費補助金 基盤研究(B)(課題番号:21320061)研究成果報告書
著者
小田 力
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.136-144, 1966-10

長崎県大瀬戸町松島の外平部落(115戸)で1961年9月(実験1)に,長崎市郊外の六枚板部落(27戸)で同年10月(実験2)に,及び外平部落で1963年7月(実験3)に,計3回の記号放遂法によるイエバエの分散実験を行なった.放遂バエは25℃の実験室で飼育,羽化後4~6日目のもので,放遂前24時間, P^<32>を含む餌を与えて記号を附し,更に実験3では3ケ所から略同時に放遂したハエを区別できるように,3種類の色素の2%水溶液を噴霧した.放遂後6日間毎日(実験2では放遂後1, 2, 3, 5, 8日に),屋内に設置したハエトリガミとハエトリリボンに附著した記号バエ数及び無記号バエ数を記録した.これらの実験結果から次のことがわかった.1.記号バエの回収数は,放遂後の日数の経過に伴なって減少する.2.記号バエは一般に放遂場所に近い人家で多く回収されるが,放遂場所からの距離が同じ場合には,無記号バエの採集数から判断して,屋内への侵入が容易でありハエの餌が散在している,人家で,回収バエが多く得られる.3.記号バエの分散距離は,放遂地点が人家に囲まれている場合には短かく,放遂地点の一方にのみ人家がある場合や,特に放逐地点が人家から離れている場合には長い.4.イエバエの分散には,ランダムな行動に基づく比較的小規模の分散と,分散飛翔とも呼ぶべきものによる,より規模の大きい分散とがあると推測され,後者は,放遂地点が人家と畠地や荒地との境にある場合や,人家から離れている場合に見られるようである.