著者
田中 信壽
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.129-138, 2005
参考文献数
78
被引用文献数
6

The health hazards posed by Virtual Reality (VR) environments can be divided into two groups based on their developing mechanism. The first group is related to optical stimulus load and is exemplified by Visual Display Terminal (VDT) Syndrome. The second group encompasses those caused by space information confusion and is exemplified by VR sickness. Among space information confusion induced hazards, VR sickness is especially serious because it can involve strong discomfort, headache, nausea and vomiting. Because VR sickness may prove to be a barrier to the spread of VR environments, it is thought that countermeasures are required. This paper reports the current state of VR sickness countermeasure knowledge. Research is summarized and organized mainly according to the following stories: "Cognition of VR sickness", "Mechanisms involved with the development of VR sickness", "Directions for countermeasure development" and "Evaluation of VR sickness".
著者
田中 信之
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.162, pp.113-128, 2015 (Released:2017-12-26)
参考文献数
23

本研究は文章産出過程における辞書使用の実態を調査した。中国人学習者20名を対象に,再生刺激法を用い,電子辞書の使用状況を分析した。その結果,中日辞典と日中辞典が主に使用され,中日辞典は翻訳機的な機能,日中辞典は文産出の支援的な機能を果たしていた。検索成功率は約7割で,検索失敗後は過半数が検索を継続していたことから,学習者の辞書への期待が窺えた。一方,辞書を用いて書いた箇所の正用率は約6割で,検索失敗後,自力で書いた箇所の正用率と大差なかった。用例参照率の低さが原因の一つだと推測できるが,用例を参照して書いた箇所の正用率は6割を下回った。この結果は学習者が用例を参照しても文産出に活かせていないことを示している。誤用の原因は文法やコロケーションで,用例参照により文法情報は得られるが,コロケーション情報は読み取り困難なことがわかった。学習者がこの性質を知らないことが正用率に影響したと考えられる。
著者
竹迫 賢一 川平 和美 日吉 俊紀 川津 学 上土橋 浩 東郷 伸一 田中 信行
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.173-177, 1994-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
13

脳卒中患者の感情失禁に対する新しい治療法として感情失禁を有する脳卒中患者23例に種々のβ-遮断薬を試み,著明改善26.1%,改善26.1%,やや改善13.0%(なんらかの改善65.2%)が得られた.その効果は性,年齢,病巣部位による差はなかった.血液脳関門通過性やβ1,2-受容体選択性の異なるプロプラノロールとアテノロールは同程度の効果を示し,ラベタロール,メトプロロールでも各1例の改善がみられたことから,その効果はβ1-作動系の遮断を介するもので,血液脳関門の破綻も推測された.またβ-遮断薬で改善を認めた6例で薬剤を中止したところ,5例はほぼ1週間以内に感情失禁の悪化を認めた.以上の結果から,β-遮断薬は感情失禁に対し明らかに有用な薬剤と思われた.
著者
国末 浩範 市原 周治 野村 修一 野上 智弘 森 秀暁 大谷 裕 石堂 展宏 太田 徹哉 臼井 由行 田中 信一郎
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.118-121, 2009-01-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は96歳の女性で,既往歴として平成19年2月に心嚢液貯留に対し,心嚢—腹腔開窓術を施行されていた.平成19年7月初旬,急に激しい腹痛が出現し,当院を紹介され受診した.腹部は軟らかいが,腹部全体に圧痛を認めた.腹部CTにて心嚢内に腸管が嵌頓するように入り込んでおり,心嚢—腹腔開窓孔による心嚢内ヘルニア嵌頓を疑い開腹術を施行した.開腹所見ではトライツから370 cmの小腸が約30 cm心嚢—腹腔開窓孔から心嚢内に入り込み絞扼され腸管が壊死していた.開窓孔を広げ腸管を腹腔に戻し,小腸部分切除を施行した.また,開窓孔は肝円索にて緩めに覆い閉鎖した.術後の経過は良好で第24病日に退院した.心嚢—腹腔開窓孔による心嚢内ヘルニア嵌屯はまれであるので報告する.
著者
高橋 辰男 小磯 武文 田中 信行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.1, pp.65-70, 1974

水溶液中におけるヘキサアンミソクロム(III)イオンおよびトリス(エチレンジアミン)クロム(III)イオンとヨウ化物イオンおよび過塩素酸イオンとの間のイオン会合定数を電気伝導度法ならびに分光光度法で決定した。<BR>電気伝灘度法から得た25℃における熱力学的会合定数,Keen,Mx,および過塩素酸イオンを含まない溶液条件で分光光度法から得た会合定数,Ksp,Mx,はそれぞれ,K n,(NNi sr=19 ± 4,K,p (NH)d =22±7,K,(eR):= 26±6,およびK,po(en),1=21±4であった。さらに,過塩素酸イオンが共存する条件で分光光度法より間接的に得た錯イナソと過塩素酸イオンとの会合定数はそれぞれ,K,p,r(eP,Clo=16±4,K,p,(N,II3),clo,=10 ± 8であり,これらは亀気伝導度法で得たKe cr(en),clo,=11±4,K。c,(NI,13),CIOi=,15±3と実験誤差を考慮すればほぼ一致すると考えられることからも,電気伝導度法ならびに分光光度法から得た会合定数にはなんら本質的な違いは認められなかった。また,クロム(III)錯イオンはその対応するコバルト(III)錯イオンに比較して過塩素酸イオンおよびヨウ化物イオンについては会合能がやや低いものと考えられる
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009 (Released:2011-04-05)

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データヘの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
田中 信一郎
出版者
明治大学大学院
雑誌
政治学研究論集 (ISSN:13409158)
巻号頁・発行日
no.28, pp.39-58, 2008
著者
堀江 航 田中 信行
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.293_3, 2018

<p> 本研究は、米国の障がいのあるスポーツ選手を対象にしたアンケート調査により、その健康感や幸福感などの傾向を得ることを目的にした。対象とした選手は、全米車椅子バスケットボール選手権大会(今年3月で70回)に参加した成人男子48チーム(競技レベル順にDivision Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(各16チーム))に所属する者であった。アンケートの配布数は412件であり、回答数は177件(回収率43.0%)であった。調査内容は、年齢、障害名、持ち点などに加え、車椅子バスケットボールの競技歴、その他のスポーツの競技歴、受障原因や受障年齢を基本情報とし、Well-Being Scale(WeBS)を用いた主観的な健康感とThe Satisfaction with Life Scale(SWLS)を用いた幸福感などであった。WeBSとSWLSは、それぞれ6件法と7件法であった。さらにチームに障がいのない者を加えることの賛否と共に自由筆記によりその意見を求めた。各項目の集計と分析結果の詳細については当日発表する。</p>
著者
田中 信之
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-11, 2018-12

本研究では初級文法クラスにおける授業引継ぎの授業記録の分析により,教師が共有しようとする中身を明らかにした。テキストマイニングにより授業記録を分析した結果,「授業の様子」では日本語学習や体調や態度について,どのような学生が多かったかを記述していた。また,文型や会話の練習に関する記述があり,そこには教師の振り返りも見られた。「学生の様子」では,理解と形の頻度が高かった。理解は文法や文型と共起し,形は活用形として使用される場合や,変換や間違えるなどの語と共起していた。これには文法積み上げ型の授業の実施が背景にあると考えられる。授業記録と講師ミーティング議事録と比較した結果,語の一致率が低く,両者は異なる役割があることが確認された。その一方で,どちらにも教師の内省があまり見られなかった。今後,授業引継ぎや講師ミーティングは教師が振り返り,それを教師間で共有していく場としていく必要がある。
著者
田中 信行
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.1-15, 2015-06-25

2011年に広東省烏坎村で燃え上がった土地紛争は,同年末に広東省党委員会が村民の要求を基本的に受け入れるかたちで収束した。烏坎村の経験は貴重な紛争解決の成功事例ともてはやされ,「烏坎モデル」と呼ばれるようにもなった。ところが,それから3年経った現在でも,村は失われた土地の大半を取り戻せていない。そして,なぜ土地を取り戻せないのかという問題をたどっていくと,土地紛争の実態は多くのメディアが伝えていたようなものではなかったことが明らかとなってくる。本稿は,村に土地が返還されない原因を分析することを通じて,烏坎村における土地紛争の実態を解明しようと試みたものである。
著者
味澤 幸義 赤羽 健司 赤羽 増夫 佐藤 和明 玉井 哲郎 斉藤 勝 田中 信之 鎌田 晃爾 小林 通洋
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.735-747, 1996-09-25
参考文献数
13

A number of benzimidazole derivatives were synthesized and tested for cholecystokinin A (CCK-A) receptor inhibitory activity in order to study structure-activity relationships. Significant CCK-A receptor inhibitory activities were found in the compounds having carboxyl or tetrazolyl group. As the most preferred compound, 4-(5,6-dichlorobenzimidazol-2-yl)-N-(3-methoxypropyl)-N-pentylglutaramic acid (4g) was selected.