著者
川平 和美 東郷 伸一 田中 信行
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.737-746, 1992-09-18
被引用文献数
1 1

リハビリテーション施設職員259名と学生119名に障害者の性に関するアンケート調査を行った.1)職員の障害者の性に関する知識と認識を,全体で比較すると,男女とも,専門教育を受けている職種,若年者,未婚者が,そうでない者より高かった.2)女性職員の性知識と認識に関連する要因を分散分析を用いて検討した.職種と年齢は関連したが,結婚の有無,勤務年数は関連がなかった.3)性知識と認識は正相関した(学生を含めた対象全体:Y=2.55+0.27X, r=0.42, P<0.01, 女性職員:Y=1.90+0.36X, r=0.52, P<0.01, 男性職員:Y=2.79+0.24X, r=0・30, NS).つまり,性知識が高まるほど障害者の性への認識が高まり,女性は男性よりこの傾向があきらかだった.4)性に関する研修は,職員の半数も受けておらず,研修の機会は充分でなかった.
著者
横山 知子 鶴川 俊洋 川平 和美 田中 信行
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.399-404, 1999-06-18
被引用文献数
5 5

脳卒中を中心とした神経系疾患患者25例を対象として,8週間の運動訓練のみを行った群(通常のリハ訓練+サイベックスを使用した膝の屈伸運動)と,4〜8週目に蛋白同化ホルモン(オキシメトロン10あるいは20mg/日を内服)を併用した群の2群に無作為に分けて,非麻痺側下肢の筋力及び筋肥大に対する蛋白同化ホルモンの効果を検討した.下肢の運動訓練は両群ともサイベックス6000を用いて,座位で等速性(60°あるいは180°/秒)の膝屈伸運動を,適宜休憩を入れながら,1日100〜200回,週5日,8週間行わせた.蛋白同化ホルモン併用群では,非投与時に比べて等速性筋力は低速度・高速度ともに,また伸筋,屈筋とも筋力の増加は有意に大きかった.等尺性筋力も伸筋,屈筋ともに増加し,またCT上での大腿筋断面積も有意に増加していた.一方,筋力トレーニング単独群では,全般的に筋力の増加傾向は認められたが,ほとんどの場合で有意ではなく,大腿断面積も明らかな増加を認めなかった.副作用として,AST,ALTの上昇がAS併用した13例中5例,Kの上昇を2例に認めたが,全例で薬剤中止後,正常に戻った.
著者
大須賀 崇裕 宮西 浩嗣 伊藤 亮 田中 信悟 久保 智洋 濱口 孝太 大沼 啓之 村瀬 和幸 高田 弘一 山本 彬広 眞部 建郎 久原 真 加藤 淳二
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.559-566, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

68歳,男性.右背部痛を主訴に近医受診,肝腫瘤を指摘され当院紹介.肝細胞癌,多発リンパ節・骨転移と診断し,アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法(ATZ+BV)を開始した.投与開始14日目に辻褄の合わない言動と傾眠,16日目にJCS10の意識障害を認めた.血中アンモニア値,頭部MRIに異常なく,髄液検査では僅かな細胞数上昇と蛋白細胞解離を認めた.自己免疫性脳炎を疑い,同日よりステロイドパルス療法を開始した.意識障害は著明に改善し,内服ステロイドに移行後,38日目に後遺症なく自宅退院となった.脳炎の再燃はなく,ATZ+BV開始60日目に2次治療としてレンバチニブを導入した.肝細胞癌に対するATZ+BV後の自己免疫性脳炎は,自験例を含め4例のみ報告されており,初発症状や意識障害出現時期がほぼ一致していた.早期の診断とステロイドパルス療法施行により2次治療へ移行できた症例であると考えられた.
著者
田中 秀典 岡 志郎 田中 信治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.1382-1388, 2021 (Released:2021-07-20)
参考文献数
16

近年,潰瘍性大腸炎関連腫瘍(ulcerative colitis associated neoplasia;UCAN)に対する内視鏡切除が施行されているが,適応や切除法に関して十分なコンセンサスは得られていない.当科では,UCANに対する内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)の適応を,1)術前生検でlow grade dysplasia,2)内視鏡的に境界明瞭,3)周囲生検でdysplasia陰性,4)寛解期UCとしている.UCANに対するESDは,粘膜下層高度線維化のため技術的難易度が高く,周到なストラテジーと効果的なデバイス使用が肝要である.
著者
日山 亨 國弘 真己 朝山 直樹 卜部 祐司 岡信 秀治 小野川 靖二 國弘 佳代子 桑井 寿雄 児玉 美千世 佐野村 洋次 永井 健太 濱田 博重 古土井 明 実綿 倫宏 毛利 律生 吉岡 京子 田中 信治 岡 志郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.467-479, 2023 (Released:2023-06-29)
参考文献数
101

プロバイオティクスは日常診療において頻用されているが,現在,その使用ガイドラインは作成されていない.そのため,「広島大学消化器内科関連病院プロバイオティクス使用ガイドライン」を作成した.実地診療における疑問や問題を取り上げ,7(実質10)項目のクリニカルクエスチョンを決定した.作成に当たっては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」に従い,推奨の強さとエビデンスの質を示した.なお,この領域における本邦からのメタアナリシスなど質の高い報告は少なく,委員のコンセンサスを重視せざるを得ない部分も多かった.ガイドラインは現時点でのエビデンスの質に基づいたものであり,医療の現場で患者と医師による意思決定を支援するものである.個々の患者に応じて,柔軟に対応する必要がある.
著者
辻田 純三 伊藤 清臣 黛 誠 田中 信雄 堀 清記 小石 秀夫
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.2-11, 1980 (Released:2011-10-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

パプアニューギニア高地人の成人男子18名,日本人成人男子20名の身体計測およびパプアニューギニア現地での戸外および家屋内の環境温度の測定を行なって次の結果を得た。1)パプアニューギニア人の身長および体重の平均値は夫々,158.4cm,61.3kgで日本人の夫々の平均値,171.6cm,68.2kgより有意に小さかった。しかし,パプアニューギニア人のRohrer's indexおよびBrugsch's indexの平均値は逆に日本人の平均値より大きかった。2)パプアニューギニア人の胸囲,腹囲,上腕囲,大腿囲,下腿囲の平均値は,日本人の平均値よりやや小さいかその差はわずかであった。パプアニューギニア人の前腕囲の平均値は日本人の平均値より大きかった。パプアニューギニア人の上肢長の平均値は日本人の平均値よりわずかに小さかったが,手の長さ,下肢長,足の長さはパプアニューギニア人の方が日本人より長く,パプアニューギニア人の四肢長と身長との比は日本人の値より有意差をもって大きかった。3)パプアニューギニア人の皮下脂肪厚は日本人のそれより有意に薄かった。又,皮下脂肪厚より算出された体脂肪含有率は日本人のそれより有意に少なかった。4)パプアニューギニア人の足の形は,日本人と比べて足長に比し足巾が長く,足底面積が広く,親指と小指が長軸に対して扇形に開いており,山道の歩行に適応して変化していた。5)パプアニューギニア人のBushhouseは日本製木造家屋,スチール製建物に比べて日中の室内温が低く,環境温度の観点よりみると秀れた家である。6)パプアニューギニア人の身体的特徴は,彼等が日常生活において毎日山歩きの激運動を行なっていること,摂取カロリー量が少ないこと,および熱帯高山気候の影響によって形成されたものと思われる。
著者
斎藤 豊 岡 志郎 河村 卓二 下田 良 関口 正宇 玉井 尚人 堀田 欣一 松田 尚久 三澤 将史 田中 信治 入口 陽介 野崎 良一 山本 博徳 吉田 雅博 藤本 一眞 井上 晴洋
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.1519-1560, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
293
被引用文献数
3

日本消化器内視鏡学会は,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」を作成した.大腸がんによる死亡率を下げるために,ポリープ・がんの発見までおよび治療後の両方における内視鏡によるスクリーニングおよびサーベイランス施行の重要性が認められてきている.この分野においてはレベルの高いエビデンスは少なく,専門家のコンセンサスに基づき推奨の強さを決定しなければならないものが多かった.本診療ガイドラインは,20のclinical questionおよび8のbackground knowledgeで構成し,現時点での指針とした.
著者
和田 浩志 村上 孝夫 田中 信壽 中村 昌司 斎木 保久 陳 秋明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.989-994, 1986-11-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
5 8

From the fronds of Pseudocyclosorus subochthodes CHING and P. esquirolii CHING, a new flavanone glycoside (2S)-eriodictyol 7-O-methylether 3'-O-β-D-glucopyranoside (I) and maltol 3-O-β-D-glucopyranoside (V) were isolated. Besides them, from the former a new glycoside 5-hydroxymaltol 5-O-α-L-rhamnopyranoside (II) and (2E, 6E)-(10S)-2, 6, 10-trimethyl-2, 6-11-dodecatriene-1, 10-diol (12-hydroxynerolidol) (III) were isolated and from the latter astragalin and shikimic acid were isolated. Their structures were elucidated by chemical and spectroscopic methods.
著者
深澤 圭太 石濱 史子 小熊 宏之 武田 知己 田中 信行 竹中 明夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.171-186, 2009-07-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
51
被引用文献数
10

野外の生物の分布パターンは生育に適した環境の分布や限られた移動分散能力などの影響をうけるため、空間的に集中した分布を持つことが多い。データ解析においてはこのような近隣地点間の類似性「空間自己相関」を既知の環境要因だけでは説明できないことが多く、近い地点同士ほど残差が類似する傾向がしばしば発生する。この近隣同士での残差の非独立性を考慮しないと、第一種の過誤や変数の効果の大きさを誤って推定する原因になることが知られているが、これまでの空間自己相関への対処法は不十分なものが多く見られた。近年、ベイズ推定に基づく空間統計学的手法とコンピュータの能力の向上によって、より現実的な仮定に基づいて空間自己相関を扱うモデルが比較的簡単に利用できるようになっている。中でも、条件付き自己回帰モデルの一種であるIntrinsic CARモデルはフリーソフトWinBUGSで計算可能であり、生物の空間分布データの解析に適した特性を備えている。Intrinsic CARモデルは「空間的ランダム効果」を導入することで隣接した地点間の空間的な非独立性を表現することが可能であると共に、推定された空間的ランダム効果のパターンからは対象種の分布パターンに影響を与える未知の要因について推察することができる。空間ランダム効果は隣接した地点間で類似するよう、事前分布によって定義され、類似の度合いは超パラメータによって制御されている。本稿では空間自己相関が生じるメカニズムとその問題点を明らかにした上で、Intrinsic CARモデルがどのように空間自己相関を表現しているのかを解説する。さらに、実例として小笠原諸島における外来木本種アカギと渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリの分布データへの適用例を紹介し、空間構造を考慮しない従来のモデルとの比較からIntrinsic CARモデルの活用の可能性について議論する。
著者
眞田 友明 田中 信三 佐藤 公則 平野 実
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.Supplement62, pp.27-32, 1993-06-15 (Released:2012-11-27)
参考文献数
10

One hundred ninety eight patients with Reinke's edema who visited our clinic between 1981 and 1990 were retrospectively studied. One hundred twenty four were males and 74were females. Ninety percent of the patients were between 30 and 69 years old. Brinkman's index was 400 or more in 78% of patients. This suggests that smoking was the most important etiological factor. Surgery was performed for 73 cases and the hoarseness improved in 63 cases. Thirty one patients stopped smoking for more than a month without surgery, and 16 cases showed vocal improvement. Surgery was effective regardless of the size of the lesion, while prohibition of smoking was effective only for slight edema. Voice therapy without surgery or prohibition of smoking had no effect on hoarseness.
著者
赤木 盛久 田中 信治 吉原 正治 山中 秀彦 田利 晶 春間 賢 隅井 浩治 岸本 眞也 梶山 梧朗 竹末 芳生 横山 隆
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.787-792, 1993 (Released:2009-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

比較的高齢で発症した親子の潰瘍性大腸炎を経験したので文献的考察を加え報告する.息子は39歳で発症,全大腸炎型の重症で薬物療法が無効のため全結腸切除を施行した.父は69歳で発症,左側結腸炎型の中等症で薬物療法により軽快した.HLA抗原の検索では本邦の潰瘍性大腸炎患者と相関の認められるhaplotype A24,B52,DR2,DQ6(1)をともに有しており,本症の発症に免疫遺伝的因子が関与していることが示唆された.またこれまでの家族内発症の平均年齢は30歳前後とされていることより,本例は稀な症例と考えられた.
著者
高沢 謙二 黒須 富士夫 斎木 徳祐 安藤 寿章 奥秋 勝彦 Ranjeet S BARAL 田中 信大 伊吹山 千晴
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11-12, pp.313-319, 1999-10-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

Second derivative of photoplethysmogram (SDPTG) or acceleration plethysmogram (APG) is the second derivative wave of the photoplethysmogram. SDPTG has been developed to allow more accurate recognition of the inflection points on the original plethysmographic wave, ie, anacrotic or dicrotic notches. It has been recognized as the independent examination tool for vascular properties.SDPTG includes 4 systolic waves and 1 diastolic wave, namely a-wave (early systolic positive wave), b-wave (early systolic negative wave), c-wave (late systolic reincreasing wave), d-wave (late systolic redecreasing wave) and e-wave (early diastolic positive wave).The ratio of the height of the each wave to that of the a-wave (b/a, c/a, d/a and e/a) are usually used for wave analyses.We previously reported characteristic age related wave changes of SDPTG in 600 subjects (each 50 men and 50 women in each decade from the 3rd to the 8th) in our health assessment center (Hypertension, 1998; 32: 365-370.).SDPTG-AI increased with augmentation index of original photoplethysmogram which is known to increase with increasing age, and is defined as the ratio of the amplitude of the late systolic component to that of the early systolic component of the original plethysmogram.The b/a increased with age and c/a, d/a and e/a decreased with age. Thus b-c-d-e/a was taken as the aging index of SDPTG (SDPTG aging index: SDPTGAI) which increased with age. SDPTG (Y) increased with age (X) as Y=0.023X-1.515, r=0.80, p<0.001).Similar distribution of vascular ages were seen in different districts group, including women in Toba city in Mie prefecture, subjects in shinjuku in Tokyo and patients in Broussias Hospital in Paris.SDPTGAI increased with vascular stiffness represented by inceased b/a and increasing reflection wave represented by decreasing d/a. Vascular age estimated by SDPTG=43.5SDPTGAI+65.9.SDPTGAI and vascular age were significantly higher in patients with a history of hypertension, diabetes mellitus, and hyperlipidemia than in subjects without any disease (p<0.01).The possibility of arteriosclerotic disease can be considered when vascular age is higher than actual age. Though cut-off value of the difference of vascular and actual ages are under examination, the tentative cut-off value is a difference of 15-20 years, which will provide us useful information for screening of arteriosclerotic diseases.A new type of apparatus (Fukuda FCP series) provides full automated detection of each indices and prints out within 30 seconds, which will be widely used for noninvasive evaluation of arteriosclerosis through vascular age.
著者
田中 信男 橘 勇治 荒木 幹夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.7, pp.993-998, 1986-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
3

逆相クロマトグラフィー用固定相として2-(1-ピレニル)エチル基をシリカゲルに化学結合したPYE固定相と, 通常のオクタデシル固定相(C18)とを用いて,ニ重結命を含む試料の位置異性体と幾何異性体についての分離を検討した。C18固定栢の場合には疎水性相互作用による保持が主となり, 内部二重結合とくにE-形二重結合を含む不飽和化合物が大きな保持を示した。一方PYE固定相においては, 試料のπ電子と固定相のピレン環との相互作用があり, Z-形二重結合および末端二重結合を含む試料について大きな寄与が認められた。このピレン環と試料の二重結合との相互作用の大きさの傾向は, 二重結合炭素上の原子団の立体効果で説明可能である。この相互作用によってPYE固定相においてC18固定相とはまったく異なる分離パターンが得られ, この効果はメタノール含量の大きな移動相でさらに大きな寄与を示した。PYE固定相においては不飽和カルボン酸の二重結合が極性基から遠く位置する場合に大きな保持が得られ, C18固定相では分離されないリノレン酸とγ-リノレン酸も容易に分離された。
著者
本仲 純子 池田 早苗 田中 信行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.10, pp.1525-1531, 1980
被引用文献数
2

L-アスコルビン酸(ビタミンC),p-(メチルアミノ)フェノール硫酸盧(商品名メトール), ならびにヒドロキノソにヨウ素を反応させ,生じたヨウ化物イオンをヨウ化物イオン選択膜電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて銀電位差滴定することにより,間接的に,これら3種類の有機化合物を微量定量する方法を確立した。まず,基礎的な条件として,試料溶液の安定性,ヨウ素-メタノール溶液添加量の影響,pHめ影響,滴定時の試料溶液温度の影響,有機溶媒の影響,ならびに共存物の影響を検討しメた。また,適当な条件を用いて,定量下限を検討したところ,0.2~44mgのL-アスコルピン酸を1.6%以内の相対誤差と相対標準偏差で, 0.25-35mg のp-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩を1.7%以内の誤差と相対標準偏差で, 0.1-23mgのヒドロキノンを0.9%以内の相対誤差と相対標準偏差で定量できることが明らかになった。<BR>最後に,市販薬剤である錠剤ならびに顆粒中のレアスコルビン酸と,4種類の市販ヒドロキノンの定量を行ない,本法と日本薬局方あるいはJISの方法による分析値の比較を行なった。