著者
柳井 啓司 田中 哲朗 武市 正人
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.13(1995-ARC-116), pp.55-60, 1996-01-26

関数型言語向きアーキテクチャを持つプロセッサを,1万ゲート相当のFPGAを用いて実現した.本プロセッサは通常命令を実行するノーマルモードと関数型言語実行のためのリダクションモードの2種類の実行モードを持つ.リダクションモードでの実行を使用頻度の高い5つコンビネータにとどめ,他のコンビネータをノーマルモードで実行するという方針で設計をした結果,少量のハードウェアの追加で製作でき,ノーマルモードのみの実行と比較して5倍程度の速度の向上が確認された.
著者
田中 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.51-51, 2014-07-14

本発表ではプログラムを逆方向にも実行可能なプログラミング言語Conservationを提案し,例としてX.509証明書のエンコーダとデコーダを記述する.また応用として,エンコーダを修正して間違った証明書を生成し,既存の暗号ライブラリに対してファジングを行う.通信プロトコルやデータフォーマットなど,データをプロセスの外部で表現するためにはデータをバイト列にエンコードし,また,逆にバイト列をデータにデコードすることが欠かせない.エンコードとデコードは対になる処理であるが,通常は別々に開発するため,正しく対応がとれた実装になるとは限らない.本発表ではプログラムを逆方向にも実行可能なプログラミング言語によりエンコードとデコードをひとつのプログラムとして記述可能とする.それにより常に正しく対応のとれたエンコーダとデコーダが開発できる.また,開発における利点だけでなく,ファジングにも利用できることを示す.This presentation proposes a reversible programming language: Conservation. We implemented encoder and decoder for X.509 certificates as an example program. Also, we modify the encoder to generate wrong certificates and fuzz existing cryptographic library. Implementation for communication protocols and data formats needs encoder (converter from a data structure to a sequence of bytes) and decoder (converter from a sequence of bytes to a data structure). Usually they are implemented individually and not guaranteed to be inverse functions of each other. This presentation explains the language can be used to implement a pair of encoder and decoder with single program. The program can run forward to work as an encoder and run backward as a decoder. The behaviors are guaranteed to be inverse functions. This means correct program can be implemented with less effort. The program can also be used for fuzzing by modifying the encoder.
著者
滝瀬 竜司 田中 哲朗
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2544-2551, 2012-11-15

現在の将棋プログラムの多くは入玉が絡む局面の扱いを不得意としているが,トッププロに勝つためには,入玉が絡む局面を正しく扱い「自玉が入玉できそうなときは入玉を目指す」,「敵玉の入玉を正しく阻止する」将棋プログラムの作成が不可欠だと考えられる.本稿ではオープンソースの将棋プログラムBonanzaの評価関数を変更することにより入玉指向の将棋プログラムを作成する試みを行った.その結果,元のBonanzaの評価関数に「入玉ステップ数」という特徴を加えて学習した評価関数を用いることにより,勝率を落とさずに入玉率を大幅に上げることができた.Most of recent shogi programs are thought not to treat entering-king positions correctly. The goal of this paper is to make a shogi program that treats entering-king positions correctly. We have conducted a couple of experiments to create an entering-king oriented shogi program by modifying the evaluation function of an open source shogi program "Bonanza". We made an evaluation function which has a new feature "entering-king step" besides original features, and adjusted the weight parameter of this feature based on comparison of moves that appeared in a database of game records. As a result, we succeeded to raise the entering-king rate without decreasing the original winning rate.
著者
川田 順造 SOW Moussa DEMBELE Mama SANOGO Klena KASSIBO Breh 中村 雄祐 楠本 彩乃 足立 和隆 坂井 信三 芦沢 玖美 応地 利明 MOUSSA Sow MAMADI Dembele KLENA Sanogo BREHIMA Kassibo SKLENA SANOG ISSAKA BAGAY SAMBA DIALLO BREHIMA KASS 田中 哲也
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

平成5年度は、8年間続けたこの国際学術研究の最終年度にあたり、これまでの研究の方法、組織、内容、成果等について、全般的な総括・反省を行なうとともに、第4巻目の報告書を、これまでと同様、フランス語で作成することに充てられた。報告書をフランス語で作成するのは、第一に研究の成果を、研究対象国であるマリをはじめ西アフリカに多いフランス語圏の人々に還元するためである。第二に、フランス語という、アフリカ研究において長い歴史と蓄積のある国の言語であり、同時に広い国際的通用力を、とくにアフリカ研究の分野でもつ言語で発表することにより、国際的な場での研究者の批判・教示を得、また国際学界への貢献を意図するからである。幸い、この2つの目的はこれまでの3巻の反応をみても、十分に達せられたと思われる。研究分担者であるマリ人研究者も、彼らの公用語であるフランス語で研究成果を刊行し、それがマリをはじめアフリカのフランス語圏の人々、および世界のフランス語を理解する研究者にひろく読まれることに満足し、この面での日本の研究協力に感謝している。他方、フランスをはじめとする世界の研究者からの、この研究報告に対する反応は大きく、巻を重ねるにつれて、送付希望の申込みが、諸国の研究者や研究機関から寄せられている。国際的アフリカ研究誌として伝統のあるフランスの『アフリカニスト雑誌』に第1巻の書評が載ったのをはじめ、学会、論文などでの言及や引用は枚挙にいとまがない。研究の方法、組織については、研究条件等の著しく異なる日本とマリでの共同研究という困難にもかかわらず、マリ側の研究分担者が共同研究の意義をよく理解し、日本人研究者との研究上の協力、便宜供与、成果の共同討議(現地で)、報告書執筆において、誠意をもって協力してくれたことは幸いであった。ただ、マリ国の研究所のコンピューター、ワープロ等の設備の不十分さや故障、郵便事故等に加えて、1991年春の政変に伴なう暴動で研究所の図書や資料、備品が盗難や破壊の被害を受け、この報告書のために準備しておいた貴重な調査資料(録音テープや写真、フィールドノート等)もかなりのものが失なわれて、折角の調査の成果が報告書に十分生かせなかったものもあるのは残念である。それにもかかわらず、マリの研究分担者は、学問的良心に忠実に、内容の充実した報告書を寄せてくれた。1991年の政変の被害で、その年秋締切りの第3巻に報告書を寄せることができなかった、クレナ・サノゴ、ママディ・ダンベレの2人の考古学者は、その欠落を償うべきであるという義務感から、共同の力作レポート1篇のほかに、各自の単独執筆の1篇をそれぞれ寄稿し、報告書全体の広さと厚みを増してくれた。その他の研究者の、調査成果のまとめについては、計画通りないしは、当初の計画をはるかに上まわるもの(例えば、応地利明氏の、熱帯乾燥地の雑穀農業についての、広汎かつ独創的なレポートなど)である。昨年度の現地調査の結果、予定されていた報告書のほか、川田は研究代表者として、8年間の共同研究全体を展望する論考として、「サヘルとスワヒリ」と題する、東西アフリカのアフリカ=アラブ文化の大規模な接触地帯の比較を行なう報告をまとめた。これは川田が年来アフリカ学会等の学会でも発表してきたものの、今回の調査成果をふまえた総括であるが、当研究が対象とする地域である「サヘル」(アラビア語の「緑」「岸」)と東アフリカの「スワヒリ」(「サヘル」の複数形)との対比は、国際学会の視野でもはじめての試みである。また、研究分担者芦沢等によって実施された身体技法と身体特徴についての計測に基づく実証的な研究は、アフリカでの現地調査における文化人類学と自然人類学の共同調査の試みとして、第3巻につづくものであるが、文化を自然の関係を探求する新しい試みとして、予備的な発表を行なった学会(1993年10月日本人類学会・日本民族学会連合大学での楠本等の報告)でも注目されている。その他、坂井、中村、カッシ-ボ、ソ-等の研究分担者も、それぞれの分担課題についての精緻な現地調査に基づく報告をまとめ、独創的な貢献を行なっている。
著者
田中 哲朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.770-775, 2002-07-15

個人的には,ある程度以上のレベルに達した参加者ならば,CよりもC++やJavaの方がプログラミングコンテストでは有利ではないかと思っている.そこで,今回は過去3回で使われたCではなくC++ とSTLを利用して,なるべく手を抜いてプログラムを記述することを試みることにする.使用するSTLの要素に関しては必要に応じて簡単な説明を加えるので,STLの知識がなくても概略は理解できるだろう.
著者
三村 寛一 秋武 寛 谷口 恵理 織田 修輔 宮本 利夫 梶 綾子 田中 哲也
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.253-262, 2012-09

本研究は,K市における一般人,指導者,中学生を対象に,熱中症に対する知識・理解の実態を把握することと今後の熱中症対策の方向性について検討することを目的とし,アンケート調査を実施した。その結果,指導者は一般人と中学生に比べて熱中症に対する知識が豊富であった。また,昨年に引き続き8割以上の指導者が生徒に熱中症予防の指導を行っているにも関わらず,生徒に上手く知識が伝わっていないことが明らかになった。以上の結果より,今後の熱中症予防の対策の方向性として一般人,中学生に対する啓発活動に加えて,熱中症予防に対する具体的な指導の必要性が示唆された。The purpose of this study was to investigate the cause of heat stroke and learned to take precautions against heat stroke for general public, instructors and students in K city. As the report showed, instructors had got adequate knowledge over heat stroke compared with general public and students. However, it was obvious that although more than 80 percent of instructors made preventive heat stroke lessons for students during the past year, the most of them got a poor awareness of the knowledge of heat stroke. In conclusion, it reflected that it was necessary to make general public and students understand concrete heatstroke prevention, and formally added it to the education activities , so as to establish the directivity of the heatstroke prevention measures in the future.
著者
滝瀬 竜司 田中 哲朗
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.159-162, 2012-11-09

現在の将棋プログラムの多くは入玉が絡む局面の扱いを苦手としているが,トッププロに勝つためには,入玉が絡む局面を正しく扱い「自玉が入玉したら宣言勝ちを目指す」,「敵玉の入玉を正しく阻止する」将棋プログラムの作成が不可欠だと考えられる.本稿ではオープンソースの将棋プログラム bonanza 1) で入玉した局面から学習することにより入玉後評価関数を作成する試みをおこなった.その結果,入玉後評価関数を用いて元のbonanza と対戦させたところ,勝率を上げることができた.
著者
井上 寛司 山岸 常人 小林 准士 平 雅行 久留島 典子 関根 俊一 淺湫 毅 松浦 清 大橋 泰夫 小椋 純一 和田 嘉宥 的野 克之 田中 哲雄 松本 岩雄 鳥谷 芳雄 花谷 浩 山内 靖喜 野坂 俊之 石原 聡
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

天台宗の古刹である浮浪山鰐淵寺は、中世出雲国一宮出雲大社の本寺として創建され、極めて重要な役割を果たした。本研究は、鰐淵寺に対する初めての本格的な総合学術調査であり、鰐淵寺の基本骨格や特徴、あるいは歴史的性格などについて、多面的な考察を加え、その全容解明を進めた。
著者
一杉 裕志 田中 哲 渡部 卓雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.292-299, 2003-05-23

複数のクラスにまたがるコードを分離して記述できる言語として,アスペクト指向言語がある.独立して開発されたアスペクトであっても,個々のアスペクトが何らかのルールに従って設計されていれば,複数同時に組合わせて動作させることが可能であるとわれわれは考えている.本論文ではそのようなルールを見いだし検証するための第一歩として,安全に結合可能なmixinを提供するためのルールを検証する方法について述べる.ルールの記述および検証には, Design by Contractやbehavioral subtypingの考え方を用いる.
著者
田中哲朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究会資料
巻号頁・発行日
vol.97, pp.127-132, 1997
被引用文献数
1

ここ数年の間に, メモリCPU間の広いバンド幅を利用して, 画像, 音声データを別プロセッサでなく, CPU内で処理するため, 専用の命令を持つプロセッサが現れてきた. これらのマルチメディア命令セットは, ごく小規模なSIMD命令として実現されている. そのため, 画像, 音声処理だけでなく, 複数要素に対し同一の操作を繰り返す文字列処理, 一部の記号処理操作の高速化も期待できる. 本研究ではインテル386アーキテクチャに加わったマルチメディア命令セットであるMMX命令を用いて文字列処理, 記号処理のプログラムを高速化するための技法を提案し, その評価をおこなった. その結果, チューニングが必要になるものの, 一部の文字列処理関数で、2倍以上の高速化が実現できることを確かめた. ただし, 記号処理に関しては良い結果は得られなかった.
著者
田中 哲 渡部 卓雄
出版者
情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.73-74, 1995-09-20
被引用文献数
1

自己反映計算とは、通常の計算対象だけでなく計算を行なっている自己をも対象として計算を行なう、という概念である。自己反映的プログラミング言語とは、自己(動作中のプログラムや処理系の状態など)をその言語自身の枠組の中で扱うことができるようなプログラミング言語のことである。自己反映的なシステムでは、自己の構成、状態を動的に変更することが可能である。従って、自己反映的プログラミング言語は問題領域に合わせて自分自身をカスタマイズでき、柔軟なソフトウェアの構築に有用であることが認識されている。また、プログラム自体を扱う部分(メタレベル)と、問題を扱う部分(ベースレベル)に分けるという意味でモジュール化の促進を可能とする。本稿では、手続き的自己反映計算(ベースレベルを何らかのプログラムとすると、メタレベルをそのプログラムを実行するインタプリタとする枠組)において、モジュール化という側面を重視し、メタレベルの再利用性を考慮した自己反映的プログラミング言語のアーキテクチャを提案する。