著者
田中 マキ子 磯貝 善蔵 根本 哲也
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

褥瘡予防等身体への弊害を考慮し行われる2時間おきの体位変換に代わる方法として、身体の一部に対する介入としてスモールチェンジ法を提唱し、その効果について、体圧・ずれ量・費用対効果の面から検討した。結果、従来からの体位変換方法と比べ同等以上の効果が得られた他、80%以上の看護師・介護士に体位変換に伴う負担の軽減が示された。よってスモールチェンジ法は、従来の体位変換方法に代わる優れた有効な方法と言える。
著者
柴 眞理子 田中 朱美
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-47, 1993-04-30
被引用文献数
1

本研究は、創造的自己表現を主目的にして、精神病院入院中の患者を対象に、1991年から2週間に一度の割合で実践してきたダンスセラピーについて、その展開と経過について検討することであった。セラピーとしてのダンスの機能を、心身の開放、個人を創造的に表現する、他人とのコミュニケーションをはかる、と捉え、これを軸として1回のセッション(60分)を5つのパートで構成した。(フォークダンス、身体のいろいろな動かし方の研究、表現の課題、個人発表、感想)毎回のセッションをVTRに記録し、指導者による患者の観察・ダンスの評価、患者の感想、及び主治医の所見・VTRをみての感想、医師(共著者)とのインタビューを資料とした。今回は33歳と、42歳の女性患者の場合を事例として取りあげた。その結果、二人は共に、音楽に敏感であり、自由に自分を表現することに喜びを感じ、他の人ダンスをみて、それぞれをすばらしいと感じ、更にそれを自分の中に生かしたいと感じているが、これらは、患者のダンス体験が学生のダンス体験と同じであり、ダンスは、自分の内との、また他の人々とのコミュニケーションであり、同時に自己実現の欲求と充足をもたらすものであることを意味する。また、二人の主治医が、患者のダンスをみることは、医師が今まで知らなかった意外な面に接する機会となるし、ダンスは患者の感情面や行動面に一時的な効果があると述べている。従って、筆者らが展開したダンスの活動は、患者が創造的自己表現の喜びを体験することにより、精神科の治療としての可能性が認められ、その意味から、今回のダンスの活動はセラピーと呼びうると言うことが明らかになった。以上のように、本研究の結果、創造的自己表現に立脚し、また気の場(心の交流)大切にする筆者らのダンスセッションは、ダンスセラピーとしての可能性が認められたので、今後は、「場」の問題にアプローチすると共にダンスセラピーと疾患の経過、治療的意義などについて検討する予定である。
著者
田中 信一郎
出版者
明治大学大学院
雑誌
政治学研究論集 (ISSN:13409158)
巻号頁・発行日
no.28, pp.39-58, 2008
著者
田中 浩
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.228-234, 1999-09-20 (Released:2009-08-14)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
田中 宏明
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.77-100, 2011-03-04

国際政治経済学にはアメリカン学派とブリティッシュ学派の間に「相互無視」という状態がある。ブリティッシュ学派の創始者の一人としてスーザン・ストレンジにその責任の多くが負わせられている。しかしながら、ストレンジは、国際政治経済学におけるブリティッシュ学派の確立ではなく、むしろ国際政治経済学という学問分野の確立をめざしてきたのである。ストレンジは、安全保障、生産、金融、そして知識からなる構造的権力に基づくリアリズムを主張し、そして既存のリアリズムには批判的であった。この立場からすると、古典的リアリズムの多極システム、ネオリアリズムの双極システム、そしてリアリズムの覇権国モデルが批判されることになる。そしてストレンジはグローバル政治経済のリアリティを直視するという意味でもリアリストであった。それゆえ、ストレンジは変貌するグローバル政治経済についての認識を欠くアメリカの政策とアメリカの国際政治経済学にはきわめて批判的であった。なぜならば、ストレンジは、アメリカの衰退どころかアメリカを非領土的帝国であると捉え、そしてグローバル政治経済において国家から市場へと権威がシフトし、グローバル・ビジネス文明が出現していると捉えたからである。さらに、ストレンジは、経済学の方法論を援用するアメリカン学派の国際政治経済学にも批判的であった。こうした意味でストレンジを批判的リアリストと呼べるかもしれない。最後に、アメリカン学派からの批判とそれに対するストレンジの反論を検討するとともに、ストレンジの国際政治経済学を批判的に考察する。
著者
八十島 誠 山下 尚之 中田 典秀 小森 行也 鈴木 穣 田中 宏明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.707-714, 2004-11-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
45
被引用文献数
4 5

In recent years, antibiotics resident in sewage and in the water environment have become an emerging public concern in many developed countries. However, limited knowledge is available on the occurrence of antibiotics in sewage and discharge from wastewater treatment plants (WWTPs) in Japan. Moreover, little is known on the significance of their occurrence in the water environment from the viewpoints of biological adverse effects. The objectives of this research were, therefore, to determine the occurrence of selected antibiotics, namely levofloxacin (LVFX) and clarithromycin (CAM). That are commonly used in Japan, in discharge from WWTPs and then to evaluate their possible effects on algal growth. Therefore, we developed a novel analysis method for LVFX and CAM in wastewater by LC/MS/MS whose detection limits and recovery ratios are 2-3ng·l-1 and 53-87%, respectively. We also conducted algal growth inhibition tests using Pseudokirchneriella subcapitata, and results showed that the EC50s of LVFX and CAM are 1200μg·l-1 and 11μg·l-1, LOECs are 630μg·l-1 and 6.3μg·l-1, and NOECs are 310μg·l-1 and 3.1μg·l-1, respectively, LVFX and CAM concentrations in secondary effluent of five WWTPs that use the activated sludge process ranged from 152-323ng·l-1 and 303-567ng·l-1, respectively, which indicates that the PEC/PNEC ratio of LVFX is less than one but that of CAM exceeds two at the maximum secondary effluents if a safety factor of ten is considered. This suggests a possibility of algal growth inhibition due to CAM in WWTP discharge in the case of insufficient dilution of the receiving waters.
著者
田中 勝博 土田 恭史 今野 裕之 丹 明彦
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.49-61, 2008

本研究は,卵画と洞窟画における描画内容および対象者の自己印象評定と自己イメージとの連関について検討した。その結果,自己イメージの違いによって,卵画や洞窟画に投影される描画アイテムが異なることが示唆された。自己イメージ高群は明るく,構成的な描画を行うのに対して,低群は暗く非構成的な描画を行うことが多い傾向が認められた。描画に対する印象評価は,描出された描画の全体的な印象や構成度などによって影響を受けるが,自己イメージも描画の印象評定に影響をおよぼすことがうかがわれた。
著者
正木 光 田中 一
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.234-239, 1963 (Released:2011-07-19)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

For the measurement of the extinction coefficient of light through the atmosphere, the layout of instruments on a large scale is usually needed. Methods to estimate the extinction coefficient σ or σλ by measurements with simple portable instruments and computations are studied.In the first method, targets shown in Fig. 3 are used and σ is estimated from the reduction of contrast and the known values of contrast threshold.In the second method a is obtained from the visual range of large dark objects.In the third method σ is estimated from the change of apparent luminance of natural objects with distance. The spectral extinction coefficient σλ is computed by equations (11) from the change of apparent colors, where σλ is assumed to be σo (λo/λ) n. Thereby electronic computation is applied and the solution is obtained graphically.Though high accuracy is not expected from these methods, a large number of data are easily obtained because of experimental simplicity and they can be applied to the discussion of visibility for the traffic safety.
著者
井上 梅夫 阿部 博文 田中 俊彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.7, pp.271-272, 2001-03-09

28kW級のマイクロガスタービン発電機を導入し、コージェネレーションパッケージの開発を進めてきた。中小工場では蒸気回収が有用であるが、マイクロガスタービンの排気温度は300C程度と低く蒸気発生には不向きである。このため排気再燃バーナを装備した小形貫流ボイラを開発した。ほぼ所定の蒸発量に見合う燃焼量とNOx値が得た。
著者
清水 康敬 田中 正文 渡辺 隆彌
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.921-928, 1987
被引用文献数
4

水晶基板を伝搬する漏洩弾性表面波は温度特性が格段に優れているので注目されている。そこで、本論文ではオイラー角を変化させて、任意のカット、伝搬方向に対する漏洩弾性表面波の位相速度、電気機械結合係数、遅延時間温度係数、伝搬損失、及びパワーフロー角のすべてを計算した。そしてまず代表的なカットに対する諸特性を述べ、その中から伝搬速度が約5、000m/sという非常に速い基板の特性を理論的、実験的に示した。これは高周波用狭帯域形デバイスに極めて有利である。次に全カットに対する漏洩弾性表面波の諸特性を等値線マップの形で表現した。更に漏洩表面波を用いる場合の新基板選定に関する考察を述べた。
著者
大野 聖子 佐藤 敬子 片岡 恵子 田中 結美 小原 優子 野田 あゆみ 小島 広美 細見 博子
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.264-268, 2000-08-23
参考文献数
8
被引用文献数
2

1995年と96年の公務災害に申請された針刺し・切創事故をEPINet日本語版を用いて解析を行った.それに基づき携帯型針捨て容器の導入, 病棟で使用する滅菌処置セットに滅菌済みの膿盆を組み込むこと, ゴム栓よりの真空採血用にルアーアダプターを採用などの改善を行った.原因器材としてディスポの注射器針, 翼状針, 留置針, 真空採血針の全体に占める割合は2年平均14件全体の65%から6件30%に減少した.携帯型針捨て容器はコスト的にも100床あたり月5000円程度で一般病院でもまず試みうる対策と考えた.
著者
楠 正和 百武 大志 田中 芳征
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1765, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】近年リハビリテーションにおけるレセプト減額査定が増加している。平成27年度,福岡県理学療法士会の減点査定調査結果によると,年齢により一律に減額査定されている傾向があり,特に80歳以上が6単位を超える単位数を「過剰」という理由で減額査定されている。また平成28年より,回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)では,アウトカム評価を実績指数で表し27未満の場合に,6単位を超える介入が入院料に包括される事となった。そこで本研究は,80歳以上の患者に対する6単位を超える介入が,80歳未満の患者と同等の効果があるのか,アウトカム評価である実績指数を用いて比較検討をおこなった。【方法】対象は当院回復期病棟を2013年4月1日~2014年3月31日までに退棟した351名のうち,算定区分が脳血管疾患のもの113名と運動器疾患のもの160名とした。除外基準は在棟中の死亡患者,回復期病棟対象外患者とした。後方視的に診療録から,年齢,1日あたりの単位数,FIM(入棟・退棟・利得),在棟日数を収集した。また,実績指数と,その計算式の分子に当たる運動項目FIM利得(以下m-FIM利得),分母にあたる算定上限日数比(在棟日数を回復期病棟入院料の算定上限日数で除した値)を患者あたりにて算出した。疾患別の対象を80歳以上と80歳未満の2群にわけ,各項目の比較検討をおこなった。統計解析にはSPSS ver16を使用し,Mann-Whitney U検定とχ2検定にて検討した。有意水準は5%未満とした。【結果】脳血管疾患:80歳以上/80歳未満(対象:50/63名,年齢:85.6/70.9歳(p<0.05),1日あたりの単位数:7.10/7.25単位,入棟FIM:58.1/78.9点(p<0.05),退棟FIM:75.5/104.4点(p<0.05),FIM利得:18.7/25.1点,在棟日数:43.2/49.4日,m-FIM利得:14.4/20.9点(p<0.05),算定上限日数比:0.27/0.31,実績指数:65.4/94.1)運動器疾患:80歳以上/80歳未満(対象:104/56名,年齢:87.4/65.6歳(p<0.05),1日あたりの単位数:6.51/6.85単位(p<0.05),入棟FIM:71.8/96.5点(p<0.05),退棟FIM:89.9/111.6点(p<0.05),FIM利得:18.1/15.2点,在棟日数:34.6/28.5日(p<0.05),m-FIM利得:16.6/13.4点,算定上限日数比:0.38/0.32(p<0.05),実績指数:56.6/54.4)【結論】脳血管疾患と運動器疾患は共に,実績指数に有意差はみられなかったことから,80歳以上の患者であっても,80歳未満の患者と同等の改善効果があることが示唆された。80歳以上の患者は実績指数が27を大きく超えており,平成28年の回復期病棟連絡協議会における全国平均データ(脳血管:FIM利得17.7,在棟日数88.2,運動器:FIM利得17.2,在棟日数56.7)においても,上回る成績であった。これらのことから,80歳以上の患者の6単位を超える介入は過剰ではなく,年齢で一律に減額査定されるべきではないと考える。
著者
海野 徳仁 長谷川 昭 小原 一成 松沢 暢 清水 洋 高木 章雄 田中 和夫 小菅 正裕
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.399-410, 1985-09-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 6

Hypocenter determination for aftershocks of the 1983 Japan Sea Earthquake (M7.7) is made by using the seismic networks of Tohoku University and of Hirosaki University. The obtained aftershock area is 160km long in north-south direction with a width of 40km, distributing itself along the eastern margin of the Japan Basin. Most of the aftershocks are located within the area bordered by the 2000m and 3000m isobaths, northern and southern ends being surrounded by the Sado Ridge and the Oshima Plateau, respectively. Precise hypocenter distribution deliniates an eastward dipping fault plane with a shallow dip angle. Almost all the aftershocks are located in the crust, which is consistent with the fact that the PMP phase is clearly observed from most of the aftershocks.A remarkable later phase is observed at many stations 4-7 sec after the P arrival. This later phase is interpreted as the reflected wave both at the sea surface and at the Moho discontinuity (pwPMP). Focal depth distribution estimated from arrival time differences between PMP and pwPMP phases also shows the eastward dipping fault plane with a shallow dip angle.Foreshock activity started 12 days before the occurrence of the main shock within a concentrated area in the vicinity of the main shock hypocenter. All the foreshocks are classified into two groups: one with high peak-frequency and the other with low peak-frequency, each having very similar wave forms. Hypocenters of low peak-frequency events are located at shallower depths than those of the main shock and high peak-frequency events.