著者
岡井 彰男 五十崎 俊介 山口 巧 田中 守 池川 嘉郎 末丸 克矢 荒木 博陽
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.27-30, 2004-01-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Triclofos sodium syrup (Tricloryl® syrup) is mainly used for pretreatment in EEG examinations and sedation before CT and MRI. The unpleasant taste of the syrup, however, occasionally causes compliance problems with children. As we had also experienced difficulties in obtaining sufficient supplies of this medicine for a few months, we prepared a chloral hydrate syrup in our hospital as a substitute for triclofos sodium syrup, aiming to reduce the unpleasant taste and smell of chloral hydrate in the process. Stability and sterility were also investigated. The results of a taste test in healthy volunteers showed that the taste and smell of a 4% chloral hydrate syrup were improved by using an apple flavor, aspartame and a simple syrup base. In our stability and sterility study under the storage condition of 4°C with shading over 6 months, the potency of the syrup was maintained (95 %) and there was no bacterial contamination. These results suggest that the 4% chloral hydrate syrup prepared in our hospital as a substitute for triclofos sodium syrup could improve the compliance of children.
著者
沖 侑大郎 田中 直次郎 沖田 啓子 渡邉 光子 岡本 隆嗣
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Da0991, 2012

【はじめに、目的】 延髄外側症候群(以下:Wallenberg症候群)とは、1895年にAdolf Wallenbergが発表し広く知られるようになった。球麻痺、小脳失調、交代性解離性感覚障害の所見を呈し、50%以上に嚥下障害を合併するといわれている。今回、Wallenberg症候群で嚥下障害を呈した症例に対し、理学療法学的観点から頸部可動性、舌骨上筋群の機能を中心に評価し、アプローチすることで改善が認められたので報告する。【方法】 本症例は、60歳代男性で、右椎骨動脈閉塞による右延髄外側の梗塞を発症し、左片麻痺、左失調症状、右側温痛覚障害、構音障害、嚥下障害を呈し発症51日目に当院に入院した。独歩でADLは自立しており、意識障害、高次脳機能障害は認めず、嚥下障害が主な問題点であり、藤島の摂食・嚥下能力のグレード7であった。神経学的所見として、Brunnstrom stageは左上下肢ともに6レベル。体幹機能は頸・体幹・骨盤帯運動機能検査で5レベルであり、座位および立位保持は安定。Berg's Balance Scaleで56/56でADL上バランス機能に問題は見られなかった。嚥下障害に対する問題点を頸部可動域低下、舌骨および喉頭挙上不全、舌骨上筋群筋力低下とし、Videofluorography(以下VF)上で軟口蓋および舌骨の挙上不全により十分な嚥下圧が得られないことによる喉頭蓋谷、梨状窩の残留を認めた。今回の評価方法として、藤島による摂食・嚥下能力のグレード(以下Gr.)、頸部伸展および回旋の関節可動域、相対的喉頭位置(以下T-position)、舌骨上筋群筋力評価スケール(以下GSグレード)、VF上で第3頸椎の内側縦長を基準とし、舌骨と喉頭それぞれの最大前方移動距離と最大挙上距離(前方/挙上)を用い、退院までの経過を評価した。問題点に対し、頸部可動域改善に向け、頸部・肩甲帯リラクゼーション後、舌骨上筋群へのマイオフェイシャルリリース、ダイレクトストレッチおよび舌骨モビライゼーションを行った。また、舌骨上筋群を強化して舌骨および喉頭運動を改善させ、食道入口部の開大を目的に、頭部挙上練習30回反復後、頭部挙上位1分間保持3回を1セットで構成されるシャキア法を、1日3セットを週5回で退院までの1ヶ月間継続的に行った。その際、通常のシャキア法では、腹筋群での代償が生じやすいと考え、頭部挙上練習は背臥位でセラピストが頸部を軽度屈曲位になるように後頭部を介助することで頭部の重さをサポートし、患者が顎を引くことに対し、セラピストが抵抗を加えた。頭部挙上保持は、セラピストが両肩関節を床面に向かい抵抗を加えながら行うことで腹筋群の代償の軽減を図りながら舌骨上筋群の筋力強化を図った。【倫理的配慮、説明と同意】 本症例には症例報告をさせて頂く主旨を紙面上にて説明し同意を得た。【結果】 上記の評価項目を用い、退院までの経過を評価した。評価結果(入院時評価→退院時評価)として、(食形態)Gr.7→9、(頸部伸展)50°→60°、(頸部回旋左右)50°→60°、(T-position)0.44→0.416、(GSグレード)1→3、VF上で舌骨・喉頭移動距離(前方/挙上)は、(舌骨)11.7/4.4cm→12.9/14.7cm、(喉頭)22.0/10.4cm→25.9/12.9cmの項目に改善が見られた。【考察】 本症例に対し頸部・舌骨上筋群を中心としたストレッチを行うことで、頸部伸展および回旋可動域、T-positionの改善が認められた。頸部の可動域制限は、舌骨や喉頭を過剰に固定し挙上運動の制限因子となる。頸部ストレッチを行うことで伸張刺激が加わり舌骨・喉頭の挙上運動が働きやすい状況になったと考える。更にGSグレードの改善からも分かるようにシャキア法により喉頭挙上筋である舌骨上筋群の筋力が改善している。つまり、筋の長さ-張力曲線の原理から考え、頸部の伸張性が改善したことにより喉頭挙上に関する筋力が動員されやすい状態となった。さらに舌骨上筋群の筋力が改善したことにより舌骨・喉頭挙上運動が増大した。このことは、VF所見から舌骨前方および挙上移動距離の改善していることから明らかである。以上より今回の症例に対して舌骨上筋群のストレッチ、シャキア法が、嚥下機能改善に対する有用なアプローチ法であること、加えて詳細な評価が有効であることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 今回理学療法の観点からの嚥下障害に対する間接的アプローチを行うことで、改善が見られた。吉田らによると嚥下障害改善群は、頸部伸展・回旋、舌骨上筋群筋力が有意に改善すると報告しており、本症例においても嚥下機能改善に伴い、頸部伸展・回旋、舌骨上筋群筋力、T-positionの改善が見られておりアプローチ方法は有用であったと考える。今回着目した頸部の可動性、舌骨上筋群の筋力を中心に正確な評価指標をもって病態を把握し、嚥下運動に対してのより効果的なアプローチが可能になると考える。
著者
北村 新三 浦 慶 田中 克己
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.92-93, 1989-03-15

観測データからシステムの内部状態を求める逆問題は第一種Fredholm積分方程式を解くことに帰着することが多い。しかし、第一種Fredholm積分方程式には解析解がないので、数値解法として差分近似の連立方程式を解くことで対処するかが普通である。1960年代に入り、Tikhonov、Phillips、Twomeyらによって、一種の近似解の解法が確立された。これらの解法では通常測定データに誤差が入ると解が振動するため、これを滑らかにすることを目的として、Lagrange未定常数を導入している。この常数の選び方あるいは最適値については、多くの研究がされているが、最もよい方法がないのが現状である。本研究ではニューラルネットワークを用いて第一種Fredholm積分方程式の新しい近似解法を提案する。本手法は積分方程式の性質を、実例を用いてニューラルネットワークに学習させ、ネットワークのニューロン間の結合係数に覚えさせ、そして、誤差を含んだ未学習の測定データ(ネットワークの入力)に対しても、安定な解(出力)を得るものである。
著者
堀江 航 田中 信行
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.293_3, 2018

<p> 本研究は、米国の障がいのあるスポーツ選手を対象にしたアンケート調査により、その健康感や幸福感などの傾向を得ることを目的にした。対象とした選手は、全米車椅子バスケットボール選手権大会(今年3月で70回)に参加した成人男子48チーム(競技レベル順にDivision Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(各16チーム))に所属する者であった。アンケートの配布数は412件であり、回答数は177件(回収率43.0%)であった。調査内容は、年齢、障害名、持ち点などに加え、車椅子バスケットボールの競技歴、その他のスポーツの競技歴、受障原因や受障年齢を基本情報とし、Well-Being Scale(WeBS)を用いた主観的な健康感とThe Satisfaction with Life Scale(SWLS)を用いた幸福感などであった。WeBSとSWLSは、それぞれ6件法と7件法であった。さらにチームに障がいのない者を加えることの賛否と共に自由筆記によりその意見を求めた。各項目の集計と分析結果の詳細については当日発表する。</p>
著者
影山 拓也 吉田 周平 曽根 宏隆 田中 学 渡辺 隆行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
熱工学コンファレンス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>The purpose of this study is to synthesize lithium transition-metal oxide nanoparticles by induction thermal plasmas. Six different systems of Li-Mn, Li-Cr, Li-Fe, Li-Co, Li-Ti, and Li-Ni were compared to understand the formation mechanism. The obtained results indicated that lithium metal oxide nanoparticles were successfully synthesized in Li-Mn, Li-Cr, Li-Fe, Li-Co, and Li-Ti systems, while those nanoparticles were rarely synthesized in Li-Ni system. This difference was discussed on the basis of thermodynamic consideration. The yield of prepared lithium metal oxides depends on the ratio of Gibbs free energy change of lithium transition-metal oxides to that of metal oxides.</p>
著者
鷲塚 昌隆 平賀 義裕 古市 浩康 泉 順吉 吉長 幸嗣 阿部 亨 田中 芳明 玉木 元
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.117-125, 1998-02-01 (Released:2007-01-30)
参考文献数
32
被引用文献数
4 6

今回我々は,エタノールによるマウスの行動障害に対し,酵素阻害薬を用いてエタノールおよびアセトアルデヒドの関与と,蛋白加水解物である肝臓水解物の作用について検討した.さらに,エタノールあるいはアセトアルデヒドによるマウスの致死毒性およびラットの肝毒性に対する肝臓水解物の作用について検討し,以下のような結果を見いだした.1:エタノール5ml/kgの経口投与によって歩行および摂食に対する障害が認められた.2:これらの障害に対して,肝臓水解物は経口投与により用量依存的な改善作用を示した.3:アルコール脱水素酵素阻害剤の前投与によって肝臓水解物の改善作用に明らかな減弱が認められたが,アルデヒド脱水素酵素阻害剤の前投与では肝臓水解物の改善作用に影響は認められなかった.4:エタノール10m1/kgを経口投与した時に生じる正向反射の消失および死亡に対し,肝臓水解物は改善作用を示さなかった.一方,アセトアルデヒド1.8ml/kgを経口投与した時に生じる正向反射の消失および死亡に対し,肝臓水解物は用量依存的な改善作用を示した.5:アセトアルデヒド1.2ml/kgを1時間間隔で2回経口投与した時に認められる血清中のGPT活性の上昇に対し,肝臓水解物は抑制作用を示した.以上の結果から,肝臓水解物はエタノールにより引き起こされる毒性症状に対して改善作用を有し,これらの改善作用は主にアセトアルデヒドの毒性軽減に起因することが示唆された.
著者
田中 克己 谷村 雅子
出版者
日本人類遺伝学会
雑誌
人類遺伝学雑誌 (ISSN:00215074)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.p251-259, 1977-12
著者
田中 翔太
雑誌
学習院大学ドイツ文学会研究論集 (ISSN:18817351)
巻号頁・発行日
no.16, pp.81-104, 2012-03-01

Ursprünglich begann die Erforschung des Deutschen der Türkischstämmigen in den 1970er Jahren. Damals wurde diese Sprache nicht nur mit dem Deutschen der Türkischstämmigen,sondern auch mit dem Deutschen der anderen Migranten zusammen als Gastarbeiterdeutsch bezeichnet. Bis jetzt wird der Begriff des Deutschen der Türkischstämmigen u.a. als Türkendeutsch,Kanak Sprak,Stadtteil-Sprache,Türkenslang,Kiezdeutsch(Kiez-Sprache)gekennzeichnet. Jedoch sind die Gegenstände,Inhalte oder Bereiche der jeweiligen Begriffe mehr oder weniger verschieden. Der Begriff Kanak Sprak,der durch Feridun Zaimoglu,einen türkischstämmigen Autor,im Buch "Kanak Sprak: 24 Mißtöne vom Rande der Gesellschaft" (1995)definiert wurde,ist heute bekannt. Zaimoglu benutzte mit Absicht das negative Wort Kanake und fokussierte damit auf türkischstämmige Jugendliche und deren Sprache. Sein Ziel war es,dass diese Jugendlichen wieder ein positives Selbstbild bekommen sollen. Jedoch machten sich Komiker über das Deutsch der Türkischstämmigen in TV-Medien lustig und stilisierten dabei diese Sprache; so entwickelte sich eine negative Stereotypisierung.\Der vorliegende Aufsatz fokussiert sich aus diesen vielen Begriffen,die das Deutsch der Türkischstämmigen bezeichnen,vor allem auf den Begriff Kiezdeutsch,der durch Heike Wiese in ""Ich mach dich Messer": Grammatische Produktivität in Kiez-Sprache("Kanak Sprak")" (2006)definiert wurde. Dieser Begriff erlaubte eine erweiterte und übertriebene Interpretation. Wiese verwendet das Wort Kiez,das umgangssprachlich "Rotlicht-,Amüsier- und Vergnügungsviertel" heißt,und definierte diese Sprache folgendermaßen: Kiezdeutsch ist "eine jugendsprachliche Varietät,die sich in urbanen Wohnvierteln mit hohem Migrantenanteil ausgebildet hat" (Wiese 2006: 247); diese Sprache habe auch Beziehungen zum Ethnolekt,dem Zweitspracherwerb und der Jugendsprache. Ein Satz wie Ich mach dich Messer hat laut Wiese "grammatische Produktivität"; dem Kiezdeutsch,das nun keine bestimmte Ethnizität mehr hat,wurde von Wiese die "Bereicherung der deutschen Sprache" oder der "Erfindungsreichtum und grammatikalische Finesse" zugeschrieben; darüber wurde auch in den Medien berichtet.\Um die Ausbreitung der Bewertung und der Interpretation dieses Begriffs genauer zu verstehen,versuche ich eine Analyse in drei Richtungen,und zwar aus Sicht der (1) Sprachwissenschaftler,der (2) Medien-Berichte und der (3) Medien-Empfänger. Es wurde klar,dass in der Sicht (1) durch Wiese und ihre Mitarbeiterinnen die Produktivität des Begriffs genannt und versucht wird,den Begriff zu verbreiten und in der deutschen Gesellschaft anerkennen zu lassen. In der Sicht (2) konnte man sehen,dass nur über einen Teil der Elemente dieses Begriffs,wie z.B. "Jugendsprache" oder "Gruppensprache",in den Medien berichtet und (in-)direkterweise eine positive Bewertung gegeben wird. In der Sicht (3) waren positive Interpretationen zu erkennen,wie z.B.,dass die Medien-Empfänger Kiezdeutsch als die Sprache ansehen,die eine schnelle und vereinfachte Kommunikation ermöglicht und die eher auch von Deutschen gesprochen wird. Dies ist zwar nur eine Tendenz,aber es ist klar zu sehen,dass positive Bewertungen von Wiese,wie z.B. "Produktivität",solche erweiterten lnterpretationen von Medien-Berichten und-Empfängern erlaubten.\Als Fazit lässt sich sagen,dass in allen drei Phasen Kiezdeutsch nicht mehr als Ethnolekt anerkannt wird. Dass Medien die Sprache der Türkischstämmigen stilisierten oder Begriffe erweitert interpretierten,verursachten Missverständnis und Verwirrung der Begriffe. In Bezug auf die Rolle der Sprachwissenschaftler wäre sicherlich eine andere Bewertung zu sehen gewesen,wenn Wiese als Sprachwissenschaftlerin dieses Phänomen ohne jegliche Einschätzung nur beschrieben hätte.
著者
田中 伸三 原 利男
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告
巻号頁・発行日
vol.1971, no.35, pp.84-87, 1971

茶の褐変に伴うクロロフィルの変化を調べるために,DIETRICHらの提案したクロロフィルのフェオフィチンへの変化の測定法を,茶に応用する場合の操作と計算式の検討を行なった。<BR>操作および計算式は,煎茶粉末0.3gに10%含水アセトン40mlを加え3~5時間抽出し,その上澄液の534mμおよび556mμにおける吸光度を求め,次式によってフェオフィチンへの変化率を算出.する。<BR>フェオフィチンへの変化率=R<SUB>X</SUB>-R<SUB>0</SUB>/R<SUB>100</SUB>-R<SUB>0</SUB>×100<BR>ただし<BR>R<SUB>0</SUB>:0%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>R<SUB>100</SUB>:100%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>R<SUB>X</SUB>:未知試料抽出液における吸光度の比<BR>(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>著者らが茶に応用した場合の計算式は次のとおりであった。<BR>フェオフィチンへの変化率=R<SUB>X</SUB>-0.96/1.29×100<BR>ただし,この計算式は分光光度計によって異なるから,それぞれの装置で確認する必要がある。<BR>この方法によって求めたフェオフィチンへの変化率と,TANらの方法に準じてカラムクロマトグラフィーで分別し,比色法で求めた変化率とが比較的よく一致することも認めた。
著者
田中 庸一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1161, 2016 (Released:2016-12-01)
参考文献数
4

6-メルカプトプリン(6-merca-ptopurine:6-MP)やアザチオプリンなどのチオプリンは,急性リンパ性白血病(acute lympho-blastic leukemia:ALL)や炎症性腸疾患の治療の中で主要な薬剤の1つとなっている.しかし,チオプリンへの治療感受性には個人差が大きく,患者によっては治療の中断や投与量の大幅な減量を必要とする場合がある.そのため,チオプリン感受性について患者要因の探索が行われてきており,欧米人ではチオプリン代謝酵素の1つであるチオプリンS-メチルトランスフェラーゼ(thiopurine S- methyl transferase:TPMT)の活性がその因子となっている.しかし,アジア人ではTPMT活性低下の頻度が低いため,他の遺伝要因の探索がゲノムワイド関連解析によって行われた.近年,NUDT15遺伝子多型がアジア人においてチオプリンによる骨髄抑制の重篤化に関連することが報告された.本稿では,NUDT15遺伝子多型によるチオプリン感受性変化と,そのメカニズムを示した論文について紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Relling M.V. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 93, 324-325 (2013).2) Yang S. K. et al., Nature Genet., 46, 1017-1020 (2014).3) Yang J. J. et al., J. Clin. Oncol., 33, 1235-1242 (2015).4) Moriyama T. et al., Nature Genet., 48, 367-373 (2016).
著者
西田 健次 田中 敏雄 新田 徹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.76, pp.161-166, 1997-08-20
参考文献数
4

人間の記憶は、次々と新しい事例を記憶し、それを失うことなく類似の事例をまとめて概念化していくことができる。そして、頻繁に利用される記憶は想起しやすくなるなどの優れた機能を持っている。また、人間の記憶には、嬉しかった事悲しかった事など、何らかの感情を伴った事例は記憶されやすいという特徴がある。本稿では、感情の記憶における働きに着目し、感情を記憶に対する制御信号と捉えた感情記憶システムを提案する。感情記憶システムでは、感情の活性化により記憶事例の獲得や記憶の概念化が実現でき、学習により頻繁にアクセスされる記憶は想起しやすくなるなど、人間の記憶機能をうまく再現できる。In this paper we propose a memory system which employs emotion as a control signal for memory. This Emotional Memory system can learn concepts without losing memory instances, and frequently accessed memories become easily associated.
著者
田中 吉史 山住 賢司 大山 正 市原 茂
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.24-29, 2007-04-15 (Released:2012-12-28)
参考文献数
9

A test pattern consisting of 1 to 15 dots was presented for 50 ms on a computer screen. Each of fifteen college students was asked to report orally the number of dots displayed as quickly as possible. In the experimental condition, the subject was presented short sentences successively via headset during the dot-counting task. Half of the experimental subjects judged the gender of the voice reading each sentence, and the other half judged truth of the sentence. In the control condition, the subject conducted only the dot-counting task. The results showed that the span of attention (the upper limit for 50% correct numerosity judgment) was not influenced by the concurrent task, but the reaction time to dot-counting under the concurrent task was longer than that under the control condition.
著者
田中 麻巳
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.83-92, 2014-12-26 (Released:2017-10-31)

大学図書館において,展示への注目の高まりの兆しが見られるにもかかわらず,実際どれほどの図書館が展示を実施しているのか,展示をどのようにとらえているのかは明らかにされていない。いくつかの調査例が存在するものの,さらに広範囲な実態調査が必要である。そこで本研究では,全国の大学図書館1,391館に調査票を送付し,展示の網羅的な実態調査を試みた。
著者
宗方 淳 田中 知世
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.695, pp.19-25, 2014-01-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
26
被引用文献数
5 5

A questionnaire survey was conducted in order to study the environmental and social factors which effect office workers' motivation as well as other comprehensive evaluation that are also supposed to influence workers' workplace productivity. As a result, places and behaviors which maintain and/or improve workers' motivation were extracted and compared with the factors of other comprehensive evaluations. It can be explained with larger coefficient of determination that motivation is one of the causal factors of the satisfaction of office environment. It was also found that some environmental factors influenced workers' motivation with the same weight as social factors. Finally the influence of difference of type of the worker was also studied.