著者
田中ひかる [著]
出版者
KADOKAWA
巻号頁・発行日
2019
著者
秋坂 真史 田中 旨夫 鈴木 信
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.312-323, 1997
被引用文献数
1

日本最長寿男性において, 百寿達成に至るまでの長寿に関する背景因子および100歳以後の健康保持の要因について考察を加えるため, 平成8年10月に112歳になった本邦における最長寿男性に焦点を当て基礎・臨床さらに社会医学を含めた包括的アプローチによって, 百寿達成以後の12年間にわたって縦断的に検討した. 生活歴では, 貧農の生まれであったが自由奔放で闊達な青年期をおくり, 家族は妹一人 (92歳) 以外をすべて沖縄戦で失った. 85歳まで独居にて農業をし, 97歳時より次男夫婦と同居した. 86歳以後も散歩等の運動を続け, 常に健康に留意していた. 臨床医学的所見では, 心電図での一部変化を除き, 異常はほとんどみられなかった. 血液検査でも, 各パラメーター値の低下は比較的緩徐であった. ADLの年次推移は, 在宅であった108歳まではほとんど低下を示さなかったが, 入院を機に急激に劣化した. 100歳時の栄養調査では肉, 野菜あるいは豆腐等を中心にバランスよく摂取しており, 1日の摂取エネルギーは1,361kcalであった. 中高年時の性格特性として心疾患親和性行動パターンを調べると, 総得点でタイプAに属するが, そのプロフィールは典型的な沖縄百寿者のパターンを示した. 改訂版長谷川式簡易質問票による痴呆度評価は, 106歳時は正常範囲であったが3年後には「痴呆」の判定になった. ADLや精神機能など108歳時の入院を機会に急に低下した機能も多く, QOLあるいはADLに関連して自立を重視した立場から言えば, 長寿を目指す意味においても, 事情の許す限り在宅で家族と共に迎える老後の方が一般的には望ましいと考えられた. また男性であっても, 青壮年から老年期にかけての不適切な生活習慣を改善し, 正しい健康意識を保持し, 自立できる豊かなADLを維持するよう運動および食事習慣に留意することによって, 100歳を超える健康長寿も期待できることが示唆された.
著者
田中 絵里子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.171, 2004

<b>1.研究の背景と目的</b> 昭和50年の文化財保護法の改正に伴って伝統的建造物群保存地区制度が発足して以降、歴史的町並み保全を契機とした地域づくりは全国に広まった。それらの地域では、歴史的建造物の修理、調和した街路景観の整備など、多くの事業が実施されている。なかでも街路景観の整備は、地域の歴史や文化を顕在化させる最も有効的な手段として扱われている。しかし、具体的にどのような街路整備が人々に評価され、その後の地域づくりへ影響を与えるかについては、街路整備事業がいずれの都市でも実施段階であるため、未だ明確にされていない。 そこで本研究では、既に街路整備事業が実施された埼玉県川越市を事例に、町並み保全としての街路整備事業による街路景観の変容およびそれに伴い観光地化した商店街の実態について報告する。なお、街路景観の評価に関しては、観光客、経営者、居住者の3視点から行うものであり、研究対象地域は、一番街、大正浪漫夢通り、菓子屋横丁の3街路とする。<br><b>2.街路整備事業による街路景観の変化と観光客・経営者・居住者による街路景観評価</b> 一番街は、蔵造り町屋や洋風近代建築などの歴史的建造物を多く残しており、川越の町並み保全の中心となってきた。そのため一番街においては、小江戸のコンセプトの基に、歴史的建造物の保全、舗装の整備、電柱の地中化、周辺建物の修景など多くの事業が実施されてきた。個人や企業で建物を修景する店舗も増え、その結果、一番街は日本瓦のスカイラインが美しい、統一性、連続性のある街路景観が形成され、観光客、経営者、居住者に高く評価されている。 一番街と同じような歴史的建造物を有する大正浪漫夢通りでは、一番街の後続的なまちづくりとしてアーケードの撤去、歴史的建造物の保全、舗装の整備、電柱の地中化などが実施されてきた。しかし、道路幅員が広く開放的な割にスカイラインに統一性がみられないことや、コンセプトが大正という掴みどころがないことなどから観光客の評価はあまり高くなかった。 菓子屋横丁には、蔵造りのようなシンボリックな建造物はないが、石畳舗装が実施されただけでも十分に雰囲気の感じられる通りになっている。原色の派手な建築物もあるが、道路幅員が狭いことと主な通行人である観光客の視線は店先の商品に注がれることが影響して、それほど大きな問題にはなっていない。<br><b>3.観光振興がもたらした商店街の変容</b> 一番街は、従来、地元客を対象とした店舗で構成されていたが、近年、観光地化が進行するに従って、観光客を対象とした店舗が多数進出してきた。特に重要伝統的建造物群保存地区選定以降の変化は著しく、なかには地域に関係のない土産物店もあり、地元商店主たちの間では戸惑いの声も出始めている。顧客数および売上は、一部の観光客を対象とした店舗では「増えた」ものの、従来からあった地元客対象の店舗では「変わらない」という回答が多かった。大正浪漫夢通りでは、9割近くが地元客を対象とした店舗である(図)ことから、川越の観光客が増えても、顧客数、売上に変化はないという回答が多かった。一方、菓子屋横丁においては、店舗の100%が観光客を対象に菓子の製造・販売を行っている。そのため近年の観光客の増加は、そのままダイレクトに顧客数、売上の増加につながり、いずれも「増えた」との回答が多かった。<br><b>4.まとめ</b> 川越は街路整備事業を実施したことによって、各通りで時代的コンセプトに合わせた統一性のある街路景観を形成してきた。観光振興をしたことにより、一番街や菓子屋横丁は、商店街の活性化に成功したと観光客・経営者・居住者全てに評価されている。しかし、一番街では観光客を対象とした店舗が急増し、従来の商店街としての性格が変化するという事態が生じている。大正浪漫夢通りは、観光客が集まらず観光地化しなかった結果、商店街への影響も見られず活性化しているとはいえない。すなわち、町並み保全に伴う観光振興は、街路景観の統一を促進し、商店街活性化にも貢献したが、商店街の性格を変える原因ともなり得ることが明らかになった。
著者
田中 基雄 安本 昌彦 渋谷 勲 川端 康治郎 中村 貴義 橘 浩昭 萬田 栄一郎 関口 辰夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.11, pp.1937-1941, 1989-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高圧下において中間物とSquaricacidの縮合によりN-オクタデシルスクアリリウム(SQ)色素を合成する方法について検討した。中間物〔1〕または〔3〕とSquaricacidの反応による色素〔2〕または〔4〕の生成反応は,400~800MPaの加圧処理により促進され,常圧下における合成を大きく上回る収率をもたらした。また中間物〔3〕から色素〔4〕を生成する反応はクロロ酢酸,トリクロロ酢酸触媒の存在下でさらに収率向上を示すことが認められた。常圧下において従来得られなかったキノリン構造を有する色素〔6〕および〔8〕を本高圧法により合成することができ,新たに4種のスクアリリウム色素を得た。これら新色素のVIS,IR,iH-NMRスペクトルを測定した結果,〔6〕が〔2〕,〔4〕と同様に1,3-型スクアリリウム環構造に合致するのに対して,〔8〕は1,2-型スクアリリウム環構造の形をとるものと推定された。
著者
山本 景子 田中 厳貴 倉本 到 辻野 嘉宏
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.119-126, 2018
被引用文献数
1

Choreography is one of the important parameters in dance performance. To make dance cool, it is necessary to design the cool choreography. However, beginners can hardly design choreography because they do not know how to judge the choreography good or bad. In this paper, we propose a system which automatically estimates the coolness of choreography for Lock dance and supports for the beginners to design choreography more sophisticated. To realize the proposed system, we focus on the suitability between the dynamics of dance move and music as a parameter of the coolness. We propose the estimation formula of the coolness based on the suitability, and evaluate it experimentally. As the result, it is revealed that the higher the suitability becomes, the higher the coolness becomes especially for the experienced participants feel on the experimented environment. Consequently, it is expected that the proposed system enables beginners to design cool choreography.
著者
村上 恵一 田中 弘文 成田 光昭 三塚 雄一
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
石膏と石灰
巻号頁・発行日
vol.1966, no.84, pp.163-169, 1966

The calcium sulfate hemihydrate obtained by the decomposition of the Kola Phosphate Rock with H<SUB>2</SUB>SO<SUB>4</SUB> fairly differs from a common calcium sulfate hemihydrate in physical and chemical properties.<BR>The time of hydration of this hemihydrate is extremely long in 30% P<SUB>2</SUB>O<SUB>5</SUB> solution or water.<BR>This is caused by the peculiarity of the crystalline formation of the hemihydrate, and the results of the study are summarised as follows.<BR>(1) Though the common hemihydrate from the Florida rock contain about 0.07% Sr, this hemihydrate is characterized by containing high content of it about 1. 5% Sr.<BR>(2) By the precise measurement of X-ray diffraction patterns, it is made clear that the crystal lattice of the hemihydrate slightly expends as compared with the hemihydrate from Florida rock.<BR>This phenomenon will be explained because ionic radius of Sr is longer than that of Ca and the solid solution of strontium sulfate in calcium hemihydrate will be formed.<BR>(3) As this hemihydrate is much easier to lose the crystal water than that from Florida rock, the crystal water decreased to about 3% after five days in desicator, but that from Florida rock does not lose crystal water in desicator.
著者
田中 博通
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会機関誌えねるみくす (ISSN:24323586)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.147, 2019-03-20 (Released:2019-03-29)
参考文献数
8

海洋エネルギーの一分野である波力発電の研究開発は,わが国では世界に先駆けて1960年代から行われていたが,2000年以降,欧米で積極的に研究開発が行われ,実証試験から実用化に至っている。ここでは,波エネルギー全般と国内外の波力発電の研究開発状況およびその課題と展望について詳述する。
著者
田中 努 西尾 修 川南 吉弘 西田 直史 増井 芽
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.194, 2010

焼成処理は、焼却灰の資源化処理方法として、この5年の間に着実に実績を重ねてきた。しかし、焼成処理は未だ認知度が低く、溶融処理との比較が十分に進んでいない。そこで、焼成処理についての実例を挙げ、溶融処理との比較を行い焼成処理の特徴を検討した。その結果、燃料使用量とCO2排出量は1/4から1/2程度であること、維持管理費を抑制できること、品質維持管理が容易で安定していること、操業上の危険性が低いこと、焼成処理後の焼成砂の販売先が確保されていることなど、溶融処理に対して焼成処理には優れた点が多いことがわかった。
著者
後藤 功雄 田中 英輝
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.577-597, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
21

ニューラル機械翻訳 (NMT) は入力文の内容の一部が翻訳されない場合があるという問題があるため,NMT の実用には訳出されていない内容を検出できることが重要である.著者らはアテンションの累積確率と出力した目的言語文から入力文を生成する逆翻訳の確率という 2 種類の確率による,入力文の内容の欠落に対する検出効果を調査した.日英の特許翻訳での訳抜けした内容の検出実験を実施し,アテンションの累積確率と逆翻訳の確率はいずれも効果があり,逆翻訳はアテンションより効果が高く,これらを組み合わせるとさらに検出性能が向上することを確認した.また,訳抜けの検出を機械翻訳結果の人手修正のための文選択に応用した場合に効果があることが分かった.
著者
田中 敏文 伊藤 克亘
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.315-316, 2020-02-20

日本の伝統音楽の音階は、西洋音楽のオクターブ音階とは異なる。小泉文夫は20世紀半ばに世界各地の民族音楽を採集し、完全4度を枠組みとするテトラコルド音階が東アジア中心に広く分布することを発見した。さらにテトラコルドが積み重なるとオクターブ音階に変遷する傾向を確認した。能の謡の代表的な音階の一つであるヨワ吟は、上、中、下という完全4度間隔の核音とその中間音で構成され、典型的なテトラコルド音階である。著者は長年の能楽師としての経験から、ヨワ吟の音階にオクターブ音階に変遷する兆候を感知し、その一例として上で終止する時の実際の音高が流儀によって異なることをピッチ解析により検証した。
著者
田中 敏文 於久 光輔 永原 正章 山本 裕
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-114, no.5, pp.1-5, 2017-02-20

日本音楽 (伝統音楽) では,西洋音楽に比べ,和音の意識が希薄でその代わりに音色を重視する.西洋音楽が “クリスタルボイス” として透明感のある声を好むのみ対して,日本音楽は “渋い声” として太い声,かすれた声,こもった声を好む.このことに注目して謡 (うたい) の声のスペクトルを解析した結果,西洋音楽の声に比べて,非整数倍音が多いことを確認し,さらに非整数倍音の発生要因を考察した.