著者
田中 義文 橋本 悟 夏山 卓 重見 研司 木下 隆 智原 栄一 TAKIZAWA Yousuke
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.312-318, 1988

アナログデータレコーダーは, 心電図を含め生体信号を長時間連続記録でき, その再現が容易であるために臨床生理学的分野には欠かせない汎用計測機器である. しかしながら装置も大きくまた高価であるために手術室で日常利用する機会は少ない. そこでわれわれは汎用集積回路を用いて可聴域のFM変調と復調のアダプターを試作し, 市販のカセットテープレコーダーをもちいた心電図記録装置を開発し, その性能について検討した. 最も単純な回路構成でもDCレベルより20Hzまでの直線性を得ることができ, その心電図記録は十分実用になることが明らかになった. 安価な本装置を個々の心電図モニタースコープに装着すればテープレコーダーをフライトレコーダーやタコグラフのごとく利用することができ, 突発的な不整脈や循環虚脱に対しても確実な記録ができるゆえ医療技術の向上に役立つと考えられる.
著者
田中 嵐
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.79_1, 2018

<p> 子どもの遊びにおける時間・空間・仲間が減少している(仙田,1992)と言われて久しい。同時に、鬼ごっこやかくれんぼなど代々共有され受け継がれてきた「伝承遊び」も子どもの間で消えつつある。しかし、実際に今日でも多くの幼稚園や保育所で保育・教育教材として導入されている(穐丸ら, 2007)が、本来子どもによる遊びの伝承のプロセスは、自主的で自由な活動である(西村,2009)との指摘もある。そのような中、けん玉やビー玉などの伝承遊びが玩具メーカーによりリメイクされ、現代の子どもに受け入れられている様子がしばしばみられる。このような形で遊びが伝承される背景を読み解くこと、また伝承遊び・リメイク版それぞれにおける子どもの他者関係について考察することは、子どもの遊びにおいて新たな示唆を与える可能性があると考える。そこで本研究では、伝承遊びの一つである「ベーゴマ」と、ベーゴマをリメイクした一般玩具である「ベイブレード」に注目する。現在ベイブレードは特に男児の間でブームとなっており、2年連続で日本おもちゃ大賞を受賞している。この事例から、現象の持つ社会学的意味について検討したい。</p>
著者
田中 貢 藤井 清一
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-113, 1958-03-30 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1 1
著者
田中 洋子
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.5-24, 2018-06-30 (Released:2020-08-05)
参考文献数
87

「働き方改革」が進行中にもかかわらず,どういう人がどのくらい長く働いているのかという最も基本的な事実は,これまでの研究で十分に明らかにされてこなかった。正社員・非正社員の労働時間は統計で一括りにされ,事業所が提供する労働時間のデータは現実と異なるなど限界がある。法律で定められた週40時間の上限と,労使の36協定による労働時間,さらに職場でのサービス残業を含む実際の労働時間は大きく異なり,その乖離がどれほどあるか,なぜあるのかについても十分には解明されていない。 ここでは労働時間を議論する前提として,正社員の労働時間の長さ,それが決まる仕組み,実際の労働時間数について,日本が労働時間短縮の目標としてきたドイツと比較しながら確認する。両国は労働時間構造の二重化や,労使自治による協定労働時間,それと異なる実際の労働時間という重要な共通点をもっている。にもかかわらず,労働時間に大きな差がついているのはなぜなのか,比較歴史分析の視点から考察する。
著者
田中 豊
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.91-108, 1965-03-01

In the direction of the horizontal displacements of the triangulation points, tilt variationsalways show the most remarkable mode as the crust behaves over a wide area the see-sawmotion decreasing amplitude and period with time, accompanying earthquakes at its peaks.The first stage of anomalous crustal movements before earthquake corresponds to thismode, so it appears characteristically in the direction of the horizontal displacement, in otherexpression, it may be also the direction related to the tectonic force. The second stage isthe movements of the strain concentration, so the ground tilts toward or opposite to theepicenter, relating to the earthquake mechanism. The third stage just before earthquake isthe pro:ess of rapid increase of creep or beginning of fracture, perhaps foreshock-occurrecne, so that the tilt variations increase their own rate in the same motion as the second stage nearthe epicenter, or reverse their direction at a far distance from the epicenter according to thebeginning of energy release. After the earthquake these anomalous movements continueuntil the termination of the aftershock activities.These stages and phenomena appear remarkably in the case of shallow earthquakes, anda little differently in the case of intermediate earthquakes.
著者
山口 智浩 野村 勇治 田中 康祐 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.870-880, 1997-11-01 (Released:2020-09-29)

The advantage of emergence is that various solutions are emerged. However, it takes large computation cost to emerge them since it requires the numbers of iterations of simulation. So we try to reduces the computation cost without losing variety of solutions by introducing the abstraction technique in Artificial Intelligence. This paper presents Isomorphism Based Reinforcement Learning by Isomorphism of Actions that reduces the learning cost without losing variety of solutions. Isomorphism is one of the concepts in Enumerative Combinatorics of mathematics. First we explain Isomorphism of Actions, then explain Isomorphism of Behaviors. Isomorphic behaviors those perform the same task can be obtained by transforming the learning result of the task by "the appropriate permutation". However, a priori knowledge that represents "the appropriate permutation" is not always given, so this paper uses the generate & test method that first generates the isomorphic learning results by transforming the learning result of reinforcement learning for a task by the combinatorial permutations, then tests to select two kinds of the behaviors performing the following tasks ; (1) isomorphic behaviors those perform the same task ; (2) discovery of the behaviors those are converged to the new task state. Since the acquired learning results are isomorphic each other, the merits of our method are those the time cost for generating various learning results is small and also the space cost is small too because it needs only the original learning result and the set of permutations for it. For these reasons, this method is significant for realizing the learning various behaviors for the dynamic environment or multiagent.
著者
島井 哲志 田中 正敏
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.243-252, 1993-04-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
33
被引用文献数
2

131種類10秒間の環境音を実験室内で聴かせて、その快-不快評価と音圧の関係を検討した。用いた音は、自然音13音、生物音15音、人間音23音、楽音18音、ひっかく音8音、日常生活音19音、機械音22音及び信号音13音であった。16人の男子学生にこれらの環境音を提示して、音の快-不快感、その音が何の音であるか、及びその回答の認知の確信の程度をたずねた。被験者は8人ずつの2群に分けられ、ほぼ日常経験する音圧レベルとその約10dBA低い音圧の提示を受けた。快-不快評価の結果では、快い音は音楽や鳥の鳴き声などであり、不快な音は歯科医のドリル、すりガラスを擦る音などであった。快-不快評価と音圧の関係をみると、不快な音では音圧が高くなるにつれて不快になるが、快い音でも音圧が高くなるにつれてやや快くなる傾向がみられた。また、快い音には認知の確信度の低い音はなく、確信度が高い音ほど、快いと評価された。これらの結果は、環境音の快-不快は、音圧が高くなるにつれて、より不快になるという単純な関係ではないことを示し、環境の快適さを図るためには、快-不快や音圧と共に音の認知要因を系統的に検討することが重要であることが示唆された。
著者
水田 貴将 田中 直人 塩津 翠彩 村瀬 ゆり 張 海峰 趙 暁婷 解 爽 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2017論文集
巻号頁・発行日
pp.186-189, 2017-02-23

本研究では漢字形状記憶の損失を防ぐための漢字入力方式G-IMにゲーミフィケーションの要素を取り入れることで,G-IM使用の際に生じる抵抗感を低減するシステム「BanG-IM」を提案する.G-IMは,文字変換時の候補の中に,誤形状漢字をランダムに差し込むことで利用者が持つ漢字形状記憶の再構築を支援するものであるが,利用者が使いたいと思わないという問題がある.そこで,我々は罰ゲームの一種として浸透している風船割りゲームに着目した.本システムは同一室内での複数人での利用を想定している.利用者の個人ブースの頭上には,それぞれ風船が設置してあり,誤字入力が行われると該当する利用者の風船が膨らんでいく.また,中央にある共有スペースにも大きな風船が設置してあり,すべての利用者の誤字入力に対してその都度膨らんでいく.実装したシステムの評価実験を行ったところ,本システムを利用することでG-IM特有の抵抗感を低減できる可能性が示唆された.
著者
田中 久智
出版者
九州大学法政学会
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.417-598, 1965-08
著者
田中 徹 福島 誉史 木野 久志 富田 浩史 清山 浩司 菅野 江里子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

網膜上の設置位置毎に機能最適化された複数個の三次元積層人工網膜チップをフレキシブル基板上に高密度集積し、広視野角の視覚再建を実現する眼球内完全埋植・低侵襲フレキシブル人工網膜を作製するための技術開発に成功した。人の網膜の持つ光電変換・視覚情報処理・神経活動電位発生の機能を全て実現する2層積層の三次元積層人工網膜チップを設計・試作し、動作させることに成功した。この三次元積層人工網膜チップを中心窩及びその周辺部に複数個配置することにより、40°以上の視野角を実現でき、患者は自身の角膜や水晶体、眼球運動を利用しながら文字や物体を高精度かつ低負担で認識することが可能になる。
著者
荒木 速雄 加野 草平 西間 三馨 小笠原 正志 松崎 守利 田中 宏明 田中 守 進藤 宗洋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3-1, pp.205-214, 1991-03-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

気管支喘息児12名に自転車エルゴメーターを用いて4週間のトレーニングを行い, WBPLA_1 (work load at first braking point of lactic acid) より設定した5段階負荷強度にて physical working capacity の向上, EIB の改善をトレーニング前後で比較した. また, 高張食塩水吸入による気道反応の変化についても検討し, 以下の結果を得た. 1)心拍数はトレーニング前の WBPLA_1 175%強度に相当する仕事率で, トレーニング前値の188.5±9.6bpmよりトレーニング後178.4±9.7bpmへと, また WBPLA_1 150%強度では174.0±11.9bpmより165.6±11.3bpmへと, それぞれトレーニング後に有意に低下した. また最大酸素摂取量(Vo_2max/wt)は34.5ml/min/kgより41.lml/min/kgに有意に上昇した. 2) FEV_<1.0>の運動負荷後のMax.%fall は WBPLA_1 175%強度にて, トレーニング前37.4±17.4%よりトレーニング後30.3±17.4%へと, また WBPLA_1 150%強度では27.1±24%より18.0±17.1%へとそれぞれトレーニング後に有意に低下した. 3) 3.6%高張食塩水吸入試験ではトレーニング群においてPD_<20>は4.2±5.9mlから8.1±8.0mlへと有意に増加した. なお, コントロール群では3.7±5.8mlより4.3±6.3mlへと有意な変化は認められなかった.
著者
岩田 慈 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.398-402, 2015 (Released:2016-01-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1

自己免疫疾患病態においてB細胞は病態形成に極めて重要な役割を担うが,その機能発現にはT細胞との相互作用が極めて重要である.著者らは,ヒト末梢血B細胞を用いたin vitro実験により,BCR/CD40/TLR/サイトカイン(IL-4, IL-21)刺激は,Syk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを介したシグナルの活性化により,サイトカイン産生,分化誘導・クラススイッチに重要なgene network,抗体産生などを多様に制御していることを明らかにした.またRA,SLE患者末梢血B細胞のSyk, Btkのリン酸化は,健常人に比し有意に亢進しており,特にRA患者においては,ACPA強陽性例において有意に亢進していた.T細胞選択的共刺激調節剤,CTLA-Igアバタセプトの投与により,RA患者末梢血CD4陽性T細胞中のTfhの割合は有意に減少し,さらにB細胞のSykのリン酸化も有意に抑制された.これらの結果より,B細胞,B-T細胞の相互作用を標的とした生物学的製剤,さらにSyk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを標的とした阻害剤は自己免疫疾患の制御に有用である可能性が示唆された.本編では,RAやSLEを中心に,B細胞,B-T細胞相互作用を標的とした生物学的製剤やSyk, Btk, JAK阻害剤の最近の知見についても概説する.