著者
田中 茂男
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.341-344, 1960-08-31 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

サクサン休眠蛹を蛹化後種々の時期に低温処理し或は保温した場合の成虫化について実験を行い次のことを知った。1) 蛹化後50日を経た休眠蛹を, 5℃ に10日から50日間の範囲の低温処理したところ, 接触期間の長いほど, ことに30日間以上において成虫化率が高く, 50日間の低温接触によって100%成虫化した。しかし2.5℃ では接触日数の長短にかかわらず成虫化率は30%前後であった。2) 処理温度を-2.5℃, 1.5℃, 2.5℃, 5℃ および150Cとして, それぞれ30日間接触させたところ, 50Cが最も成虫化の効果が高く-2.5℃ および15℃ がおとることを知った。3) 蚕室内の自然気温下においた休眠蛹は, 松本地方では, 11月中旬に保温すればすでにかなり高い成虫化率を示す。しかし10月初旬では保温100日後においても羽化をみなかった。4) 1化目の休眠蛹と2化目の休眠蛹の休眠性についてみると, 前者が強い休眠性をもつと思われた。
著者
岩坂 知治 江藤 正博 田中 創 副島 義久 森澤 佳三 西川 英夫 山田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2204, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】過去,座位姿勢に着目した重心動揺計を用いた研究は少なく,特に整形外科疾患に特化した研究は数少ない.しかし,臨床上腰部疾患を有する患者の多くは,座位姿勢において何らかの症状を訴えることが多い.これらの患者に対して,体幹機能を重視した評価・アプローチが行われるのが一般的であるが,これだけで症状軽減に繋がらないケースを多々経験する.そこで今回,座位時の重心動揺を,条件を規定して測定した結果,有用な知見が得られたので若干の考察を加えて報告する.【方法】対象は当院外来通院中の腰部疾患患者14名(男性5名,女性9名)で,平均年齢は63.2歳.病態の内訳は変形性腰椎症4名,腰椎圧迫骨折3名,椎間板ヘルニア4名,腰部脊柱管狭窄症3名である.対象群は腰痛の既往のない健常成人10名(男性6名、女性4名)とした.平均年齢は25.6歳.方法は重心動揺計を用いて総軌跡長,単位軌跡長,外周面積,単位面積軌跡長,矩形面積,実効値面積を測定した.計測条件として,昇降式治療ベッドに重心動揺計(アニマ社製グラビコーダGS-31)を置き,両足底が床面に接地した端座位(以下,足底接地),両足底が床面から浮いた端座位(以下,非接地)の2条件とした.計測肢位は,治療用昇降ベッドにて高さ調節を行い,両条件とも股・膝関節90°屈曲位,足底接地条件では足関節底背屈0°となるよう床面の高さを設定,両上肢は胸の前で組み,測定場所より5メートル離れた壁の一点を注視させた.計測は被検者が重心動揺計に座り,測定肢位を取った状態から20秒後に検者がスタートボタンを押し,安静座位の状態を60秒間計測した.なお,同群2条件間の解析はMann-Whitney検定,患者-健常者両群間の解析はWilcoxon検定を用いて検討した.【説明と同意】当院の倫理委員会にて本研究の目的を説明し,同意を得た上で実施した.また,それぞれの対象者に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】非接地条件下では,外周面積,単位軌跡長,総軌跡長,矩形面積が患者群で有意に高値を示した(p<0.05).足接地条件下では,患者群において単位面積軌跡長で有意に低値を示した(p<0.05).患者群,健常者群の両群ともに,外周面積,単位面積軌跡長は足底接地条件下では有意に高値を示した(p<0.05).【考察】本結果より,患者群において足底非接地条件下では重心の動揺が顕著にみられたのに対し,足底接地においては重心の動揺が低値を示すことが分かった.通常,足底非接地の座位では,その制御に股関節より上位の体節が関与するとされている.この条件下では患者群において体幹での制御が不十分なことから,動揺が大きくなったものと考えられる.一方,足底接地においては,足部を接地したことによる支持面の増加,制御に関わる体節の増加,つまりは運動制御に関わる自由度が増加したことで,体幹での制御が軽減され,重心動揺が低値を示したものと考えられる.しかし,健常者群と比較して患者群の単位面積軌跡長が低値を示す結果となった.これは,患者群で足底が接地することで,固定化された座位姿勢が形成されたものと考えられる.足底非接地条件下では腰部疾患患者の既往に伴い,体幹の制御不良が露呈される結果になったが,腰部疾患患者においては足部接地の条件が加わるとで,足部を軸とした下肢の制御が大きく関与することが考えられる.これらより,腰部疾患患者に対して,体幹機能のみならず,下肢の影響も考慮して評価を行なっていく有用性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究より,過去研究数の少ない整形疾患の座位重心動揺に対する有用なデータが得られ,腰部疾患患者における評価の新たな視点となりうる結果となった.しかし,重心動揺計により得られた結果はあくまで二次元で示されたものであるため,床反力を考慮した研究を今後の課題としたい.
著者
田中 雅侑 福留 千弥 藤田 直人 藤野 英己
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab1353, 2012

【はじめに、目的】 肺高血圧症は進行性の肺動脈リモデリングを特徴とし,右心室の後負荷を増加させ,右心不全を惹起する.また,肺高血圧症の進行により顕著な運動制限を来す.その原因として骨格筋の運動耐容能の低下が指摘されており,運動耐容能の低下による身体活動量の減少は骨格筋の萎縮をさらに進めるとされている.近年,肺高血圧症に対する運動療法は運動耐容能の低下を改善させるとの報告がみられる.一方で,肺高血圧症における運動は肺動脈圧を上昇させ,右心室への負荷を高くするとされており,心筋への過剰な負荷は筋萎縮を誘発する炎症性サイトカインを発現させるという報告もある.このような報告から重度な肺高血圧症への運動療法は右心室に過負荷を与え,骨格筋の萎縮を助長する可能性も考えられる.本研究では,増悪期の肺高血圧症に対する運動が骨格筋の萎縮に及ぼす影響を遅筋と速筋で検証した.【方法】 4週齢のWistar系雄ラットを対照群(Con群),肺高血圧症群(PH群),肺高血圧症に運動を行った群(PHEx群)の3群に区分した.肺高血圧症はモノクロタリンの腹腔内投与(30mg/kg)によって惹起した.運動はトレッドミルを用いたランニング(速度;13.3m/min,30分間/日)を実施した.運動はモノクロタリンを投与した翌日から開始し,週5回の頻度で,4週間継続した.実験期間中は1週間毎に体重を測定した.4週間の実験期間終了後,ヒラメ筋及び前脛骨筋,並びに心臓を摘出し,湿重量を測定した.得られた骨格筋試料は急速凍結し,10µm厚の横断切片を作製した後にATPase染色(pH 4.5)を行った.ATPase染色の光学顕微鏡所見を用いて筋線維をタイプI線維,タイプIIA線維,及びタイプIIB線維に分別し,筋線維タイプ別の横断面積を測定した.また,体重に対する心重量比率を算出し,心肥大の指標とした.測定値の統計処理には一元配置分散分析とTukey-Kramerの多重比較検定を用い,有意水準は5 %未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 全ての実験は,所属機関における動物実験に関する指針に従い,動物実験委員会の許可を得たうえで実施した.【結果】 モノクロタリン投与4週目にPH群とPHEx群は体重減少を認めた.体重に対する心重量比率は,PH群及びPHEx群がCon群に比べて有意に高値を示し,PHEx群はPH群に比べて高値を示した.ヒラメ筋の湿重量及び全ての筋線維タイプにおける筋線維横断面積で,PH群とPHEx群はCon群に比べて有意に低値を示したが,PH群とPHEx群の間には有意差を認めなかった.前脛骨筋の湿重量はPH群とPHEx群はCon群に比べて有意に低値を示した.さらにPHEx群における前脛骨筋の湿重量はPH群に比べて有意に低値を示した.前脛骨筋の筋線維横断面積はタイプI線維では3群間に有意差を認めなかった.一方,速筋線維であるタイプIIA及びIIB線維では,PH群とPHEx群がCon群に比べて有意に低値を示した.さらにタイプIIB線維はPHEx群ではPH群に比べて有意に低値を示した.【考察】 肺高血圧症に対する運動は,遅筋であるヒラメ筋の萎縮には影響を及ぼさなかったにもかかわらず,速筋である前脛骨筋に対しては萎縮を進行させた.先行研究では,モノクロタリン投与後4週間で右心不全が惹起され,心臓悪液質によって骨格筋の萎縮を誘発するとされている.本研究でもモノクロタリン投与4週目に体重の減少を認めたため,ヒラメ筋と前脛骨筋の萎縮は肺高血圧症モデル動物が心臓悪液質に陥った事が原因であると考えられる.また,肺高血圧症の増悪期における運動は右心室への負荷を増大することで炎症を惹起するとされ,その炎症は腫瘍壊死因子などのサイトカインを過剰発現するとされている.本研究では運動に伴う心肥大を認めたため,運動によって心臓への負荷が増大し,右心室で炎症性サイトカインが過剰発現していた可能性がある.炎症性サイトカインは心臓悪液質に関与するとされ,悪液質による骨格筋異化作用は,遅筋線維に比べて速筋線維で大きいとされる.その理由の一つとして,遅筋と比較して速筋では,悪液質による骨格筋異化作用の抑制に関わっているとされるNO産生が少ないことが報告されている.本研究では肺高血圧症の増悪期においても運動療法を実施したことで,心臓悪液質による影響が増し,速筋である前脛骨筋の萎縮を助長した可能性がある.【理学療法学研究としての意義】 増悪期の肺高血圧症に対する運動は,心臓に過度な負荷を与えるだけでなく,主として速筋の萎縮を助長することが明らかになった.このことから肺高血圧症に対する理学療法は,介入時期,及び心臓への負荷を考慮し,運動療法等の介入は慎重に行うべきであると考えられる.
著者
田中 岳
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2013

二十四節季において一年で最も寒いとされる1月の20日,21日(大寒)頃に,近年になり度々,気温上昇と激しい降雨が観測されている.例えば,2002年1月21日に北海道の松前町,伊達市において記録された,最高気温8.2℃,日降水量12mm/day(松前町),最高気温5.0℃,日降水量114.5mm/day(伊達市)は記憶に新しい.同日,札幌市では,最高気温4.5℃,日降水量53.5mm/dayと,季節外れの大雨に伴い内水氾濫も発生している.積雪寒冷地でのこのような冬季の気温上昇や降雨現象は,融雪の急激な加速や,これに伴う河川氾濫,土砂崩壊など,災害に繋がりかねない現象である. これまで著者らは,積雪寒冷地の札幌を例として,特に,一年で最も寒い厳冬期に生じる降雨と気温変動について検討してきた.その結果,1889年から2011年(123年間)の厳冬期の日最高,日平均,日最低気温のそれぞれ最低値の変動と,降雨の発生頻度には,およそ20年から25年の周期性が確認されている. 本研究では,寒の入りと呼ばれ,寒さが始まる小寒の頃1月6日とその前後2日間,および大寒の頃1月21日とその前後2日間の各5日間を主な解析期間として,固定された一日(日付)の日最高,日平均,日最低気温データを,太陽の活動周期(黒点数の変化)による影響を取り除くために11年移動平均した後,それぞれを解析期間内(5日間)で平均した結果の年変動を考察した.その結果,各気温の年変動には大きな振動が含まれるが,各気温のピークに着目すると,1900年頃から概ね20年から25年の周期性がうかがえた.なお,このような傾向は,解析期間内のある一日の各気温データを11年移動平均した結果に対しても,同様に確認されている.また,処理後の各気温(日最高,日平均,日最低)を直線近似した際の長期的な変動傾向は,それぞれ1.45℃/100y,3.20℃/100y,5.42℃/100y(小寒の頃),1.12℃/100y,2.28℃/100y,4.23℃/100y(大寒の頃)と推定された. 今後は,厳冬期における低気圧の軌道の特性と,降雨・気温の変動特性とを対応させながら研究を進める予定である.
著者
三野 耕 田中 譲
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.65-74, 2012

本研究の目的は,プロゴルフ選手におけるドライバーショットの飛距離による評価についてである。対象としたプロゴルフ選手は,117名の男子および107名の女子である。プロゴルフ選手の2011年度ドライビング・ディスタンス・コンテストにおける平均飛距離,身長および体重を資料とした。体表面積は,身長と体重から藤本の方法で求めた。比体表面積は,体重に対する体表面積の割合で求めた。その結果,男子で D.D./s=225s^-1.16, 女子で D.D./s=211s^-1.11 が得られた。また,男子では, log (D.D.) = 1.0369・logS-0.4057・logW 女子では, log (D.D.) = 1.0768・logS-0.4475・logW が得られた。プロゴルフ選手の理論式を用いてそれぞれの飛距離の求められた理論値から実測値の飛距離を評価できることが示唆された。
著者
松井 珠乃 高橋 央 大山 卓昭 田中 毅 加來 浩器 小坂 健 千々和 勝巳 岩城 詩子 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.161-166, 2002
被引用文献数
6

2000年7月にG8サミットが福岡・宮崎市で開催された際, 報告施設を設定し, 急性感染症が疑われる全ての症例を, 出血性・皮膚病変症候群, 呼吸器症候群, 胃腸炎症候群, 神経症候群, および非特異的症候群の5群に分類して集計した. サミット前後各1週間 (第27, 28週) の各症候群の報告数を, 感染症サーベイランスの全数および定数把握対象疾患の関連疾病群の報告数に対する比で表し, 第27週比の第28週比に対する比を算出して, その変動性を検討した. 福岡市の変動比は, 平均±標準偏差=0.99±0.291, 95%信頼区間0.71~1.28, 宮崎市は, 平均±標準偏差=1.19±0.298, 95%信頼区間0.93~1.45と算出され, 共に変動性は低いことが分かった. 宮崎市では複数の症状を有する症例は, 重複報告を許したが, 1症例1症候報告の福岡方式の方が解析は容易であった. 呼吸器感染症の動向は, 感染症サーベイランスでは成人症例が報告対象疾患に少ないため, 症候群サーベイランスの方が検出良好であった. 重大イベント (high-profile event) における症候群サーベイランスは動向を迅速に集計でき, 少ないコストと人力で実施でき, 実効性があると評価された. しかし, 報告集計の基線が観測期間の前後に充分ないと的確な判定が出来ないことや, 報告定点の数や種類に配慮が必要であることが分かった.
著者
田中 努 西尾 修 川南 吉弘 西田 直史 増井 芽
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第21回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.194, 2010 (Released:2010-11-07)

焼成処理は、焼却灰の資源化処理方法として、この5年の間に着実に実績を重ねてきた。しかし、焼成処理は未だ認知度が低く、溶融処理との比較が十分に進んでいない。そこで、焼成処理についての実例を挙げ、溶融処理との比較を行い焼成処理の特徴を検討した。その結果、燃料使用量とCO2排出量は1/4から1/2程度であること、維持管理費を抑制できること、品質維持管理が容易で安定していること、操業上の危険性が低いこと、焼成処理後の焼成砂の販売先が確保されていることなど、溶融処理に対して焼成処理には優れた点が多いことがわかった。
著者
能井 さとみ 後明 祐希 田中 ゆかり 鴫原 正世
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】大豆は、古来より様々な形で加工され日常の食生活になくてはならない食品である。また含まれる栄養成分などから、近年その健康効果が期待されている。開学以来、全学給食制を実施している本学でも大豆の栄養価値に着目し、大豆加工品のメリットを生かした給食献立への応用を目的にレシピを検討し給食調理を実施、嗜好アンケートを行った。<br><br>【方法】レシピの検討:大豆ミート(株式会社マイセン「まるっきりお肉」)を使用。予備実験:ドライカレー、ミートソース、挽肉コロッケ、かぼちゃのそぼろあんかけ、ハンバーグ、チャーハンのレシピを作成し調理。試食後、条件を満たした2種類(チャーハン、ドライカレー)を採用。給食調理①チャーハン:実施日平成28年3月3日、対象者:本学教職員の協力者46名。②ドライカレー:実施日平成28年3月26日、対象者:本学オープンキャンパス参加者、本学学生ボランティア、教職員計147名。嗜好アンケート:①②共に見た目、食感、香り、味、具材について、総合評価。嗜好アンケートでは、大豆加工品を使用していることを伝えず実施(アレルギー性食品の使用は提示)、給食提供、アンケート記入後に提示。<br><br>【結果】嗜好アンケート:見た目、食感、香り、味、総合評価。両レシピ共に、すべての項目において非常に好ましい、好ましい又は普通との評価が90%を超えていた。挽肉の種類についての質問では大豆以外の豚肉、鶏肉、牛肉、牛・豚挽肉との回答がチャーハンで70%、ドライカレーで80%を占めていた。これらのことから大豆加工品の使用は給食献立として応用が可能で学生の健康維持の面から見ても積極的に取り入れたい食品であり、今後更にレシピの幅を広げていきたい。<br><br>&nbsp;
著者
佐藤 裕 森 浩一 小泉 敏三 皆川 泰代 田中 章浩 小澤 恵美 若葉 陽子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.384-389, 2006-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
31
被引用文献数
4 2

幼児・学童吃音者の音声言語に対する左右聴覚野機能の分化異常について, 多チャネル近赤外分光法を用いて測定した.音刺激には音素の配列もしくは韻律句の異なる対立を用い, 左右それぞれの聴覚野付近にて得られた総ヘモグロビン量の反応ピーク値を基に側化指数を算出し左右差を検討した.その結果, 幼児・学童吃音者群ともに, 最小対語・韻律句対比セッション間で側化指数に有意差がなく, 音素・韻律に対する側性化が見られないことが確認された.個人内の検定では, 音素の処理が左優位と判定できる吃音児は存在せず, 同年齢対照群と有意に異なった.この結果は成人吃音者と同様であり, 吃音と聴覚野の機能異常との関連が示唆され, この異常が3-5歳の吃音児ですでに見られることがわかった.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
田中 さき Tung―Yuan Ho 長尾 誠也 松中 哲也 Rodrigo Mundo 井上 睦夫 谷内 由貴子 黒田 寛 熊本 雄一郎 滝川 哲太郎 守田 晶哉
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>化石燃料やバイオマスの不完全燃焼、および原油を起源とする多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、発癌性や変異原性をもつ有害有機物である。東アジア縁辺海と周辺海域において、PAHsの動態や生態リスクに関する研究が必要とされている。本研究は日本近海を中心とした北太平洋における広域的なPAHs水平分布を明らかにすると共に2017年以降のPAHs経年変動を解析した。各緯度帯における平均Σ14PAHs(粒子態+溶存態)は、基本的に中緯度域で高く、高緯度域で低くなる傾向を示した。沿岸海域では燃焼起源PAHsの寄与が高かったのに対し、外洋海域では原油起源PAHsの寄与が高かった。一方、2020年における日本海のΣ14PAHsは、2019年と比べ有意に低下した。塩分や海水シミュレーションの結果を基にすると、2020年における日本海のPAHs濃度減少は、黒潮系海水のPAHs濃度低下と、PAHs濃度の高い浅層海水の寄与の低下によって引き起こされた可能性が示唆された。</p>

1 0 0 0 秋山真之

著者
田中宏巳著
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
2004
著者
小林 淳希 宮下 洋平 大洞 裕貴 織田 さやか 田中 邦明 松野 孝平 山口 篤 今井 一郎
出版者
Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University
雑誌
Memoirs of the Faculty of Fisheries Sciences, Hokkaido University (ISSN:24353361)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.33-67, 2021-12

Onuma and Konuma are belonging to the Onuma Quasi-National Park and are located in southern Hokkaido. The fisheries and tourism are important industries in this lake area. Eutrophication has progressed in these lakes since the 1980s, and nuisance blooms of cyanobacteria have occurred every summer to autumn. The outbreaks of cyanobacterial blooms substantially destroy the ecosystem due to the production of cyanobacterial toxins, and effective countermeasures are urgently needed. However, in the lakes of Oshima Onuma, there is a paucity of knowledge about the appearance trends of phytoplankton including cyanobacteria. Therefore, seasonal monitorings were carried out on the phytoplankton community in the water column and the relatioships were discussed between dynamics of phytoplankton communities and changes in environmental factors in the lakes of Oshima Onuma. The survey was conducted once a month as a rule at Stns. 1-5 (Stn. 1 is the northeastern end of Onuma, only Stn. 5 is in Konuma) and at Stn. OP and Stn. OC along the shore of the Lake Onuma during the period of May-November 2015 and April- October 2016. The parameters of hydraulic environments were measured about water temperature, pH, transparency, dissolved oxygen, nutrient concentrations (NO3-N, NO2-N, NH4-N, PO4-P, SiO2-Si), chlorophyll a concentration, and pheophytin. The chlorophyll a concentration of the surface water showed a single-peak type fluctuation with the maximum value (28.7 μg L-1 at Stn. 2) in August at all stations in 2015. In 2016, the largest single-peak type fluctuation was observed in September- October with the exception of Stn. 3. Concerning the seasonal variation of the phytoplankton species, the proportion of Uroglena volvox (Chrysophyceae) was high at Stn. 5 in May, but the pennate diatoms Fragilaria crotonensis and Asterionella formosa, and the centric diatoms Aulacoseira spp. at other stations other than Stn. 5. As for cyanobacteria in August 2015, Dolichospermum planctonicum, possessing an ability of nitrogen-fixation, dominated (maximum 4.4×104 cells mL-1) at all the stations under the severe nitrogen-deficient conditions (N/P &lt; 16). In the following year 2016, the cell densities of Dolichospermum spp. were low, and Microcystis spp. dominated at all the stations (up to 5.6×104 cells mL-1) with the enough nitrogen conditions. It is hence thought that the N / P ratio determined the dominant species of cyanobacteria in the summer season. In September and thereafter, the number of phytoplankton cells decreased on the whole in both years, and the centric diatoms Aulacoseira spp., Cyclotella spp. and the cryptophyte Cryptmonas spp. tended to increase. Considering the occurrence mechanisms of cyanobacterial blooms based on the fluctuation trends of cyanobacteria in the water columns, it is found that the supply of Microcystis aeruginosa from the lake bottom sediment to the water column (water temperature of 10-15ºC is required) is progressing at all stations in April-June. Since Onuma and Konuma are shallow with an average depth of 4.7 m, wind-inducing resuspension of bottom sediments probably contribute to the supply of cyanobacteria to water columns. In addition, since cyanobacterial cells tend to float and accumulate in surface water, it is needed to take physical factors such as wind and flow into consideration regarding the distribution of the blooms of cyanobacteria.
著者
田中 重男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.38-42, 1967-12-10

三池炭鉱三川鉱では,昭和38年11月9日坑内の炭じん爆発で458名が死亡して,そのうち20名が爆死,438名が一酸化炭素中毒死であった。生存者941名のうち,意識喪失の状態になったものが435名あり,その大部分が一酸化炭素中毒によるものである。それから4年後の昭和42年9月28日には,同じ三川鉱で坑内火災が発生して,一酸化炭素中毒のため7名が死亡して,多くの被災者を出したが,今度は全般に症状が軽く,後遺症を残すものはないという見通しである。 一酸化炭素(CO)ガスは各種燃料の不完全燃焼によって生じ,無色,無臭,無刺激性で,比重は0.967と空気よりわずかに軽い。COガスは各種の工場のみならず,石油やガソリンを使用する暖房器具や自動車のエンジンなど,また都市ガスを使用する家庭内においても発生する。日常使用しているものでは,微量ではあるが煙草の煙のなかにも含まれている。とくに集団的にCO中毒が発生して,社会的に問題をおこしているのは,炭鉱の坑内爆発やトンネル工事中の事故などによるものである。
著者
福留 千弥 田中 雅侑 藤田 直人 藤野 英己
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab1101, 2012

【はじめに、目的】 心不全患者の特徴の一つに運動耐容能の低下が挙げられる。運動耐容能が低下する原因には心機能の低下だけでなく、骨格筋における退行性変化も関与しているとされている。心不全患者における骨格筋の退行性変化の一つに、骨格筋線維周囲における毛細血管数の減少がある。心不全患者は活性酸素種(ROS)の過剰発現によって酸化ストレスが亢進しているとされており、血管内皮細胞の機能不全や毛細血管の退行性変化をきたす。多くの栄養素は酸化ストレスを除去する能力を持つが、心不全患者は食欲不振による低栄養を伴うことが報告されており、心不全患者では酸化ストレスを除去する栄養素が欠乏していると考えられる。本研究では、心不全における骨格筋と心不全を伴わない低栄養のみの骨格筋を比較することで、心不全と低栄養が骨格筋内毛細血管の退行性変化に及ぼす影響の差異を検証した。また、心不全患者では速筋よりも遅筋において筋萎縮が起きやすいという報告から筋線維タイプによる違いも存在すると考え、速筋と遅筋の比較も併せて実施した。【方法】 4週齢のWistar系雄ラットにモノクロタリン(30mg/kg)を投与することで心不全を惹起した(CHF群)。また、同一週齢のWistar系雄ラットを用い、給餌量を自由にした対照群(Con群)と、給餌量をHF群と一致させた群(PF群)を設定した。4週間の実験期間終了後、ペントバルビタール(50mg/kg, <i>i.p.</i>)による深麻酔下で心臓、肺、足底筋およびヒラメ筋を摘出し、急速凍結した。組織切片のエラスチカ・ワンギーソン(EVG)染色所見を用いて、心臓の線維化と肺動脈壁の厚さを観察した。足底筋とヒラメ筋はアルカリホスファターゼ染色にて毛細血管を可視化し、筋線維あたりの毛細血管比率(C/F比)を算出した。さらに、足底筋とヒラメ筋はジヒドロエチジウム染色にてROSを可視化し、その発現量を測定した。得られた測定値の統計処理には一元配置分散分析とTukey-Kramerの多重比較検定を用い、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての実験は所属施設における動物実験に関する指針に従い、動物実験委員会の許可を得たうえで実施した。【結果】 心臓と肺のEVG染色所見では、CHF群にのみ心筋線維の肥大と膠原線維の増殖、および肺動脈における中膜の肥厚を認めた。足底筋のC/F比は、CHF群ではCon群とPF群に比べて有意に低値を示したが、PF群とCon群間には有意差を認めなかった。一方、ヒラメ筋のC/F比は、PF群ではCon群に比べて有意に低値を示したが、CHF群とPF群の間には有意差を認めなかった。足底筋とヒラメ筋のROS発現量は、PF群ではCon群に比べて有意に高値を示し、CHF群はPF群に比べて有意に高値を示した。【考察】 速筋における骨格筋内毛細血管の退行性変化は主として心不全に起因するが、遅筋における骨格筋内毛細血管の退行性変化は、心不全だけでなく低栄養の影響を受けることが明らかになった。足底筋では低栄養によるROSの過剰発現を認めたものの、低栄養による骨格筋内毛細血管の退行性変化は生じていなかった。一方、ヒラメ筋では心不全によって低栄養以上にROSが発現していたにも関わらず、骨格筋内毛細血管の退行性変化は心不全を伴わない低栄養のみの状態と変わらなかった。このことから、心不全や低栄養によるROSの過剰発現だけで骨格筋内毛細血管の退行性変化が誘導されるわけではないということが示唆された。一方、心不全では血清中にTNF-αが過剰発現するとされている。TNF-αは血管内皮細胞の機能不全を誘発し、血管内腔の狭小化を引き起こすことで骨格筋への血液供給を減少させる。このことから、CHF群の速筋と遅筋における骨格筋内毛細血管の退行性変化にはTNF-αが関与していたのではないかと考えられる。また、PF群の遅筋における骨格筋内毛細血管の退行性変化には、低栄養に由来するROS以外の経路が関与していたと考える。しかし、足底筋とヒラメ筋における低栄養由来のROSの過剰発現に対する両筋の反応はそれぞれ異なっていた。この点については不明であるため、低栄養に由来するROSの発現に対する筋線維タイプによる反応については今後検討していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 心不全患者における骨格筋内毛細血管の退行性変化には、心不全による因子だけではなく、栄養状態も関係していることが明らかになった。本結果より心不全患者における骨格筋の退行性変化を予防するには栄養状態のコントロールも重要であると考える。
著者
白蓋 真弥 網木 政江 浅海 菜月 桐明 祐弥 生田 奈美可 安達 圭一郎 田中 愛子
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.165-173, 2021-12-02 (Released:2021-12-24)
参考文献数
13

【目的】新型コロナウイルス感染拡大の影響により,臨地での看護学実習の機会が減少した2020年度卒業生の看護実践能力を明らかにすること,さらにコロナ禍以前に看護基礎教育を受けた2018年および2019年度卒業生の卒業時看護実践能力との比較を通して,2020年度卒業生の看護実践能力の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】2020年度卒業生77名および既卒生56名に対し,無記名選択式一部記述式の自記式質問紙調査を実施した.【結果】有効回答率は2020年度卒業生74.0%,既卒生35.7%であった.2020年度卒業生の看護実践能力の平均点が高かった項目は「看護の実施にあたり,その人の意思決定を支援することができる.」や「多様な価値観・信条や生活背景を持つ人を尊重する行動をとることができる.」等のヒューマンケアの基本に関する実践能力群に含まれるものであった.また,感染防止対策に関する項目も平均点が高かった.2020年度卒業生および既卒生の平均点を比較したところ,66項目中62項目で2020年度卒業生の平均点が有意に高かった.また,既卒生平均点の順位を基準として,2020年度卒業生平均点の順位を比較し,順位が大幅に下降した項目は,実施する看護の根拠と方法を人々に合わせ説明すること,回復期や慢性的な健康課題に関する看護等であった.一方で順位が大幅に上昇した項目は,家族アセスメントやエンドオブライフケア等であった.【結論】2020年度卒業生は一定の看護実践能力を身につけることができたと自己評価していた.しかし,臨地で実習できていないために,現実的な視点からの評価ができていない可能性があった.