著者
田中 譲治
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.131-140, 2021-06-30 (Released:2021-09-10)
参考文献数
22

デジタルデンティストリーの発展には目を見張るものがある.模型から補綴装置を製作するCAD/CAM技術は成熟期にきているなか,印象採得においても精度の優れた汎用性の高い口腔内スキャナーが開発され注目されている.著者はすでに自費治療のほぼすべてに口腔内スキャナーを用いているが,次のようにさまざまな利点やインプラント治療においても多くの臨床応用が可能となり,良好な成果を得ているので報告する.1.避けることのできなかった印象材歪や石膏歪を解消,不快感の軽減/2.ソフトウェアを利用したバーチャルならではの診査と応用/3.材料コスト削減,感染防止,搬送時間短縮/4.動揺が大きい歯でも印象採得が可能.抜歯後即時荷重への応用/5.プロビジョナルレストレーションを忠実に再現/6.インプラントオーバーデンチャーへの応用,在宅診療への応用/7.「IOSデンチャーコピー法」および「IOSコピーデンチャー法」の利用以上のように口腔内スキャナーはさまざまな利点があり,広く普及することは確実と考えられ,口腔内スキャナー時代の到来といえよう.
著者
田中 孝信
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
no.60, pp.110-124, 2009-03

イギリスの帝国主義的野心によって始まった第2次ボーア戦争(1899-1902)は、イギリス側の当初の予想に反して長期化の様相を呈する。政府は戦争を遂行するために世論を味方につけなければならなかった。それに大きく貢献したものの一つが「戦争もの」と呼ばれる大衆文学である。実際の軍隊が提供できない英雄と勝利の物語を大衆に期待されたそれらには、理想の兵士像や国家像が描き込まれる。本論では特に、これまであまり顧みられなかったドキュメンタリー・タッチの作品に焦点を当て、その主人公に据えられた「トミー・アトキンズ」像を分析した。結果として明らかになったのは、その像が孕む異質性だ。勇猛果敢で母国への忠誠心に溢れる陸軍兵卒は、将校への不満を通して社会の階級的緊張を示唆し、肉体的に退化し道徳的に堕落した現実のフーリガンと結びつく。軍隊はフーリガンを更生する役割を担う一方で、フェアプレーの精神というカモフラージュのもと、将校も兵卒もともにフーリガンと同じく残忍性を示す。既成事実化していたイギリス人とボーア人の優劣、軍隊内の秩序、文明と野蛮といったものの境界の流動化という問題が生じる。ボーア戦争は、それらの問題が今にも噴出せんとするイギリス史上初めての戦争だったのである。しかし、従来の言説に生じた亀裂は「健全な臣民」育成の大合唱によって覆い隠され、社会は「異質な要素」を孕んだまま、悲惨な第一次大戦へと突き進んで行くのである。
著者
田中 文彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.76-80, 2008-02-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
24

高分子の統計力学研究に現れた三つの数学的手法にスポットライトを当て,高分子と数学との相互交流の発展史をたどリ将来を展望する。まずループのエントロピーとアッペル関数の特異点との関係,次にゴム弾性理論で構築された不規則系理論(レプリ力理論)とそのスピングラスへの適用,最後にカスケード確率過程とゲル化反応理論を取り上げる。
著者
橋本 健志 四本 かやの 児玉 豊彦 田中 千都 平良 勝 大畠 久典 北岡 祐子 藤本 浩一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、自殺未遂歴および希死念慮がある精神障害者に対してリスクをマネージメントしながら、就労支援を行う特化型就労支援プログラムを開発しその有用性を検討することを目的に実施した。このプログラムは、医療機関と連携した特化型就労支援窓口と携帯メール自動配信サービスから成り立っている。K市内の就労支援事業所と精神科診療所外来作業療法部門の2箇所で医療機関と連携した特化型就労支援窓口を開設しその有用性を検討した。さらには、希死念慮等の精神症状を有する精神障害者に対して携帯メールを配信するプログラムを開発し、それによって希死念慮が低下し、社会資源を積極的に利用する者が有意に増加したことを報告した。
著者
佐治 悦郎 佐田 務 田中 治邦 福田 龍 堀内 知英 澤田 哲生
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.141-151, 2021

<p> 核燃料サイクルの基幹施設となる日本原燃の再処理工場とMOX燃料工場が昨年,相次いで操業に必要な安全審査に合格した。政府は長期的なエネルギー確保をめざす戦略の中で,当面はプルサーマルを推進していくとしている。とはいえ高速増殖炉の開発の見通しが不透明な中で,いわゆるプルトニウムバランスや安全性への懸念の声も聞かれる。専門家にこの問題をめぐる現況と,今後の課題や展望について論じてもらった。</p>
著者
田中 裕子
出版者
千葉工業大学
巻号頁・発行日
2020-03-22

令和元年度
著者
田中卓著
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
1985
著者
島田 薫 柄澤 智史 田中 久美子 松村 洋輔 大島 拓 織田 成人
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】集中治療室(ICU)における特発性腸腰筋血腫は抗凝固薬や抗血小板薬の投与、腎代替療法、高齢がリスク因子と考えられており、発生頻度は0.3%と稀ながら、致死率は30%との報告もある。当科でも診療機会が増えているが、典型的な臨床所見が明確でないことから、診断に苦慮することも多い。【目的】当院ICUで経験した症例から特発性腸腰筋血腫の臨床的特徴を明らかにする。【対象と方法】2016年4月1日から2018年9月15日の期間に当院ICUに入室した患者のうち、特発性腸腰筋血腫と診断された患者を診療録から後方視的に抽出した。【結果】対象期間中のICUの延べ入室患者数は4529例で、うち6例(男性4例)で特発性腸腰筋血腫を認めた。発症頻度は0.1%だった。平均年齢は66歳、いずれも片側発症で、右側5例、左側1例だった。発症前から全例でヘパリン、4例でステロイドが投与されており、4例で腎代替療法が施行されていた。自覚症状から診断に至った症例は4例で、呼吸困難、腰痛と腹部膨満、右側腹部痛、腹部緊満を認めた。他の2例は意識障害を伴う出血性ショック、原因不明の貧血進行から判明した。いずれの症例でも同時に貧血が進行していた。5例に出血性ショックを呈し、4例に血管内治療を施行し止血が得られた。1例は輸血で止血は得られたが腸管虚血を含めた臓器不全が進行し死亡した。血管内治療を施行した例では出血による死亡例はなかった。【結論】特発性腸腰筋血腫は稀な病態で、診断が遅れれば致死的になりうる。ICU患者は自覚症状に乏しい上に、確定診断に有用なCT検査の実施が容易でない場合が多い。一方で、早期に診断できれば止血術により救命できる可能性が高い。自験例では高率にリスク因子を認めた一方で貧血の進行以外に共通する臨床所見はなかったが、ショックを呈した症例は適切な止血術により救命し得た。リスク因子のある症例で貧血が進行した際には、腸腰筋血腫も念頭に置いた原因検索をすすめることが重要である。
著者
田中 由里子
出版者
日本フランス語フランス文学会関西支部
雑誌
関西フランス語フランス文学 (ISSN:24331864)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.77-86, 2010-03-31 (Released:2017-07-14)

L'attente de Dieu a deux aspects. Dieu nous attend. Et nous l'attendons. Ce double aspect se rapporte aux idees originales de Weil sur Dieu et sur l'existence humaine. Selon l'idee de la creation comme abdication de Dieu, Dieu a cree ce monde et s'est retire, en meme temps il s'est vide de sa divinite et s'est separe lui-meme. Le temps est cette separation. Dans cette creation, l'homme cree libre, une creature, vit une existence autonome, mais illusoire. Cette existence cultive l'ego-moi. A cause de cet ego, il y a une distance dans notre existence, et entre Dieu et la creature. Dans la distance, Dieu attend. Notre reponse est la decreation, la destruction du <<moi>> pour remettre ce qui est cree a l'etat d'avant la creation. Impossible, il ne faut qu'obeir a la volonte de Dieu. Mais Dieu est absent de ce monde. Le seul chemin est de suivre l'attente de Dieu. Dieu attend avec attention comme un esclave qui attend debout, sans distraction, l'appel de son maitre. L'attente de Dieu est attention, humilite et obeissance. C'est aussi notre attente.
著者
藤本 雄紀 今井 龍一 中村 健二 田中 成典 有馬 伸広 荒川 貴之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_259-I_267, 2017
被引用文献数
1

道路交通分析において,道路上に設置された様々な機器のデータを用いた定量的な分析に加えて,マイクロブログから道路利用者の意見を抽出する定性的な分析が行えるようになってきた.災害時での活用を念頭に置くと,道路管理者が瞬時に多種多様な投稿の中から信憑性の高い情報を確認できる必要がある.しかし,マイクロブログは誰もが自由に投稿できるため各投稿内容の信憑性が不明である.この特性は,災害時にマイクロブログを活用する際の弊害となっている.本研究では,投稿者の属性や投稿傾向の観点から,信憑性の高い記事の投稿者を特定する手法を考案し,その有用性を検証した.
著者
山田 和彦 田中 弘之 石見 佳子 梅垣 敬三 井出 留美
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.91-99, 2017
被引用文献数
2

<p>食品の機能性に関する表示は, 消費者が食品を選択する際の一つの有効な手段となる。保健機能食品は, 食品表示法に基づく食品表示基準に規定されており, 特定保健用食品, 機能性表示食品および栄養機能食品からなる。特定保健用食品は, 健康増進法においても規定されており, 特定の保健の用途に適する旨を表示するもので, 販売に当たり国の許可が必要である。機能性表示食品は, 2015年に新しく創設された制度であり, 事業者の責任において体の構造と機能に関する機能性表示をすることができる。販売前に機能性と安全性に関する科学的根拠資料を国に届出る。栄養機能食品は, 規格基準型の食品で, 国の許可を受けることなく栄養素の機能表示をすることができる。2015年の特定保健用食品の市場規模は約6,400億円, 栄養機能食品といわゆる健康食品を合わせて1兆5千億円と試算されている。これらの食品の機能性に関する表示は消費者に正しく理解される必要があり, 普及・啓発が重要である。これにより, 人びとの健康の維持・増進が期待される。</p>
著者
卯城 祐司 森 好紳 細田 雅也 田中 菜採 ダウズ エレノア 多田 豪 中川 弘明
出版者
全国英語教育学会
雑誌
アレレ (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.81-96, 2016

This study examined whether and how Japanese EFL readers maintain coherent narrative comprehension in their memory representations. If readers can successfully maintain coherence in their text comprehension despite encountering coherence breaks, their text memory is enhanced, but if they fail, their text memory can suffer (Otero & Kintsch, 1992). In this study, 48 Japanese EFL university students read 8 experimental narratives and performed a recall task. In each narrative, a character performed an action (e.g., "Mary ordered a cheeseburger") that was either consistent or inconsistent with a prior description of him or her (e.g., "Mary loved junk food" or "Mary was a vegetarian"). The results showed that participants recalled more descriptions and actions of the characters in the inconsistent texts than in the consistent texts, indicating that they selectively reprocessed the inconsistent information in order to maintain coherence. Moreover, most readers chose to edit the later character actions, rather than the preceding descriptions, by substituting the inconsistent actions with more neutral actions (e.g., "Mary ordered food"). These findings suggest that L2 readers slightly edited subsequent information in order to maintain coherence. Pedagogical implications are argued in terms of developing autonomous readers who can self-monitor coherence in their text comprehension.
著者
寺畑 喜朔 石見 為信 田中 行雄 丸岡 秀憲
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.564-568, 1968 (Released:2011-10-19)
参考文献数
7

It has been reported as primary steps that the blood of corpses had been taken at the time of pathological and medicolegal post mortem examination, and the following results were obtained.1) Presently after death, values of potassium and phosphorus were high.2) It has been indicated that natrium and chloride decreased.3) Calcium decreased slightly, then increased.4) It has been indicated that glutamic oxaloacetic transaminase, glutamic pyruvic transaminase and lactic dehydrogenase increased presently after death.5) Addition of the solution of ACD did not show any clear change.6) when corpses were kept in the icebox, potassium level were unchanged.

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著者
田中 肇
出版者
玉川大学ミツバチ科学研究所
雑誌
ミツバチ科学 (ISSN:03882217)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.107-113, 2000