著者
田中 敏郎 平野 亨 比嘉 慎二 有光 潤介 河合 麻理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2006 (Released:2006-03-09)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが,種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与しているものと推測されている.果物,野菜やお茶に含まれるフラボノイドは,好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンや IL-4, IL-13 などのサイトカインまた CD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する.ルテオリン,アピゲニンとフィセチンに強い活性 (IC50=2–5 μM) が認められ,また日常摂取の多いケルセチン,ケンフェロールにも中等度の抑制活性 (IC50=15–18 μM) が観察された.その作用機序として,転写因子 NFAT と AP-1 の活性化を抑制することが示された.フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで,発症や症状軽減が認められる.また,疫学研究において,フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており,適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や補完代替医療となる可能性が期待される.
著者
江原 遥 田中 久美子
出版者
言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.151-167, 2008-10

近年,国際化に伴い,多くの言語を頻繁に切り替えて入力する機会が増えている.既存のテキスト入力システムにおいては,言語が切り替わるたびに,ユーザーが手動で,テキスト入力ソフトウェア(IME)を切り替えなければならない点が,ユーザーにとって負担になっていた.この問題を解決するために,本論文では,多言語を入力する際にユーザーの負担を軽減するシステム,TypeAnyを提案する.TypeAnyは,ユーザーが行うキー入力からユーザーが入力しようとしている言語を判別して,IMEの切り替えを自動で行う.これによって,ユーザーがIMEを切り替える操作量が減るため,複数の言語をスムーズに切り替えながら入力することが可能になる.本研究では,隠れマルコフモデルを用いて言語の判別をモデル化し,モデルにおける確率をppM法を用いて推定することでTypeAnyを実装し,その有用性を評価した.その結果,人工的なコーパスにおける3言語間の判別において,96.7% の判別精度を得た.また,実際に多言語を含む文書を用いて実験したところ,切り替えに必要な操作の数が,既存の手法に比べて93%減少した
著者
多賀 光彦 田中 俊逸 吉田 仁志
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.400-405, 1980-06-05
被引用文献数
3

つり下げ式水銀滴電極中に電解された銅が2.5×10^<-5>mol dm^<-3>のヨウ化物イオンを含む溶液中に溶出されるとき,銅の溶出波は約4倍に増大し,ヨウ化物イオンによる増感効果が認められた.波高は電位掃引速度によって影響を受け2mVs^<-1>のとき最大値を示した.検量線は前電解時間を5minとしたとき(5×10^<-8>〜7×10^<-7>)mol dm^<-3>の範囲で直線となり,1×10^<-7>mol dm^<-3>のときの5回の測定による相対標準偏差値は約3%であった.検出限界は前電解時間を10minとしたとき0.2ppbであった.ヨウ化物イオンによる増感効果を利用する本法は,塩化物イオン中の銅の定量を容易にした.銅の溶出波は1×10^<-2>mol dm^<-3>の塩化物イオンの共存により不明りょうとなり,波高と濃度との比例性も悪くなるが,ヨウ化物イオンの添加によって溶出波は明りょうとなり,比例性も回復した.
著者
岩崎 雅美 田中 陽子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.945-957, 1994-10-15

In 1987 a man's shirt with a standing collar was introduced into the teaching syllabus for elementary schools as the first teaching material for Western sewing. An apron, a bib, a cap and drawers were subsequently added to the syllabus. The five garments were all Western clothing, however their designs were slightly modified or simplified in several editions of the textbooks. For example, fabric was cut down without paper patterns, and courved lines were never used for cutting fabric, which is distinctive characteristic of the Japanese kimono. The ways Japanese people wore the Western clothes in everyday life were different from the ways Western people did. A shirt and drawers were worn under the kimono, although an apron and a bib could be worn over the kimono. Also a cap could be worn with a kimono. These ways of wearing the Western clothes show that they were well suited to kimono. In addtion to the fact that Western clothing was suited to the kimono, there were other reasons why these items were selected as teaching materials for Western sewing. In this paper the reasons attributable to social and educational factors of those days are discussed as follows : (1) During the Sino-Japanese and the Russo-Japanese wars a large quantity of Western clothing including shirts and drawers had to be supplied for military purpose. (2) Some Westerners pointed out that the neckline, the wide-open edge of the sleeves, and the front opening of the Japanese kimono were not suitable for wearing in the cold season. (3) Educators tried to modify the child kimono into western-style clothing for children's use. (4) Some family magazines contained information on how to use a sewing machine and how to sew shirts and drawers for beginners in order that housewives could make those clothes more economically than purchasing them. The original properties of the Western clothes designs are to fit and be becoming to each individual wearer, to express his/her personality, and to help a wearer develop his/her self-concept. These factors seem to have hardly been taught in those days of Japanese elementary schools, since the major aim of the early teaching materials for Western sewing was on how to make them.
著者
"植松 章子 田中 昌昭"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.497-510, 2006

"スケジュール作成は,労力を要し,時間のかかる作業である.これは,法的な制約,勤務規程上の制約,あるいは個人の都合による制約など,多数の競合する制約条件の下で最適な解を探索しなければならないからである.本論文では,遺伝的アルゴリズムを用いて,臨床検査技師の日当直勤務割当て問題に取り組んだ.遺伝的アルゴリズムは,多くの組み合わせ最適化問題に適用されている探索アルゴリズムである. 川崎医科大学附属病院中央検査部は,一般,血液など13の部署に分かれ,総勢約80名の職員が勤務している.職員には,日勤の他に平日当直,土曜・日曜・祝祭日の日当直が割当てられている.副技師長は毎月勤務割当表を作成して病院へ提出することになっているが,その際,全部で8つのルールを考慮しなければならない.本研究では,それらのルールをペナルティとして適応度関数に取り込んだ. 本研究で考案した手法を用いて入念な実験を行い,2年間にわたって蓄積された過去の実績データとの比較を行った.その結果,本研究のアプローチは十分実用に耐えられることが示され,スケジュール作成エンジンとして日当直勤務割当て支援システムに組み込んだ. このシステムを利用することにより,ターンアラウンドタイムを50%短縮することができた.しかしながら,日当直勤務割当ての完全自動化を実現するためには,さらなる改良の必要がある."
著者
田中 博 木村 和央 安成 哲三
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.909-921, 1996-12-25

本研究では、モデル大気の自然変動の大きさや周波数応答特性を解析するために、簡単な順圧プリミティブ方程式モデルを長期間(1000年)積分し、その時系列のスペクトル解析を行なった。年周期強制を除いた実験では、周期約50日以上の長周期変動のスペクトル分布は一様白色であり、年々変動や百年単位の顕著な長周期変動は検出されなかった。しかし、周期約50日の特徴的な季節内振動が時系列のうえで検出され、これ以下の周期帯では周波数の-3乗に従う明瞭なレッドノイズスペクトルに遷移することが解かった。季節内振動に伴うスペクトルピークは存在しないことから、レッドノイズが一様白色に遷移する周波数で見かけ上の季節内振動が卓越することを示した。モデル大気の唯一のエネルギー供給はパラメタライズされた傾圧不安定による周期約5日の周波数帯にあり、ここから低周波数帯に向かってエネルギーが逆カスケードを引き起こし、レッドノイズやホワイトノイズスペクトルを形成している。内部力学の非線形性が卓越する周期約50日以上の周波数帯のスペクトル分布はホワイトノイズとなり、一部の線形項が卓越し大気現象の時空間スケールに特徴的な線形関係が保たれる周波数帯ではそれがレッドノイズとなると考えられる。年周期強制を導入した実験では、ホワイトノイズ内部に生じる年周期スペクトルピークが、モデルの内部力学の非線形性によりその高調波(低調波)応答を引き起こすかどうかが調べられた。実験結果のスペクトル解析によると、励起されたスペクトルピークは年周期強制によるものだけで、高調波(低調波)応答は生じなかった。この結果から、季節内振動や年々変動がもし卓越するラインスペクトルを持つとすれば、それらば外部強制として励起される必要があり、モデルの内部力学の非線形性による年周期変動の高調波(低調波)応答では生じないことが示された。
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 山田 智之 畠田 浩史 青木 栄太 笹田 森 伊藤 博康 田中 優
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.121-124, 2008

教員の情報収集を効率化するため,2006年度に開発・実証実験を行った,教員に有用なWeb情報の所在を配信するシステム"Teacher's Desktop"に,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」「マイブックマーク」の4機能を追加し,実証実験によりシステムの評価を行った.その結果,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」機能については,使用感・利便性ともに肯定的な評価を得て,教員の教育情報の効率的な検索への効果が認められた.一方,「マイブックマーク」機能に関しては,ほとんど利用されず,実装方法が今後の課題として残った.
著者
田中 正太郎 小橋川 敬博 三浦 和紀 西宮 佳志 三浦 愛 津田 栄
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.130-135, 2003 (Released:2003-05-23)
被引用文献数
3 1

In 1969, the first antifreeze protein (AFP) was discovered from the blood plasma of Antarctic Nototheniids. In the past thirty years, different types of AFP have been found in many life forms that exhibit freezing tolerance, such as bacteria, fungi, plants, insects, and vertebrates. These discoveries have evoked us many questions regarding to the antifreeze mechanism and its biological significance for preventing their tissues from freezing damage. At present, ice physicist, biologist, chemist, biochemist, molecular biologist, physiologist, and NMR and X-ray structural biologists are subjecting AFP, which greatly improves our understandings about AFP and accelerates its applicability to various cryo-industries. In the present review we will describe an updated biophysical aspects of AFP to highlight the interests of this research field.
著者
日高 哲雄 大浦 啓一郎 森田 哲之 倉 恒子 田中 明通 加藤 泰久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.244, pp.29-34, 2006-09-08

PC操作履歴は、過去に閲覧したことのあるデータを検索する際に、非常に有効な情報源となりうる。しかし、PC換作イベントをすべて保存する場合、プライバシーの問題など課題が多数存在する。そこで、本報告では、PC操作履歴蓄積に対する要求条件について検討し、その要求条件に基づき開発したシステムMemoryArchiverについて紹介する。さらに、その一機能である記憶忘却機能に関する評価実験結果について報告する。
著者
小浦 誠吾 小笠原 致道 上田 成次 高橋 康子 関 由美子 鴨居 道明 田中 十城 則武 晃二 片岡 孝義
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.96-101, 1994-08-05
被引用文献数
3

前報で水田用除草剤の処理方法としてACN発泡性大型錠剤(以下通称のACNジャンボ剤とする)の畦畔からの投げ込み方法を検討し、活性成分の水中拡散性が良く、その後の水中成分濃度の低下も早く、環境安全性にも優れていて実用性が高いことが明らかにされた。本報では、表層剥離と藻類に対するACNジャンボ剤の効果を検討し、実用性を考察した。1.50m^2規模の圃場試験によると、表層剥離に対しては、発生前〜発生盛期の処理において、速効的に高い防止効果が認められ、その後の発生も認められなかった。浮上程度60%の時期(発生率100%)の処理では、十分な効果はなく、薬量を増やす必要があると思われた。一方藻類に対しては、発生盛期の2時期の処理ともに処理1日後には効果が顕著に現れ、それ以降3週間以上にわたって抑制していた。2. 10a規模の水田試験でも、50m^2圃場での試験と同様に高い効果が認められた。3.2倍量試験でも、薬剤投入地点を含めて水稲に対する薬害は認められなかった。従って、表層剥離と藻類がすでに発生している水田でも、それらの発生盛期までの間に他のジャンボ剤との組み合わせ処理をすれば水中拡散性が妨げられることがなくなるため、そのジャンボ剤が十分にその効果を発揮することができるものと考えられた。
著者
一杉 裕志 田中 哲 渡部 卓雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.292-299, 2003-05-23

複数のクラスにまたがるコードを分離して記述できる言語として,アスペクト指向言語がある.独立して開発されたアスペクトであっても,個々のアスペクトが何らかのルールに従って設計されていれば,複数同時に組合わせて動作させることが可能であるとわれわれは考えている.本論文ではそのようなルールを見いだし検証するための第一歩として,安全に結合可能なmixinを提供するためのルールを検証する方法について述べる.ルールの記述および検証には, Design by Contractやbehavioral subtypingの考え方を用いる.
著者
白松 利也 栗田 昌幸 三宅 晃司 SUK Mike 大木 聡 田中 秀明 三枝 省三
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2005, no.5, pp.285-286, 2005-09-18

In order to realize ultra-low flying heights, magnetic spacing variations due to manufacturing tolerances, environmental variations, and write-induced thermal protrusion need to be reduced. To decrease the flying height, we have developed a thermal flying-height control (TFC) slider that carries a micro-thermal actuator. Using the device, the magnetic spacing of these sliders can be controlled in-situ during operation of the drive. First prototype had shown insufficient characteristics when evaluated at a component-level prototype. Therefore, the purpose of this research is to verify drive-level feasibility and better actuator characteristics. After analytical design by simulation of heat transfer and thermal deformation, second type of TFC device was fabricated. Component level evaluation showed sufficient actuator characteristics that met the requirements leading to the development of drives with controllable flying-height sliders. Drive level evaluation showed its effectiveness in reducing the magnetic spacing.
著者
栗田 昌幸 白松 利也 三宅 晃司 加藤 篤 曽我 政彦 田中 秀明 三枝 省三 SUK Mike
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2005, no.5, pp.283-284, 2005-09-18

Today's head/disk interface design has a wide flying height distribution due to manufacturing tolerances, environmental variations, and write-induced thermal protrusion. To reduce the magnetic spacing loss due to these effects, we have developed an active head slider with nano-thermal actuator. The magnetic spacing of these sliders can be controlled in-situ during operation of the drive. After simulating the heat transfer in the slider and resulting thermal deformation of the air-bearing surface, we fabricated a thermal actuator by thin film processing. The evaluation by a read/write tester showed a linear reduction in magnetic height as electric power was applied to the actuator. The actuator's stroke was 2.5nm per 50mW with time constant of 1 msec. We found no significant impact to the reliability of the read element.
著者
原田 茂樹 岩田 明彦 田中 正明
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.59-63, 1997-02-13
被引用文献数
1

40インチを超かる高精細AC-PDPの開発を行っている。一般にPDPの解像度を上げると維持電極幅が狭くなるため、輝度が減少する。輝度が減少しないように維持電極幅を広くすると隣接ラインのとの距離が狭まり、隣接ラインとの間で放電が生じ、維持電圧マージンが急激に減少する。我々は、この現象が維持電圧バルスの波形条件に強く依存していることを見出し、維持電圧パルスを制御することによって、隣接ラインとの誤放電を防いだ。
著者
植木 正裕 徳永 健伸 田中 穂積
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.85, pp.45-51, 1997-11-12

本論文は、GLR法における圧縮共有の効率を改善する手法を提案する。GLR法では、圧縮共有統語森により解析の高速化をはかつているが、冨田によるGLR法の実誇では、アクションのコンフリクトによって枝分かれした複数のスタックの間で解析のタイミングがずれるために、共有できるシンボルの生成のタイミングもずれることがある。このため、スタックの完全な圧縮共有ができているとは限らず、同じ解析動作が重複して行なわれたり、完全な圧縮共有統語森が生成できないこともある。本論文で提案するGLRパーズの手法では、枝分かれしたスタックの間での解析のタイミングを制御し、スタックの共有化のタイミングを早め、完全な圧縮共有統語森を作成することができる。これにより、解析の高速化と使用メモリ空間の削減を同時に実現できる。In this paper we propose a method to improve efficiency of GLR parsing. Tomita's GLR implementation uses two data structures, graph-structured stack and packed-shared parse forest. Both structures help us avoid applying same parsing action repeatedly to save parsing time and memory space. However, his implementation misses a chance to share data structures. To the contrary, our method not only keeps the advantage of Tomita's implementation but also allows data structures to be completely shared. Experiments show our method exceeds in both time and space efficiency compared to Tomita's method.