著者
石橋 順子
出版者
名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻
雑誌
言葉と文化 (ISSN:13455508)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-67, 2010-03 (Released:2010-08-31)

今日働く母親の子育てや少子化といった問題は大きな社会問題である。歴史を振り返れば子育てに関して、日本だけでなく世界の多くの国が「乳母」という育児法を生み出している。日本では「乳母の制度」は王朝、貴族の時代、また武士の時代では権力と富を持つ者たちのためのものだったが、時代が下がるにつれて広がりを見せ、江戸時代には「御乳母日傘」で育つことは江戸っ子の条件でもあったという。貴族や武士の時代、乳母は権力者の傍にいたため、乳母の職は、自身や一族が権力を獲得する要石ともなった。乳母の養い君あるいは君主に対する姿勢は封建的な主従関係を脱するものではなかったが、権力者の近くにいることが横暴とも見える振る舞いを許すことになったことが「枕草子」や江戸時代,俗に言われた諺「船頭、馬方、御乳の人」などで知ることができる。しかしこのような乳母の制度は今日まったく見られない。本論は日本の乳母の制度がいつまで存在し、どのように衰退していったのかを明らかにしようとする。その原因を探るため明治期以降の乳母に関する言説を取り上げその変化を見ていきたい。
著者
石橋 賢 Toni Da Luz Remy Eynard 北 直樹 姜 南 瀬木 宏 寺田 圭介 藤田 恭平 宮田 一乘
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.J11-J16, 2012 (Released:2011-12-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

In our entertainment VR application, the user can move freely through a virtual city by using a web like SpidermanTM. In this application, the user wears a web shooter, which is a device to shoot webs, and takes aim at a target building. Then, when the user swings his/her arm ahead, a web is launched and it sticks to the target building on the screen. After the web sticks to the building, the user's arm is pulled in the direction of the target building by a pulling force feedback system, which gives the feeling of pulling to the user directly and smoothly, as if he/she were attached to an elastic string. Finally, the user moves to the target building. In three exhibitions, we surveyed the effectiveness of the application by questionnaire. We were able to confirm that a lot of users had enjoyed and were satisfied with our VR application.
著者
播磨 裕太 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.18, pp.1-6, 2014-02-20

現在実装中の P2P ネットワークを用いた分散型マイクロブログサービス KiZUNA の設計について述べる.KiZUNA はサーバを必要としない Pure P2P 型のシステムとして実現する.メッセージの購読と配送には構造化 P2P ネットワークの 1 つである Skip Graph を用いた ALM(Application Level Multicast) を用いる.また,ハッシュタグ,全文検索,検索ストリーム,複製管理などの方式についても述べる.
著者
秋山 雄次 鈴木 輝彦 田中 政彦 小林 厚生 片桐 敏郎 石橋 俊子 北川 秀樹 今井 史彦 原 清 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.542-547, 1990

混合性結合組織病(MCTD)として経過観察中に強皮症(PSS), 全身性エリテマトーデス(SLE), 多発性節炎(PM), シェーグレン症候群(SjS)の重複症候群に進展した1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で18歳より日光過敏症があった.昭和61年レノイー現象, swollen hands, 関節痛が出現し, 抗RNP抗体81920倍, 抗Sm抗体陰性, 血清CPK値上昇を認めたため, MCTDとして経過観察を開始, 昭和63年多関節痛, 節痛の増強を主訴に入院.理学所見では開口制限, 皮膚硬化, 筋力低下, ラ音を認め, 検査所見では節原性酵素の上昇, LE細胞, 抗核抗体, 抗DNA抗体, 抗ENA抗体, 抗SS-A抗体を認めた.又, 皮膚生検でPSSに一致した組織所見, 節電図で節原性変化, 口唇生検で慢性唾液腺炎像, 腎生検にてメサンギウムの増殖性変化を認めた.MCTDの概念, 殊に重複症候群との差異は明確でなく, さらなる症例の蓄積・検討が必要である.MCTDの経過中にPSS, SLE, PM, SjSへ移行した報告は見当たらず, MCTDの研究上, 貴重な症例であると思われた.
著者
壱岐 貞昭 石橋 辰夫 新山祐介 白井 清昭 田中 穂積 徳永 健伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.53, pp.95-95, 2000-06-01

「傀儡」は、自然言語によって仮想空間上のソフトウエアロボットを制御するシステムである。ユーザは音声により仮想空間上のロボットやカメラに対して指示を与えることができる。システムはその指示を解析し、意図を理解し、その意図に適した動作をソフトウエアロボットに実行させる。また、本システムは照応・省略という言語現象を扱うことができる。これらを解決するために、各ロボットは照応や省略の対象となる名詞句を保持するためのデータベースを持っている。そして、ユーザの指令から発話行為を分析し、対話の主題を推測しながらこれらのデータベースを更新することによって照応や省略を解決する。この際、ロボットやカメラからの視覚情報も用いている。Kairai is a system which controls software robots in a virtual space according to natural language commands. The user can control the robots or camera by voice. The system analyses the command and understand the intention of the command. The software robots executes a set of actions congruent with the command intention. The system can also handle anaphora and ellipsis. Each robot has a database containing noun phrases from the preceding discourse which may form the antecedent of anaphoric or elliptical references, to aid in solving these phemonena. The system extracts the speech act from the user command, and guesses the topic of conversation in the process of updating each robot database, also relying on information on the view angle of the robots and camera.
著者
川原 宇央 石橋 裕 石橋 仁美 石井 良和
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.294-304, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
16

本研究は,日本で行われている人間作業モデル(以下,MOHO)に基づく作業療法実践の特徴を検討することを目的とした.方法は日本で発表されたMOHOを用いた事例報告を対象に計量テキスト分析を行い,テキストデータからMOHO実践の特徴を捉えた.その結果,最も多く実践で用いられる治療戦略は“明らかにする”であった.また,日本のMOHO実践は7つのカテゴリに分類された.これらのカテゴリのなかでも,クライアントと作業の関係性を明らかにすることに重きを置いていた.実践家はMOHOにより明らかになった作業を基にクライアントの支援を組み立てていた.
著者
石橋 宏之 太田 敬 杉本 郁夫 竹内 典之 永田 昌久 本多 靖明
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.217-222, 2002 (Released:2022-06-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ナットクラッカー症候群(左腎静脈捕捉症候群)は,左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈との間で圧迫され,左腎静脈還流障害から血尿,腰痛などを呈する疾患である.症例1:24歳,男.15歳時から肉眼的血尿と左側腰痛を認めた.貧血はなく,腎機能は正常であった.上腸間膜動脈-大動脈間距離は4mm,左腎静脈-下大静脈圧較差は6.8cmH2Oであった.症例2:16歳,男.11歳時から肉眼的血尿を認めた.軽度貧血があったが,腎機能は正常であった.上腸間膜動脈-大動脈距離は6mm,左腎静脈-下大静脈圧較差は5.4cmH2Oであった.いずれも左腎静脈転位術を行った.症例1は症状が消失した.症例2は吻合部が閉塞したが,保存的治療により軽快した.左腎静脈転位術は,左腎静脈が下大静脈に流入する部位を切離し,大動脈-上腸間膜動脈間距離が広い尾側に再吻合するものである.侵襲も少なく,確実な術式であるが,2例目が閉塞したのは反省すべき点であった.
著者
稲垣 航大 久米山 幹太 石橋 澄子 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.23-00079, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
9

コンパクトシティを実現する上で政策に対する市民認知の重要性が指摘されている.そのような中,国土交通省の調査によるとコンパクトシティ政策に対する市民の自称認知は総じて低いことが示されている.そこで本研究では,市民のコンパクトシティ政策に対する内容を誤って認知していないか(誤認)について独自のアンケート調査を行った.分析の結果,1) 中山間地域からの撤退やタワーマンションの建設をコンパクトシティ政策だと高い割合で誤認されていること,2) 自称認知度が高いグループにおいて,むしろ誤認の割合が高くなることを明らかにした.自称認知度が高いグループは,行政に対する信頼も高いため,自治体がコンパクトシティ政策に関して提供している情報自体が誤認を招く内容になっている可能性があることに留意が必要である.
著者
堀口 逸子 本田 恭平 高田 拓哉 石橋 由基
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-92, 2022 (Released:2022-01-31)
参考文献数
30

本報告では,医療提供者とがん患者との間で行われる,医薬品の使用に伴う避妊の必要性に関するリスクコミュニケーションについて考察する.20歳代から40歳代の男女2,000人を対象に,Webサイトを利用した質問紙調査を実施した.10の用語のうち,最も認知率が高かったのは「抗がん剤」で79.8%だった.しかし,半数以下の用語で,認知率が20%以下だった.これらの結果から,医療提供者は情報提供の際に,コミュニケーションスキルを駆使する必要がある.「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」は,患者に対して正確な情報を提供するためのツールになる.ホームページ上の表現を精査したり,用語集を用意したりすることで,医療提供者と患者双方のコミュニケーションの負担を軽減し,理解を促進することができると考えられる.
著者
高本 亜希子 池中 良徳 杉本 真夕 岩野 まな美 福島 聡 一瀬 貴大 中山 翔太 高橋 圭介 加藤 恵介 石橋 弘志 石塚 真由美 有薗 幸司
出版者
Japanese Society of Food Chemistry
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.17-27, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1

In this study, we determined the concentration of seven neonicotinoid insecticides and 13 of their metabolites in 46 bottled greentea beverages, and estimated the daily intake of neonicotinoids in adults and children from these drinks. Liquid chromatography coupled with electrospray ionization tandem mass spectrometry (LC–ESI/MS/MS) analysis revealed that six neonicotinoids and two metabolites were detected in bottled green-tea beverages, and the 50th percentile concentration indicated dinotefuran > thiacloprid > clothianidin > imidacloprid > thiamethoxam > acetamiprid > N-desmethyl-acetamiprid > thiacloprid-amide. The concentration and composition profile of neonicotinoids in bottled green-tea beverages were different between brands; however, no significant differences were observed among manufacturing sites. The concentration of acetamiprid in bottled green-tea beverages was significantly correlated with that of N-desmethyl-acetamiprid. A significant relationship between concentrations of thiamethoxam and clothianidin in bottled green-tea beverages was also observed, suggesting those neonicotinoids are metabolized during the tea leaves cultivation period. The daily intake for neonicotinoids in both adults and children from consumption of bottled green-tea beverages was < 2.1% when compared with the acceptable daily intake (ADI) of neonicotinoids.
著者
山田 充哉 石橋 亮 河村 功一 古丸 明
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.926-932, 2010 (Released:2010-11-01)
参考文献数
31
被引用文献数
6 13

日本に分布するマシジミとタイワンシジミの類縁関係を明らかにするため,形態,両種の倍数性,mtDNA の配列情報を分析した。殻色によりマシジミ,タイワンシジミ黄色型及び緑色型に識別したところ,何れにおいても 2 倍体と 3 倍体が確認された。mtDNA のチトクローム b 塩基配列に基づく系統樹では 2 クレードが確認されたが,形態,倍数性の何れとも対応しなかった。また,両種に共通するハプロタイプが認められた。従って,両種は遺伝的に識別不可能であり,別種として扱うかどうかについては再検討が必要と考えられる。
著者
石橋 洋 Ishibashi Hiroshi
出版者
旬報社
雑誌
労働法律旬報
巻号頁・発行日
vol.1567・68, pp.47-51, 2004-01-25

個別的労使関係法・第2回
著者
石橋 正子
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.29-50, 1986-03-15 (Released:2020-03-31)
著者
真鍋 大度 石橋 素
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.279-287, 2017-10-15

筆者らは2005年ごろよりアートパフォーマンス作品の制作に携わるようになり,2010年ごろからはエンタテインメントの領域でも活動を続けている.主にテクノロジーを用いた舞台・ステージ表現を開発,実践してきたが,それらは映像表現だけによらず,物理的なオブジェクトや装置を伴うところが大きな特徴の1つである.本稿では,過去に筆者らが実践した具体的な事例を,作品に用いた物理的なオブジェクト・装置に着目して「空中移動体」「飛翔体」「地上移動体」「発光体」という4つのカテゴリで総括し,その表現の狙いや,実装手法・制作手法とその工夫点などについて述べる.これらは技術を見せるためのものではなく,新しい演出や表現を支えるものである.そのためには高い安定性・確実性が必要であり,開発したハードウェアの検証,ソフトウェア・シミュレータの機能の充実,人と物・技術の融合した演出の制作環境の整備も積み重ねてきた.