著者
松永 浩昌 中野 秀樹 石橋 陽一郎 中山 健平
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.178-184,277, 2003-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

日本におけるサメ類の種別・漁法別水揚量を明らかにする目的で,主要な漁港で市場伝票整理に基づくサメ類の水揚量調査を行なった。製品重量では1992-98年の漁法全体で年平均19,600卜ン,延縄で15,000卜ンの内,ヨシキリザメが11,600トン(59%),11,000卜ン(73%)であった。更に生体重量に換算した結果,全漁法で年平均28,700卜ン,延縄23,400トンとなり,同様にヨシキリザメが18,800卜ン(66%),17,800卜ン(76%)であり,何れの場合も6~8割程度がヨシキリザメで占められていた。ヨシキリザメ以外ではネズミザメ,アオザメが10%前後,オナガザメ類が5%程度と,比較的多く水揚されていた。また,これら主要種の水揚量が減少しているような傾向は見られなかった。
著者
石橋 正 西川 弘之 釆 輝昭 中村 洋
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.6, pp.351-360, 2008 (Released:2008-12-12)
参考文献数
30
被引用文献数
10 10

ブロナンセリン(ロナセン®)は大日本住友製薬株式会社で創製された新規抗精神病薬であり,ドパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体に対する強い遮断作用により抗精神病作用を発現する.リスペリドンやオランザピンといった第二世代抗精神病薬の多くはセロトニン5-HT2A受容体結合親和性がドパミンD2受容体より高いが,ブロナンセリンでは逆にドパミンD2受容体結合親和性がセロトニン5-HT2A受容体よりも高く,ドパミン-セロトニンアンタゴニストと呼ぶべき特徴を持っている.また,アドレナリンα1,ヒスタミンH1,ムスカリン性アセチルコリンM1など,他の受容体への結合親和性は低いことから,ブロナンセリンは極めてシンプルな受容体結合特性を有する新しいタイプの第二世代抗精神病薬といえる.更に,各種動物試験より,本薬が第二世代抗精神病薬の特長といえる「臨床用量での精神症状改善効果と副作用の分離」を示すと考えられた.臨床試験ではハロペリドールとリスペリドンのそれぞれを対照とした2つの国内二重盲検比較試験を実施し,いずれの試験でも精神症状改善効果の対照薬に対する非劣性が検証され,特に陰性症状の改善効果はハロペリドールより高かった.また,有害事象や副作用の発現割合では,ハロペリドールより錐体外路系症状や過度鎮静が,リスペリドンより高プロラクチン血症,体重増加,食欲亢進,起立性低血圧が少なかった.長期投与試験でも効果は維持され,目立った遅発性有害事象の発現はなかった.これらのことより,ブロナンセリンの持つドパミン-セロトニンアンタゴニストと呼ぶべき特徴と選択性の高い極めてシンプルな受容体結合特性は,医療現場で有効性と安全性のバランスがとれた高い治療有用性を発揮し,統合失調症の急性期から慢性期まで幅広く使用できるfirst-line drugに位置付けられることが期待される.
著者
石橋 正信 馬場 俊孝 高橋 成実 今井 健太郎
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.125-142, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
12

南海トラフの沈み込み帯において,M9クラス巨大地震とそれにともなう巨大津波の発生の可能性が内閣府により指摘されて久しい。この津波被害想定によると,地震域近傍の沿岸地域では地震発生から数分後に巨大な津波が到達してしまうため,津波防災に向けた行動計画の再構築や人的被害軽減のための迅速な対応策の検討が極めて重要になる。その対応策のひとつとして,高速かつ高精度な即時津波予測が有効と考えられる。本研究では,地震と津波観測に向けた稠密海底観測網(DONET)による沖合観測網を利用した即時津波予測システムを構築し,和歌山県沿岸6地域において実装を行い,その有効性の検討を行った。本システムにより,地震と津波の初動到達時間を即時評価できること,沿岸津波高や浸水域の即時予測が可能であることを示した。さらに,1944年昭和東南海地震の事例と内閣府のM9クラス巨大地震の波源シナリオを用いて本システムの予測精度を検証した。本システムで即時予測される沿岸津波高や浸水域面積はやや過大評価傾向にあるものの,おおむね安全側の予測結果となり,津波防災上有効なシステムであることを示した。
著者
景山 一郎 栗谷川 幸代 山内 ゆかり 石橋 基範 鳥居塚 崇 山田 多恵子 青木 和夫 時田 学
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.431-437, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

高度運転支援に用いるためにドライバの運転動作を表現するドライバモデル構築を行う.前報では主にフィードフォワード項を用いたドライバ行動の検討を行ったが,本報では,主にフィードバック項を用いたドライバ評価の可能性について検討を行う.フィードバック項は主に前方注視三次予測モデルを用い,実路におけるドライバの運転動作解析を行う.
著者
木下 広章 柴田 久 石橋 知也 雨宮 護 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.350-356, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
8

本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
著者
薛 微微 石橋 勇人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2015-IOT-28, no.3, pp.1-6, 2015-02-26

携帯電話網に代表されるように,近年インターネットへのアクセス手段が多様化しており,それにともなって外出先からのリモートアクセスのニーズが高まっている.このような場合によく使用される手段の 1 つに SSH があるが,パスワード管理の甘さを利用しようとする SSH への攻撃は後を絶たない.そこで,SSH サーバへの攻撃を防止するとともに,攻撃者の活動を観察可能とするため,OpenFlow と SSH ハニーポットを利用した攻撃防止手法を提案する.本手法は,SSH サーバに対するアクセスパターンを調べることによって攻撃を検出し,攻撃者からのアクセスを SSH ハニーポットへと誘導する.
著者
太田 能之 石橋 晃
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.81-89, 1995-03-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
8 11

メチオニン欠乏および過剰によるブロイラーの生産能の低下とそれに対するグリシンの緩和効果の理由を明らかにするため,2つの実験を行った。実験1では,トウモロコシ-大豆粕飼料に段階的にメチオニンを添加してブロイラーの最大生産能の至適なメチオニン水準を求あた。実験2では不足および過剰メチオニン飼料給与時の生産能低下に対するグリシンの緩和効果について調べた。最大成長はメチオニン水準は0.46%,最大成長の70%は0.26および1.56%で得られた。そこで試験2では0.26%, 0.46%と1.56%区を選び,それに0.6%のグリシンを添加した。メチオニン過剰により成長は70%まで低下したが,グリシン添加によって88%まで緩和された。メチオニン欠乏による成長低下はグリシンでは緩和されなかった。体重に差がないにも関わらず,腹腔内脂肪含量はメチオニン過剰では欠乏時に比べ低かった。腹腔内脂肪含量はグリシン添加によって60%までしか回復しなかった。血漿メチオニン濃度はメチオニン過剰飼料によって急激に増加し,グリシン添加によって減少した。血漿グリシン,トレオニンおよびセリン濃度はメチオニン過剰によって低下しなかった。
著者
本田 直 石橋 舞 鳥居塚 崇
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.Supplement, pp.S200-S201, 2016-06-25 (Released:2016-10-15)
被引用文献数
1
著者
坂西 雄太 大内 啓 玉井 美恵子 長田 晴香 石橋 悟 杉岡 隆
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Supplement, pp.108-112, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
15

東日本大震災時の石巻医療圏において医療的避難所「ショートステイベース」が2011年4月上旬に設置され, 同年5月下旬より日本プライマリ・ケア連合学会東日本大震災プロジェクト (Primary Care for All Team ; PCAT) が運営した. 多職種で協働し, 「避難所以上入院未満」の要治療・要処置患者および集団避難生活が困難な被災者を受け入れ, 包括的医療支援を行った. 石巻医療圏内の保健師や医療・福祉・介護機関と連携し, 圏内ネットワークの再構築も試みた. 105日間の運営で, 入所者は32名, 平均年齢59.6歳, 平均入所期間12日間, 入所理由は要治療・処置75%, 要感染症隔離15.6%, 社会的入所9.4%であった. 今後の災害時の医療計画においては, 災害慢性期から復興期まで含め, 様々な背景の被災者を支える避難所や被災地域の医療・福祉連携を支えるシステムの構築が必要である.
著者
石橋 賢 宮田 一乘
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.77-85, 2013 (Released:2013-02-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1

This paper presents a simple font search method using an interactive genetic algorithm and similarity search. We see various types of fonts are used in many graphic designs. Various choices are available when selecting suitable fonts for presentation slides or website designs. However, the existing methods used for selecting fonts become tedious as the number of fonts increases. Our method provides an effective font search process based on visual similarity. In two experiments, we affirm that our method is effective in searching for a desired font, helping users to obtain a font suitable for an alphabetic (or non-alphabetic) character. In particular, our method allows users to search a font suitable for some words in less than half or one-third time that the user selects a font from a font list.
著者
石橋 忠良 大迫 勝彦 深尾 康三
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.39-45, 2004-07-01
参考文献数
3
被引用文献数
1

JR東日本では, 列車通過時等の騒音ならびに振動が大きな課題となっている高架下において, 高品質の居住環境を実現できる「吊り免振工法」を (株) 竹中工務店と共同開発した。この吊り免振工法は, 高架橋の柱際に鉄骨造の支柱と梁でフレームを構成し, そのフレームから上下に防振ゴムを備えた吊り材で建物を懸架する構造である。この吊られた建物は, 地震や強風の時にはブランコのように横方向にゆっくりと動き, 建物や高架橋への水平力を大幅に低減することができる。実物大試験体による実験と詳細な解析により, その防振防音効果と地震時に荷重増による高架橋への影響がほとんどないことを確認した。列車による室内での振動は, 列車通過時に日本建築学会の居住性能評価指針による寝室 (住居) として望ましいレベル (V-0.75) を達成でき, 騒音は日本建築学会の遮音性能基準におけるホテル・住宅レベル (3級) として適切な環境を達成した。今回, この工法を採用したホテルを京葉線舞浜駅高架下に建設した。