著者
内野 隆之 石田 直人
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.25-39, 2017-04-05 (Released:2017-04-12)
参考文献数
46
被引用文献数
2

三重県志摩半島の秩父累帯南帯には,中期~後期ジュラ紀付加体からなる築地層群と中期ジュラ紀~前期白亜紀浅海層からなる今浦層群が分布する.5万分の1地質図幅「鳥羽」を作成する過程で,両層群の泥岩から中期及び後期ジュラ紀の放散虫化石を見出し,多くの化石種を基に,より精度の高い堆積年代を示すことができた.築地層群の泥岩はカロビアン期前半~中頃を,そして今浦層群の泥岩はバトニアン期中頃~カロビアン期後半,カロビアン期後半~オックスフォーディアン期中頃,チトニアン期前半という3つの時代を示すことが明らかになった.これらの時代はこれまで報告されていた年代データの範囲に収まる.
著者
岡田 倫明 清地 秀典 永岡 智之 中川 祐輔 山内 達雄 石田 直樹 今井 良典 中村 太郎 岡田 憲三 梶原 伸介
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.350-356, 2015-04-01 (Released:2015-04-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は20歳の男性で,抗生剤抵抗性の発熱,咽頭痛,激しい乾性咳が2週間継続し,突然の左側腹部痛を主訴に当院救急受診した.採血にて肝機能異常,リンパ球優位の白血球上昇,異型リンパ球の出現,EBV-VCA-IgM抗体の陽性,EBNA抗体陰性を認めた.また,CTにて脾腫,脾損傷,腹腔内出血を認めた.Epstein-Barr virus感染による伝染性単核球症(infectious mononucleosis;以下,IMと略記)からの脾腫に伴う脾破裂と診断し緊急手術を行った.腹腔内に500 mlの出血を認め,脾腫,被膜損傷を伴っていた.術後IMに非典型的な,咳嗽が続き,マイコプラズマ抗体が入院時の8倍の上昇を認めた.マイコプラズマ肺炎の合併による咳嗽からの腹圧の上昇が脾破裂の誘因と考えられた.IMによる脾破裂はまれであり,マイコプラズマ肺炎の合併から脾破裂に到った報告例はなく,非常に貴重な症例と考えられた.
著者
石黒 梓 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017

<p> 健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである.</p><p> 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した.</p><p> 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった.</p><p> 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.</p>
著者
三田 勝己 石田 直章 赤滝 久美 伊藤 晋彦 小野 芳裕 沖 高司
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.563-566, 1993-08-18

二分脊椎患者の立位姿勢における身体動揺を床反力作用点の軌跡として記録し,これを手掛りに彼らの姿勢調節能力に検討を加えた.対象はL_3〜_5麻痺レベルをもち,屋外歩行が可能な二分脊椎患者(9〜18歳)とした.患児の前後方向の身体動揺は装具を装着した開眼の状態がおおむね健常者の閉眼時に相当し,閉眼するとその2倍に増大した.装具の有無は身体動揺と密接な関連を示したが,その影響は開眼,閉眼時の違いほど大きくはなかった.左右方向の身体動揺量は前後方向より幾分か少なかったが,類似した特徴を示した.しかし,装具の有無との関連は前後方向より低かった1
著者
西山 明宏 石田 直 吉岡 弘鎮 橘 洋正 橋本 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.140-143, 2016-03-25 (Released:2016-03-30)
参考文献数
13

背景.漢方薬が原因の薬剤性肺障害にはしばしば遭遇する.症例.普段より活発で継続的な薬剤服用歴のない65歳・女性が,感冒予防のために約1カ月にわたり葛根湯を内服し,急性呼吸不全で当院を受診した.病歴から葛根湯による薬剤性肺障害を疑い,気管支肺胞洗浄と経気管支肺生検で診断確定とした.結語.医療従事者だけでなく非医療従事者も,漢方薬による有害事象と予防内服の危険性について認識するべきと思われる.
著者
守殿 貞夫 松島 敏春 岡本 了一 青木 信樹 小田切 繁樹 荒川 創一 相川 直樹 岩田 敏 坂巻 弘之 石田 直文 池田 俊也 矢島 秀一 池上 直己 森 和彦 紺野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.517-553, 2002-08-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
28

過去5年間に当院で入院治療を行った市中肺炎, 院内肺炎の経験をふまえて, 呼吸器感染症 (肺炎) に対する抗菌薬治験の進め方について発表し, 以下の結論を得た。80歳以上の高齢者および重症感染症に対する抗菌薬の治験はまったく実施されていないといえるが, もっとも抗菌薬が必要とされる対象であり, 有効性安全性の検討が第III相までにある程度なされるべきであろう。市中肺炎のみの臨床治験の実施で薬剤が製造承認され, 院内肺炎に対して使用されている。院内肺炎に対する臨床治験も今後必要となろう。内服βラクタム薬の投与量は体内動態, ブレイクポイントMICなどを考慮し再考を要する。
著者
石田 直
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.245-249, 2011

肺炎は高齢者における主要な死因の一つであり,肺炎球菌は高齢者肺炎の最も多い原因菌である.23価の肺炎球菌多糖体ワクチンは,高齢者の侵襲的な肺炎球菌による感染症リスクを減少させ,死亡率を低下させることが内外の検討で報告されている.現在,日本での高齢者の接種率は欧米に比してきわめて低く,これを向上させるためには,医療者および国民への啓蒙と自治体の公費負担制度の導入が必要である.
著者
三宅 美行 西田 幸一 東谷 房広 宇治 達哉 兵頭 昭夫 石田 直文 釆見 憲男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.156-163, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vivo抗菌力を既存のβ-lactam系抗生物質と比較検討した。マウス全身感染治療実験においてTAZ/PIPCの治療効果はβ-ラクタマーゼ非産生のEnterococcus faecalisでpiperacillin (PIPC) と同等であったがβ-ラクタマーゼ産生株では優れていた。E. faecalisとEscherichia coliの混合感染およびStaphylococcus aureusとPseudomonas aeruginosaとの混合感染でTAZ/PIPCはPIPCより優れた治療効果を示した。尿路感染治療実験でTAZ/PIPCはP. aeruginosa単独, Proteus vulgarisとP. aeruginosaの混合感染共にPIPCより速やかな腎内生菌数の減少が観察され, 感染5日後ではPIPCより1/100以下に低下していた。Klebsiella pneumoniaeを用いた呼吸器感染治療実験でTAZ/PIPCはsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) とほぼ同等の効力を示しPIPCより有意に優れていた。以上によりTAZ/PIPCは全身, 局所感染治療実験において優れた治療効果が認められた。特にβ-ラタマーゼ産生菌との単独, 混合感染において優れていた。
著者
佐川 久美子 佐々木 徹 大谷 敏夫 兵頭 昭夫 石田 直文 西川 昌子 梅野 幸彦
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.263-276, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
13

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC; tazobactam: piperacillin=1: 4) の体内動態を解明するために, bioassay法およびHPLC法により, tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の分別定量法を検討した。Bioassay法において, TAZはそれ自身の抗菌力が弱いため, 培地中にcefoperazone (CPZ) を150μg/ml添加し, CPZ高度耐性でβ-lactamaseを産生するEscherichia coli 603を検定菌とする方法により, 定量が可能であった。PIPCはMicrococcus luteus ATCC 9341を検定菌とするbioassay法により, TAZの影響をほとんど受けずに測定可能であった。HPLC法においては, Inertsil ODS-2カラムを用いることによって, TAZ, PIPCおよびPIPCの活性代謝物desethyl-PIPCを同時に分別定量することが可能であった。また, TAZの非活性代謝物M-1についてはDevelosil ODS-5カラムを用いることにより定量可能であった。Bioassay法とHPLC法の相関関係について, ヒトの血漿および尿を用いた添加回収試験で検討した結果, 両者間には良好な相関関係が認められた。
著者
内田 康之 石田 直也 杉本 実夏 青木 岳史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2017 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1P2-O02, 2017 (Released:2017-11-25)

When terrorism occurred at tunnel of the subway, the police and Japan Self Defense Forces have to scout in the tunnel while confirming the safety in the tunnel. It’s said that they need the robot which does such dangerous work for the unit. So we have developed the information gathering robot which can travel on the railroad track of the subway. This robot can pass easily a gap and a curve of a rail by a bogie mechanism. In this report, we describe the driving performance of this robot.
著者
三宅 美行 朝長 正志 東岡 俊之 山田 雄次 石田 直文 兵頭 昭夫 井上 松久 三橋 進
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement5, pp.128-139, 1988-10-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
14

新しいセファロスポリン系抗生物質であるCefodizime (THR-221) のin vivo抗菌力を調べたところ, 正常および実験的感染防御能低下マウスでの感染に対し優れた治療効果を示した。更にTHR-221のin vivoでの優れた効果を解明するために, 生体防御因子との関連について検討を行い, 以下の知見が得られた。1. THR-221は感染防御能低下マウス (X線, Adriamycin処理) においても優れた治療効果を示し, ED50値は正常マウスに近く, Cefotaxime (CTX), Cefoperazone (CPZ) よりもはるかに優れていた。2. K. pnemoniu感染治療時におけるマウス腹腔内浸出細胞 (PEC) のacid phosphatase活性は, THR-221 500mg/kg治療群において上昇し, CTX, コントロール群のそれよりも高かった。3. THR-221 1/4MIC存在下においてPECのK. pneumoniaeに対する殺菌作用は増強した。その殺菌作用はTHR-221単独に比べ40.7倍強く, CTXの7.1倍よりも優れていた。4. THR-221前処理菌はPECのNitro Blue Tetmolium (NBT) 還元能をCTX, 無処理菌のそれよりも有意に上昇させた。5. THR-221前処理菌はマウス腹腔内において食細胞に食菌されやすくなり, 感染後, 菌の再増殖は認められなかった。CTX前処理, 無処理菌は感染後6時間で再増殖し, マウスは全数死亡した。K. pneumoniaeのマウス感染力はCTX前処理, 無処理菌に比較して, THR-221前処理において著しく低下した。PECのライソゾーム酵素の上昇, PECとの殺菌増強作用, NBT還元能の上昇等これらの結果より, THR-221の優れたin viro作用は生体防御因子との協力的な殺菌作用に優れていることが一因と考えられた。
著者
宇治 達哉 古川 哲心 清水 千絵 兵頭 昭夫 石田 直文 戸塚 恭一 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-310, 1994

<I>Klebsiella pnemonn</I>に対するgentamicin, cefodizimeおよびceftazidimeの再増殖抑制作用におよぼす白血球の影響を<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>で検討した。各薬剤の4MICで前処理した菌の増殖は白血球存在下で薬剤非処理菌に比べ抑制された。一方, マウスの敗血症モデルにおいて, 菌の増殖は各薬剤投与によりX線照射マウスに比べて正常およびG-CSF投与マウスで有意に抑制された。これらのことより, gentamicinとともにcefodizime, ceftazidimeにおいても生体防御因子との協力作用により, 再増殖抑制効果の増強が認められることが明らかとなった。
著者
松村 栄久 三宅 淳史 石田 直 松井 保憲 石川 真也 池上 直行 松倉 規 小阪 真二 玉田 二郎
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.349-355, 1993-06-20
被引用文献数
4 2 1

肺癌における癌性髄膜炎の合併は極めて予後不良とされてきた1今回我々はこれに対しOmmaya reservoirを用いて治療した2症例を経験し,非使用5症例と比較検討を行った10mmaya reservoirを用いMethotrexateの脳室内注入を行った2例(腺癌)では,重篤な意識障害をきたさず,他の合併症が予後を決定した.一方非使用5例(腺癌3例,小細胞癌2例)では全例が短期問に意識障害を来たし,癌性髄膜炎が死因に直結した.癌性髄膜炎の診断後予後はOmmaya reservoir使用2例で各々168日,56日で,非使用5例の9〜21日(平均16日)に比べて延長が認められた.Ommaya reservoirに起因する明らかな合併症は認めなかった.自験7例の癌性髄膜炎の診断時には全例髄膜以外にも転移が生じていた.従って,これらの病巣が落ち清いていれば,Ommaya reservoirを用いた局所的な髄膜播種の治療を積極的に考慮してよいと思われた.
著者
石田 直理雄 花井 修次 霜田 政美 浜坂 康貴 宮崎 歴
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

種形成のための生殖前隔離分子機構としてショウジョウバエの交尾リズムの重要性を研究してきた。これまでの研究結果は,交尾時間を制御する雌特異的分子機構の存在を強く示唆している。既にこれまでの実験結果からアナナスショウジョウバエもキイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエと異なるそれぞれの種独自の交尾リズムを示す事を示してきた。さらに,オナジショウジョウバエの時計遺伝子がどの程度キイロショウジョウバエの交尾リズムに影響を与えるかも解明してきた。現在,ロコモーター行動リズムや羽化リズムに関る脳内中枢は既に同定されているが,交尾リズムの中枢については全く未知である。そこで,交尾リズム脳内中枢を同定する目的で欠失変異株(per0)にPER蛋白質を様々な部位で発現しているトランスジェニックフライを用いてその交尾リズムの有無を解析してみた。その結果交尾リズム中枢は,行動リズムの中枢と別の部位であることを同定した。そこで,RNAi法を用いてこれら複数の領域を絞り込んだところ,DN1,2,3とLNd領域でのperの発現が交尾リズムに必要である事が明1らかとなった。生殖前隔離機構の1つとして雄バエが雌バエを追いかけるproximityリズムをビデオで測定する系を確立し,これに関わる脳内中枢の同定に成功した。脳内中枢の同定には,UAS/GAL4の系を用い,夜時計昼時計特異的な細胞死を起こしたショウジョウバエを使った。その結果,夜時計中枢の破壊を行った時のみproximityリズムが消失した。この中枢は我々が既にお見合い法で同定した雌の交尾受け入れ中枢とは異なる事から雌の交尾成功率を左右する脳内中枢と雄のproximity中枢が共進化することが解明された。