著者
坂本 誠 宇野 哲史 中島 定男 細谷 朋央 桑本 雄平 末吉 駿太郎 神部 敦司 黒崎 雅道
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.482-491, 2022 (Released:2022-12-28)
参考文献数
31

内頚動脈および中大脳動脈M1部の緊急大血管閉塞(emergency large vessel occlusion:ELVO)に対する機械的血栓除去術(mechanical thrombectomy:MT)は,内科的治療単独よりも患者の予後を改善することが示されている.ステントリトリーバー(stent retriever:SR)や吸引カテーテル(aspiration catheter:AC)を用いたMTでは,90%前後の高い再開通率が報告されているが,実臨床では,解剖学的な要因や病変の複雑さから通常のMTでは再開通が困難な複雑な症例を経験することがある.本稿では,臨床で遭遇する可能性が高い以下の6つの典型的な複雑な条件下でのMT症例を提示し,治療戦略と手技を文献的に考察した.①蛇行した血管走行による病変部へのアクセス困難症例,②頚動脈と頭蓋内のタンデム病変,③中大脳動脈 M2 セグメントより遠位部の病変,④椎骨脳底動脈閉塞,⑤頭蓋内動脈硬化性狭窄症(intracranial atherosclerotic stenosis:ICAS),⑥脳動脈解離.当院では,MT手技は主にSRとACのcombined technique を第一選択としている.combined techniqueの利点は以下の点である.①SRとACの両方で血栓を強固に把持することで,遠位塞栓(embolization in new territory:ENT)を減少させる.②遠位にSRを留置して,ACをSR内の血栓部位まで先進させることでSR展開長が短縮しかつSRとACの長軸方向が一致することで,SRの牽引時の血管直線化が減少し穿通枝引き抜き損傷が減少する.③SRを展開し遠位固定することで,SRに追従させてのACの遠位誘導が容易になる.予後を改善するためには,状況に応じてさまざまな治療戦略や技術を駆使し,常に1回のデバイス通過での完全な再開通(first pass effect:FPE)を目指すべきである.
著者
細谷 美代子
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.50-55, 2014-03

国語教科書における障害に関する記述はその時代の社会一般が障害をどうとらえているかを映すものである。平成22年検定済小学校国語教科書5種58点を調査した。調査の結果,聴覚障害と視覚障害に関わる教材について次のことが分かった。 1.視覚障害関係教材は聴覚障害関係教材より多い。 2.全体的に手話への関心は減少したが,手話をテーマとする優れた新教材が現れた。 3.視覚障害と点字に関しては3本の安定教材がある。学校教育における最も重要な学習材である教科書教材に障害者の姿と障害観がどのように現れているか持続的に検証していくことが必要である。
著者
村山 恭二 安富 暁 細谷 剛
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.200-203, 2021 (Released:2023-04-21)

OMデジタルソリューションズは 、焦点距離2000 mm相当(35 mm判換算)での手持ち撮影を可能にする超望遠PROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400 mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を発売した。本レンズは、超望遠レンズの概念を覆し、最短撮影距離1.3 mの近接撮影性能も有しており、超望遠撮影からテレマクロ撮影まで圧倒的な撮影領域を実現している。今回は、その特長である小型・軽量、手ぶれ補正、近接撮影性能の技術について説明する。
著者
神岡 太郎 細谷 竜一 張 嵐
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2006年度春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.41, 2006 (Released:2007-08-10)

日本のソフトウェア開発の大きな特徴の一つは、開発の前工程では要求仕様や設計に曖昧性を残しつつ、後工程へと進むにつれて最適な設計を前・後工程の開発チーム間で調整を行いながら実施する「刷り合わせ型ソフトウェア開発」にある。この開発スタイルには長所と短所あるが、日本のユーザ企業を対象とした業務系アプリケーションの開発においては、避けて通れないという側面がある。近年急速にすすめられている中国でのオフショア開発においても、この刷り合わせ型ソフトウェア開発が適用されており、それがオフショア開発であるがために生じる言語や文化の差を背景に、開発過程におけるコミュニケーション量増加をはじめとする様々な課題を引き起こしている。
著者
細谷 泰夫 森崎 修司 松本 健一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.227-228, 2009-03-10
著者
細谷 孝博 久保田 通代 熊澤 茂則
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.321-329, 2016-06-05 (Released:2016-07-07)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

アントシアニンは,ベリー果実等に含まれる色素成分の一種で,昔から天然着色料として幅広い食品に利用されている.また近年では,アントシアニンの様々な生理機能に関する研究も行われており,機能性成分としての利用も期待されている.本研究では,アントシアニンを豊富に含むベリー果実について,定量核磁気共鳴法(定量NMR)を用いた分子種解析によるアントシアニン成分の評価を行った.まず各ベリー果実抽出物の1H-NMRスペクトルより,各アントシアニン成分の定性及び定量分析を行った.続いて同スペクトルを用いて主成分分析を行ったところ,各アントシアニンによる分類分けに成功した.また,Oxygen Radical Absorbance Capacity(ORAC)法を用いて各ベリー果実抽出物の抗酸化活性を評価し,アントシアニン成分の種類と含有量,さらに,主成分分析から得られた結果に相関関係を認め,シアニジン系のアントシアニンが抗酸化に寄与することを明らかにした.1H-NMRを用いた本分析手法は,ベリー果実の品質管理や機能性を有するベリー果実をスクリーニングするための有用な手法であると言える.
著者
細谷 律子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.773-781, 2004-10-01 (Released:2017-08-01)

'かゆみは掻破を引き起こす不快な感覚であり, かゆみの程度(自覚症状)は掻破を介して皮膚症状(他覚所見)に反映される. かゆみは掻破を引き起こし, 皮膚症状を悪化させる. しかし, 両者は必ずしも相関関係にはない. 慢性, 難治化したアトピー性皮膚炎の患者は掻破が習慣行動となっており, ストレスを強化因子として強迫的あるいは儀式的に行われていることが少なくない. 皮膚の状態に比してかゆみが強くないことも多い. 一方, 皮膚の状態に比して強いかゆみを訴えていることがある. かゆみに対する強迫観念が強い場合や, 皮膚炎の存在が, 現実の課題から逃避する理由になっている場合(疾病利得)などである. 自覚的な訴えと他覚的皮膚症状の解離現象は, 治療における心理的介入の必要性を示唆していることが多い. 森田療法的アブローチにより, 不全感の強いライフスタイルをあるがままのライフスタイルに変換することををめざす. ライフスタイルの変換はおのずと皮膚に執着した(とらわれた)感覚, 行動の解放を促し, 解離を減少させるとともに皮膚症状の改善につながる.
著者
細谷 博
出版者
和泉書院
雑誌
森鴎外研究 (ISSN:09139990)
巻号頁・発行日
no.8, pp.165-183, 1999-11
著者
飯豊 紀子 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.77-81, 1974-03-31 (Released:2010-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

下痢を誘発する限界以下にマルチトールを5人の男性被検者に経口投与した場合の, 血液成分に対する影響を観察してみた。マルチトールを体重kgあたり0.5gを水100mlとともに経口投与した場合の血液成分の変動を, マルチトール無添加の場合の早朝空腹時, マルチトールを7日間連続投与した後の早朝空腹時, さらにマルチトールを30日間連続投与した後の早朝空腹時について観察した。血糖値は5人の被検者のうち3人は投与1時間後の血糖値が20%前後の上昇を示した。 この場合血液中のマルチトール量は0.66-1.52 (平均1.08mg/dl) であった。 総たん白, A/G, 血漿の各たん白画分, チモール混濁試験, 硫酸亜鉛試験, C. C. F. コレステロール, クレアチニン, 尿素窒素, 尿酸, 電解質 (ナトリウム, カリウム, カルシウム, リン, クロール) 鉄, アルカリホスハターゼ, 酸性ホスハターゼ, コリンエステラーゼ, 血清アミラーゼ, GOT, GPT, 乳酸脱水素酵素, ロイシンアミノペプチダーゼを観察したが, マルチトールの投与による影響は観察されなかった。それゆえ, 下痢を誘発する限界量以下に正常人に経口投与した場合には血漿成分になんら影響を示さないものと考えられる。
著者
瀬戸 順次 和田 崇之 村瀬 良朗 三瓶 美香 下村 佳子 細谷 真紀子 水田 克巳 御手洗 聡 阿彦 忠之
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
pp.e22021, (Released:2023-01-06)
参考文献数
34
被引用文献数
1

背景:本邦では結核菌ゲノム解析と実地疫学を組み合わせた積極的結核疫学調査の有用性評価は行われていない.方法:2009~2020年の山形県における反復配列多型(VNTR)分析に基づいた網羅的な結核分子疫学調査結果により見出されたクラスターのうち,2020年の結核患者8人を含む8クラスター(19人)を対象に結核菌ゲノム比較を実施し,保健所の実地疫学調査結果と併せて評価した.結果:結核菌ゲノム比較の結果,近縁株(一塩基多型5カ所以内,もしくは6~12カ所かつ患者間に疫学的関連性を確認)は19株中9株(47.4%)に留まり,半数の4クラスターにのみ近縁株が含まれた.また,近縁株患者9人中6人(66.7%)で患者間の疫学的関連性が見出されていた一方,分離された菌が患者間の最近の結核感染伝播を示唆しない非近縁株(一塩基多型13カ所以上)であった10人は,全例が疫学的関連性不明であった(p<0.01).結論:高精細な識別能を有する結核菌ゲノム解析は,VNTR分析によりクラスターを形成した菌株から,患者間の疫学的関連性を強く示唆する近縁株を選別することができた.その特長は,保健所の感染伝播経路調査に要する人的・時間的資源を必要な結核患者に集中させることを可能とし,効率的かつ高精度の積極的結核疫学調査に貢献するものと考えられた.
著者
柳沢 進也 高橋 和司 安田 昂樹 田邉 一寿 種岡 優幸 細谷 竜平 小芝 力太 齋藤 祐太 野田 隆文 齋藤 孝道
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.473-474, 2018-03-13

WebサーバがWebブラウザから,端末の特定に繋がる情報(以降,特徴点と呼ぶ)を採取するBrowser Fingerprintingという手法がある. Browser Fingerprintingはユーザの許可を得ずに行うことが可能であるので,対策ツールを用いて特徴点の偽装を行うユーザもいる.しかし,多くの対策ツールで有効性は示されていない.そこで本論文では,Firefox,Chromeそれぞれで特徴点の偽装を行うアドオンを対象に,特徴点がどの程度偽装できるのかを調査した.その結果,特徴点の一部を偽装できるアドオンと,全く偽装ができていないアドオンが明らかになった.
著者
細谷 幸恵 川崎 晋 前田 憲成 稲津 康弘
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.376-383, 2020-10-15 (Released:2020-11-02)
参考文献数
21

味噌に混入させた大腸菌O157の消長を明らかにするために,市販味噌24検体を対象に複数の保存試験区(5,10,20,30 °C)における大腸菌O157生菌数の変動を寒天平板法およびMPN法により観察した.全保存試験区において,味噌混入下の大腸菌O157は増殖することなく段階的に死滅し,その死滅速度と味噌原料(米,麦,大豆)に関連は見られなかった.一方,味噌検体の水分活性値が大腸菌O157の死滅速度に影響を与える可能性を示した.本結果により,大腸菌O157が意図せず味噌に混入した場合であっても,常温での流通,保存の期間に死滅することから,そのリスクは実質的に無視しうるものであると推察された.
著者
細谷 実 海妻 径子 千田 有紀 高橋 幸 Lee Rosa
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

韓国では社会的地位を得た女性と草の根フェミニズムとの連携がうまくいかず、女性登用が保守主義・新自由主義への対抗となっていない。新自由主義の進展は、性役割やミソジニーを強化する一方、女性就業者を増加させ、就業機会をめぐる軍事主義と女性との新たな結びつき(ROTCなど)を生み出していた。軍事主義的保守団体の女性運動家へのインタビューにおいては、民族主義以上に反共主義が強調されていて、興味深い。他方英国では、プア・ホワイトとも結びつくと言われる排外主義勢力と、エスタブリッシュ層を基盤とする新保守主義勢力とは、必ずしも一致していないが、労働党勢力と多元主義的価値観支持層との結びつきは強固である。
著者
細谷 昂
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.21-30, 2014-07-25 (Released:2015-08-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1