著者
大西 勇喜謙
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.2_65-2_81, 2011 (Released:2012-06-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The debate over scientific realism is one of the traditional topics in philosophy of science. Today there are various types of realism and anti-realism, including entity realism, (epistemic/ontic/moderate) structural realism, semirealism, eclectic realism, and constructive empiricism. However, the main point of the dispute, which is the validity of inference from observable evidence to unobservable events, seems to have been set aside in the recent debate. To improve this situation, I propose a new approach to the scientific realism issue that utilizes the epistemological positions. As an example, I also demonstrate an analysis of the debate based on contextualism in epistemology.
著者
神田 賢 北村 拓也 金子 千恵 井出 愛実 古西 勇 渡辺 慶 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.407-416, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
49

【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住高齢者女性33 名(有訴群22 名,無有訴群11 名,平均年齢71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。【結果】肩こり有訴の有無におけるFHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆された。
著者
大西 勇喜謙
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.101-115, 2008-01-31

The word "model" has a variety of meanings in many branches of science. Suppes (1960) asserted that those different use of the word can be related to that in mathematical logic. And further, he pointed out the usefulness of the model with this meaning in analyzing many aspects of scientific activity, such as Gedanken experiments and data comparison. Such an attention to the utility of the model later led to a new way of viewing scientific theories called "the Semantic Conception of Theories". In this paper, I survey the transition in the view of scientific theories, and see how important roles models play in the Semantic Conception.
著者
小西 勇輝
出版者
産業医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

注意欠如多動性障害(以下、ADHD)は近年一般社会に広く知られるようになり、成人になってはじめてADHDと診断される事例が増えている。ADHDは、不注意、多動性および衝動性の3主症状を認める疾患であり、発達障害の中で唯一薬物療法が奏功する。本邦では服薬下の自動車運転について罰則の対象となっており、添付文章において運転は禁止されている。本研究の目的は、ドライビングシミュレータを用いて、疾患および薬剤が運転に与える影響の要因を分析することである。本研究成果により、薬剤と運転の矛盾が解消され、ADHD患者が根拠のない社会的制限を受けることなく、安心して薬物療法を受けることができる社会を目指す。
著者
神田 賢 北村 拓也 佐藤 成登志 古西 勇 鈴木 祐介 渡辺 慶 久保 雅義
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.483-487, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
25

〔目的〕若年女性の本態性慢性肩こり有訴が頸部に影響を及ぼす因子を比較検討した.〔対象と方法〕若年女性40名(有訴群20名,無有訴群20名,平均年齢21.4 ± 0.7歳)を対象に,頸部屈伸筋群持久力および最大筋力,頸部機能不全度(NDI)を評価した.〔結果〕肩こり有訴群は無有訴群と比較して,頸部屈伸筋群持久力時間において有意に低い値を示したが,屈伸筋群最大筋力においては,有意な差を認めなかった.頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した.〔結語〕若年女性においては,本態性慢性肩こり有訴は頸部屈伸筋群持久力に影響を及ぼす因子となる可能性が示唆された.また,本態性慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える可能性が示唆された.
著者
三井 健史 伊藤 智也 中西 勇人 濱川 礼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.73, pp.1-6, 2014-05-30

本論文では,SNSの投稿に含まれた感情を記録するライフログシステム「Emote」について述べる.近年,様々なライフログシステムが流行している.ライフログのために画像情報,音声情報,位置情報,感情情報などを記録している.画像情報,音声情報,位置情報はデバイス機器の発達により自動化が発達した.だが,感情取得の自動化は中々進んでいない.そこでTwitter, Facebookの投稿文の感情を分析し,分析結果を自動的に記録していくライフログシステム「Emote」を開発した.「Emote」ではTwitter, Facebook各投稿から感情分析を行い,各感情を可視化し手軽に利用できるライフログシステムの提供を目的とする.事前にSNS (Twitter)の投稿データ,約3万件を収集し,これらの投稿から自然言語処理とナイーブベイズ分類器を用いて単語ごとの感情を学習させた.「Emote」では,その学習データを用いてTwitter, Facebookに投稿されている各文章の感情を決定している.それらを用いて,各投稿を自動的に6つの感情に当てはめ感情をカレンダーとともに色で表現している.
著者
古西 勇
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P2267-E4P2267, 2010

【目的】正座は,靴を脱いで家に上がる文化や畳に代表される日本独自の住環境を背景に,食事や来客の対応,仏事などに際して誰にでも要求され,人生の長い期間にわたって繰り返される習慣である.正座にはかしこまった気持ちを表現するという儀礼的な意味合いが強いため,特に高齢女性では,膝痛があってもその習慣を続ける場合が多いと考えられ,女性の方が男性よりも変形性膝関節症の有症率が高いこととも関連している可能性が考えられる.地域での保健活動における理学療法士などリハビリテーション専門職の果たすべき役割の重要性は今後も増していくと考えられるが,膝痛のある中高年者,特に膝痛のある中高年女性を対象とした,正座など日本独自の習慣や文化を考慮した疫学的研究は少ない.本研究では,膝痛のある中高年者において正座の習慣の有無や,正座の習慣がない場合の理由に性別による違いがあるかどうかを明らかにすることを目的とした.<BR><BR>【方法】新潟県北部内陸にあるA市在住の40歳以上80歳未満の市民から居住地区・年齢階層・性別で抽出率が等しくなるように無作為に抽出した3600人を対象とし,平成20年度後半に郵送法による「ひざの痛みに関するアンケート調査」を実施した.回収した1866人分の回答(回収率51.8%)から,重度の障害があると回答した人を除き,性別・年齢・居住地区・身長・体重や正座に関する質問項目への回答の記入漏れがなく,回答から膝痛のあることが確認された493人(女性296人,男性197人)を分析対象とした.属性は,身長158.7±9.0cm(女性153.6±6.0cm,男性166.3±7.3cm),体重58.7±10.3kg(女性53.9±7.8kg,男性66.0±9.2kg),BMI23.3±3.3kg/m<SUP>2</SUP>(女性22.9±3.2kg/m<SUP>2</SUP>,男性23.9±3.3kg/m<SUP>2</SUP>)[平均値±標準偏差]であった.正座に関する質問は,普段正座をする習慣があるかないか,それがないとしたら理由は正座が困難なためか必要ないためかという2項目とした.正座の習慣の有無と性別との関連と,正座の習慣がない場合の理由と性別との関連を明らかにするため,χ<SUP>2</SUP>独立性の検定を行った.有意水準は5%とした.<BR><BR>【説明と同意】アンケートの調査票の1枚目の扉に,回答が匿名化情報として処理されることを明記し,回答をもって「みなし同意」とした.<BR><BR>【結果】正座の習慣の有無と性別との関連において,女性では習慣ありが215人(72.6%),なしが81人(27.4%),男性では習慣ありが111人(56.3%),なしが86人(43.7%)と女性が男性に比べて習慣ありの割合が有意に大きく(p<0.001),オッズ比は2.06であった.正座の習慣がない場合の理由と性別との関連において,女性では困難のためが61人(75.3%),必要ないためが20人(24.7%),男性では困難のためが50人(58.1%),必要ないためが36人(41.9%)と女性が男性に比べて困難のためという理由の割合が有意に大きく(p=0.019),オッズ比は2.20であった.<BR><BR>【考察】本研究の結果から,膝痛のある中高年者の中で,女性は男性に対して正座の習慣のある人の割合が大きく,その習慣がない人の中でも正座が困難なために普段の正座を控えている人の割合が大きいことが示唆された.既に膝痛のある人にとって,正座の習慣を続けることは膝痛の改善を妨げ,変形性膝関節症の発症や症状の進行のリスク要因となる可能性が考えられ,習慣や住環境など国際生活機能分類(ICF)でいうところの背景因子への働きかけを含めた地域での保健活動が必要と考えられる.今回の結果で,正座の習慣がない人の中で,その理由が正座をする必要がないためと回答した人が,自宅でどのような座位をとっているのかまでは明らかにできなかった.今回の結果は,農村部で一般的な畳や襖,縁側などのある開放的な家屋の多い地域を対象とした調査に基づくことから,より都市型の住環境の多い地域など,異なる地域へも調査範囲を拡大することも今回の結果を一般化するために必要と考える.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】地域で在宅の膝痛のある高齢者や中高年者を対象とした理学療法介入の研究は行われているが、正座のような習慣や住環境へのアプローチを含めた研究は少ない.本研究は,理学療法士の職域を地域へと拡大していくための有用な情報を提供した.
著者
内田 篤呉 秋山 光文 荒木 史 有賀 祥隆 今井 康弘 大川 昭典 大下 浩司 奥村 公規 河合 正朝 木村 法光 宍倉 佐敏 下山 進 ジャンジャック ドロネー 城野 誠治 鈴田 滋人 玉蟲 敏子 中井 泉 中野 嘉之 馬場 秀雄 早川 泰弘 林 温 藤本 孝一 増田 勝彦 室瀬 和美 森口 邦彦 柳橋 眞 矢萩 春恵 河野 泰典 矢代 勝也 尾西 勇 柴田 伸雄 中本 久美子 米井 善明
出版者
(財)エム・オー・エー美術・文化財団(学芸部)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

科学調査は、東京理科大学・中井泉教授、吉備国際大学・下山進教授らが中心に担当し、型の技法は重要無形文化財保持者・森口邦彦氏、鈴田滋人氏、室瀬和美氏が伝統工芸技術から技法解明を実施した。科学調査の結果は、金地は金泥でなく、金箔とする第1次調査の結果を覆すものであった。有機色料は、波の部分に藍の存在は認められず、青墨の可能性が指摘された。伝統工芸の技法の調査は、金地と流水の境界の輪郭線は、縁蓋(型地紙)を用いた可能性が高いが、流水は型では表現できず、防染剤で描いたものと考えられる。文化財の研究は自然科学のみの調査に頼るのではなく、歴史と伝統の中で蓄積された技術や経験を踏まえることが極めて重要であった。
著者
中西 勇介 リム ホンエン 宮田 耕充
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.292-296, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
29

遷移金属カルコゲナイド(TMC)は,その多彩なナノ構造と物性により,近年大きな注目を集めている.特に,合成技術の発展に伴い,単層の2次元TMDCや関連するナノチューブ,ナノリボン,そしてナノワイヤなどのさまざまな1次元ナノ構造の作製が可能になってきた.本稿では,1次元のTMC細線構造に焦点を当て,孤立したTMC細線および大面積ネットワーク薄膜の気相成長に関する筆者らの研究を紹介する.
著者
小林 量作 地神 裕史 椿 敦裕 古西 勇
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3352, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 Timed Up & Go Test(以下,TUG)は,最初にMathiasら(1986)がGet Up & Go Testとして「肘付き椅子から起立,3m歩行,180°方向転換,3m歩行,着座」の質的・主観的な5段階評価法として開発し,次にPodsiadloら(1991)が至適速度の所要時間を計測する方法に改変したものである.現在,TUGは複合的な動作能力の測定として国際的に用いられている.しかし,各運動相の時間が全所要時間にどの程度影響しているか明らかになっていない. 本研究の目的は,TUGの5つの運動相の時間を測定して,全所要時間への各運動相の占める割合を明らかにすることである.【方法】 対象は日常生活に影響するほどの骨関節障害のない在宅中高齢者,大学生,地域スポーツ参加者115名である.男性28名,女性87名,年齢は45歳から86歳まで,平均68.4±7.6歳である.方法は,椅子座面を離殿したら計時を開始,起立相,歩行往路相,方向転換相,歩行復路相,着座相の5つの運動相に分け,椅子座面に着座して計時を終了とした.各運動相の所要時間は赤外線センサーとコンピュータを連動した機器を作製し,床上約15cmの赤外線を下腿部が横切ることで0秒~9.99秒~99.9秒まで自動計時できるようにした.原則2回測定して早い時間を採用した.全ての被験者からは書面による同意書を受けている.【結果】 1. 全所要時間平均6.4秒,起立相0.4秒,歩行往路相1.9秒,方向転換相1.2秒,歩行復路相2.1秒,着座相0.9秒であった. 2. これを全所要時間に対する各運動相の割合は起立相5.9%,歩行往路相29.5%,方向転換相18.6%,歩行復路相32.2%,着座相13.9%であった. 3. 各運動相を3つに統合すると起立着座19.8%,歩行往復61.75%,方向転換18.6%となった.【考察】 これまで,TUGは起立・歩行・方向転換・着座の複合的な動作能力として考えられてきたが,本研究からは、各運動相が等しい割合ではなく,大まかに起立・着座が2割,歩行が6割,方向転換が2割と考えられ,歩行速度を強く反映していることがいえる.そのためる先行研究によるTUGと歩行速度との有意な相関はこれらの割合の影響を受けたためと考える.後半の歩行復路相及び着座相が歩行往路相,起立相よりも遅くなるのは,椅子に腰かけるために減速することや体幹を回旋しながら着座することで時間を要していることが考えられる.また、自宅のような狭い空間でのTUG測定を考えた場合、計算上3m直進歩行路を1mに短縮すると、起立・着座速度が33.4%,歩行速度が35.1%,方向転換速度が31.5%になる.このようなことから狭い空間でのTUG測定が可能なTUG1m版の検討も意義あると考える.
著者
福西 勇夫 細川 清 中川 賢幸
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.619-627, 1987
被引用文献数
3

It is said that Tanshin-Funin (people who live and work alone away from their families) of more than a hundred thousand live in Japan. Recently there has been much discussion on Tanshin-Funin as social problems. But very few reports and investigations have been made about this subject. We reported psychosomatic health investigations on Tanshin-Funin in Kagawa by using General Health Questionnaire (GHQ) and the questions : What do you think of Tanshin-Funin? GHQ has been developed by Goldberg in England and translated by A. Nakagawa in Japan in 1985. It consists of 60 questions dealing with recent symptoms. It was known that GHQ discriminate effectively between psychiatric patients and normal controls. Especially, we can find the patients in the area of neurosis and psychosomatic disease by estimating total score of GHQ and 4 factors (somatic symptoms, anxiety sleep disturbance, social dysfunction, severe depression) by GHQ. <Subjects and Method> Subjects; 215 men in 20 companies, Tanshih-Funin in Kagawa Controls; 201 men in the same companies We made a comparison between subjects and controls by GHQ. (1) Total scores of GHQ (Mean score, Percentage of over 17 score) (2) Histogram of GHQ scores in subjects and controls (3) 4 factors (somatic symptoms, anxiety. sleep disturbance, social dysfunction, severe depression) (4) Siginificant items between Subjects and controls regarding 60 questions by x^2-test. We asked Tanshin-Funin the questions of concerning "What do you think of Tanshin-Funin?" <Result and Discussion> 1) Subjects showed a tendency of higher scores by GHQ than controls. Especially, Tanshin-Funin who think "Tanshin-Funin is bad" showed a neurotic tendency. This may be due to the existence of neurotic tendency prior to this job arrangement. 2) Subjects were characterized with their tendencies that they have anxiety about the future and they do not go out after, saying that they are too tired. 3) Subjects have been under unstable circumstances from the standpoint of mental health. Because Tanshin-Funin have been living irregular life alone and lacking in the communications with their families, and suffering from economic burden for the double life. Tanshin-Funin have psychosomatic problems, which are related to the idea that Tanshin-Funin is bad. 4) Psychosomatic health controls of Tanshin-Funin are necessary in each company.
著者
西 勇
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.25, pp.18-34, 1972-05-20 (Released:2010-01-22)
参考文献数
46

It goes without saying that Litt's perspectivism presents an important problem in regard to the anthropology of human relations. This paper discusses how, through a process of thought formation, Litt's perspectivism as it is found in his book “The Individual and Society” (Individuum und Gemeinscheft ; third edition 1926), was developed into a system. Therefore this consideration has been limited to the area of the evolutionary-historical i-oblems of his perspectivism, and does not go so far as to offer a concrete explanation of his perspectivism.In opposition to Leibnitz's perspectivism Litt touches on two problems which are included in the perspectivism of the monadic solipsism of Leibnitz.Finally it is implied that Litt's perspectivism is not founded on a monadic view of man such as in Leibnitz's monadic theory, but that it is based on a dyadic view of man which seeks the essential determination of self in a mutual relation between I and Thou.
著者
寺西 勇
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.26-36, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
参考文献数
35

KDM 安全性は暗号方式の安全性概念であり,秘密鍵に依存した文書を暗号化してもその文書の秘密が担保されることを指す. 暗号方式の通常の応用では文書が秘密鍵に依存することがないため, これまでの暗号研究ではKDM 安全性は非標準的な安全性概念であるとみなされてきたが, 近年の研究により, この安全性概念が理論上も応用上も重要な概念であることが明らかにされた. 本稿では, KDM 安全性の概念とその重要性を振り返り, 近年のKDM 安全性に関する研究成果を紹介する.
著者
後藤 和夫 中西 勇
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.117-120, 1951
被引用文献数
7

麥畑に穗が出揃ふ頃, 緑一色の内に火に焙られたような淡褐色の穗が散生する病氣が昭和20年頃から奈良縣下に注目せられ, 桑原技師から細菌病ではないかと標本と共に提示せられた。この病氣は輕い時には全面に點々と出るが, ひどい時は二, 三坪位の激甚な小集團が麥畑のあちこちにできて, その部分では全穗の1/3位が穗燒になると云う程であつて麥作上からも看過し難い。著者等は昭和22年から餘暇を以て研究に着手し漸く一部の成績が得られたので取纒め報告する。この研究に當り農林省農業技術研究所向技官には種々御指導を賜つた。三重大學農學部岩田教授には多大の御援助を寄せられた。又大阪府立農事試驗場の桑原技師(當時奈良農試)には病材料等につき御骨折頂いた。記して各位に感謝の意を表する。
著者
西 勇樹 大住 倫弘 信迫 悟志 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0391, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】慢性疼痛患者では交感神経活動の変調が生じやすいことが報告されている。さらに,交感神経活動の変調が生じやすい者は内受容感覚の感受性(以下,IS)が高いことが健常成人を対象にした研究で明らかにされている(Pollatos 2012)。我々も健常成人におけるISと交感神経変動の関係性を追試実験し,先行研究と同様にISが高い者は交感神経変動が生じやすいことを確認した(第51回日本理学療法学術大会)。本研究では,研究対象を慢性疼痛患者とし,慢性疼痛患者における交感神経変動の時間的変化とISの関係性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は介護老人保健施設利用中の高齢者35名(男性7名,女性28名,平均年齢85.4±6.6歳)である。全被験者を疼痛罹患期間が6ヵ月以上の者を慢性疼痛群(n=21),それ以外の者をコントロール群(n=14)に分けた。ISを定量化するための心拍追跡課題では,一定時間(30,35,40,45s)手がかりなしで自分の心拍数を数える課題を各時間条件1試行ずつ実施した。痛み刺激は圧痛計(デジタルフォースゲージ)を用い,圧痛閾値までの刺激を与え,安静時及び圧痛時の自律神経活動を記録し,ローレンツプロット解析を行い(Toichi 1997),交感神経系指標(以下,CSI)を算出し,安静時・圧痛刺激時・圧痛刺激から1分後のCSI値を記録した。各時間条件におけるCSIを2群間で比較することに加え,各群におけるCSIを各時間条件間で比較した。また,各群におけるCSIの安静時と疼痛刺激時の差分とISとの相関関係を分析した。なお,有意水準は5%未満とした。【結果】2群間比較の結果では,CSI(安静時,圧痛刺激時,一定時間経過後)に群間差を認めなかった。また,コントロール群におけるCSIの時間的変化において,安静時と圧痛刺激時に有意差を認めたが(p<.01),1分後のCSI値には有意差を認めなかった(p=.07)。一方,慢性疼痛群では安静時と比べ,圧痛刺激時のみならず1分後のCSI値にも有意差を認めた(p<.01)。安静時と疼痛刺激時の差分とISとの相関分析では,コントロール群においては有意な相関を認めなかったが(r=.23,p=.42),慢性疼痛群では負の相関が認められた(r=-.46 p<.05)。【結論】慢性疼痛患者において,疼痛刺激による交感神経反応が大きく,その反応が一定時間経過後まで持続することが明らかとなった。さらに,疼痛刺激によって交感神経反応が生じやすい者ほどISが低いことが明らかとなった。これは健常成人における相関関係とは解離する結果であり,疼痛の慢性化に伴ったISの変容が,交感神経反応を生じやすくさせる要因となると示唆された。つまり,内受容感覚は自身の自律神経反応を的確に捉えて,それを制御するプロセスで重要な感覚であることが示唆された。