著者
中西 智範
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.10-13, 2023-02-01 (Released:2023-03-28)
参考文献数
9

近年、国内では舞台芸術分野のデジタルアーカイブへの注目が高まっている。本稿では、早稲田大学演劇博物館が1990年代から行ってきたデジタルアーカイブの活動から、Japan Digital Theatre Archives公開までの過程を紹介するとともに、他のデジタルアーカイブとの比較を通じて、舞台芸術分野のデジタルアーカイブの課題や期待について展望する。
著者
市川 雷師 守屋 達美 保坂 辰樹 福西 智子 沖崎 進一郎 小川 顕史 鈴木 貴博 松原 まどか 高田 哲秀 田中 啓司 藤田 芳邦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.495-500, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は65歳の男性.2型糖尿病で食事療法,インスリン療法を受けていたが,HbA1cは7~9%台であった.2008年9月下旬感冒を契機に食思不振となり,インスリン注射を中断した.10月12日意識障害,異常行動を主訴に当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)の診断で入院した.第2病日から腹痛を訴え,腹部CTで門脈ガスを認めた.腸管壊死を疑い上腸間膜動脈造影を行なったが,血栓や閉塞はなく非閉塞性腸管虚血症(Nonocclusive mesenteric ischemia:以下NOMIと略す)と診断した.血管拡張薬の持続投与も効果なく,第3病日緊急手術を施行し救命できた.NOMIは特徴的所見がなく診断が困難であり死亡率も高い.DKAでは腹痛を訴える症例が少なくなく,鑑別としてNOMIも念頭に置き診療にあたる必要がある.
著者
宮西 智久 藤井 範久 阿江 通良 功力 靖雄 岡田 守彦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-103, 1995
被引用文献数
3 6

The purpose of this study was to investigate the differences of the motions between the speed throw and the distance throw, using a three-dimensional(3D) motion analysis. Twenty-four male university baseball players were the subjects of this study. They were asked to throw a ball (mass 0.144kg) horizontally as fast as possible (speed throw: ST), and as far as possible (distance throw: DT). These motions were filmed by two high-speed video cameras. 3D landmark coordinates of the subiects and the ball were calculated by the DLT method. The following kinematic parameters were computed: angle of release, the component velocities of the ball, the 3D angles for the backward/forward lean, right/left lean of the upper torso, and the twist of the torso and those for the abduction/adduction, horizontal flexion/extension, internal/external rotation at the shoulder joint, and the flexion/extension at the elbow joint of the throwing arm. The sequential data were normalized with the time from the stride foot contact to the ball release, and then averaged. Angle of release was significantly larger in the DT than in the ST. Significant difference was not found between the resultant velocity of the ST and the DT. Vertical velocity of the ball was significantly larger in the DT than in the ST during the latter half of the acceleration phase. On the other hand, horizontal velocity of the ball was significantly larger in the ST than in the DT. The backward lean and the left lean angles of the upper torso were also significantly larger in the DT than in the ST throughout the all sequences analyzed. Ranges of these angular displacements between the stride foot contact and the release, however, had no significant difference between the ST and the DT. The shoulder adduction angle was also significantly larger in the DT than in the ST during the latter half of the acceleration phase. These results indicate that the differences in the release parameters between the ST and the DT were caused not only by the throwing arm motions but also by the motions of the upper torso. It has been suggested that the motions to upward and left ward of the upper torso helps to achieve longer throwing distance in the DT, and that forward lean of the upper torso possibly contributes to achieve larger horizontal ball velocity at the release in the ST.
著者
佐藤 将之 宮森 正 小柳 純子 村瀬 樹太郎 坂 祥平 石井 信朗 西 智弘 山岸 正 石黒 浩史
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.515-522, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

【目的】脊髄圧迫症状は, がん患者のQOLを大きく低下させる合併症である. 脊髄圧迫症状を合併した患者に対するデキサメタゾン大量療法の有効性や副作用についてレ卜口スペクティブに検討し, 報告した. 【症例】2009年5月から2011年9月までに当院でデキサメタゾン大量療法のみを, 脊髄圧迫症状を合併した8症例に対して行った. 【結果】放射線照射や外科的治療を併用できずデキサメタゾン大量療法のみを行った患者8例のうち, 徒手筋力テストの改善を4例(50.0%)に, 改良Frankel分類の改善を5例(62.5%)に認めた. デキサメタゾン大量療法のみで, 歩行不可能であった7例のうち1例(14.3%)が自力歩行での退院となった. 自験例では重篤な副作用はなかった. 【考察】放射線照射や外科的治療を受けることができない脊髄圧迫症状に対してのデキサメタゾン大量療法が神経症状を改善する選択肢として有用である可能性が示唆された.
著者
中西 智也
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
pp.JJPTF_2023-S05, (Released:2023-09-16)
参考文献数
28

パラリンピック・アスリートは,喪失した心身機能を代償し,高いパフォーマンスを発揮するために,神経システムの可塑性を最大限に発揮していると考えられる。本稿では,脊髄損傷アスリートと下肢義足アスリートの脳構造・機能に関する研究結果を概観し,適応の背景にある神経機序について議論する。脊髄損傷アスリートでは,一次運動野の上肢支配領域が拡張し,また,一次運動野と上頭頂小葉間の機能的結合性が増強し,高い上肢運動機能を発揮する神経基盤となっている可能性が示された。また,下肢義足アスリートでは,断端部収縮時に同側一次運動野の脳活動が増強し,前部帯状回や背外側前頭前野といった意欲-運動ネットワークとの相関が見られた。これらの結果は,パラアスリートの脳再組織化には,障害由来性代償的変化と使用頻度依存性可塑的変化の両方の要因が関与しており,その相互作用が特異的な脳再組織化を誘発していると考えられる。
著者
奥西 智哉 宮下 香苗
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

<br><br>【目的】新規糖質米「北陸糖237号」は親品種「あゆのひかり」と同等の水溶性多糖フィトグリコーゲンを含有しておりその特徴を生かした加工品開発が望まれている。米粉にした時の加工特性について検討した事例について報告する。<br><br>【方法】平成24年秋田県産北陸糖237号の精米を乾式気流粉砕法により米粉製造した。損傷澱粉率およびアミロース含量はいずれもMegazame社製キットを用いた。Beckman Coulter社LS13320粒度分布計を用いて平均粒径等を得た。各糊化特性値は3.5gの粉砕試料と25mLの水を用いてラピッドビスコアナライザにより得た。ブラベンダー社製ファリノグラフにより生地特性を検討した。製パンは20%グルテン含有ミックス米粉を調製し定法により行った。他に、蒸しパン、団子、スノーボール、スポンジケーキ、バターケーキ、ダックワーズ、サブレを作成した。うどんはパナソニック社製ホームベーカリーの指示に従い作成した生地をうすくのばしてパスタマシンで切断し麺線を作成し、茹でた。ルウは10%スキムミルクに米粉を加え加熱した。<br><br>【結果】「北陸糖237号」米粉は市販米粉と比較して、アミロース含量は低く、損傷澱粉は高かった。平均粒径は同等であった。特徴のあるRVAプロファイルが得られた。ファリノグラムは一般に乾式気流粉砕米粉で得られるものと同様であった。パン、蒸しパン、スポンジケーキのようなフワフワしているものには向いていないと思われる。団子もまとまりは良いが、付着が多く歯切れが悪い。一方、スノーボール、サブレのようなホロホロしているものは崩壊しやすく向いていると思われる。麺は増粘多糖の補助が必要であった。
著者
奥西 智哉 宮下 香苗 堀 清純
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br>【目的】米粉は新規素材として各種小麦粉製品に用いられてきているが、製品特性等の研究は米粉パンについては知見が多いものの、菓子利用については十分であるとは言えない。種子タンパク質の特性が大きく異なるesp2変異や、球形の澱粉粒を合成するSS二重変異体が導入された米粉用イネが開発されている。esp2変異はタンパク質分子間S-S結合を形成することで加工特性向上が期待されており、SS二重変異体は澱粉が通常の多角形ではなく球形になり粉質形質になる。これらの品種の製粉特性およびケーキ加工適性を評価したので報告する。<br><br>【方法】鶏卵900gをホイッパーで均一になるまで撹拌し、900gの砂糖を加え<br><br>比重0.25&plusmn;0.01(30℃)に調整した。得られたバッター240gに篩った小麦粉100gを加え、木ベラで60+25回すくうように混ぜた。型に流し入れヘラで表面をならしたものを180℃で30分焼成した。焼成後、室温で1時間冷却したものを以上冷ます。各種粉砕方法で得られた米粉のSEMによる外観観察、損傷澱粉含量、アミロース含量および粒度分布を測定した。<br><br>【結果】各種米粉を用いたスポンジケーキ生地とスポンジケーキの物理的特性を,小麦粉を用いた場合と比較することによって明らかにした。湿式気流粉砕米粉を用いた場合、小麦粉と同等の膨らみを持つケーキであったが、乾式気流粉砕およびロール粉砕米粉を用いた場合、膨らみが小さいケーキであった。
著者
大西 智樹
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.183-186, 2019

<p>「しでんの学校」では市民の方から集めた横浜市電の写真をデジタルアーカイブとしてウェブサイトで公開する「しでんちゃん横浜プロジェクト」を2013年から始め、現在では700枚を超える写真の提供を頂いている。同時に、デジタルアーカイブ「デジタルでみる横浜市電の写真マップ」(通称;しでんマップ)の構築を進めており、2018年9月に限定的な公開を開始した。また、提供された写真をデジタルアーカイブとして公開するだけではなく、街歩きや写真展への活用など、デジタルアーカイブを活用した取り組みについても実績が蓄積されつつある。そこで本稿では、これまでの実践をもとに、市民団体がデジタルアーカイブを構築・公開した上で、ウェブサイトと団体の継続的な運営、さらにはデジタルアーカイブを利活用するための一方法論を提案するとともに、それらの課題を明らかにすることを目的としている。</p>
著者
中西 智範
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s114-s117, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
9

早稲田大学演劇博物館は、舞台芸術分野の情報検索サイト「Japan Digital Theatre Archives」[1](以下JDTA)を2021 年2 月23 日に公開した。演劇・舞踊・伝統芸能分野を対象とし、公演記録映像と公演関連情報を収集・アーカイブ化し、その情報を検索できるWeb サイトとして機能するものである。本発表では、JDTA の設計から制作、公開までの実践内容を報告するとともに、舞台芸術分野における情報検索の仕組みを提供することの意義や、実践により明らかになった課題や将来の展望等について考察する。
著者
大西 智樹
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.183-186, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
2

「しでんの学校」では市民の方から集めた横浜市電の写真をデジタルアーカイブとしてウェブサイトで公開する「しでんちゃん横浜プロジェクト」を2013年から始め、現在では700枚を超える写真の提供を頂いている。同時に、デジタルアーカイブ「デジタルでみる横浜市電の写真マップ」(通称;しでんマップ)の構築を進めており、2018年9月に限定的な公開を開始した。また、提供された写真をデジタルアーカイブとして公開するだけではなく、街歩きや写真展への活用など、デジタルアーカイブを活用した取り組みについても実績が蓄積されつつある。そこで本稿では、これまでの実践をもとに、市民団体がデジタルアーカイブを構築・公開した上で、ウェブサイトと団体の継続的な運営、さらにはデジタルアーカイブを利活用するための一方法論を提案するとともに、それらの課題を明らかにすることを目的としている。
著者
宮西 智久 森本 吉謙
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.361-381, 2007
被引用文献数
1 3

A three-dimensional (3D) videography study was performed to clarify the mechanical effects of a change of pitching motion from an overhand throw (OH style) to a three-quarter throw (TQ style). Two collegiate pitchers (subjects A and B) who normally used the OH style participated. They were requested to change their original OH style into the TQ style. To do this, they were subjected to a one-year skill training program based on biomechanical principles and on knowledge such as the stretch-shortening cycle theory, muscle force-velocity relationship, and the motions of skilled pitchers (e.g., shoulder positioning at 90 degrees of abduction-adduction during the acceleration phase). Four pitches for subject A (two in pre-training, one during training and one in post-training), and three for subject B (one each in pre-training, training and post-training) were videotaped with the 3D DLT procedure using two high-speed cameras, and then analyzed. We then examined the mechanical differences between pre- and post-training. The speed of the ball at release increased progressively with every successive pitch for both subjects (Subject A : 1<SUP>st</SUP> : 130.3km/h ; 2<SUP>nd</SUP> : 133.2km/h ; 3<SUP>rd</SUP> : 135.7km/h ; 4<SUP>th</SUP> : 142.2km/h. Subject B : 1<SUP>st</SUP> : 131.0km/h ; 2<SUP>nd</SUP> : 135.0km/h ; 3<SUP>rd</SUP> : 139.3km/h). The pitching styles of both subjects changed from their original OH style to the TQ style, both qualitatively and quantitatively. The time-dependent patterns and peak values of the angular velocities of shoulder internal-external rotation and elbow flexion-extension of the throwing arm did not change very much. However, the peak value of the angular velocity of shoulder internal rotation occurred immediately after ball release for the OH style, while for the TQ style it occurred at ball release. As a result, the angular velocity of elbow extension at ball release was larger in the OH style than in the TQ style. On the other hand, the angular velocity of shoulder internal rotation at ball release was larger in the TQ style than in the OH style. These findings suggest that the increase in the speed of the ball is dominated by elbow extension in the OH style, and by shoulder internal rotation in the TQ style.
著者
織田 揮準 中西 智子 廣岡 秀一
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.11-20, 2003-03

平成14年度から学校週5日制度がスタートした。学校週5日制の完全実施によって、児童生徒の学校内で過ごす時間が減少し、児童生徒の生活の場が学校から家庭、地域社会へと変化する。しかし、家庭や地域社会の休校日における児童の受け入れ態勢(受け皿)の不備による学力低下、非行の低年齢化がさらに進行するのではないかと危惧する意見がある。本研究によって、学校週5日制度導入のための試行期間であった平成13年度秋に三重県下の公民館が実施した「休校日における小学校および公民館の児童向け開放の実態」に関する調査結果から、子どもの居場所として公民館がどのような機能を果たしたか、公民館開放の阻害要因は何かなどの実態が明らかにされた。本研究成果が、学校週5日制時代における地域密着型公民館のあり方を創造する話し合いや協議のきっかけとなり、その資料として役立てば幸いである。
著者
西 智弘 森 雅紀 松本 禎久 佐藤 恭子 上元 洵子 宮本 信吾 三浦 智史 厨 芽衣子 中野 貴美子 佐藤 一樹 下井 辰徳 田上 恵太 江角 悠太 坂井 大介 古川 孝広 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.184-191, 2013 (Released:2013-07-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

【背景】わが国における緩和ケアの需要は年々高まり, 緩和ケア医の養成は重要な課題である. しかし, 緩和ケア医を目指す若手医師が, 教育研修体制やキャリア構築などに対して, どのような満たされないニーズを抱えているかは明らかになっていない. 【目的】緩和ケア医を目指す若手医師が抱えるニーズを明らかにする. 【方法】卒後15年目までの医師を対象にグループディスカッションを中心としたフォーラムを行い「必要としているけれども十分に満たされていないことは?」などに対する意見をテーマ分析を用いて分析した. 【結果】40名の医師が参加した. 若手の抱えるニーズは, 「人手の確保」「研修プログラム・教育の質の担保」「ネットワークの充実」「緩和ケア医を続けていくことへの障害の除去」「専門医として成長する道筋の確立」であることが示された. 【結論】緩和ケア医を育成していくため, これら満たされないニーズの解決を議論していくべきである.
著者
西 智弘 割田 悦子 上元 洵子 小野寺 馨 山中 康弘
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.556-561, 2012 (Released:2012-09-14)
参考文献数
11

【緒言】黄疸に合併する掻痒は, 抗ヒスタミン剤無効例が多く, 緩和に難渋する例がある. 近年, 掻痒に対するパロキセチンの効果が報告されているが, パロキセチン無効例への報告はまれである. 今回, パロキセチン無効の掻痒に対してミルタザピンが著効した1例を経験したので報告する. 【症例】56歳, 女性, 膵頭部がん・腹膜播種. 閉塞性黄疸に対してドレナージ術など行うも黄疸が遷延し, NRS (numerical rating scale) 9~10程度の, 抗ヒスタミン剤無効の全身掻痒が続いていた. 当院受診後, パロキセチンへ変更したが, 2週後にも掻痒は改善せず, 黄疸も遷延していた. しかし, ミルタザピンへ変更したところ, 翌日に掻痒はNRS 1となり, その後も掻痒の再燃は認められなかった. 【結語】パロキセチン無効の掻痒に対し, ミルタザピンは選択肢の1つとして重要である.
著者
佐藤 恭子 安藤 孝 西 智弘 狩野 真由美 石黒 浩史 宮森 正
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.201-205, 2010 (Released:2010-05-24)
参考文献数
9

舌下投与は痛みを伴わないため, 内服不能で他の投与経路確保が困難な終末期患者に有用な方法である. われわれは, がん性疼痛に対するブプレノルフィン(0.1~0.2mg/回), フェンタニル(0.05~0.2mg/回)注射剤舌下投与, および不眠時のミダゾラム(0.1mg・kg‾¹)注射剤舌下投与の有効性と安全性について検討した. 3剤は口腔内よりすみやかに吸収され, 約90%の症例に効果があった. 眠気, 嘔気のほか, 嚥下障害を有する例で痰の増加がみられた以外は, 特に大きな副作用はなかった. 注射剤の舌下投与は, 緩和ケアにおける代替投与経路として患者のQOLのために有用な手段である. Palliat Care Res 2010; 5(1): 201-205