著者
仲谷 美沙子 田島 浩子 川西 智子 高橋 慎治 内田 季之 鈴木 一有 古田 直美 伊東 宏晃 徳永 直樹 金山 尚裕
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.50-57, 2014

胎児と胞状奇胎が認められる病態には、胎児が存在する部分胞状奇胎の場合と、正常胎児・全奇胎の双胎の場合がある。今回、我々は胎児が共存する部分胞状奇胎と診断された3例を経験した。3症例とも妊娠初期に稽留流産となり、子宮内容除去術が施行された。そのうち2症例では、施術前に胎盤の超音波断層法像に異常を指摘されておらず、子宮内容除去術後に診断された。胞状奇胎の超音波像は多彩であり、必ずしも典型的な嚢胞状所見を示さないこともある。胎芽(児)を超音波で描出する稽留流産の場合、稀ではあるが胎児共存奇胎の可能性を念頭に置き、慎重に超音波検査を行い、胎盤・絨毛組織の病理検査を怠らないことが重要であると考えられた。
著者
板東 孝枝 雄西 智恵美 今井 芳枝
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.18-28, 2015-12-25 (Released:2016-03-31)
参考文献数
34

要 旨 本研究の目的は,肺がん手術後の身体的不快症状の実態とそれらが生活に及ぼす影響について,退院時から術後6 カ月までの経時的推移を明らかにすることである.術後肺がん患者41 名(平均年齢67.0 歳)を対象とし,自記記入式質問紙法と診療録からデータ収集を行った.分析の結果,肺がん手術後6 カ月を経過しても約6 割の患者が2 つ以上の不快症状を抱えていた.創部に関連する不快症状は,退院時は創部表面の訴えが最も多く,術後1 カ月以降は創部内部の訴えへと変化した.創部以外の不快症状は,術後1 カ月以降では半数以上の患者に術後の息苦しさが出現しており,経時的変化はみられなかったが,術式や喫煙経験により日常生活への影響の程度に関連がみられた.また術後1 カ月が経過しても,術後術側急性肩部不快症状が約17%の患者に存在し,術後6 カ月が経過しても約半数の患者に咳嗽が出現していた.以上より,患者へ術後出現する可能性のある不快症状の回復過程やその機序に関する情報提供を行い,患者自身に不快症状に対するセルフモニタリングの実施を促し,自らの症状に対する認識を深めることで,セルフケア支援へと繋げる必要がある.今後は,患者の不快症状体験を加味した周手術期肺がん看護プログラム開発の必要性が示唆された.
著者
宮西 智久 宮永 豊 福林 徹 馬見塚 尚孝 藤井 範久 阿江 通良 功力 靖雄 岡田 守彦
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.583-595, 1999-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
36
被引用文献数
2 3

This study was designed to clarify the causes of throwing injuries of the elbow and shoulder joints in baseball. Five varsity-skilled baseball players without pain in the elbow and shoulder joints were subjects for this study. They were fixed to a chair and asked to throw a baseball using three different throwing arm movements (T0, T45, and T90) . These movements were filmed using three-dimensional DLT videography. Linked rigid-body segment inverse dynamics were then employed to determine resultant joint force and torque at the elbow and shoulder joints. Peak varus torque at the elbow joint for T90 was less than for the other movements during the acceleration phase. In the follow-through phase, however, a large anterior shear force (70 N) at the elbow, for elbow extension, was present for T90. These results indicate that T90 was a high risk movement which leads to extension injuries rather than medial tension injuries. After the ball release, a large superior shear force (118 N) at the shoulder joint was present in all movements. This superior force may result from the subacromial impingement syndrome, except for critical zones of impingement caused by the different throwing arm movements. These findings suggest that the mechanisms of throwing arm injuries are closely related to differences in throwing arm movements.
著者
岸根 雅宏 奥西 智哉
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.591-596, 2011-12-15 (Released:2012-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

LAMP法を用いた簡易で迅速なコシヒカリの識別技術を開発した.コシヒカリを検出するプライマー(陽性プライマー)およびコシヒカリを除く品種を検出するプライマー(陰性プライマー)は,いもち病抵抗性遺伝子であるPi5-1とその感受性対立遺伝子の配列を用いて作製した.陽性および陰性プライマーによる上位48品種の増幅解析の結果,両プライマーは,それぞれコシヒカリもしくはコシヒカリ以外の品種を約90%の確度で検出可能であることが示された.また,粒サンプルからの迅速な識別を目指し,水酸化ナトリウムを用いた極簡易DNA抽出法の開発も合わせて行った.簡易法で抽出したDNAは,キットで精製したDNAとほぼ同等のLAMP増幅を行うことが可能であった.これらの手法を組み合わせ,コシヒカリとひとめぼれ(コシヒカリ以外の品種の代表)間における試料混入の検出を試みた結果,どちらのプライマーも1%の混入から検出可能であることが示された.
著者
奥西 智哉 大坪 研一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.76-77, 2008-02-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
6 6

玄米の開放貯蔵下での過酸化物価は貯蔵開始後すぐに増加し,最大値はおよそ50meq/gを示した.カルボニル価は,およそ10日後から上昇を開始した.脂肪酸度は,30日後に増加し始めた.過酸化物抑制のために最も効果的な方法は暗所保存で,脱酸素剤の効果は補助的であった.
著者
川西 智浩 室野 剛隆 佐藤 勉 畠中 仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.187-196, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
6
被引用文献数
6

現行の鉄道設計標準における耐震設計上の地盤種別は, 地盤の初期剛性に基づいて算定される地盤の固有周期により区分されている. 入力地震波のレベルが大きくなると, 地盤が非線形化して剛性が低下するが, 地盤の非線形性は粘性土や砂質土などの土質区分によって異なるため, 土質区分の影響を考慮して地盤種別を分類する方が合理的であると考えられる. そこで本研究では, 多くの実地盤に対して逐次非線形動的解析を実施するとともに, 土質区分毎の非線形性の違いを考慮した地盤の「等価周期」の算定方法について検討を行い, 等価周期を用いて地盤種別を分類した場合の精度について検証を行った.
著者
奥西 智哉 岸根 雅宏 足立 由希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】玄米はビタミン、食物繊維等を多く含むことにより健康志向ニーズに対応している。特に発芽玄米は白米との混合炊飯による食味維持で消費が大きく伸びた時期があり現在も底堅く推移している。機能向上により家庭用炊飯器においても玄米の炊飯は可能になっていることから、玄米類の白米混合炊飯の基本知見を得たので報告する。【方法】平成22年茨城県産コシヒカリ玄米から精米機(VP-31T、山本製作所)を用いて1分搗き米(搗精度99.2%)、3分搗き米(97.0%)、5分搗き米(94.9%)、精白米(90.2%)を調製した。発芽玄米は(株)ファンケルから供与された。試料を脱イオン水に浸漬後、増加重量を吸水量とした。炊飯米をテンシプレッサー(MyBoySYSTEM、タケトモ電機)により低圧縮(25%)-高圧縮(90%)連続試験を行い、各物性値を得た。【結果】吸水速度は分搗き程度により異なっていたが、玄米も含め最終的な吸水量は白米と同等であった。一方、発芽玄米は吸水量が白米および玄米類に比べ大きなものであった。玄米類(分搗き米および発芽玄米)の単独炊飯を行った場合、精白度に対し、米飯の硬さは正、粘りは負の相関があった。浸漬時間を設けることによって、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。炊飯時の加圧により、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。玄米類の白米混合炊飯では、単独炊飯に比べて、玄米類の粘りは増加したが、白米の粘りは低下した。混合する白米の品種により、発芽玄米の硬さおよび粘りに違いが出る可能性が示唆された。白米と玄米類の混合炊飯を行う場合、それぞれの単独炊飯で得られている従来の知見に加えて、混合炊飯特有の特性があることが示された。
著者
奥西 智哉 中村 健治 宮本 守 宮下 香苗
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.409-413, 2012-08-15 (Released:2012-09-30)
参考文献数
14
被引用文献数
6 3

加水量を変えたドウを作成し,ドウの評価を3つの機関において行った.これらの機関では,ドウミキシングのための機器が相互に異なり,ミキシング条件も異なるが,品質の良いドウを作成するための加水量は同じであった.このことから,米粉パンにおいて適正加水量はその組成に応じて固有の値があることが明らかになった.材料組成の異なる各種米粉パンを用いた試験により,適正加水量の決定手段はファリノグラフが適しており,400BUの最高粘度を与える加水量が適正であることが明らかになった.
著者
梅崎 修 田口 和雄 青木 宏之 島西 智輝 南雲 智映 鈴木 誠 谷合 佳代子 金子 良事 間宮 悠紀雄
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、労働史オーラルヒストリーの未調査の確認と新調査、方法の開発、史料館との連携を行った。第一に、過去の労働史オーラルヒストリーをリスト化した。また、新しい調査を実施し、そのすべてを冊子化した。第二に、米国で7か所、英国で数カ所のオーラルヒストリー拠点を訪問・交流し、その視察報告を作成した。また、学会にてオーラルヒストリーの方法論や教育に関する報告を行った。特にオーラルヒストリーの映像の扱い方について議論を深めた。第三に、大阪エルライブラリーにて労働史オーラルヒストリー・アーカイブというWEBサイトを作成した。現在著作権の許諾中であるが、2015年度中に公開予定である。
著者
野里 洵子 宮本 信吾 森 雅紀 松本 禎久 西 智弘 木澤 義之 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.297-303, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
24

【目的】緩和ケアの研修・自己研鑽に関するニーズに影響する要因を探索すること.【方法】緩和ケア医を志す卒後15年以内の医師を対象に質問紙調査を行い,満たされないニーズ(以下ニーズ)を5件法で評価した.ニーズは因子分析を行い,各因子の平均点を従属変数,背景要因を独立変数として単変量解析を行った.【結果】対象者284名に対して回答者は253名(89%),初期研修医・緩和ケア専門医などを除く229名を解析対象とした.ニーズは,研究・時間・キャリア・ネットワーク・質・幅広さの6つの因子が同定された.ニーズの因子得点に効果量≥0.4の有意差があった背景要因は,1)認定研修施設に勤務していない,2)勤務先・研修先が大病院ではない,3)施設内緩和ケア医数が2名以下であった.【考察】認定研修施設ではない病院,または小規模,または緩和ケア医の少ない環境で働く若手医師が受ける研修体制の改善は優先度が高い課題と考えられる.
著者
西 智樹 大滝 啓介 吉村 貴克
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3Pin105, 2018 (Released:2018-07-30)

線形可解マルコフ決定過程(L-MDP)は効率的に政策を学習することができるマルコフ決定過程のサブクラスの一つである.これまでL-MDPのための離散行動空間におけるバッチ強化学習は提案されておらず,交通信号機制御などの行動が離散的に表現される問題に対して適用することができなかった.そこで我々は予め収集したデータから状態価値関数と次状態における状態価値の予測モデルの学習を通して,より良い政策を探索する離散行動空間におけるL-MDPのためのバッチ強化学習を提案する.我々はよく知られた交通シミュレータであるSUMOを用いて1交差点での交通信号機制御により提案法の評価を行った.実験結果から提案法は予め収集したデータのみからQ学習に比べ効率的に政策を学習することができることが分かった.
著者
井上 裕嗣 岸本 喜久雄 中西 智明 渋谷 壽一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.581, pp.153-160, 1995-01-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
17
被引用文献数
5 6

The wavelet transform is applied to time-frequency analysis of dispersive stress waves. The Gabor function is adopted as the analyzing wavelet. The magnitude of the wavelet transform of wave data takes its maximum value at the time when the stress wave reaches the observation point with its group velocity at each frequency. An experiment on the flexural wave in a beam shows that the dispersion relation for the group velocity can be accurately identified by the wavelet transform of measured data. In addition, the application of the wavelet transform to ultrasonic testing of a polymer alloy shows that changes in velocity and attenuation coefficient due to mechanical damaging can be evaluated at each frequency. These results suggests that the wavelet transform has potential ability to present more detailed evaluation of material damages.
著者
塚原 知里 加古 さおり 中須 慧 依田 香子 新田 浩朗 奥西 智哉
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.4, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】炊飯をするのに大事な要素の一つに火加減がある。家庭用炊飯器においては、おいしく炊き上げるために常圧より高い沸点を実現できる圧力機能を付与したものが市場に供給されているが、そのほとんどは1.2気圧以下の微圧であり、家庭用炊飯器の高圧炊飯における炊飯米特性の学術的知見はほとんどない。今回、家庭用炊飯器では比較的高圧である1.5気圧程度での炊飯を行い、できた米飯の特徴を明らかにした。【方法】家庭用炊飯器(パナソニック製SR-SPX106)の調圧弁を調整することにより微圧(1.2気圧)あるいは高圧(1.5気圧)炊飯による米飯を得た。まず、32人のパネリストにより2つの試料を比較して7段階で評価した。その後、米飯をホモジナイズし、50%エタノール抽出物を得、遊離アミノ酸と、米飯表層および米飯全体の遊離糖含量を求めた。それぞれ、アミノ酸分析機(日本電子JLC-500/V2)、フェノール硫酸法、イオンクロマトグラフ(Dionex ICS-3000)で測定を行った。常温まで放冷した米飯のテンシプレッサーによる硬さ粘り測定を行った。米飯を粉砕後乾燥した試料を用いてRVA測定を行った。【結果】官能評価によると、高圧炊飯で得られた米飯は有意に硬く、粘りも大きな数値を示す傾向であった。味に関しては差が見られなかったが、米飯粒全体のアミノ酸量は多かった。物性評価では米飯の硬さと粘りは高圧炊飯で有意に増加していた。RVAでは高圧炊飯米飯はブレークダウンを示さず、微圧炊飯とはまったく異なる挙動を示した。これらの結果から高圧炊飯では、炊飯中に結晶構造の崩壊がより進み、かなり特徴的な米飯となることが明らかとなった。
著者
中西 智也 小倉 隆輔 河西 理恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】問題基盤型学習(Ploblem-based learnig:以下,PBL)の活用は,臨床推論能力の向上や自己主導型学習態度の育成に有効的であるとされている。本邦でも卒前教育での実践例は多く報告されているが,卒後教育における報告は少ない。そこで本調査は,臨床経験の浅い有資格者の卒後教育としてのPBLの有効性を検討し,効果的な卒後教育の在り方を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は経験年数2年目の理学療法士8名とした。方法は河西(2006)が養成過程において実施した内容を参考とし,ファシリテーター役をおき,紙上患者1例に対し2回の討論を行った。計4ヶ月で3症例の検討を行った。PBL終了1ヶ月後にPBL好感度,臨床・学習への影響,運営方法,仲間好感度に関する4項目13設問とPBL実施前・中・後の自主学習時間からなるアンケートを,集合調査法にて実施した。13設問は,設問ごとに100点満点の採点法と自由記載法を併用し,項目ごとの平均点および標準偏差を算出した。【結果と考察】対象となる8名のうち7名から有効回答を得た。PBLへの好感度は81.9±16.8点,仲間好感度は84.3±16.9点,臨床・学習への影響は80.3±14.3点,運営方法は75.2±17.0点であった。また,PBL実施前の学習時間は0.83±0.28時間,実施中は1.50±0.54時間,実施後は0.90±0.36時間となった。自由記載では,他者との討論を通じて自己省察が深まった,仲間意識が向上した,時間配分や手際が悪く疲労感が残った,などの意見が得られた。PBLにより臨床推論力や知識の向上,学習意欲や組織力へ好影響を及ばす可能性が示唆され,卒後研修として有効であると考えられる。一方,導入のためには時間的・身体的負担への配慮や,研修終了後の継続した自己学習時間を確保する工夫が必要になると考えられる。
著者
吉田 友敬 中西 智子 Tomoyoshi Yoshida Satoko Nakanishi 名古屋大学大学院人間情報学研究科 三重大学教育学部 Graduate School of Human Informations Nagoya University School of Education Mie University
雑誌
情報文化学会誌 = Journal of the Japan Information-culture Society (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-50, 1996-11-01

音楽において, リズムのゆらぎは, 音楽の流れに乗ることや, 音楽的感動にとって大切な要素である。このゆらぎの本質的な要因は何であるか。特にゆらぎのスペクトル解析に関しては, 武者等の研究がある。その中で, メトロノーム等に合わせることなく, 自由に拍打ちをする, フリータッピングにおいて, 1/fゆらぎが見出されている。本研究では, この方向を発展させて, 実際の楽曲に合わせて拍打ちをする実験を行った。その結果, 新たに1/fゆらぎが見出され, 人間的なリズムのゆらぎが私たちの感性に対して重要な意味を担っていることが推測される。また, いくつかの例において, リズムのゆらぎと引き込み同調の関連が示唆される。