著者
廣川 貴久 西川 優子 戸成 匡宏 奥 英弘 池田 恒彦
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2021

<p> 貧血が主要な原因と考えられた頭蓋内圧亢進の一例を経験した.症例は16歳,女性,霧視を主訴に近医を受診し,うっ血乳頭の疑いで本学紹介受診した.頭蓋内病変は認められなかったが,血液検査で強い貧血を認め,標準体重から150%以上の肥満があった.特発性頭蓋内圧亢進症を疑い,アセタゾラミド内服,高浸透圧利尿剤点滴で治療を開始したが,うっ血乳頭は改善を認めなかった.貧血精査の過程で婦人科受診し,過多月経に対して女性ホルモン薬が投与され,貧血の改善とともに,うっ血乳頭,視力,視野所見の改善を認めた.貧血は頭蓋内圧亢進の原因となるため,頭蓋内圧亢進症が疑われた場合,貧血の有無を確認し,貧血の治療を行う必要があると考えられた.</p>
著者
高位 篤史 吉田 安奈 山崎 文香 河田 真之介 西川 彰 今北 英高
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab0457, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 呼吸運動は胸腔の拡大運動によって行われており、中でも主要な呼吸筋として横隔膜が挙げられる。横隔膜は左右の横隔神経によってそれぞれ支配され、吸息運動における主動作筋として働く。また、安静時1回換気量の約70%を横隔膜が担うとされている。さらに、片側横隔神経切除により対側横隔膜の筋活動が増加すると言われている。そこで、本研究では横隔膜を支配している横隔神経の片側および両側を切除することで、横隔膜筋活動と呼吸機能との関係についてより詳細に把握することを目的とした。【方法】 10週齢のWistar系雄ラット8匹を使用した。ケタラールおよびセラクタールの混合液を腹腔内投与にて麻酔した後、頚部腹側にパルスオキシメータ(プライムテック社製)を装着し、末梢血酸素飽和度(SpO2)を測定した。また、頚部腹側を切開した後、気道挿管したシリコンチューブおよび気流抵抗管を差圧トランデューサー、コントロールボックス(日本光電社製)に接続し、呼吸流速を測定した。測定した呼吸流速波形から、画像解析ソフトを用いて1回換気量、平均呼吸流速、1回換気時間を算出した。また、左右両側の横隔膜に直径0.03mmのワイヤー電極を装着し、TRIAS筋電計(バイオメトリクス社製)を用いて横隔膜の筋電図を測定した。測定は、安静時、片側横隔神経切除時、両側横隔神経切除時について実施した。【倫理的配慮、説明と同意】 本実験は畿央大学動物実験倫理委員会の承認を得て、畿央大学動物実験管理規定に従い実施した(承認番号22-1-I-220421)。【結果】 1回換気量は、安静時に比べ片側神経切除で約15%、両側神経切除で約30%の有意な減少が認められた。平均呼吸流速は、吸気では安静時に比べ片側神経切除後20%低下、両側神経切除後55%低下と有意な差が認められた。呼気では安静時に比べ片側神経切除後15%低下、両側神経切除後40%低下と有意な差が認められたが、吸気流速の方で低化率が大きかった。1回換気時間は、吸気では安静時に比べ片側神経切除で約20%、両側神経切除で約60%の増加が認められた。呼気では安静時に比べ両側神経切除で約30%の増加が認められた。また、呼吸流速波形は両側神経切除によって波形の平低化が観察された。片側横隔神経切除後における非切除側横隔膜の筋活動は、安静時に比べ約40%増大した。末梢血酸素飽和度(SpO2)は、安静時に比べ片側神経切除で約4%低下、両側神経切除で約9%低下と低下傾向がみられたが、有意な差は認められなかった。【考察】 横隔膜は左右の横隔神経によって支配されることから、片側横隔神経を切除した結果、1回換気量や吸気時の呼吸流速は低下し、それに伴い換気時間は増加した。さらに、非切除側の横隔膜においては筋活動量が増加した。以上のことから、片側横隔膜の機能が消失するともう一方の横隔膜で大きく代償することにより、換気量の大幅な低下を抑えることができると考えられる。両側の横隔神経を切除し、横隔膜の機能を完全に停止させた結果、1回換気量は大きく低下し、末梢血酸素飽和度は約9%低下した。このことは、生命を維持させるために肋間筋等の呼吸補助筋が強く活動したことによるものと考えられるが、横隔膜の機能を代償するほどの能力はなく、すべての測定項目において低換気の状態を示した。また、両側横隔神経切除により呼吸流速波形において平低化が観察され、横隔膜が呼吸活動における速度の変化に大きく関与していることが示唆された。このことから、横隔膜の障害によって、特に運動時など、十分な換気が必要となる際に努力性呼吸に対応することができなくなり、種々の身体活動における呼吸適応という側面でも重要な役割を担っているものと考えられた。【理学療法学研究としての意義】 理学療法士が呼吸分野に関わることは少なくなく、呼吸器疾患に限らず開胸・開腹術前後の呼吸理学療法など、理学療法としての重要性は広範囲にわたる。本研究は、呼吸活動に非常に大きく貢献している横隔膜について、その役割を基礎的な側面からより明確にするものである。今後、横隔膜の機能的知見についてさらに理解を深めるとともに、呼吸理学療法における治療法や運動指導について考察する際の一助となると考える。
著者
西川 公一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.332-337, 2003

K2Kグループは2001年7月までのデータを解析した.長基線実験が可能であることを示すとともに,世界初の加速器実験により,ニュートリノ振動の存在を99%以上の確率で検証した.またデータはニュートリノ振動に固有なニュートリノエネルギースペクトルの歪みを示唆している.加速器実験によるニュートリノ振動実験の現在と将来について述べる.
著者
西川 智博 武田 正之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.355-356, 1995-03-15

近年のハードウェア進歩により、信号処理のための高速なDSPが一般レベルで簡単に入手できるようになった。このDSPを使うことにより、従来のデスクトップコンピュータのCPUだけでは難しかったリアルタイムの信号処理計算が、容易に行えるようになった。本研究では、信号処理計算や、解析計算などの高速性が要求される部分に、DSPを導入し、デスクトップコンピュータ上でのリアルタイム信号解析システムの応用として、音響信号から楽音情報などをリアルタイムに抽出する採譜システムを試作し、リアルタイムの有用性と、DSPプログラミングの工夫について研究を行った。
著者
山本 早里 西川 潔
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.67, 2011 (Released:2011-06-15)

前報に引き続き、シェアード・スペースの理念と方法を把握し、日本において実現可能かどうか検討することを目的とし、本報では、欧米で展開されている多様な事例と、日本で始めてシェアード・スペースを実施した事例について現地調査を行った結果を示した。調査対象地はオランダのOudehaske、Drachten、ドイツのBohmte、ベルギーのOstende、イギリスのLondon、Brighton、Ashford、アメリカのSeattle、San Francisco、日本の京都である。調査の結果、舗装の方法、交通の誘導方法、ストリートファニチャなど、それぞれにおいて多様な手法が用いられていることが分かった。国も都市も規模も異なるため一様には比較できないが、標識が撤去または削減がなされていることは共通しており、歩行者・自動車・自転車ともに共存していることが明らかになった。
著者
西川 潔 山本 早里
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2011 (Released:2011-06-15)

シェアード・スペースは、道路を安全で人間主体の空間に改修するために標識をはじめ信号や路上マーキングを撤去するものであり、従来のサイン計画とは逆転の発想である。サインによる直接的な規制や指示を行うのではなく、メタサインともいうべき環境や景観、利用者どうしの連携が人のジェントルな行動を促すと考えた、シェアード・スペースの考案者モンダーマンの視点は、高次のサイン計画であるウェイ・ファインディング・デザインに通じる。本研究の目的は、シェアード・スペースの理念と方法を把握し、日本において実現可能かどうか検討することである。本報では、シェアード・スペースの概念、ボンエルフまたはリビング・ストリートとの相違、ドイツ・ボームテでの試行、ハンス・モンダーマンの経歴を論じた。
著者
三宅 加奈 高士 祐一 松澤 陽子 北本 匠 櫻井 健一 齋藤 淳 大村 昌夫 西川 哲男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.714-721, 2014-09-30 (Released:2014-10-07)
参考文献数
18

症例は64歳女性.未治療のB型肝炎・肝硬変(Child-Pugh分類A)の精査時,食後数時間での低血糖症状が判明し当科紹介.HbA1c(以下NGSP値)5.7 %だが,75 gOGTTで90-120分後に高血糖と高インスリン血症,300分後に著明な低血糖(44 mg/dl)が誘発された.25 gIVGTTで5分後頂値の高血糖,10-90分後に高インスリン血症,225分後に低血糖(50 mg/dl)が誘発された.絶食時に低血糖はなく,インスリノーマの可能性は低かった.画像上脾腎シャントと肝のA-P(arterioportal,動脈門脈)シャント病変を認めた.分食とα-グルコシダーゼ阻害薬で食後高血糖と反応性低血糖は改善.【考察】本例では75 gOGTTで血糖上昇遅延及び遅延性インスリン分泌を認めた.シャント血流による血行動態変化及び肝硬変による肝での糖・インスリン代謝の変化が原因として疑われた.
著者
西川 憲清 呉 雅美 川崎 佳巳
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.71-73, 2007-01
被引用文献数
1
著者
西川 典子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2001-2008, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

神経障害性疼痛は神経系の損傷により発症する難治性疼痛であるが,近年相次いで治療薬が承認,適応拡大されており,治療内容が向上することが期待されている.本稿では,疼痛の伝導路と薬理作用の概略を示し,神経障害性疼痛に対する薬物治療について本邦のガイドラインに準じて使用上のポイントを述べた.完治は困難であるかもしれないが,疼痛の軽減を図り患者の生活の質を改善することができる.
著者
清野 義人 中谷 明光 西川 恒夫 吉田 長作 末松 章雄 東村 一東 伴 義之
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.304-311, 2008 (Released:2008-08-06)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

ラベンダーオイルの品種特性の評価手法を開発するために,ラベンダーおよびラバンジンオイル中の香気成分の解析を行った.材料は茨城県つくば市で栽培した Lavandula angustifolia 9 品種,lavandin(L. angustifolia × L. latifolia)6 品種,北海道北広島市および長崎県雲仙市で栽培した lavandin 3 品種を用いた.開花直前のがくのエーテル抽出物を質量分析検出器付ガスクロマトグラフィー(GC-MS)で分析した.得られた香気成分定量結果から,ラベンダーオイルの特徴的な香気成分であるリナロールとその誘導体である酢酸リナリル,ラバンデュロールとその誘導体である酢酸ラバンデュリルおよびボルネオールと,ラバンディンオイルの特徴的な香気成分である誘導体のカンファーの含有比を算出した.同じ栽培地では採取日により含有比に経時変化が認められたが,品種間の含有比における相対的位置関係には変動がなかった.栽培地や栽培年を変えた場合,同じ品種の含有比に差がみられるが,品種間の含有比における相対的位置関係に変動はなかった.このことから,がくの発育ステージを揃えて同栽培地で同日採取することにより,含有比によるラベンダー品種特性の評価が可能であると考えられた.
著者
佐藤 千代子 加藤 元嗣 西川 有佳 今村 佳奈 松本 健太郎 松本 和加子 福原 直美 阿部 千里 井川 敬子 間部 克裕
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-37, 2018

上部消化管内視鏡検査では、苦痛なく検査が施行できるよう咽頭麻酔が行われる。咽頭麻酔の方法はキシロカインビスカス法、アイスドロップ法、スプレー法等があるが、今回効率的かつ患者満足度の高い咽頭麻酔導入を目的として、当院の従来法(アイスドロップ法)とスプレー法を比較検討したため、報告する。