著者
谷内 通 部家 司 西川 未来汰
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PJ-001, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究はイシガメとクサガメの鏡に対する反応を検討した。実験1では,長方形の実験箱内の1つの壁に並んで設置した鏡と灰色の板に対して,カメが頭を向けたあるいは触れた時間を測定した。鏡と灰色板の左右位置は試行毎に交替した。8匹のカメは,灰色の板よりも鏡に対して有意に長く反応した。実験2では,灰色の実験箱の1面のみ透明な壁を設置し,透明な壁の先に同種他個体のカメが置かれた条件,透明な壁の先に何も置かれない条件,または透明な壁の前に灰色の板を設置する条件のいずれかと隣接する鏡に対する反応を比較した。カメは灰色の壁よりも鏡に対して有意に長く反応したことから実験1の結果が再現された。しかしながら,他個体の有無にかかわらず透明な壁と鏡に対する反応に有意な違いは認められなかった。本研究の結果は,カメが鏡に反応することを示した初めての知見である。しかし,本研究の結果からは,カメが鏡に反応したのは鏡の中に自己や同種他個体等を認識したからではなく,鏡の中に奥行きを認識し,おそらく実験箱から脱出することを目的として,鏡の向こう側へ行こうとしたからであることが示唆された。
著者
中野 賢英 福成 信博 坂上 聡志 西川 徹 相田 貞継
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.148-153, 2017 (Released:2017-11-16)
参考文献数
15

医療の技術革新が進む中で,甲状腺濾胞性腫瘍はいまだその診断が非常に難しい疾患の一つである。病理学的診断方法の特殊性もあり,確立した術前診断方法は得られていない。一方で,新しい技術の開発や様々な評価法の検討が,正診率の向上に寄与していることも事実である。画像診断はその中でも重きを置かれる分野であり,超音波検査を筆頭に多くの知見が得られているが,現状では,画像所見だけではなく,臨床経過,細胞診結果,サイログロブリン値などの臨床検査結果を踏まえて総合的に検討し,治療方針を判断する必要がある。今後より正確な診断が可能となるよう,さらなる知見の積み重ねが期待される。
著者
西川 正憲
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.53-58, 2012-06-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
29

23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV23)接種は,65歳以上のCOPD患者および65歳未満で対標準1秒量が40%未満のCOPD患者の肺炎の発生を低下させ,介護施設居住者の肺炎球菌性肺炎の発症を64%減少させ,肺炎球菌性肺炎による死亡率を低下させる.PPV23は,3価不活化インフルエンザワクチン(IV)との併用により,PPV23やIVの単独投与と比較して,寝たきり高齢者の肺炎による入院を半減させ,高齢者の肺炎医療費を抑制し,COPD患者の感染性増悪を減らし,外来通院する慢性疾患を有する高齢者の肺炎による入院を減少させ,高齢者の医療費削減につながる.わが国でのPPV23の認知度は米国に比して低い.PPV23の普及には,接種費用の公費助成とともに,日常診療における適切な病診連携の構築による医療者の啓発と患者教育が大切である.私たちが「元気な高齢社会」を享受するためには,IVとともにPPV23接種も積極的に推奨すべきと考えられる.
著者
西川 理規 松井 藤五郎 大和田 勇人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.2H32, 2009 (Released:2018-07-30)

近年、看護の質と生活の質の両方のバランスの取れた勤務表を作成することを目指したナース・スケジューリングの研究が多くされているが、数多い解から現場で利用出来る解を見つけることは難しい。そこで本研究では、制約論理プログラミングを用いて、各ナースの出来る仕事やスキルなどの情報を定義し、それらを制約として探索戦略に組み込むことにより、対象となる現場に応じた実用的な勤務表を効率的に作成することを可能にした。
著者
高瀬 公三 西川 比呂志 山田 進二
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.717-720, 1983-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11

脳病変をともなう鶏ひなから分離したPseudomonas aeruginosaに対するひなの感受性を検討し, 以下の成績を得た.ひなの感受性は脳内接種で最も高く, 102個で100%死亡した. 皮下および腹腔内接種ではやや低下し, 経口接種では最も低く, 108個で20%が死亡した. これらはすべて接種後5日以内に死亡した.各種日齢のひなに108個を皮下接種した結果, 1および7日齢ひなで100%, 14日齢ひなで50%, 24日齢ひなで10%の死亡率を示し, 若い日齢でより高い感受性を示した.皮下接種によるひなの50%致死量は104.6個であるのに比し, マウスでは107.5個で, 明らかにひなの感受性が高かった.皮下接種した4例のひなに, 野外例と同様な脳病変を再現できた.
著者
伊藤 武 浅羽 祐樹 川村 晃一 菊池 啓一 久保 慶一 中井 遼 成廣 孝 西川 賢
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

米欧アジアにおけるプライマリーの実証的分析を行う本研究は、地域・手法を重層的に横 断した研究体制に基づいて、4カ年 計画で議員サー ベイを含むデータ収集、量的・質的な比較分析を行い、引き出した仮説をサーベイ実験で検証する。データベー ス・成果は国内外の 研究者に 公開して、プライマリー関連研究の進展に貢献する企図である。進捗管理と予測できない事態へ の対応も含めて、メンバー間での研究会を実 施する。計画2年目に当たる2019年度は、初年度に整理した海外調査のデータとそれを基にした分析をまとめて、英語または邦語で論文を執筆した。代表者及び分担者は、国内外の学術誌における査読論文(Party Politics等)、国内外の学会発表等(Council for European Studies, Midwest Political Science Association , International Political Science Associationなど)を通じて、積極的に成果を発信した。また2019年度は在外研究の研究資金処理の関係で分担者を外れざるを得なかった菊池氏についても、研究上の連携を維持し、関連論文の執筆及び次年度のサーベイに向けた研究を実施した。データ収集・調査については、各自の担当地域について、関連資金も利用しながら調査を行った。研究打ち合わせは、国内学会の開催に合わせて随時実施していたが、年度末に予定してた成果取りまとめと論文集作成のための研究会、その前のいくつかの海外調査については、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う移動制限によって断念せざるを得なかった。
著者
小口 瞳史 三上 真人 西川 智博
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.145-150, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
8

コンロッド肉抜き部形状を変更することによりピストン-コンロッド連成振動の固有振動数を変化させ,それが燃焼起因振動に与える影響を,実機実験とシミュレーション双方により解析した.
著者
西川 貴子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.24-34, 2013-11-10 (Released:2018-11-10)

昭和初期、雑誌や新聞上で「実話」が取り上げられ流行した。特に『文芸春秋』はいち早く「実話」欄を設置し懸賞実話を積極的に行って、「真実」を語る新しいジャンルを切り拓くことを印象付け、また雑誌を通じて読者が場を共有するあり方を演出することに成功した。しかし、この懸賞の当選作である橘外男「酒場ルーレツト紛擾記」は『文芸春秋』が演出した「実話」のあり方自体を相対化した挑戦的な作品となっている。本稿では、『文芸春秋』懸賞実話のあり方を考察した上で「酒場ルーレツト紛擾記」の魅力に迫りたい。
著者
西川 晃豊 田口 清 樋口 豪紀 佐野 公洋 永幡 肇
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.35-39, 2006-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

強電解酸性水 (電解水) に硫酸銅を溶解させた電解水硫酸銅液に6%まで有機物を混入させ, 大腸菌 (Escherichia coli ATCC 11775株) に対する殺菌効果を評価した.電解水硫酸銅液は有機物混入下で硫酸銅濃度2.5×10-2%まで大腸菌の発育を阻止し, 水道水や蒸留水を溶媒とした硫酸銅液より殺菌効果が高かった.次に趾皮膚炎 (DD) が蔓延していたフリーストール農場 (搾乳牛約130頭) において電解水のすすぎ槽と電解水2.5%硫酸銅液の薬液槽を用いた通過型蹄浴のDDによる跛行制御効果を検討した.全頭の通過により薬浴槽のpHは3.1から4.5に, CODは230から3, 890ppmに上昇した.この蹄浴による5カ月間の跛行を呈するDDの摘発率は毎月1.5~3.9%で, 過去4カ月間に実施した水道水5%硫酸銅液による蹄浴と差がなく, 硫酸銅使用量を従来よりも半減できることが示唆された.
著者
西川 雅史
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.38, pp.19-30, 2002-07-15 (Released:2010-10-14)
参考文献数
23

The main purpose of this paper is to scrutinize the Duverger's Law. We especially shed light on (1) Duvergerian convergence process as a mechanism that makes the number of prim candidates converges to the stable value, and (2) whereabouts its stable value goes.In the first section Duverger's law is formalized for applying it to OLS estimation. In the second section, it empirically analyzed it by using single member district (SMD) data of Japan 1996 and 2000. The conclusion can be summarized to the following three points. (I) As long as the number of prime candidate is more than 2, Duvergerian slide down convergence works. However when it was smaller than 2, statistically significant conclusion was not obtained. Therefore, (II) the Duverger's Law in a classic meaning is untenable. In addition, (III) some of results statistically reject the hypothesis assumed that Duvergerian equilibrium is equal to 2 in SMD. According to these results, Duvergerian slide down convergence is tenable while the Duvergerian equilibrium departs from 2.
著者
西川 嘉廣
出版者
紙の博物館
雑誌
百万塔 (ISSN:04399862)
巻号頁・発行日
no.116, pp.68-73, 2003-10
著者
山本 裕也 大川 博永 西川 博幸 森尾 誠人 大川 弘美 増田 尚毅 住友 敬子 赤木 有希 髙本 かおり 辻 純子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.243-247, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
11

【背景・目的】エコーによるシャント狭窄の評価は狭窄径による評価が一般的だが,欧米では収縮期最高血流速度(PSV)による評価が用いられている.今回,シャント狭窄に対するPSVの定量評価の有用性を検討した.【方法】自己血管内シャントを有する患者179名を対象とした.長軸断面にて狭窄径およびPSV,短軸断面にて断面積を計測した.各測定項目の脱血不良に対する診断能力をROC分析にて比較し,PSVの相関分析を行った.【結果】ROC分析において,狭窄径と断面積は脱血不良に対する診断能力は高く,両者に差はなかったが,PSVの診断能力は有意に低かった.また,PSVは断面積や狭窄径との相関は弱かった.【結語】エコーによるシャント狭窄の定量評価においてPSVの有用性は見出せなかった.