著者
中尾 英俊 稲葉 考洋 森藤 武 内原 由佳子 渡邉 萌 金子 元春 木下 和昭 橋本 雅至 大槻 伸吾
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.275-279, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
19

〔目的〕腰椎変性疾患患者に対し,体幹伸筋持久力トレーニングを実施しVASと JOABPEQへ及ぼす影響を検討した.〔対象〕腰椎変性疾患患者27名(平均年齢72.2 ± 8.3歳)とした.〔方法〕体幹伸展持久力トレーニングを実施する15名(T群)と,通院での運動療法のみ実施する12名(C群)との間で,1ヵ月毎に3回計測された体幹伸筋持久力とVAS,JOABPEQの経時変化を比較した.〔結果〕T群の体幹伸筋持久力は3ヵ月目に,JOABPEQは腰椎機能障害のみ2ヵ月目に有意に高値を,VASは2,3ヵ月目に有意に低値を示した.〔結語〕腰椎変性疾患患者に対する体幹伸筋持久力トレーニングは,疼痛およびADLの改善に効果的であることが示唆される.
著者
金 鉉玉 藤谷 涼佑
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
pp.450001, (Released:2022-04-05)
参考文献数
44

本稿では,長期負債の返済のタイミングにおける雇用水準の変化を分析することで,企業が資金調達を目的として雇用水準を変化させるのかを検証する.2000年度から2018年度までの45,630企業/年を用いた分析の結果,長期負債の返済と雇用水準の変化は負の関係にあることがわかった.具体的には,次期に長期負債の返済を迎える企業はそうでない企業と比較して,当期の雇用水準が減少しているもしくはその増加が抑制されていることが確認された.このような傾向は,財務情報の質が高いほど,また銀行企業間関係が強いほど弱くなることも確認された.さらに,長期負債の返済と雇用水準との間の負の関係に財務情報の質が与える影響は,銀行企業間関係が弱い企業で強くなることも明らかになった.これらの発見は,代替的な資金調達のコストが高い企業ほど,雇用水準を変化させることで資金調達を行う傾向にあるという仮説と整合する.そして,この資金調達を目的とした雇用水準の変化に与える影響という点において,財務情報の質と銀行企業間関係とが代替的な関係にあることを示唆している.
著者
木村 吉晴 松本 崇 若菜 繁 勝沢 善永 安井 弘之 樋田 淳平 金城 一彦
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.196-203, 2017 (Released:2017-10-04)
参考文献数
5

基礎断熱工法の普及と共に,土中から基礎断熱材内部を這い上がり土台や柱等の木材をシロアリが食害する被害が発生している。断熱材内部からのシロアリ這い上がりを防止する為,押出法ポリスチレンフォーム保温材の原料に防蟻剤を添加して製造した防蟻断熱材と防蟻断熱材の目地や基礎貫通配管回りなどの防蟻措置のため,防蟻剤入り接着剤を上市した。これら防蟻材料の防蟻性能が長期的に維持されることを確認する為,実際の使用状況に近い試験棟に防蟻材料を設置して長期にわたり防蟻性能を確認した。本報では(公社)日本木材保存協会の認定品である防蟻断熱材スタイロフォームAT について,屋外に設置した基礎外断熱を想定した試験棟の10年間に亘る観察結果とその試験棟より設置5年後及び10年後に採取した防蟻断熱材スタイロフォームAT の防蟻剤残損量測定及び室内防蟻試験を行い,防蟻性能が施工後10年以上経過しても有効であることを確認した。
著者
大森金五郎 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1923
著者
河原 常郎 川⼝ 真 磯⽥ ⼀将 稲葉 佑 ⼩出 恵也 ⼭本 ⼀樹 飯⽥ 修平 ⾦ 成道
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.6-14, 2022 (Released:2022-03-18)
参考文献数
25

【⽬的】“吹き流し変形”と称する両側変形性膝関節症の症例に対し,保存療法にて有益な結果を得たのでここに報告する。【症例】症例は左膝が内反,右膝が外反変形を呈す両側変形性膝関節症の70 代⼥性であった。 著者らは,治療開始より3 ヵ⽉間の運動療法とADL 指導の実施後,近年,変形性膝関節症患者にも治療効果の期待されている多⾎⼩板⾎漿(platelet-rich plasma:PRP)療法を併⽤し,治療を⾏った。治療のアウトカムとして,従来の理学療法評価に加え,患者⽴脚型評価であるKnee injury and Osteoarthritis Outcome Score(以下,KOOS)を採⽤した。⾝体機能,動作能⼒ともに向上を⽰した。KOOS でも改善を認め,それに基づくOMERACT-OARSI のResponder 基準でも効果ありと⽰された。【結論】本症例報告を通して得られた知⾒は,今後,変形性膝関節症に対する効果的な運動療法を展開するための⼀つの⼿段としての可能性を⽰唆する。
著者
横山 能文 森 真理 平手 友章 篠田 邦大 桑原 祐也 宮﨑 太地 大城 一航 金山 朋子 野田 美香 山下 達也 門井 絵美 神田 香織
出版者
The Japanese Society of Pediatric Hematology / Oncology
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.198-201, 2019 (Released:2019-09-10)
参考文献数
9

10歳女児.発熱,頭痛を主訴に近医を受診した際に,白血球高値,貧血,血小板減少を認め当科紹介受診となった.骨髄検査にてAML(FAB-M2)と診断し,治療を開始した.1コース終了時点で寛解を確認したが,FLT3-ITD陽性と判明し造血幹細胞移植を行う方針となった.初診時陽性であった末梢血WT1mRNAは,1コース終了時より<5.0×101を維持していたが4コース終了時点で1.3×102に上昇を認めた.前処置CY+TBI,GVHD予防FK506+sMTXで臍帯血移植を行い,day32に生着を確認した.Day35で行った骨髄検査では寛解を維持していたが,末梢血WT1mRNAは1.7×102(day34),2.3×102(day39)と上昇を認めた.day40よりFLT3阻害薬sorafenib 200 mg/bodyの内服を開始した.末梢血WT1mRNAはday81より<5.0×101を維持し,その後約2年間sorafenib内服を継続した.現在内服終了後1年が経過し,末梢血WT1mRNAは<5.0×101を維持し,再発を疑う所見を認めていない.本例においてFLT3-ITD陽性AMLに対する移植後維持療法としてのsorafenib内服は,安全かつ有効であったと考えられた.
著者
金子 邦彦
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.508-518, 2000-07-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
39
被引用文献数
1

生命システムを内部のダイナミクスと相互作用が拮抗する増殖系の示す普遍的現象として捉え,発生過程,進化を議論する.理想化した細胞系として,内部での化学反応,細胞間相互作用,そして分裂からなる力学系を考える.その系の普遍的な性質として,多様な細胞のもととなる「幹細胞」から決まったタイプしか作れない細胞へと至る細胞分化過程が現れる.この結果を踏まえ,発生過程の安定性と不可逆性を熱力学と対比して議論する.ついで,この力学系的分化の考えを進化に適用し,相互作用による表現型の分化が遺伝型へ固定されるという,種分化の考えを提示する.最後に,このような複雑系生命科学の立場での細胞生物学の実験について触れる.
著者
伊藤 まどか 金 吉晴 加茂 登志子 臼井 真利子
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2017-02-07

本研究の目的は、複雑性PTSDに対するSTAIR/NSTの日本における実施可能性、安全性、有効性を単群での前後比較試験にて検討することである。2019年度までに8例の登録を行った。予備試験の症例の治療経過については、学会や学術雑誌にて症例報告を行った。また本課題では、STAIR/NSTの治療マニュアルやマテリアル、複雑性PTSD診断評価ツールの整備も進めてきた。その中でICD-11に基づくPTSD/複雑性PTSDの診断面接(国際トラウマ面接;ITI)の翻訳を行った。また自記式評価尺度(国際トラウマ質問票;ITQ)を翻訳と逆翻訳を経て日本語版を作成し、学術雑誌にて全文公開した。
著者
金谷 千亜紀
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.3-15, 2010 (Released:2017-03-23)

This essay aims at making clear the forest types of Oyama and its forms of utilization at Gonohe-dori in the Morioka clan, using "Gonohe Odaikanjo Oyama-chou", that had been in the possession of The former Aomori forestry commission, as material. Oyama was a kind of mountain forest among all the forests in that terrain, on which the Morioka clan that governed with strictly feudal system placed the greatest stress. And "Oyama-chou" is a register that was created on the basis of detailed research of Oyama. "Oyama-chou", in the forms of sticky notes and touching in, contains the description of utilization of mountain forest. The register says that the forests in this region were utilized in large part as a tool for building houses or artificial ditches. As for the rest, we find from this register that there were various a village that takes diverse forms of regular vocation that harnesses mountain forest resources in accordance with each geographical conditions, for example, a village which picks firewoods offered for sale, or a village which hews down mountain forests as a resource offered for farming. The mountain forest in that region (Oyama) is, for the native subordinates and people(farmers, subjects), a tool for a living, which supplies them resources connected with their life, and is, for the whole of the clan, so to speak, a reserve mountain, which compensates when the rest of the mountain forest resources get low. I could also confirm such character of public=private interest utlilizing Oyama as Osukui-yama, that is, a form of Oyama which is a means for helping starving people in famine. In sum, I showed the importance of Oyama for both sides of the clan and people.
著者
金森 由博 高橋 成雄 西田 友是
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.354-361, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

点集合による形状表現は,従来の多角形メッシュと異なり,点同士の接続情報を用いずに大規模な三次元形状データを扱うことができるため,CGの分野において非常に有望とされている表現方法の一つである.点集合で表現された形状を描画するためには,通常サーフェルと呼ばれる円盤が広く用いられているが,サンプリング密度が不十分な領域では穴が生じてしまう.これを解決するため,本稿ではサーフェルを用いて曲面を表現する際に穴が生じないよう,アップサンプリングを行う手法を提案する.穴を埋めるために,提案法は各サーフェルの周囲の隙間を検出し,サーフェルを追加して隙間を埋める.提案法はサーフェルの重なりとユーザが指定したサーフェルの半径を考慮することによって,追加するサーフェルの数を少なく抑える.実験により,提案法が多重解像度(level-of-detail)の制御や対話的なモデリングなどに広く応用できることを示す.
著者
柏木 めぐみ 大石 千理 村田 和優 尾崎 秀宣 山田 哲也 金勝 一樹
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.120-128, 2022-04-05 (Released:2022-03-29)
参考文献数
14

水稲の種子温湯消毒法において,温湯処理前に種籾の水分含量を10%以下にする(事前乾燥処理) と高温耐性が強化され,防除効果の高い高温域の65℃での消毒 (高温温湯消毒) が可能となることが示されている.「高温温湯消毒法」を安定した技術として普及させるためには,実用的な事前乾燥処理法を確立することが重要である.そこで本研究では,種籾を乾燥機で加温して事前乾燥を行うときの処理条件について検討した.温湯消毒時の高温耐性が低い「日本晴」の種籾を40~60℃で最長72時間加温して事前乾燥を行なった結果,①温度が高い方が短時間で効率的に乾燥でき, 40℃の乾燥では水分含量を10%以下にするまでには12時間要する場合があること,②40~50℃の乾燥では水分含量8%程度までは急激に乾燥するが,その後の水分の減少は緩やかになり,50℃で24時間乾燥させても7%以下にはならないこと,③水分含量が7%を下回っても発芽能に影響はなく,高温耐性は強化されることなどが明らかになった.しかしながら60℃で72時間乾燥させた場合には発芽能が低下する試験区もあった.さらに温湯消毒時の高温耐性が高い「コシヒカリ」の種籾を50℃で水分含量9.5%以下まで乾燥させた場合には, 72℃・10分間の温湯処理でも, 90%以上の発芽率を確保できた.以上の結果から,「日本晴」と「コシヒカリ」の種籾の高温温湯消毒を実施するための事前乾燥処理の条件としては,「40~50℃の温度で12~24時間乾燥処理して水分含量を7~9.5%とすること」が最も適していると結論付けた.