著者
小池 拓矢 鈴木 祥平 高橋 環太郎 倉田 陽平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>1.</b><b> </b><b>はじめに<br></b> スマートフォンの普及にともない、携帯端末で利用する、実空間と連動したさまざまなサービスが登場している。観光分野においては、位置情報を活用したサービスが観光客の行動に影響を与えるだけでなく、観光振興のツールとしても活用されている。そのなかでも本研究では、世界規模で行われている位置情報を利用したゲーム(以下、位置ゲーム)に着目した。 世界規模で行われている位置ゲームの例として、現実空間で宝探しを行う「ジオキャッシング」がある。ある参加者が設置した宝箱を他の参加者がスマートフォンやGPS受信機を片手に探し回るものであり、2016年7月現在、世界には約290万個の宝箱が存在している。また、Niantic Labsが開発・運営する「Ingress」は全世界規模で行われる陣取りゲームであり、この位置ゲームを介して企業のプロモーションや自治体の観光振興が行われている例もある。そして2016年7月、位置ゲームにAR(Augmented Reality: 拡張現実)と人気キャラクター「ポケモン」の要素を加えたアプリゲームである「Pokemon GO」が全世界で順次配信された。このゲームの最大の特徴はスマートフォンのカメラ越しの風景に、ポケモンがあたかも現実空間に存在するかのように出現することである。配信直後からPokemon GOで遊んでいる写真などがSNSに数多くアップされ、メディアでは社会現象として連日このゲームの話題が取り扱われた。 倉田(2012)はジオキャッシングやスタンプラリーのようなフィールドゲームを観光地が実施する意義について、以下の5点を挙げている。 地域の有する観光資源を認知してもらう機会が増える観光資源に付加価値を与えることができる観光客の再訪が期待できる滞在時間の増加が期待できる旅行者が地元の人と言葉を交わすきっかけを生み出せるかもしれない つまり、本来は目を向けられることもないスポットに人々を誘引する可能性を位置ゲームは含んでいる。本研究の目的は、Twitterの位置情報付きツイートをもとに、Pokemon GOの観光利用の可能性について基礎的な知見を得ることである。 <br><br><b>2.</b><b> </b><b>研究方法</b> <br> Pok&eacute;mon GOの配信がアメリカなどで始まった2016年7月6日以降、Twitterの投稿内容に「Pokemon GO」の文字列が含まれる位置情報付きツイートを、TwitterAPIを用いて収集した。そして、ツイートが行われた位置やその内容について整理し、分析を行った。日本では7月22日に配信が始まっており、「ポケモンGO」の文字列を含むツイートについても分析の対象とした。 <b>&nbsp;<br><br></b><b>3.</b><b> </b><b>研究結果<br></b><b></b> 日本でPokemon GOの配信が開始された7月22日(金)から24日(日)までに日本国内で投稿された位置情報付きツイートのうち、上記の条件を満たすものの分布に関する図を作成した。これによると、Pokemon GOに関するツイートの投稿地点は全国に広がって分布していることがわかった。
著者
鈴木 祥広 西山 正晃 糠澤 桂 石井 聡
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.19-26, 2018 (Released:2018-03-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

水環境におけるふん便指標細菌である大腸菌は, 環境中で再増殖することが知られており, 指標細菌としての妥当性が懸念されている。そこで本研究では, 下水処理水が流入する小河川において, 下水処理水の流入・混合後の流下過程における大腸菌数の変化について調査した。大腸菌のフラックスは, 上流地点と下水処理水の合計量よりも, その下流地点において増大する傾向を示した。また, 下流地点の底質で高密度の大腸菌数が検出された。そこで, パルスフィールド・ゲル電気泳動法によって大腸菌の遺伝子型の類似性を評価したところ, 上流の河川水, 河床付着物, ならびに底質から単離した大腸菌において遺伝子型の一致する株が確認された。以上のことから, 下水処理水の影響を強く受ける小河川では, 大腸菌が河床の付着物や底質に生残・蓄積しており, 再増殖する可能性も否定できないことが示唆された。河川における大腸菌数によるふん便汚染評価の解釈には, 留意する必要がある。
著者
鈴木 祥広 丸山 俊朗 高見 徹 土手 裕
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.388-396, 1996-05-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
25
被引用文献数
5 4

Monochloramine (NH2Cl) is the strongest toxic substance resulting from chlorinated sewage effluent. To estimate of NH2Cl on the growth of organisms in coastal region, disappearance of NH2Cl in seawater was investigated.Changes concentration of NH2Cl and total oxidant in artificial seawater were determined. The concentration of NH2Cl decreased with time and reached to 20% of the initial concentration after 6 hour at 30°C. On the other hand, 90% of the initial concentration of total oxidant was detected after disappearance of NH2Cl. The rate constant of NH2Cl disappearance was not concerned in the initial concentration at constant temperature. Disappearance of NH2Cl depended on water temperature, and the rate constant followed the Arrhenius equation. The rate constant and half-life value at 20°C for NH2Cl in seawater were 0.031 h-1 and 10 h. These results suggested that the effluent contained NH2Cl would be enough to effect on coastal organism until its disappearance. NH2Cl disappearance depended on salinity. However, NH2Cl in artificial seawater without KBr was stable even in the same condition. It was clear that the disappearance factor of NH2Cl was in existence of Br-. NH2Cl changed to the other oxidant with Br-, therefore, the product which may act on organisms still remained in seawater after disappearance of NH2Cl.
著者
小池 拓矢 鈴木 祥平 高橋 環太郎 倉田 陽平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100082, 2016 (Released:2016-11-09)

1. はじめに スマートフォンの普及にともない、携帯端末で利用する、実空間と連動したさまざまなサービスが登場している。観光分野においては、位置情報を活用したサービスが観光客の行動に影響を与えるだけでなく、観光振興のツールとしても活用されている。そのなかでも本研究では、世界規模で行われている位置情報を利用したゲーム(以下、位置ゲーム)に着目した。 世界規模で行われている位置ゲームの例として、現実空間で宝探しを行う「ジオキャッシング」がある。ある参加者が設置した宝箱を他の参加者がスマートフォンやGPS受信機を片手に探し回るものであり、2016年7月現在、世界には約290万個の宝箱が存在している。また、Niantic Labsが開発・運営する「Ingress」は全世界規模で行われる陣取りゲームであり、この位置ゲームを介して企業のプロモーションや自治体の観光振興が行われている例もある。そして2016年7月、位置ゲームにAR(Augmented Reality: 拡張現実)と人気キャラクター「ポケモン」の要素を加えたアプリゲームである「Pokemon GO」が全世界で順次配信された。このゲームの最大の特徴はスマートフォンのカメラ越しの風景に、ポケモンがあたかも現実空間に存在するかのように出現することである。配信直後からPokemon GOで遊んでいる写真などがSNSに数多くアップされ、メディアでは社会現象として連日このゲームの話題が取り扱われた。 倉田(2012)はジオキャッシングやスタンプラリーのようなフィールドゲームを観光地が実施する意義について、以下の5点を挙げている。 地域の有する観光資源を認知してもらう機会が増える観光資源に付加価値を与えることができる観光客の再訪が期待できる滞在時間の増加が期待できる旅行者が地元の人と言葉を交わすきっかけを生み出せるかもしれない つまり、本来は目を向けられることもないスポットに人々を誘引する可能性を位置ゲームは含んでいる。本研究の目的は、Twitterの位置情報付きツイートをもとに、Pokemon GOの観光利用の可能性について基礎的な知見を得ることである。 2. 研究方法 Pokémon GOの配信がアメリカなどで始まった2016年7月6日以降、Twitterの投稿内容に「Pokemon GO」の文字列が含まれる位置情報付きツイートを、TwitterAPIを用いて収集した。そして、ツイートが行われた位置やその内容について整理し、分析を行った。日本では7月22日に配信が始まっており、「ポケモンGO」の文字列を含むツイートについても分析の対象とした。  3. 研究結果 日本でPokemon GOの配信が開始された7月22日(金)から24日(日)までに日本国内で投稿された位置情報付きツイートのうち、上記の条件を満たすものの分布に関する図を作成した。これによると、Pokemon GOに関するツイートの投稿地点は全国に広がって分布していることがわかった。
著者
佐藤 隆士 鈴木 祥悟 槙原 寛
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.46-49, 2006-06-25
参考文献数
15
被引用文献数
1

Anthracophora rusticola Burmeister is a scarabaed beetle threatened about its decline in Japan. Recently, the founding of larvae or pupae of the beetle from the nest of raptors, especially Honey Buzzard Pernis apivorus Taczanowski, have been repeatedly reported. These founding imply that the beetle would specifically breed in the raptor's nest and that the decline of the beetle, might be caused by the reduction of the breeding of raptors in Japan. In this study, we surveyed two nests of Honey Buzzard to clarify the nest utilization pattern of the beetle. One of them had been confirmed to be annually used by raptors for their breeding, and the other seemed not to be used by raptors recently. One dead body of adult and 23 cocoon shells of the beetle were discovered from the former nest. All cocoon shells were found from lower part of the nest where was relatively dry compare to upper part. None was found from the latter nest. We discussed breeding pattern of beetles on raptors nests.
著者
鈴木 祥之 鎌田 輝男 小松 幸平 林 康裕 後藤 正美 斎藤 幸雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、伝統構法木造建物に高い耐震性能を与える耐震設計法、耐震補強法および新しい耐震補強用の構造部材の開発を行い、また京町家や社寺建築など文化財的木造建築物の保全・補強に役立てることを目的として、以下の研究を実施した。(1)伝統構法木造建物の耐震性能評価法の開発:E-ディフェンスで実施した京町家ならびに伝統構法木造住宅の実大振動台実験で耐震性能評価法の検証を行った。また、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震の被害調査を実施し、民家、社寺建築物の構造詳細により耐震性能評価を行った。(2)木材の構造的劣化診断:木造部材の構造的劣化特性を調査し、耐久性の検査方法を確立し、構造劣化の診断法を開発した。2007年能登半島地震被害調査から腐朽・蟻害などの被害が顕著であった民家を対象に構造部材の劣化程度を調べるとともに軸組の耐震性能に及ぼす影響を調べた。(3)耐震性能設計法の開発:伝統構法木造建築物の耐震性能設計法として、限界耐力計算に基づく設計法の開発を行った。また、2007年6月に建築基準法が改正され、伝統構法の設計において非常に大きな社会問題になった。これに伴い、限界耐力計算による耐震設計法の検討を行うともに、伝統構法木造建築物の設計法の課題となっていた柱脚の滑りや水平構面の変形などの研究を進め、設計法の実用化を図ってきた。(4)既存建物の耐震補強法の開発:伝統構法木造建物に適用可能な耐震補強用の構造部材として乾式土壁を用いた小壁や袖壁やはしご型フレームの開発を行った。振動台実験などで補強効果を検証するとともに、住宅用と社寺など大型木造建築物用として実用化を図った。(5)文化財・歴史的木造建築物の保全・補強への応用:実在の寺院建築物の耐震性能を評価し、耐震補強法の開発を行い、実用化した。この耐震補強法は、有用な方法であり、多くの社寺建築物などの文化財・歴史的木造建築物に応用可能である。
著者
鈴木 祥二
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、土佐藩参政の吉田東洋が中心となって編纂した『海南政典』と、安芸藩が化政期に編纂した『芸藩通志』を素材に、19世紀前中期に獲得された統治理念と技術・知識、及びその維新変革への影響を考察することを目指した。3か年にわたる研究の結果、次のような成果と展望を得ることができた。1、幕末土佐藩における吉田東洋および彼の門下による藩政改革は、藩政組織の再整備と役人の規律の確立、海防体制のための軍事力強化、政治儀礼の再編成をめざしたものであり、そうした内容が『海南政典』としてまとめられた。こうした政治文書は他に例を見ないもので、その内容は明治維新の政体構想の基礎になった。2、また、王政復古に行われた土佐藩の藩政改革は、「士民平均」を理念として、身分制度の廃止を実施しようとしたもので、こうした先進的な改革は『海南政典』に現れた改革思想を背景にもつと同時に、その理念は米沢藩や彦根藩などにも影響を与え、土佐藩を中心とした政治的連携を生み出すことになった。この点をよりいっそう解明していくことによって、廃藩置県の政治的背景を新たな側面から明らかにできる。3、19世紀に入り、幕府や大名は支配地の歴史・地理・生産などを把握するために、地誌の編纂に着手したが、それを可能にした知識の集積、地誌に反映された文明意識と歴史意識について明らかにした。また、20世紀初頭の地域史編纂にいたる出発点となった点を検討し、この100年間の地誌編纂史の流れを把握することができた。4、『芸藩通志』の編纂過程について、町村が作成した「国郡志御用につき下調べ書出帳」などを収集し、『芸藩通志』の内容との比較のための材料を得た。また、郡村毎の石高・戸口・牛馬数・物産・社寺・宗教者数など基本項目のデータベースを作成し、それらが藩政改革にどの程度生かされたのかを、今後検討していく基礎を作った。5、今後は藩政改革のために編纂されたこれら二書を、人民統治のための技術と知識が集積された政治文書としてとらえ、「民政学」という範疇でとらえて、近代化の上で果たした役割を検討したいと考えている。
著者
平石 健太郎 柴田 大地 西田 智裕 山口 直子 鈴木 祥太 芳野 魁 伊藤 孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2019-ICS-195, no.14, pp.1-7, 2019-03-11

本稿では,投稿文書の分散表現を用いたフィルタリング手法を提案する.近年,オンライン上での議論が活発化している.ただし,これらの議論には無関係のスパムなどの有害なコンテンツが多数あり,また相手を侮辱したり差別したりする激しい発言がある.従って,不適切な発言を削除して安全にオンラインユーザーが参加できる議論環境を構築することが必要になる.不適切な発言を削除するには,文書の意味を理解し分類することが必要である.本稿では,doc2vec を文書のベクトル化,ELMo を単語のベクトル化に用い,ベクトル化された文書を文書類似度計算とディープニューラルネットワーク (DNN) を用いてフィルタを構築した.評価実験では提案手法が高い精度で不適切文書を分類できたことを示す.また実際のリアルタイムの議論でも運用を行い実用性を確認する.
著者
酒向 あずみ 左京 瑛奈 松永 浩明 関口 昌利 一色 滉平 越前 宏俊 伊藤 慎 鈴木 祥司 西 功
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.124-134, 2022 (Released:2022-10-13)
参考文献数
17

本邦において外来心臓リハビリテーションに参加する患者集団における服薬アドヒアランスへの影響因子の検討は十分ではない。本研究ではこの集団の服薬継続支援のため、処方薬服用遵守度だけではなく患者の治療に対する自発性等も調査できる構造化対面式アンケート調査法を用いて服薬アドヒアランスの調査と影響因子の探索を行った。35名の患者からUenoらの質問票を用いて得た服薬アドヒアランス評価に関する下位尺度スコアは、「服薬遵守度」(中央値15点)及び「服薬の納得度および生活との調和度」(14点)は高かったが、「服薬における医療従事者との協働性」(8点)と「服薬に関する知識情報の入手と利用における積極性」(7点)が低値であった。また「服薬遵守度」は非就労者で高く(15点)、「服薬における医療従事者との協働性」は有配偶者で高かった(11点)。本研究は予備的ではあるが、今後外来心臓リハビリテーション患者の服薬アドヒアランス向上或いは維持を図るためには、薬剤師が「患者との協働性」を改善するために患者の求める情報の察知に基づく薬物の情報提供を行い、患者の治療への主体的参加への動機付けを高める事が重要であると考えた。
著者
井出 政芳 山本 玲子 宇野 智江 鈴木 祥子 伊藤 優子 早川 富博 加藤 憲 天野 寛 宮治 眞
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.726-744, 2014 (Released:2014-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

過疎の進行する中山間地に住まう高齢者の<この場所>に係わる愛着を評価するために, 質問票による調査を行なった。質問票は, 高齢者の主観的幸福感測定のために汎用される古谷野による生活満足度尺度K (9項目)と, 今回独自に作成したトポフィリア (場所愛) に係わる質問項目 (6項目) の計15項目から成る。僻地巡回検診において, 調査主旨を説明し了解を得た有効回答者120名 (平均年齢: 74.5±9.5歳) の回答について因子分析を行ない以下の結果を得た。 ①居住地別愛着度得点には有意差を認めなかったが, 居住地別生活満足度得点には有意差を認めた (p<0.001; ANOVA)。一方, 年齢と生活満足度との間には有意な相関を認めなかったが, 年齢と愛着度得点との間には有意な正の相関を認めた (r=0.234, p<0.01)。生活満足度, すなわち主観的幸福感は年齢によらず居住地の影響を受けるが,逆に場所への愛着度は居住地によらず年齢の影響を受けることが示唆された。 ②トポフィリアに係わる質問6項目の因子分析により, 2因子が抽出された。一つの因子は<この場所>から離れたくないパブリックな感情を, もう一つの因子は<この場所>が好きとは言えないプライベートな感情を意味している, と解釈できた。 ③ (a) 生活満足度尺度, (b) トポフィリア, および (c) 「<この場所>を離れて仕事をしたいと思ったことがあるかどうか」の質問の三つ組を指標として, 居住地別に対象者の心情を評価すると, 主観的幸福感 (a) も, <この場所>に対する愛着度 (b, c) も, ともに低い地域が同定された。これらの地域は, 通院困難性の甚大な地域内に存在し, 通院介助・在宅介護・施設入所など高齢者の医療福祉に係わる対応において, 心情面についての配慮が特に必要であると考えられた。
著者
相羽 大輔 奈良 里紗 増田 雄亮 鈴木 祥隆
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.47-58, 2019

<p>本研究は、弱視学生が見えにくさを補う手段(弱視レンズ条件・接近視条件・タブレット条件)を使いながら学習・生活する様子を画像で提示した場合に、それらが健常学生の態度に及ぼす効果の違いを検討した。382名の健常学生に対し、弱視学生の画像付き説明文に基づく3条件を無作為にひとつ提示し、障害者イメージ尺度(不便さ尺度・尊敬尺度)、弱視学生支援サービス尺度(授業支援尺度・成績評価尺度・組織支援尺度)への回答を求めた。その結果、タブレット条件と接近視条件のときの方が不便なイメージになったものの、弱視学生支援に関するすべての下位尺度でタブレット条件のときの方が他の条件よりも消極的な評価になった。また、健常学生は女子の方が男子よりも肯定的なイメージを持ち、弱視学生支援に対する態度もすべての下位尺度で肯定的であった。これらの結果が弱視学生の障害開示や援助要請を補助する手立ての手がかりになるものと示唆された。</p>
著者
鈴木 祥太 伊藤 孝行
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.2, pp.1-8, 2020-06-26

議論マイニングは Argumentation を解析し,その構造を特定することを目的とする.議論マイニングにおいて,コンポーネント分類は重要な課題である.コンポーネント分類を行うため,既存の手法は,複雑な議論構造をベクトルのような簡単な表現の特徴量に変換する.しかしながら,これらの特徴量に基づく手法では,複雑な構造を扱う上で貴重な情報が失われると考えられる.この問題を解決するため,本稿では,議論構造を直接的に学習することで,コンポーネント分類を行う手法を提案する.議論構造を直接的に学習するために,提案手法は Graph Attention Network を用いる.提案手法を評価するため,評論のコーパスを用いて実験を行った.実験の結果,提案手法は既存の特徴量に基づく手法よりも正確にコンポーネント分類を行うことが示された.
著者
中村 充博 鈴木 祥悟
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-58, 2007-12-01

マツ材線虫病の媒介者であるマツノマダラカミキリの有力な天敵であるアカゲラによる防除効果を高めるためには、防除対象林分でのアカゲラの生息密度を高くすることが重要である。しかし、マツ材線虫病が蔓延しているマツの単純林のような林では、アカゲラが繁殖やねぐらとするための巣穴を掘ることのできる木が少ないことから、生息密度は低い傾向にある。そのため、アカゲラを誘致する目的で人工巣丸太の架設実験を行った。その結果、中空式穴開け型巣丸太が軽量でアカゲラによって繁殖に利用されるまでの期間が短いため最も有効であることが明らかになった。