著者
鈴木 信也 村山 悠佳 杉山 恵理花 関山 正夫 佐藤 均
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.7, pp.829-842, 2009
被引用文献数
8 3

We established dose estimation formulae for renal-excretion drugs using the glomerular filtration rate (GFR), tubular secretion clearance (Sc), and unbound fraction of drug in plasma (fp) as a renal function index of physiological development in neonates and infants not more than 2 years of age. A dose ratio of (D<sub>C</sub>/D<sub>A</sub>)=clearance ratio of (CL<sub>C</sub>/CL<sub>A</sub>)≅(fp<sub>C</sub>·GFR<sub>C</sub>)/(fp<sub>A</sub>·GFR<sub>A</sub>) for neonates and infants/adults was applied to drugs with fp·GFR>Sc, while D<sub>C</sub>/D<sub>A</sub>=CL<sub>C</sub>/CL<sub>A</sub>≅(β·BSA<sub>C</sub>+fp<sub>C</sub>·GFR<sub>C</sub>)/(β·BSA<sub>A</sub>+fp<sub>A</sub>·GFR<sub>A</sub>) was applied to drugs with Sc>fp·GFR using the coefficient of each drug (β) and body surface area (BSA). Validity of the estimation formulae was investigated in drugs with fp·GFR>Sc such as vancomycin (VCM), arbekacin (ABK), fosfomycin (FOM) and norfloxacin (NFLX), and in drugs with Sc>fp·GFR such as digoxin (DGX) and amoxicillin (AMPC). First, we compared the clearance ratio (CL<sub>C</sub>/ CL<sub>A</sub>) of VCM, ABK, and DGX estimated by our method with those calculated using the Japanese population clear- ance values and those estimated allometrically (BSA<sub>C</sub>/BSA<sub>A</sub>). Next, we compared the established doses of all drugs investigated with the doses for neonates and infants calculated from the conventional dose estimation methods for children and our estimation formulae, and evaluated our method. As a result, favorable consistency was observed in the CL ratio for all drugs, and the doses of VCM, FOM, NFLX and AMPC calculated from our estimation formulae approximated the established doses. In conclusion, the validity of the dose estimation method using pharmacokinetic factors related to physiological development (i.e., GFR, fp, Sc) for renal-excretion drugs in neonates and infants was demonstrated.<br>
著者
後藤 洋三 池田 浩敬 市古 太郎 小川 雄二郎 北浦 勝 佐藤 誠一 鈴木 光 田中 努 仲村 成貴 三上 卓 村上 ひとみ 柳原 純夫 山本 一敏
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR EARTHQUAKE ENGINEERING
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_97-5_117, 2015

東日本大震災の津波避難の実態を分析するため、研究者、技術者の有志が任意参加の連携組織「東日本大震災津波避難合同調査団」を結成し、重複調査を避け調査モラルを向上させるべく連絡を取り合って調査を実施した。本報告はこの調査団発足の経緯を述べたうえで調査団の中核として活動した山田町・石巻市担当チームの調査方法とその実施状況、ならびに住民の避難に関わる背景的事象の調査結果を述べる。収集した被災者の避難データの特性については別途に取り纏め報告する。山田町・石巻市担当チームの調査に対する被災住民の苦情は聞かれず、むしろ信頼関係のもとで避難の実態解明に役立つ情報を多数得ることが出来た。著者等は山田町・石巻市担当チームの調査データとその調査経験が活用されることを期待して本報告を取りまとめている。
著者
林崎 涼 鈴木 毅彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100171, 2015 (Released:2015-04-13)

長石を用いた新たな光ルミネッセンス(OSL)年代測定法として, post-IR IRSL(pIRIR)年代測定法 (Thomsen et al. 2008) が近年確立された.pIRIR 年代測定法では,それまでの長石を用いた OSL 年代測定の際の Fading という問題が解決され,過去数十万年間の堆積年代を見積もることが可能となった(Thiel et al. 2011 など).しかし,pIRIR 年代測定法では正確な堆積年代を見積もるためには,長時間(数ヶ月)太陽光へ露光し,ブリーチしていることが必要である(Buylaert et al. 2012).そのため,一般に露光しにくい河成堆積物の堆積年代を求めるのに,pIRIR 年代測定法は不向きだと考えられる.しかしながら,時間指標となるテフラなどに覆われていない中期更新世の河成堆積物の堆積年代を求めることは難しく,pIRIR 年代測定法を試みる価値は大きい.本研究では,立川市/武蔵村山市の榎トレンチにおいて,まず年代の明らかな立川面の段丘構成層を対象として,pIRIR 年代測定法により河成堆積物の堆積年代を見積もることが可能か検討した.次に,榎トレンチ底から採掘されたボーリング試料(TC-12-1 コア)から,青梅砂礫層に相当すると考えられる埋没礫層の堆積年代をpIRIR 年代測定法により推定した.トレンチ壁において立川面の段丘構成層中の砂層に塩ビパイプを挿入し,太陽光への露光を防いで試料を採取した.ボーリング試料は暗室において半割し,礫層中に挟まる砂層において,太陽光へ露光していないと考えられるパイプの中央部分から試料を採取した.暗室において,OSL 強度が減衰しにくいとされるオレンジ光源下で試料処理を行い,180〜125μm のカリ長石を抽出した.抽出したカリ長石は,ディスク上へ直径 2 mm の円盤状に接着し,東京大学工学部所有のデンマーク Risø 研究所製 TL / OSL-DA-20 自動測定装置を用いて OSL 測定を行った.pIRIR 年代測定は Theil et al.(2011)と同じ測定手順を用いた.河成堆積物は,運搬・堆積過程において露光が不十分であると考えられる. そこで,pIRIR 年代測定によって求められた各ディスク試料の等価線量から,最もよく露光していたディスク試料を抽出することができると考えられる,Minimum age model(MAM: Galbraith et al. 1999)を適用し,堆積物の等価線量を見積もった.得られた等価線量を試料採取箇所の年間線量で除することにより,扇状地礫層の OSL 年代を求めた.榎トレンチは立川Ⅱ面(山崎1978)に位置しており,段丘構成層の堆積年代はAT (30 ka)降灰以降で,UG(15〜16  ka)降灰以前だと考えられている.pIRIR 年代測定法の結果に,MAM を適用した段丘構成層最上部(OSL-5)の OSL 年代は,22.7 ± 2.4 ka となり,先行研究の年代と矛盾しない.OSL-5 から約 3 mほど下位のOSL-3 において MAM を適用した OSL 年代は30.3 ± 3.1 ka で,立川Ⅰ・Ⅱ面のどちらの段丘構成層とも解釈できる. MAM を適用して見積もられた OSL 年代は,先行研究の堆積年代と整合的であり,運搬・堆積過程で充分に太陽光に露光し,ブリーチしていた鉱物粒子を抽出することができたといえる.以上のことから,pIRIR 測定法の結果に MAM を適用することで,段丘構成層の真の堆積年代を見積もることができる可能性があるといえる.武蔵野台地西部では,古くから段丘構成層の下位に厚い礫層が埋没していることが知られている(寿円 1966 など).これは青梅砂礫層と呼ばれ,堆積開始年代の解釈には下末吉面形成以前(角田 1999 など)と以降(高木 1990;貝塚ほか 2000 など)があるが,正確な堆積年代は明らかでない.pIRIR 年代測定法の結果に,MAM を適用したボーリング試料上部(3.62-3.66 m)の OSL 年代は,65.4 ± 8.2 ka で,武蔵野礫層に相当すると考えられる.ボーリング試料の下部(17.25-17.30 m)では,MAM を適用して 235.7 ± 25.7 ka という MIS7-8 頃の OSL 年代が得られた.本研究の結果から,青梅砂礫層は少なくとも 2 つの堆積時期に分けられる可能性があることが分かった.高木(1990)では,青梅砂礫層中から Hk-TP と考えられるテフラを見出しており,これはボーリング試料の上部で求められた堆積年代と一致する.植木・酒井(2007)では,青梅砂礫層はMIS 6 以前の間氷期に形成された谷を埋積した地層の集合だと考えているが,ボーリング試料の下部の OSL 年代は矛盾していない.
著者
山田 田村 千佳子 鈴木 綾乃 根岸 千絵 岩崎 泰史 吉田 企世子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-144, 2005-06-10
参考文献数
11
被引用文献数
5 1

秋期栽培においてホウレンソウ3品種 (パレード, リードおよびマジック) を栽培時期および施肥を同一条件で栽培し, 収穫適期以降の還元糖, アスコルビン酸, シュウ酸, 硝酸の変動を解析した。また, ゆでたホウレンソウを用いて官能評価を行った。いずれの品種も生育とともに, 還元糖およびアスコルビン酸は増加し, シュウ酸は減少した。硝酸はパレードおよびリードでは減少し, マジックでは増加した。官能評価は, 還元糖の多いパレードおよびリードでは甘味の評価が高かった。シュウ酸の多いマジックではアクが強く, 少ないリードではアクが弱いと評価される傾向にあった。従来の出荷基準よりもさらに生育させることにより, 内容成分の充実したホウレンソウが得られることが示唆された。
著者
鈴木 浩一
出版者
研究と資料の会
雑誌
研究と資料 (ISSN:03898121)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.1-13, 2016-07
著者
鈴木 博雄
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育紀要 (ISSN:05135656)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-51, 1963-11-15

In the above thesis the author has investigated the methods by which samurai were educated in the feudal period, with especial reference to educational reform in the Kansei era (1787~1798), a time when the education carried out by 'Hanko', clan conducted schools, was playing an important role in making samurai into feudalistic bureaucrats. In the feudal period, the samurai, whose job was mainly that of a soldier, came to become gradually more involved in the duties of official administration due mainly to the fact the country was in a state of peace and his servies as a fighter were unnecessary. In the beginning of the feudal period the structure of the government was very simple but as it and it's accompanying feudal bureaucracy became more complicated so there acrose the need for samurai able to read and write rather than fight. In order to meet this need the 'Hanko' were developed. In the first chapter the author inquired into the political ideas of Matsudaira Sada-nobu, the man in charge of political reform. The purpose of his reform lay in the training of feudal bureaucrats. His image of them was essentially feudal in that he required them to be persons of great integrity especially obedient to their feudal lord. on the other hand, like modern bureaucrats, they had to be skilled in administration. In the second chapter the author comments on the rules and plans of studies which were part of the reform, such as 'Gakumon Ginmi', (Intellectual examinations in the upper classes) and 'Sodoku Ginmi', (Intellectual examinations in the lower classes), and the construction of government schools. In the last chapter the author discusses how the contradiction of feudal and modern ideas caused the failure of overall education as far as feudal bureaucrats were concerned and the educational reforms which were actually put into practice.
著者
宇治原 史規 菅 広文 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.340, pp.86-89, 2011-03

菅 若いころ僕がクイズ番組の優勝賞金を分けたのが最初なんです。ここでルールを決めておけば、いずれ宇治原がクイズで賞金を取り続けるであろうと思ったわけです。宇治原 僕はそんなこと、考えたこともなかったから、ええやつやなあと思いました(笑)。あの賞金300万円は当時の年収くらい。それを分けるなんてすごいと、周りもびっくりしてました。
著者
重光 史也 鈴木 貢
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2016-IOT-35, no.9, pp.1-4, 2016-09-16

Raspberry Pi は,2 次記憶やグラフィックディスプレイアダプタ,そして USB ホスト機能を名刺大のサイズに集積した汎用コンピュータである.Raspberry Pi はさらに GPIO (汎用入出力) ピンや I2C や SPI 等のシリアル通信機能を備えており,研究や教育において独自の IoT (Internet of Things) デバイスを構築するのに使われつつある.Raspberry Pi を使って実用的な IoT デバイスを構築する上で障壁となるのは,2 次記憶として使われている SD カードの寿命である.本研究では,SD カードへの書き込みを大きく減らして寿命を延ばすオペレーティングシステムの構築を探求する.
著者
鈴木 雅恵 与那覇 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は日本の近代化と、沖縄の大和への同化の歴史と共にはじまった、沖縄芝居の特異性、および現在の位相について、大和(特に京都)と沖縄双方の視点から考察し、世界演劇の中に位置づけよう、という研究の一部である。今回は特に、広義の意味での「沖縄」演劇(ウチナーヤマトグチによる現代劇や、映画化された沖縄発のアメリカン・ミュージカルも含む)における、広義の意味での「女優」(舞踊家や、花街や辻の芸能者を含む)の表象について考察し、さらに他のアジア圏や西欧の例と比較することを目的とした。当プロジェクトの主たる成果は、代表者・分担者が主となって、沖縄県男女参画センターにおいて2007年11月23日から25日まで開いた日本演劇学会の秋の研究集会であるといえる。特に、11月24日に、当プロジェクトの成果発表の場として「演劇(芸能)における女優の表象」というタイトルでおこなったシンポジウムは、メンバーの他、沖縄を代表する女優の北島角子氏をはじめ、現役の女性歌劇団員、大阪の歌舞伎研究者、戦後50年間存在した沖縄の女だけの「乙姫劇団」出身の古代宗教研究家等を研究協力者にむかえ、貴重な証言を記録することができた。また、それに先立っておこなわれた「対談」では、芥賞作家の大城立裕氏から、彼の創作した新作組踊における女性像について、貴重な話を聞きだすことに成功した。こうした内容は、地域の人々にもオープンにし、広く研究の成果とその課題を提示することができた。さらに、代表者と分担者は、京都の花扇太夫や女性能楽者、フィンランド・デンマーク・英国・香港の研究者・演出家・女優などに取材して、沖縄演劇における「女優の表象」を相対化することに努めた。特に代表者が宮古島の舞台で、男性の能楽研究者に混じって地謡を勤めた経験は、「芸能する女性」のグローバルかつローカルな表象を、新たな観点から再検討するきっかけとなった。
著者
鈴木 雅恵
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、東アジアのシェイクスピア受容について英文で発信するためのプロジェクトの一環であり、「日本」のシェイクスピアの受容を、伝統演劇の典型としての能と、「日本」とほかのアジアの国々をつなぐ接点としての沖縄の芸能に広げているところに特徴がある。本プロジェクトの期間中には、シェイクスピアを本説とした泉紀子氏の「新作能・マクベス」の英訳や「新作能・オセロ」の研究、「琉球歌劇・真夏の夜の夢」の解読、新作組踊の調査や沖縄演劇の歴史に関する英文論文の執筆などを行った。