著者
鈴木 紳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.94, no.98, pp.25-32, 1994-06-17
被引用文献数
4

関数近似問題は、層状ニューラルネットワークの計算能力を考える際に最も基本的な問題の1つである。この問題に対する従来の研究の多くは、非構成的な方法により近似ネットワークの存在を示すのみであり、近似ネットワークの構成や中間層素子数と近似誤差の評価についてほとんど寄与するものではなかった。本研究では,R^mで定義されR^nに値を持つ2π周期p乗ルベーグ可積分関数を近似する、シグモイド関数を中間層素子入出力関数とする3層ニューラルネットワークの構成を示し、中間層素子数と近似誤差を評価する。また、本結果はR^mの有界区間積集合上で定義されR^nに値を持つp乗ルベーグ可積分関数の近似に適用できる。本研究では、ニューラルネットワークの計算能力解明のための新たな1つの手掛りを与えるものである。
著者
鈴木 一良 塚林 功
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集
巻号頁・発行日
no.22, pp.114-115, 2005-08-06

「理科嫌い」を克服しようと多くの試みがなされている.工学部進学者であっても「理科嫌い」は多い.本学で,この数年,基礎物理の履修者,合格者が激減している.この激減傾向は本学だけのものではないであろう.この原因を学生の学力不足などの問題ととらえてしまえば,問題は現代社会の子育て・教育全般に拡散してしまう.確かに,学力不足は問題に違いないが,学力不足が生ずる原因は「理科嫌い」にあるのではないだろうか.というのは,「理科嫌い」の学生には,「量」,あるいは「量」と「量」の関係に対する極めて基本的な認識に欠陥があるように思われるからである.児童・生徒・学生が,驚き,感動し,自ら試し,測定し,データをプロットし,楽しめる素朴な実験セットが提案されている.実験は真空バズーカ砲,空気の重さの測定,自分の呼気で自分をリフトアップするなど一組として行う.本実験は,小中高どの段階で行っても,物理量を体験させるという意味で有効と思われる.
著者
吉田 大輔 島田 裕之 牧迫 飛雄馬 土井 剛彦 伊藤 健吾 加藤 隆司 下方 浩史 鷲見 幸彦 遠藤 英俊 鈴木 隆雄
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EbPI1414-EbPI1414, 2011

【目的】物忘れなどの記憶障害は、アルツハイマー病(Alzheimer's disease: AD)の特徴的な前駆症状である。海馬や嗅内野皮質を含んだ内側側頭葉はこの記憶の中枢であり、記憶障害と内側側頭葉の脳萎縮とは密接な関係があると考えられている。一方、日常的に知的な活動や身体活動、あるいは社会活動(社会とのつながり)を保持することは、高齢期における認知症(特にAD)の発症遅延や認知機能の維持にとって有効である可能性が示唆されている。これらのことから、活動性の高い日常生活を送ることは、内側側頭葉の脳萎縮を抑制できると推察されるが、高齢期における内側側頭葉の脳容量と日常生活活動との関係については、これまでほとんど報告されていない。そこで本研究では、どのような日常生活活動が内側側頭葉の脳萎縮と関連があるのか明らかにすることを目的とした。<BR><BR>【方法】主観的な記憶低下の訴えがある、もしくはClinical Dementia Ratingが0.5に該当した65歳以上の地域在住高齢者125名(76.1±7.3歳)を対象とした。すべての対象者は、基本情報に加え一般的な認知機能検査、頭部のmagnetic resonance imaging (MRI)検査を受けた。内側側頭葉における脳萎縮の程度は、MRI検査で得られた画像を基にvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)を用いて定量的に評価した。日常の生活活動状況は、質問紙を用いて過去1ヶ月における各活動の実施状況(二択式;している/していない)を聴取した。各々の活動項目はセルフケアや手段的日常生活動作、社会活動などの25項目から構成されており、高齢者の生活活動全般を幅広く捉えられる項目内容とした。そして、活動項目ごとに「している」と回答した者(活動群)と「していない」と回答した者(不活動群)の2群間で内側側頭葉の脳萎縮度に差がないか、共分散分析を用いて検討した。なお分析の前段階として、2群いずれかのサンプルサイズが20に満たなかった活動項目は、あらかじめ分析項目から外した。また、年齢と脳萎縮との関係をpearsonの相関係数で確認した。<BR><BR>【説明と同意】すべての対象者に対しては、事前に研究内容を説明し、書面による同意を得た。また、本研究は国立長寿医療研究センターの倫理・利益相反委員会の承認を得て行った。<BR><BR>【結果】内側側頭葉の脳萎縮と年齢との間には、有意な正の相関関係が認められた(r = 0.457, p < 0.01)。そこで、年齢を共変量とした共分散分析を行い、内側側頭葉の脳萎縮と日常生活活動との関係を検討した結果、「頭を使う活動(将棋や学習)」において、活動群(n = 70)の脳萎縮度が不活動群(n = 55)のそれより有意に小さかった(F = 6.43, p = 0.01)。同様に、「習い事」においても、活動群(n = 70)の脳萎縮度が不活動群(n = 55)のそれより有意に小さかった(F = 4.40, p = 0.04)。<BR><BR>【考察】記憶とその関連領域である内側側頭葉の脳容量とは、密接な関係があると考えられている。今回、同領域の脳萎縮と知的活動(「頭を使う活動」)の実施状況との間に関連性が認められたことは、先行研究の結果と矛盾しない。地域高齢者にとって、日常的に知的な活動を取り入れることは、認知機能の低下だけでなく内側側頭葉の脳萎縮も抑制できる可能性が示唆された。ただし、それ以外の活動(主に身体活動)の実施状況と内側側頭葉の脳萎縮については、有意な関連性が認められていない。今後は内側側頭葉以外の領域、あるいは活動の実施頻度を考慮したより詳細な検討が必要と考える。また、日常的な知的活動が内側側頭葉の脳萎縮を抑制できるとの仮説を立証するためには、縦断的な研究や介入研究が必要であり、今後も追跡調査を継続する予定である。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】理学療法の現場において、認知機能障害を有する高齢者を対象とするケースは少なくない。本研究は、このような高齢者に対し運動療法だけでなく日常の生活活動状況にも配慮した理学療法戦略が重要であることを示した、意義ある研究であると考えられる。また、今回の研究結果をさらに発展させることで、脳萎縮や認知機能の低下を予防するような方策が将来明らかになると期待している。
著者
木村 敏 鈴木 茂 深尾 憲二朗
出版者
日本精神病理・精神療法学会
雑誌
臨床精神病理 (ISSN:03893723)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.233-263, 2009-12-30
参考文献数
55
著者
鈴木 隆雄
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.107-114, 1981 (Released:2008-02-26)
参考文献数
20
被引用文献数
5 6

骨に対して,著しい形態学的あるいは病理学的な変化を及ぼす腫瘍,なかでも悪性腫瘍は,古人骨においてその発見例は非常に少なく,研究もあまり進んではいない。日本においても,古人骨の古病理学的研究の報告は数例があるが,現在までのところ悪性腫瘍に関する報告はまだ一例もなされていない。今回筆者は,江戸時代人頭蓋の古病理学的検索の中で骨髄に原発する悪性腫瘍の一つである多発性骨髄腫(multiple myeloma)と診断される興味ある一例に遭遇したので報告する。この著明な病理学的所見を示す頭蓋は,1955年東京慈恵会医科大学第一解剖学教室の川越逸行博士により,東京都文京区湯島の無縁坂の工事現場から発見され収集された約300個の頭蓋の一つで,"Muen-40"のラベルのあるものである。頭蓋全体に瀕慢性に拡がる約20個の直径約3-8mmの小孔が認められ,辺縁は鋭く,治癒傾向はない。頭蓋x線像では無数の小円透亮像,いわゆる"打ち抜き像punched out lesion"が認められ,辺縁の硬化像等はない。このような肉眼的,X線学的な特徴は,多発性骨髄腫の像によく一致している。鑑別診断としては,骨梅毒症,二次性悪性腫瘍転移等が考えられるが,なかでも悪性腫瘍転移との鑑別は困難な場合が多い。しかし悪性腫瘍転移の場合は病変がより大きく,また限局した病巣をもつことなどが知られている。従って本例の場合は,古病理学的に,熟年男性の多発性骨髄腫であると診断された。
著者
小林 敬典 山下 肇 吉川 東 鈴木 敦 小口 真一 船木 新壽
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, 1992-08-01

DSAの撮影条件を設計する簡便な手段としてHowlett chartを利用し, その測定法, 有用性について検討した.その結果, 測定者の視覚特性を把握するためにdata収拾する前に, 数回の練習を行うことが必要であった.sample数については20imageでも濃度変化による測定誤差は少なかった.また本法は種々の撮影条件の組合せを同一尺度でplotできるため, 複数の画質評価に有効であった.以上のことから本測定法は, DSAの画像評価に有用であった.
著者
千葉 満郎 鈴木 俊夫 長沼 裕子 正宗 研
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.235-242, 1991

薬物や抗生物質を投与せず,total parenteral nutrition(TPN),elemental diet (ED), home elemental enteral hyperalimentation (HEEH)の一連の栄養療法が極めて有効であった小児の重症Crohn病の1例を報告した.症例は14歳,女性.1989年6月,下痢,発熱,口腔内aphtha出現,7月末当科入院.身長161cm,体重39kg,ESR 1゜65mm,CRP 6.1mg/dl, Hb 7.4g/dl, albumin 2.9g/d1, IOIBD score 5.大腸X線・内視鏡検査では,不連続性に,結節の集簇,aphthoid様びらん,潰瘍などがみられた.上部消化管,小腸は正常であった.大腸Crohn病と診断しTPN(2100kcal/日)開始,10目後に自覚症状は全く消失した.その後ED(2100kcal/日),ついでHEEH(夜間 ED l500kca1/日)へ移行し,9.月27日退院(IOIBD score 1).その後もHEEH療法を継続,経過良好で,退院3カ月後のX線,内視鏡検査でも著明な改善がみられている.
著者
金子 淳 遠藤 彥美 鈴木 健治
出版者
Japan Foundry Engineering Society
雑誌
鋳物 (ISSN:00214396)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.22-28, 1952

We have troubled ourselves about the pinholes of steel castings cast in green sand moulds, so studied the cause of the pinholes and made them clear to be in the relation to hydrogen gas.</br>  We made efforts chiefly to examine the influeuces of green sand factors on the pinholes, casting the samples of molten steel in various conditions of green sand moulds. And after analysed hydrogen gas of the samples, we checked up the fractures of them whether there were pinholes or not.</br>  The results obtained are as follows.</br> 1) It's proved that the pinholes of green sand mould castings are caused by hydrogen gas when it is contented over 8 cc.⁄100 gr. in the cast samples.</br> 2) When the clay % of green sand is 12% and moisture % is varried from 5% to 8%, hydrogen gas in cast samples increases with the increase of moisture, and the increased amounts are under 2 cc.⁄100 gr.</br> 3) When the moisture of green sand is 5% or 7%, and clay % is varried from 11% to 17%, hydrogen gas is most contented in the samples at about 15% of clay.</br> 4) Hydrogen gas shows some increases with the decrease of permeability from 400 to 140 A. F. A.</br> 5) The relation among moisture, clay and pinholes is cleared, and 5% moisture and 12% clay of green sand are standard % in order to get sound steel castings.</br> 6) The samples cast in green sand moulds are (3 c.c. ⁄ 100 gr hydrogen gas) more rich than samples cast in a copper mould from a ladle. Therefore the hydrogen gas in molten steel just before tapping must be kept under 4 c.c. ⁄ 100 gr, considering the increase of 1 c.c. ⁄ 100 gr during the interval from the furnace to the ladle.
著者
鈴木 信也 佐藤 均
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.698-715, 2014-12-10 (Released:2015-12-10)
参考文献数
47
被引用文献数
1

Conventional dose estimation methods do not consider drug factors and do not allow for various pharmacokinetic factors associated with the growth of children. I have therefore established a new method based on drug elimination processes and physiological and biochemical developmental factors in order to more appropriately estimate pediatric doses (the ePPBD method). Renal excretion or hepatic metabolic clearance was calculated for each age based on physiological and biochemical developmental factors, such as the unbound fraction of the drug in plasma, glomerular filtration rate, tubular secretion, liver volume, and CYP enzyme activity. Then the pediatric dose was estimated by multiplying the adult dose by the pediatric/adult ratio of renal excretion or hepatic metabolic clearance. Accuracy of the ePPBD method was compared with conventional methods, using the population mean clearance and the doses listed in package inserts and text books as the standards to quantitate its validity. In brief, accuracy was evaluated by classifying children into the following age groups: 1) neonates in consideration of the post-conceptional age (PCA), 2) infants up to 2 years old, and 3) children over 2 years old for drugs with renal excretion, or 4) children of all ages for drugs with hepatic metabolism. The accuracy of the ePPBD method was superior to that of conventional methods both for drugs with renal excretion and those with hepatic metabolism, and therefore it should be useful for pediatric patients in whom physiological function changes remarkably as they age.
著者
鈴木 啓子 朝比奈 完 米山 公造 亀岡 信悟
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.258-261, 1998-05-25
被引用文献数
3
著者
鈴木 雄二
出版者
The Heat Transfer Society of Japan
雑誌
伝熱 (ISSN:13448692)
巻号頁・発行日
vol.44, no.188, pp.65-65, 2005
著者
谷亀 高広 大和 政秀 鈴木 彰 岩瀬 剛二
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会50周年記念大会
巻号頁・発行日
pp.175, 2006 (Released:2007-06-05)

ヒメノヤガラ (Chamaegastrodia sikokiana)は本州、四国、九州のモミ林や、カシ林に自生する無葉緑ラン科植物の1種である。本研究では、ヒメノヤガラの生活様式の解明と増殖・保全を目的とし、菌根菌の種同定とその性質について研究を行った。供試植物は千葉県天津小湊町清澄山(優占樹種 モミ)産の3株と、高知県越智町横倉山(優占樹種 アカガシ、スギ)産の1株とした。菌根菌の分離培養では、一般にラン型菌根菌の分離に使用されるCzapek・Dox+酵母エキス寒天培地ではコイル状菌糸からの菌糸の伸長が見られなかったことから、外生菌根菌培養用の培地として知られるMMN培地を用いた。その結果、計17系統の菌根菌が分離された。これらの培養菌株からCTAB法によりDNAを抽出し、rDNAのITS領域をPCRにより増幅し、得られた塩基配列をもとに相同性検索を行い、系統解析を行なった。その結果、分離菌株は担子菌類のCeratobasidiaceae、いわゆるRhizoctoniaと相同性があることが確認された。また、自生地の状況や分離菌株がMMN培地で生育したことから、これらの菌根菌が樹木に外生菌根を形成するのではないかと考えられた。そこで、得られた菌株の内、清澄山産の供試植物より分離された2系統について、同自生地における優占種のモミに対し、接種試験を行った。分離菌株を液体MMN培地で培養し、滅菌土壌で生育させたモミ苗の根元に埋設させたところ、1ヶ月後に外生菌根が形成された。さらに、形成された外生菌根から得られたDNAを解析したところ、接種した菌株であることが確認された。このことから、ヒメノヤガラは、樹木に外生菌根を形成するRhizoctonia属菌を菌根菌として生育することが明らかとなった。外生菌根を形成するRhizoctonia属菌と無葉緑ラン科植物との共生関係については、海外では数例が報告されているが、日本国内では初めての報告である。
著者
黄 明霞 藤田 素弘 鈴木 弘司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.20-30, 2015

本研究では,カウント表示式信号機下の車両挙動として,カウント表示や監視カメラの有無などの異なる条件の中国8交差点の観測調査データに基づき,特に停止通過の車両挙動分析を行った.そして青から赤への信号切替時での車両挙動の重回帰モデル等を構築する.その結果,カウント表示がある交差点では無い交差点よりも,30-50m程度手前から減速し,最大減速度も小さくなり,停止傾向も強いことがわかった.また通過時はカウント表示有りのほうが,最大加速度や交差点進入速度が有意に小さくなることが確認できた.交差点特性として,監視カメラによる赤信号無視の取り締まりのある交差点が多いことや全赤時間が設定されていないこと及び,90m手前あたりからカウント表示が確認できるという条件の下で,カウント表示式信号機の安全特性がわかった.