著者
西東 力 鈴木 誠
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.232-236, 1982-11-25
被引用文献数
2 9

1980∼1981年に静岡県伊豆地方でツバキシギゾウムシの生活史を調査した。成虫は5月下旬から7月下旬まで観察され,6月にツバキ種子内に産卵した。ふ化幼虫は種子を摂食し,約1ヵ月で4齢まで発育した。7月下旬から老熟幼虫は果実に穴をあけて脱出し,ツバキ樹下の土中で幼虫越冬した。<br>本種は伊豆半島の東部と南部で多発生していた。<br>幼虫は昆虫病原糸状菌<i>Metarhizium anisopliae</i>および<i>Beauveria tenella</i>に対して高い感受性を示した。土壌殺菌の有無は菌の病原性に影響を及ぼさず,いずれの菌も土中で増殖することが示唆された。以上のことから,これらの菌を土壌施用することによってツバキシギゾウムシの微生物的防除ができるものと考えられる。
著者
濱野 貴文 鈴木 亮一 池川 隆司 市川 弘幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.179-182, 2004-02-26

リソース消費型DOS/DDOS攻撃やワーム攻撃発生時,ネットワーク事業者は,通信品質低下を防ぐため,攻撃パケットを廃棄する必要がある.大規模網での攻撃防御では,攻撃破疑パケットを固定拠点にトラヒック集約して一元対処する方式が,攻撃防御機能をエッジ/ボーダルータに分散配備する従来方式よりも,必要な攻撃防御装置数が少ないため,運用面で優れる.本報告では,大規模網への適用の観点でトラヒック集約技術の比較を行う.イングレスエッジ/ボーダル一夕と集約型攻撃防御装置間にトンネルを設定し,該ルータヘのポリシールーチング設定により,攻撃対処時のみ攻撃ターゲット宛てパケットを集約型攻撃防御装置にリルーチングさせる方式を提.案する.提案方式が大規模網への適用に有効であることを示す.
著者
鈴木 健之 西田 拓司 井上 有史
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-30, 2016-06-30 (Released:2016-06-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究は、てんかん患者の認知機能障害に対するリハビリテーションの有用性、およびその他の認知機能改善に関連する要因を明らかにすることを目的とした。症候性部分てんかん患者51名に対して、浜松方式高次脳機能検査(HHBFS)を用いて、初期評価と再評価との比較、作業療法介入の有無による認知機能の変化の比較を行った。また重回帰分析によりHHBFSの得点の向上に関与する変数を検定した。その結果、初期評価と再評価で認知機能障害の改善がみられ、作業療法介入により有意な認知機能の改善を示すHHBFSの下位項目が認められた。また、認知機能障害の改善に関連する要因として、薬剤の影響と作業療法介入が認められ、てんかん患者の認知機能障害に対して抗てんかん薬の調整と作業療法によるリハビリテーションが有効である可能性が示唆された。
著者
小松 雄高 鈴木 真二 増位 和也
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.12, pp.207-210, 2003-12-08

The algorithm for on-line flight path optimization for emergency landing of aircraft and its flight experiment are discussed in this paper. On-line optimal flight path generation problem is transformed into the state-space search problem and the Tabu Search method with Random Moves is combined to optimize each segment of the state-space search in real-time. We checked the effectiveness of the proposed algorithm in flight simulation, then the plan for the flight experiment scheduled in this October is illustrated. The generated flight path is shown to a pilot in "Tunnel-in-the-Sky" Display, and indicates guidance for emergency landing to the pilot.
著者
鈴木 淳
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.65-67, 2012-03-30 (Released:2012-08-23)
参考文献数
7
被引用文献数
3 2
著者
鈴木 智之 与那覇 恵子 塩月 亮子 加藤 宏 松島 浄 加藤 宏 武山 梅乗 松下 優一 ヴィクトリア ヤング
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、戦後沖縄における「文学表象」と「文化的実践の場」の構造に関する社会学的分析を行うことを課題としてきた。沖縄において「文学」は、政治的状況の強い規定力と、文化的・言語的な固有性に影響されながら、「弱い自律性」を特徴とする文化的実践の場を形成している。地域に固有の制度的布置の中で、文学は、この地域の歴史現実を表象する重要な媒体でありつづけている。本研究では、戦後沖縄を代表する何人かの作家たちについて、社会的状況と文学的実践を結ぶ、その多面的な媒介の論理を明らかにすることができた。
著者
江本 雅彦 鈴木 千尋 鈴木 康浩 横山 雅之 關 良輔 居田 克巳
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.562-567, 2014-09-25

実験データと理論計算データを融合した統合輸送解析システムを開発した.このシステムにより,従来,別物として取り扱われてきた,LHDの実験データと理論計算データを統合化し,ユーザは両者を区別することなくデータを取り扱うことができるようになった.このシステムにより,平衡計算および,その平衡に基づくNBI加熱分布評価,エネルギー・運動量バランス解析に至る一連の解析作業をパッケージ化することが可能となり,LHD実験適用型統合輸送解析コードTASK3Dの運用に大きな貢献を果たし,原理的にLHDの全放電,電子温度分布計測がなされた全てのタイミングに対してエネルギー・運動量バランス解析を実施することができるようになった.
著者
岡田 美智男 鈴木 紀子 石井 和夫 犬童 早苗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.338, pp.37-43, 1997-10-23
被引用文献数
2

日常での雑談などにおける発話には, (1)「意味を伝える」機能と, (2) お互いの発話に対して「意味を与えあう」機能とがいつも同居している. あるいは, 「伝えようとして伝わること」と相手の応答との重なりの中で「事後的に意味や役割が出現すること」とが同居している. これまでの行為遂行的な, 情報伝達的な側面を重視した対話研究では, 「伝えようとして伝わること」について主に検討されており, 後者の側面に対しては十分に議論が尽くされていない. 本稿では, 様々な発話の重なりの中で新たな意味を発現させうる「多声性を帯びた発話」の存在に着目し, その多声性に富んだコミュニケーション, すなわち「雑談」の成り立ちについて考察する. また, この多声的な関わりや間身体的な場の形成に着目しながら, 共同想起対話におけるユニゾン的な同時発話の現象の意味について考える.
著者
鈴木 継美 今井 秀樹 小林 香苗 本郷 哲郎 柏崎 浩 大塚 柳太郎 鈴木 久乃 石田 裕美
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.91-102, 1988
被引用文献数
5 10

食材料 (生鮮67種, 加工・調理済70種) を一般市場より購入し, 某女子大生の食事記録に基づき83種の料理を作成した。これらの食材料と料理のセレン含量をWatkinsonの方法によって測定し, その値を文献値と比較した。これらの値に基づき, 食品群別セレン含量を定め, 国民栄養調査の結果 (昭和60年) を用い, 日本人1人1日あたりセレン摂取量を推定した。<BR>1) 生鮮食材料のうち高値を示したものは, 魚介類, 肉類, 卵類であった。文献値と比較すると, 生鮮, 加工両食材料ともにかなり食い違うものがみられた。<BR>2) 1人1回分の料理のセレン含量の大きかったものは, めん類, 卵料理, 肉料理, 魚介類の料理であったが, 料理のエネルギー含量100kcalあたりでみると, もっとも大きいものは魚料理であった。なお, 調理によるセレンの損失の可能性が一部の料理に認められた。<BR>3) 日本人1人1日あたりの推定摂取量は, 調理損失を考慮しないと, 104.2μgであった。
著者
鈴木 彰
出版者
神奈川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.伝本調査および関連資料収集作業和鋼博物館・刀剣博物館・東京大学史料編纂所を中心に、各機関に所蔵されている文献・写真帳等を調査し、刀剣伝書および伝書の生成と展開に関する書物群の伝本調査を推進した。書誌カードとして成果を累積し、それらをパソコンに入力した。また、デジタルカメラでの撮影や複写によって原本の写真版を手元に集め、伝本分類作業をおこなった。前年度までの調査に加えて、新たな中世にさかのぼる内容を持つ伝本を複数見出し得た。2.本研究のまとめ本研究のまとめして、「中世刀剣伝書伝本一覧(稿)」を作成し、公表した(鈴木彰『平家物語の展開と中世社会』<汲古書院2006>に掲載)。また、本研究で収集した関連資料とあわせて、将来的に「室町期刀剣文化関連資料集」(仮称)を公表するべく、整理を続けた。本年度の成果を盛り込み、初発的な完成を期したい。また、軍記物語との関連という観点からの論文「源家重代の太刀と曾我兄弟・源頼朝--『曾我物語』のなかの「鬚切」「友切」--」をまとめた(『軍記物語の展望台』(和泉書院・2006刊行予定。校正中)に掲載予定)。3.研究成果の公表2にも記したような著書と論文を公刊・執筆した。また、本研究の過程で得た知見を盛り込んだ研究発表もおこなった(軍記・語り物研究会大会 2005.8 於名古屋大学)。その内容についても、同会の機関誌「軍記と語り物」42号(校正中)に掲載予定である。
著者
桜井 良太 河合 恒 深谷 太郎 吉田 英世 金 憲経 平野 浩彦 鈴木 宏幸 大渕 修一 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.251-258, 2015 (Released:2015-06-25)
参考文献数
19

目的 本研究では,大規模郵送調査によって日常的に自転車を運転している高齢者の割合を明らかにした上で,(1)地域在住高齢者の自転車関連事故(自転車運転中の事故および歩行中の自転車に起因した事故)の発生率・傷害の程度および(2)傷害を負ったにもかかわらず警察に通報されていない事故,すなわち潜在的な自転車関連事故がどの程度存在するのかについて明らかにすることを目的とした。方法 住民基本台帳に基づいて東京都板橋区在住の高齢者7,083人に対して調査票を郵送し,調査を行った。性別,年齢,高次生活機能(老研式活動能力指標),過去 1 年間の自転車関連事故の発生の有無,自転車関連事故に伴う傷害の有無と警察への通報について質問紙にて調査した。この際,過去 1 年間の自転車関連事故の発生の有無については,自転車運転中と歩行中の自転車に起因した事故のそれぞれについて調査した。結果 返信された調査票(3,539人:回答率50.0%)から欠損回答のないものを抽出し,運転中の事故の解析については3,098人(平均年齢±標準偏差=72.8±5.6,女性53.9%)を解析対象とし,歩行中の自転車に起因した事故の解析については2,861人(平均年齢±標準偏差=72.8±5.6,女性54.0%)を解析対象とした。日常的に自転車を運転している高齢者は1,953人(解析対象高齢者の63.0%)であった。そのうち9.4%(184人)が自転車運転中の事故を経験しており,事故経験者の76.1%(140人)が何らかの傷害を負っていた。他方,歩行中では3.4%(98人)が自転車に起因した事故に巻き込まれており,そのうち55.1%(54人)が何らかの傷害を負っていた。また自転車運転中および歩行中の事故で“通院が必要となった傷害”を負った高齢者のうち,それぞれ70.2%(59人),76.9%(20人)は警察への通報をしていなかった。結論 日常的に自転車を運転している高齢者の9.4%が自転車乗車中に事故を経験しており,調査対象の3.4%の高齢者が歩行中に自転車事故の被害を受けていたことがわかった。また“通院が必要となった傷害”を負った高齢者であっても,約 7 割が警察に通報していないことが明らかとなった。ここから主管部局が管理している事故統計と実際に発生している傷害を伴う高齢者の自転車関連事故に大きな乖離が生じている可能性が示唆された。
著者
渡邊 里香 荒木田 美香子 鈴木 純恵
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.52-61, 2010
被引用文献数
3

【目的】経験1年目と5年目の看護師の離職意向に影響する要因を検討し,若手看護師の職業継続のための職場環境づくりについて示唆を得ることを目的とした.<br>【方法】2007年9~10月に近畿・東海・関東圏の13病院に勤務する経験5年未満の若手看護師2,443名を対象に質問紙調査を実施した.今回の分析対象は,1年目347名と5年目240名,合計587名とした.<br>【結果】1年目,5年目に共通して離職意向と関連があった組織要因は,話しやすい雰囲気,学習意欲,休憩空間,夜勤回数,給料であり,個人要因は研修活用度であった.1年目のみ関連があった要因は助け合いと自尊感情であり,5年目のみは,話し合う場,役割達成意識,ケア物品,ケア設備,勤務の融通のよさ,年休取得率であった.<br>【結論】職業継続のための職場環境づくりのためには,話しやすい環境づくり,業務に見合った報酬の提供,休息の確保,個人的要因に配慮した学習環境の整備が重要である.さらに1年目では,教育体制の整備,5年目では話し合える場,ライフスタイルに合わせられる勤務体制の整備が重要であると考えられた.