著者
野澤 直美 高木 翔太 福島 康仁 高橋 孝 村橋 毅 高野 文英
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.179-193, 2020 (Released:2021-01-28)

目的:硝石(硝酸カリウム KNO3)は,戦国時代から江戸末期のわが国において黒色火薬の原料として欠くことのできない物質であった.わが国における硝石製造には「古土法」,「培養法」および「硝石丘法」と呼ばれる 3 種の方法があった. 方法:本研究では,これらの 3 種の硝石製造方法について史学的調査,土壌中のイオン分析,および硝石精製の再現実験行い比較検討を行った. 結果:「古土法」は,経年した床下土から硝石を製造する全国で行われた方法なのに対して,「培養法」は,加賀藩領の五箇山や天領の白川郷の限られた地域においてのみ実施された手法であった.「培養法」は「硝石丘法」と類似するが,「硝石丘法」では人畜屎尿を屋外で積み上げ 1~3 年を経過させた土を使うのに対して,「培養法」では蚕の糞や山野草を養蚕家屋の床下に穴を掘り,約 4~5 年をかけて醸成した土から硝石を製した.実際に,これら 3 種の手法を再現して硝石製造を行った.いずれの手法においても硝石の結晶を析出させることができたが,「培養法」と「牛糞堆肥(硝石丘法の代用)」で析出する結晶は不定形であり,特に「牛糞堆肥」では繰り返しの再結晶が必要であった.「培養法」で得られる硝石の結晶量は,「古土法」の 3 倍だった.3 種の硝石製造法における土中の硝酸イオン(NO3 -)濃度をイオンクロマトグラフィー法で測定した結果,「培養法」の土に含まれる NO3-は,「古土法」よりも高く,また堆積期間が 1 年以内の「牛糞堆肥」であっても 20 年以上経過した「古土法」による土と同程度の NO3-が検出できた.「培養法」および「硝石丘法」では,アンモニア体窒素を豊富に含む蚕や人畜の排泄物を利用することにより,土中の NO3-濃度を高める生物学的手法であることがわかった. 結論:総じて 3 種の硝石製造法のなかでも「培養法」が,硝石製造の質や量の面で優れていることが判明した.本稿では,わが国の硝石製造法について,欧州の硝石製造法とも併せて論考する.
著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
高橋 孝治
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.8, pp.182-194, 2016-06-30 (Released:2017-05-22)
参考文献数
31

在中国限制出版物的出版和输入等等。在台湾有“东立出版有限公司”,这个公司翻译日本的漫画,在台湾出售。东立出版了解中国的出版物的输入限制,他们也说“向中国的漫画输出很难”。但是就笔者的调查来说,在北京其实也能买东立出版的漫画。为什么会发生这样的现象?本文拟探求这个现象背后的法律原由。结论是,对很大的公司的限制很大,但对个体经营的限制很少。总之只看结论的话,中国的创意产业上现在也有对大资本没有优待。这是和社会主义的构成相同的。本文的素材是东立出版出售的“进击的巨人”。
著者
高橋 孝代
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1872号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2004/2/16 ; 早大学位記番号:新3746

8 0 0 0 同性愛

著者
D.J.ウェスト著 村上仁 高橋孝子訳
出版者
人文書院
巻号頁・発行日
1977
著者
安田 峰俊 高橋 孝治
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 多摩大学研究紀要 = Tama University Journal of Management and Information Sciences (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.103-118, 2016-02-01

The Wa state, what is called, “Revolutionary based area” which is not ruled by the government exists in Myanmar. They have own law, “the basic law of the Wa state” there. This report will introduce it and then wants to elucidate the social system of the Wa state. There are the circumstances of the space, so it will introduce only a Civil law and considers it whether the Wa state’s Civil law. It will study them by comparing Chinese rules, because the Wa state is affected by China. This report is second report of the basic law of the Wa state.
著者
野澤 直美 福島 康仁 高橋 孝 村橋 毅 高野 文英
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.84-96, 2021 (Released:2022-02-24)

目的:硝石は,火薬の主要な原料であり,戦国時代から江戸の終わりまでのわが国において「古土法」,「培養法」,および「硝石丘法」と呼ばれる 3 種の製造法で硝石を生産していた.先の報告において「培養法」は,土中の豊富なアンモニア態窒素を利用して効率的に質の高い硝石を製造できる方法であることを科学的に明らかにした.本研究では,これら 3 種類の土をメタゲノムから比較した. 方法:硝酸イオン NO3– の生成に関連する硝化細菌に着目し,3 種の硝石製造法で用いる土中のバクテリア分 布を 16S rRNA 遺伝子を対象としたメタゲノム解析法で分析した.併せて土中の NO3– の濃度も測定し,これ らの結果を一般的な耕作地の畑土と比較した. 結果・考察:畑土では NO3– が検出されないが,それぞれの硝石製造に用いる 3 種類の土からは高濃度の NO3 –が検出された.これらの土について 16S rRNA メタゲノム解析を行った結果,「培養法」で用いる土(江戸期 の遺構土)は,「硝石丘法(牛糞堆肥で代用)」や畑土で見出される細菌叢と同じパターンが示された.対照的に,「古土法」で用いる土の菌叢は,他の 3 種類の土とは異なり Actinobacteria 門の細菌が菌叢全体の 97%を占めていた.Proteobacteria 門の細菌は,畑土で 30%,牛糞堆肥で 46%,合掌造り床下遺構土で 13%を占めるが,寺の床下土では 2%に過ぎなかった.硝化に関わる菌について菌叢同定を行ったところ,Nitrospira,Nitrobacter,JG37-AG-70 および Nitrosovibrio 属が畑土,合掌造り床下遺構土および牛糞堆肥で見出された.しかし,寺の床下土ではこれらの菌は全く検出できなかった.脱窒に関わる菌としては Rhodobacter 属,Pseudomonas属,Paracoccus属およびBacillus属の菌が見つかった.Nitrospiraに帰属されるOTUs(operational taxonomic units)のリード数は,合掌造り床下遺構土において最も高かった.以上の結果から,硝石製造法は,土中の細菌を巧みに利用して NO3– 濃度を高め硝石を作り出すための高度なバイオテクノロジーであることがわかった.
著者
高橋 孝治
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.189-196, 2015 (Released:2015-12-25)

日本における教育は文系と理系に区分されている。この区分に対して今まで多くの疑義が示されてきた。本稿は文系の代表的な分野である法学と理系の代表的な分野である数学が実はその本質は同じものなのではないかというアプローチから、文理区分に対して疑義を示すものである。本稿は、文系思考とは何か、理系思考とは何か、学説対立の有無、数学者と法律家は歴史的に一体性などを見る。その結果、法学も数学も共に人間の造ったものであり、共に論理であるがゆえ解釈の違いがあることを明らかにする。さらに、その問題解決法にも類似が見られ、歴史的にも法律家と数学者は同一人物であることが多く、両者には非常に密接な関係にあることも述べる。これらのことから法学と数学は一体的なものであり、単に「文系と理系であるために異なる学問である」とすることは、法学の発展、数学の発展の双方にとっても望ましいこととは言えないと述べる。
著者
藤林 勢世 深田 真宏 村瀬 勝俊 久野 真史 東 敏弥 田中 善宏 奥村 直樹 高橋 孝夫 松橋 延壽
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.496-503, 2023-09-01 (Released:2023-09-28)
参考文献数
22

症例は66歳の男性で,膵尾部の神経内分泌腫瘍に対して腹腔鏡下膵尾部切除術を施行した.術後2日目に突然の背部痛が出現し,緊急造影CTにて右前腎傍腔の血腫と前下膵十二指腸動脈瘤を認めた.術前には認めなかった腹腔動脈起始部狭窄(celiac axis stenosis;以下,CASと略記)が出現しており原因と考えられた.腹部血管造影下に上腸間膜動脈からアプローチをして前膵十二指腸動脈に対して選択的にコイル塞栓術を施行した.再出血なく術後33日目に退院となった.術後3か月の造影CTではCASは消失しており急性正中弓状靭帯症候群(acute median arcuate ligament syndrome;以下,AMALSと略記)の発症が疑われた.今回,我々は腹腔鏡下膵尾部切除術後にAMALSが原因と考えられるCASにより前膵十二指腸動脈瘤破裂の1例を経験したため報告する.
著者
瀧川 穣 松田 圭央 尾之内 誠基 戸倉 英之 平畑 忍 高橋 孝行 藤崎 眞人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.029-032, 2018-01-31 (Released:2018-09-21)
参考文献数
12

症例は30歳女性,銃で撃たれ当院救命センターに搬送された。来院時意識は清明で循環動態は安定していた。左右上腕,左前胸部に貫通射創,右側胸部は盲管射創を認めた。CTで横行結腸近傍に銃弾と考えられる金属片が存在し,また右肺,肝臓,脾臓の損傷,消化管穿孔を疑う腹腔内遊離ガス像,腹腔内出血,右血気胸を認めた。緊急開腹術で横隔膜,肝,脾損傷を認め縫合止血,胃壁に挫創を認め穿孔部位と判断した。銃弾を検索したが不明で,術中腹部X線で確認できず,胸部X線を撮影すると下縦隔に銃弾を認めた。食道内の可能性を考慮し,内視鏡を施行すると下部食道に銃弾を確認でき,内視鏡で胃内に押し込み胃壁損傷部位より摘出した。今回われわれは,胸腹部銃創で術前には腹部に存在した銃弾が胸部食道内に移動した症例を経験した。消化管内の銃弾は手術操作などで容易に移動する可能性があり,X線の併用など工夫が必要と考えられた。
著者
高橋 孝
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.811-819, 2006-06-20

【1881年1月29日(1)―この日の胃切除の意味を探る手掛かり―】 1881年1月29日が近代外科,特に腹部外科の発展の中で特別な日であることは言うまでもありません.この日WienのAllgemaine Krankenhausでは,Billrothが胃癌に対する胃切除(当時の用語では幽門癌に対する幽門切除)を成功裡に成し遂げ,その後,この患者の経過を4か月にわたって観察し得たのです. これは,一般には胃癌に対する外科手術の成功第1例として語り継がれていますが,当時の諸状況のなかに身を置いて考えてみますと,開腹して腹腔内の病巣を取り除くという外科手技を可能にしたこと,また消化管,特に上部消化管の連続性を離断しこれを再建することの可能性を実際に具現したということに第一義的な意味が置かれるべきものと思われます.つまり,1881年1月29日のBillrothにあっては,胃癌の手術という意識よりは,胃の切除手術という意味をより強く念頭に置いて手術を進めていたのではないかと考えるのです.
著者
高橋 孝次 タカハシ コウジ TAKAHASHI Koji
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.32, pp.13-28, 2016-03

〈文壇〉からの孤立というイメージによって強く価値づけられてきた稲垣足穂だが、大正末から昭和初期にかけては、〈文壇〉という文学場において、「新時代」を代表する作家として登記された存在だった。本稿では作家自身の証言に依拠するのみでほとんど検証されてこなかった〈文壇〉時代の稲垣足穂の姿を当時の時評や合評、新たに発見された資料、同時代言説などから再構築することを目的とする。滝田樗陰と「中央公論」、佐藤春夫との破門問題、中村武羅夫と「新潮」、新感覚派と「文芸時代」といった稲垣足穂と〈文壇〉を繋ぐ人々との関わりを再検証し、当時の足穂がいかにして〈文壇〉での位置を獲得していったかを裏付ける。加えて石野重道と猪原太郎という二人の友人をめぐる「オリジナリティ」の問題を採り上げ、足穂の送った二つの抗議文と、それに対する〈文壇〉の反応から足穂の「新しさ」がどのように認知、受容され、消費されていったのかを明らかにする。
著者
高橋 孝治
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.18-35, 2019-10-31 (Released:2019-12-17)
参考文献数
30

In the People’s Republic of China, the Criminal Procedure Code was revised on October 26, 2018. In China, RENZUIRENFA system, the judgment by default system and the prompt decision procedure were introduced by this revision. As for this report, an exegesis does the Chinese revised Criminal Procedure Code from these three systems. The defendant confesses it about own criminal act, and there is not an objection about a crime fact pointed out, and RENZUIRENFA system is the system that it is tolerant and processes by law when I agree about the assessment of a case. It is a system of so-called plea bargaining. The prompt decision procedure must conclude a hearing for a person agreeing to RENZUIRENFA and the application of the prompt decision procedure as a general rule for (when you may be sentenced to penal servitude more than one year less than 15 days) for less than ten days on a case acceptance day of the court and must start judgment in the court which you examined. And when the judgment by default system is a crime of the national crime and terrorist activity to harm serious safely that the best People prosecution House ratified when it is necessary to let a trial go promptly in the case of a corruption bribe crime, evidence is certain, and a crime suspect and defendants are enough when I am abroad and are the system that can submit an indictment for people method House when you should investigate a criminal liability by law even if the defendant is absent. About RENZUIRENFA system and the prompt decision procedure, it was taken effect before Criminal Procedure Code revision experimentally in some cities. Therefore, in this report, I examine the statistics documents of the experimental enforcement. A limit points out the point that there is not the rule in the text is very plain, and what kind of crime RENZUIRENFA system in particular is applied to about the point that I can interpret, the prompt decision procedure in this report even how. And an application is done about the penalty used for political oppression about RENZUIRENFA system and the prompt decision procedure in the district enforced experimentally. Therefore, political oppression and a crime to get will point out the aggressive evaluation in future from a point to have possibilities to let a trial progress without an investigation and public speaking in China that hard to please. And I point out that I can read it when I take an opportunity of the public speaking away from the defendant because the case by the circumstances of the government “to have to let a trial go promptly” applies about the judgment by default system. And this report settles a conclusion as follows. It is said, “there was the agreement of the defendant” formally by RENZUIRENFA system, and there will be possibility to have that a criminal trial is over in future without letting others inspect the contents of the criminal trial by a prompt decision procedure. In other words, I can impose punishment on the defendant if said, “the defendant agreed to RENZUIRENFA” without stopping by to real evidence. Furthermore, I became able to let a criminal trial progress without giving the defendant the opportunity of the argument by a judgment by default system and a judgment, “it was necessary to let a trial go promptly”. The revised Criminal Procedure Code of 2018 goes away from human rights security when I generalize it.
著者
安田 峰俊 高橋 孝治
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 多摩大学研究紀要 = Tama University Journal of Management and Information Sciences (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.71-86, 2015-02-01

The Wa state, what is called, “Revolutionary based area” which is not ruled by the government exists in Myanmar. They have own law,“ the basic law of the Wa state” there. This report will introduce it and then wants to elucidate the social system of the Wa state. There are the circumstances of the space, so it will introduce only a general rules and considers it whether the Wa state is a “state”. It will study them by comparing Chinese rules, because the Wa state is affected by China.