著者
笈川 大介 高尾 洋輔 村田 真一郎 竹内 弥 下山 啓吾 関根 嘉香
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.113-121, 2011 (Released:2012-02-24)
参考文献数
15
被引用文献数
3

東日本大震災により多くの住民が避難生活を余儀なくされている。避難者の生活を一時的に安定させるため,約72,000戸の応急仮設住宅(以下,仮設住宅)が宮城県,福島県,岩手県などに建設されている。一方,国外の災害において,仮設住宅に避難した住民が高濃度ホルムアルデヒド曝露により健康被害を受けた事例がある。宮城県では国土交通省の指示に基づき,仮設住宅の供給メーカーに対して1発注につき1戸(50~60戸に1戸)の割合で住宅性能表示制度に定める特定測定物質5物質(ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,エチルベンゼンおよびスチレン)の室内濃度測定を課し,仮設住宅の空気性能の管理に務めている。しかしながら法定5物質以外の物質が室内空気を汚染する可能性があり,詳細な化学物質調査が必要である。そこで筆者らは,宮城県の協力のもと,2011年6月20日に宮城県内1地区の仮設住宅5戸,6地点を対象に室内空気中化学物質濃度の現地調査を行った。対象物質はアルデヒド・ケトン類3物質,揮発性有機化合物43種類およびTVOC(Total Volatile Organic Compounds)濃度とした。その結果,法定5物質を含む室内濃度指針値の設定されている物質は,測定点全てにおいて指針値以下の濃度レベルであった。しかしTVOC濃度は1700~3000μg/m3で暫定目標値の4倍~7.5倍であり,指針値の設定されていない化学物質の寄与が高かった。
著者
関根 千佳
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.372-377, 2009-08-01

図書館の役割とは,市民に情報を提供することである。社会を構成する市民の中には,年令や能力,背景などの環境において,多様なニーズを持つ人々が増えてきている。日本は2009年現在,イタリアを抜いて世界で最も高齢化の進んだ国となった。加齢が進み,視覚や運動機能などに制限のある市民の増大と,ITの進展で新たな読書環境が出現する中で,その「読書」を支援する体制やサービスは,どのようなものが求められているのだろうか?本稿では,特に米国における図書サービスを中心に,読書障害(Print Disability)への対応について,デジタル化が進む図書館サービスの将来像をユニバーサルデザインの観点から論じる。
著者
細川 吉晴 関戸 知雄 土手 裕 平 瑞樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.379-386, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
8

南九州にある新燃岳と桜島の火山灰の有効利用策として、歩行者道路用の保水性インターロッキングブロックの製造に両火山灰を最大どの程度まで混合配合できるかを実験的に検討した。両火山灰は反応性シリカを含んでいたためモルタルバー法のASR試験を行ったところ「無害」であったので、ブロックに使用できることを確認した。また、保水性インターロッキングブロックの曲げ強度と吸水性・保水性のJIS規格を満足する必要があるため、両火山灰を混合する容積比3:7、5:5、7:3の3要因と細骨材への容積混入率20、30、40%の3要因を組み合わせた9配合と火山灰無混入の1配合の計10配合によるブロックについて試験を行った。その結果、容積比5:5の混合火山灰の容積混入率は、堆積火山灰の減容促進に配慮し最大30%が妥当といえる。
著者
佐伯 正夫 若林 隆三 渡辺 成雄 大関 義男 庭野 昭二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.15-20, 1981
被引用文献数
3 4

新潟県苗場山塊の標高1,000&sim;1,300m,積雪深3&sim;5mの豪雪急斜地において,斜面雪圧によるブナ伐根の脱落現象と雪崩の発生に至るまでの経過を8冬期にわたって調べた.<BR>1.伐根の地上高が大きいものほど,雪圧によって伐採後早い年代に脱落する.<BR>2.皆伐跡地では,雪圧によって伐根が伐採後7年目から転倒しはじめ,10年目には伐根本数密度が当初の半分以下に減少した.<BR>3.伐根本数密度の減少とともに,積雪移動量は増加する.草地化した皆伐跡地の急斜面では,伐根が100本/ha以下になると全層雪崩が発生する.灌木地になった皆伐跡地では伐根が50本/ha以下になると,全層雪崩の危険性が生ずる.<BR>4. 択伐跡地では,たとえ強度な択伐の跡であっても,全層雪崩の発生はない.豪雪急斜地の伐採方式として択伐が特に望まれる.
著者
小崎 道雄 岡田 早苗 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.46-61, 2002-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

酒は農耕文化の産物で, 酒の原料はその民族の主食と一致している。米は日本人の原味覚となっており, 米を原料とした酒は日本人の心の故郷といえる。筆者の提唱される「米の種類を問わず米を原料として醸した酒」を「米酒」とする定義は日本酒, 焼酎の国際化をも考えなければならない現在, 大いに役立つものであろう。タイ国のいろんなタイプの米酒の詳細な製法が臨場感をもって記述されており, 大変興味深い。筆者の長年の調査研究の成果を, 写真, 図を交えて解説いただいた。「米酒」に関心のある方のご一読をお勧めする。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
笠井 康子 佐川 英夫 関根 康人 黒田 剛史 菊池 健一 西堀 俊幸 真鍋 武嗣 JUICE-SWI日本チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.140-148, 2014-06-25

欧州宇宙機関の次期木星圈探査機JUICEに搭載される科学観測装置の一つに,サブミリ波分光計Submillimetre Wave Instrument(SWI)がある.深宇宙探査機の歴史の中で,サブミリ波を用いた惑星観測はこれまでに例がなく,SWIが世界で初めての提案となる.サブミリ波分光計とは何か?本稿ではサブミリ波観測の紹介を皮切りに,我々がSWI開発に至った経緯,SWIが拓くと期待されている科学,それを達成するための観測装置,そして最後にJUICEミッションへ向けた抱負を述べる.
著者
津田 修一 吉田 忠義 安藤 真樹 松田 規宏 三上 智 谷垣 実 奥村 良 高宮 幸一 佐藤 信浩 関 暁之 武宮 博 斎藤 公明
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.275-289, 2015-04-15 (Released:2015-04-28)
参考文献数
38
被引用文献数
4

環境中における空間線量率測定に関する実用面で役に立つ情報を提供する。この中で,精度の高い測定に必要とされる基本的要件について実データを例示しながら説明するとともに,信頼のおける環境測定に広く使用されている手法の特徴や測定例について紹介する。また,これまでに公的機関を中心に測定された空間線量率やこれに関連したデータを閲覧できるインターネットサイトに関する情報を提供する。
著者
関 麻由美
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
no.2, pp.27-32, 2010-04-22

母語・専門・日本語学習歴・日本語能力・漢字能力などの背景の異なる交換留学生が、ともに楽しく漢字を学ぶことができる「今週の漢字」という活動を紹介する。この活動は、それぞれの学習者が生活の中で見つけた言葉をクラスに持ち寄って発表するものである。発表を通じて、個々の生活のさまとともに、生活の中のどのようなものを学習のリソースとし、どのように学んでいるかも学習者同士で情報交換することができる。
著者
小林 大高 坂巻 弘之 小松 涼 飯島 伴典 飯島 康典 大津賀 博之 斉藤 克也 関 徹也 中村 英俊 山浦 知之 横林 邦明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
pp.14-00013, (Released:2014-04-25)
参考文献数
4
被引用文献数
2

This study aimed to determine how much time can be saved with the use of unit-of-use packaging for prescription drugs as compared with bulk packaging in community pharmacies as well as to determine the number of errors. In a simulation, mock prescriptions were dispensed either in unit-of-use packages or by transferring medication from a bulk container, and a time study was conducted to measure the time spent on dispensing and prescription auditing by pharmacists. Pharmacists' and patients' degree of satisfaction was also surveyed. The time saved with unit-of-use packaging was 66.25 seconds per prescription. The sole dispensing error that was found in the study occurred with bulk dispensing. Among both pharmacists and patients, many were of the opinion that dispensing with unit-of-use packaging was preferable to bulk dispensing. Unit-of-use packaging shortens the time that pharmacists spend on dispensing activities and increases the efficiency of their work. Unit-of-use packaging is also thought to reduce the number of counting errors.
著者
中塚 幹也 関 明穂 新井 富士美
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

性同一性障害では,心の性と身体の性が一致せず,子どもの頃から性別違和感を持ち,不登校,自殺念慮,自殺未遂などを経験する率も高い.本研究では,各地の当時者の在学する学校,教育委員会,ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者等への調査により,小学校,中学校,高等学校,大学での対応状況,問題点を明らかにし,対応マニュアルである『学校の中の「性別違和感』を持つ子ども:性同一性障害の生徒に向き合う』を作成,配布した.