著者
永野 達也 伊関 憲 仁木 敬夫 杉浦 明日美 二藤部 丈司 川前 金幸
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.207-210, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

アナフィラキシーショックからの蘇生治療に難渋し心肺停止に至った1症例を経験した。症例は65歳の男性。ハチに刺されショック状態となり,当院救急部に搬送された。7ヵ月前に急性心筋梗塞の既往があり,β遮断薬を内服していた。アナフィラキシーショックに対してエピネフリンの筋注や静注を行ったが治療に反応せず,心静止となった。心肺蘇生とエピネフリンの追加投与により自己心拍が再開し,2ヵ月後に独歩退院した。本症例では心肺停止の原因として,ハチ毒による冠血管攣縮と,β遮断薬の内服がアナフィラキシーに対するエピネフリン治療に影響を及ぼした,という2つの病態が考えられた。β遮断薬内服中の患者がアナフィラキシーショックに至った場合には,通常の2~5倍量のエピネフリン投与が必要であると言われている。
著者
近藤 尚子 田中 直人 中村 弥生 関口 光子
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
no.52, pp.111-115, 2021-03-31

本資料紹介では、本学所蔵のピエール・カルダン関連資料群について扱う。文化ファッション研究機構では、学内機関で所蔵されているが、リソースとして整理・公開されていない服飾関連資料の調査・デジタルアーカイブ化を進めてきた。そのなかで、2023年に創立100周年を迎える本学には、国内外のデザイナーに関して、実物服飾資料やその研究成果のみならず、交流記録も残されていることが判明した。文化服装学院の名誉教授であるピエール・カルダン氏は、1958〜2010年の間に計10回も来校しファッションショーも開催した、本学と特に関係の深いデザイナーの 1 人である。そのため、所蔵している資料は実物服飾資料、紙資料、画像、映像と多種多様であり、現時点で確認された資料数は1,055件にも上る。またこれら資料の多様性は、これまで資料所蔵機関として認知されていた教育部門、附属機関に加え、事務部門とも連携し調査を行えた結果でもある。このような部門を超えた連携は、研究の多様化や分野を超えた共同研究が進むなかで重要な意義を持つものであると考え、ファッション分野におけるオーソドックスな研究対象である実物服飾資料のみならず、その他の資料情報も併せて紹介する。
著者
関 啓子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.276-283, 2008-09-30 (Released:2009-10-27)
参考文献数
24

言語聴覚士(ST)は理学療法士(PT),作業療法士(OT)とともにリハビリテーションに携わる専門職種であるが,その数は他職種に比べてもまた欧米のST と比べても少なく,認知度は未だ低い。しかし,ST は失語を始めとする多様な高次脳機能障害の領域では活発な臨床・研究活動を行っており,急性期から維持期まで一貫して関わっている。OT が作業を通した活動を提供するのに対し,ST は包括的なコミュニケーションの向上を念頭におき,言語を介した活動を行う。効果的なリハビリテーションには,すべての専門職者の協働が重要である。  ST の高次脳機能障害へのアプローチは,障害の種類や重症度,患者の年齢・性・状況などに応じて多様であり,一般像を描くことが難しい。そこで,本稿では一例として,筆者のこれまでの臨床・研究活動から(1)MIT(Melodic Intonation Therapy)日本語版の開発と適用,(2)純粋失読に対するなぞり読み訓練技法の開発と効果測定,(3)空間性失書の症状分析と半側空間無視の影響の検討,を紹介する。
著者
関 亮
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.636-641, 1977-11-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
2
著者
関 喜一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.71-74, 2001-05-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

本稿では,視覚障害者のためのVR技術について,晴眼着用VRとの違いについて述べ,次に聴覚と触覚に情報を提示する形式にわけてその原理と応用例を紹介した.聴覚VRについては,頭部伝達関数を用いた音響VRの原理と,視覚障害児教育への応用例,及び視覚障害者歩行補助への応用例を紹介し,続いて視覚障害者の障害物知覚について説明し,その訓練を行うための音響VR技術の例を紹介した.また,過去に行われた歩行補助装置の研究についても概説した.触覚VRについては,数少ない研究事例の中から,ピンディスプレイを用いた視覚障害者用3次元触覚情報提示装置の研究を紹介した.
著者
関口 安義
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.64-73, 1991

「『謀叛論』と芥川龍之介」というテーゼは、厭世的・芸術至上主義的にのみ芥川文学を考えるこれまで支配的だった芥川観を訂正するため導き出されたものである。芥川は徳冨蘆花の<謀叛のすすめ>を見事に文学化することに成功した作家である。本論は同時代人共通の課題として「謀叛論」をとらえた芥川と同僚松岡譲、一方、その問題提起を聞き逃した菊池寛・久米正雄のその後の歩みが、奇しくも彼らの文学上の歩みと一致するものであったことを論じる。
著者
関 勝男
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.215-221, 1994 (Released:2007-03-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

幼児の運動発達は「生涯にわたり, 継続的に変化するあらゆる過程である」ことを強く認識したい。その発達過程には,個人差があり, 個人の遺伝的な素因に大きく左右されながらも,生活環境を含む「成熟と学習」の相互交渉によるところは大きく重要な要素であった。特に, 脳性麻痺児に対する適切な知覚・運動機能の刺激は、正しい運動の発達を促進する原動力となっている事実を知り,その一つひとつを継続的に慎重に確認していかねばならない。歪んだ形の運動発達を極力避け,残存能力を最大限に活用し,生活空間を拡大することにより, 自ら選ぶ自立生活を確立する力となり, さらに社会性を培う基盤となることを理解したい。
著者
永関 慶重 深町 彰 小泉 英仁 田崎 健 若尾 哲夫
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.1239-1246, 1980 (Released:2006-11-10)
参考文献数
30

The authors reported a case of acute epidural hematoma which developed four hours after irrigation of the chronic subdural hematoma. A 56-year-old man was admitted. He was drowsy and disorientated with a one-month history of headache and dysarthria, but no other neurological deficits were noted. Laboratory data including bleeding and coagulating time, were all within the normal ranges. CT scanning and left carotid angiography showed a large left subdural hematoma. Irrigation of the subdural hematoma was performed the next day through two burr holes in the left fronto-parietal region under local anesthesia. About 150 ml of subdural hematoma was removed. Four hours after irrigation, he was semicomatose with right hemiplegia. CT scanning was immediately performed and reveled a epidural hematoma in the left parieto-occipital region. About 120 g of epidural hematoma was removed by left parieto-occipital craniotomy nine hours after the first operation. He gradually improved, and was discharged ambulant on the 51st postoperative day. The presumptive pathogenesis responsible for the development of the epidural hematoma in this case was bleeding from small dural vessels after detachment of the dura from the skull in the left parieto-occipital region. It was considered that the detachment occurred at the posterior burr hole in the beginning and was then accelerated by postoperative intensive evacuation of the hematoma through a closed-system drain.
著者
関谷 詩穂実 時田 幸之輔 澤田 豊
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.223-226, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
8
被引用文献数
1

〔目的〕半腱様筋(ST)腱使用による前十字靱帯(ACL)再建術後長期経過例について,両膝屈筋群の筋活動を検討した.〔対象〕再建術後より12ヶ月以上経過した男女9名.〔方法〕アイソキネティックマシーンを用い膝関節角度30°,60°,90°および105°における,膝屈筋出力と筋活動の測定を行った.〔結果〕対象者を筋出力に基づいて健側100%とし,膝深屈曲位で術側が8割以上回復している者(回復群)と8割未満で低下したままの者(非回復群)に分けた.筋活動は,回復群術側と非回復群術側と健側のSTに筋放電量低下を認めた.〔結語〕ST腱使用によるACL再建術後,長期経過しても術側の腱採取の影響によりドナー筋の筋活動低下が残存し,術側の筋出力o筋活動共に低下している場合には,健側STの筋活動低下も生じることが示唆された.
著者
関口 浩二 遠山 哲次郎 荒田 崇 清水 敏晶
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.853-858, 1997 (Released:2011-06-27)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Lake Saroma is an inland sea-lake on the Sea of Okhotsk. As the lake's environment is suitable for aquiculture, it is widely used for natural sea farming.Ice floes usually reach Okhotsk Sea coast of Hokkaido from late January through early February. When ice floes arrived before Lake Saroma had sufficiently frozen up, the inflow of ice into the lake damaged aquiculture facilities. As a countermeasure for this, construction of ice booms to control ice floes began in 1994 and 10 spans out of 13 planned have since been completed.In this study, the effectiveness of ice booms in controlling ice floes in an actual sea area is confirmed, factoes concerning the tension of the main wire, an important point in design, are analyzed using research results, and the design and actual values are compared.
著者
前田 奎 大山卞 圭悟 関 慶太郎 水島 淳 広瀬 健一 尾縣 貢
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.21-36, 2019-06-17 (Released:2019-06-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate, using path analysis, causal relationships among motion factors for achieving a high release velocity in the male discus throw. The throwing motions of 61 male discus throwers were analyzed using three-dimensional motion analysis. Variables such as release velocity, velocities gained by each body segment, body segment velocity, body angle and angular velocity were obtained. The path model indicating the causal relationships among these factors was constructed by path analysis. The main results were as follows: Influences of velocities gained by each body segment on release velocity were largest for the arm, followed in order by the trunk and legs. Motion factors such as weight shift, acquisition of the velocity of the center of gravity, sweeping the legs, rotations of the hip and shoulder, twisting and untwisting of the trunk, acquisition of the velocity of the right knee and extension of the left knee had direct or indirect influences on the velocities gained by each body segment. Motion factors in the path model revealed causal relationships along the time sequence of the throwing motion. In addition, the path model in this study indicated the cause and effect structure of the throwing motion by which Japanese male discus throwers were able to achieve a high release velocity. The results of this study can be utilized for technical coaching of the discus throw based on causal relationships.
著者
内海 雄思 井関 栄三 村山 憲男 一宮 洋介 新井 平伊
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.615-619, 2010-06-01

はじめに インフルエンザは伝染力が強く,特に65歳以上の高齢者,乳幼児,免疫低下状態の患者,糖尿病など慢性代謝性疾患の患者を含むハイリスク群では,重篤な合併症を引き起こして死亡する危険が増加する。インフルエンザ感染の予防にはインフルエンザワクチンの接種が有効とされ,毎年流行が予想されるインフルエンザウイルスに対してワクチンが製造されている。インフルエンザワクチンには,ハイリスク群がインフルエンザに罹患した場合,肺炎など重篤な合併症の発症を抑え入院・死亡などの危険を軽減する効果が認められており1),社会の高齢化が急速に進んでいるわが国でも,厚生科学研究の結果2)をもとにインフルエンザワクチンの接種が推奨されている。 インフルエンザワクチンは1971年以前には全粒子ワクチンが使用されていたが,1972年からは精製したウイルス粒子をエーテルによって部分分解した不活化ワクチンが登場した。これに伴い発育鶏卵の品質管理,精製技術の改良や発熱物質の除去などの技術的進歩によって,発熱や神経系の副作用は大幅に減少した。しかしながら,極めて稀ではあるが,Guillain-Barre症候群(Guillain-Barre syndrome:GBS)やacute disseminated encephalomyelitis(ADEM)など自己免疫機序が推定される脳神経障害を生じて後遺症を残す例も報告されている3,4)。 今回われわれは,インフルエンザワクチン接種後に単純ヘルペスウイルスによると考えられる辺縁系脳炎をきたした症例を経験した。インフルエンザワクチン接種後に生ずる脳神経障害は重篤な後遺症を残しかねず,最悪の場合死に至ることもある。これらを未然に防ぐためにも,インフルエンザワクチン接種後の副作用の発症機序を個々の症例ごとに検討することは重要である。

4 0 0 0 OA 元亨釈書 30巻

著者
虎関師錬
出版者
大菴呑碩 写
巻号頁・発行日
vol.[15], 1558

4 0 0 0 OA 聚分韻略

著者
[虎関師錬] [著]
巻号頁・発行日
vol.上平,下平, 1600

漢詩を作る際に韻字を探すための書として編まれたもの。国書として最初に上梓されたもので、大変便利な書であったため、中世期において頻繁に改版され、また全国各地で刊行された。『下学集』や『節用集』といった辞書の類は、いずれも本書の影響を受けているとされ、慶長以前の刊本だけでも20種以上に及ぶという。嘉元4(1306)年の虎関師錬自序、徳治2(1307)年の叟一寧跋をもつ本書の、刊記のある最古の版は応永19(1412)年刊本とされている。当館でも数種を架蔵するが、該書は、小本枡形の古活字版で、無刊記ではあるが慶長頃の刊行とされている。上下平部分を存するのみ。各部のあとに1、2枚の別紙を補入し、書き込みに備えている。他に所伝をみない孤本である。印記は「船橋蔵書」。船橋家はもと清原氏で、代々儒学を家業とした家柄であるが、近世初期の当主秀賢の時に「船橋」と改姓。伝世の典籍・文書は有益な資料に富む。
著者
大野 正彦 花岡 [キヨシ] 関 比呂伸 大貫 文
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-117, 2011-12-20

カベアナタカラダニ(Balaustium murorum)はわが国の都市部における不快害虫である.住民はこのダニの害,特に刺されることを心配している.このダニが人を刺して痒みや皮疹を起こすのか明らかにするため,人の皮膚に6ないし24時間接触させ,その後の皮膚の状態を観察した.生きているダニは痒みを起こさず,刺したり皮疹を生じさせたりすることはほとんどないと考えられた.しかし,潰したダニを24時間接触した被験者に赤い皮疹が生じた.ダニの体液が皮膚障害を発生させたと思われた.ダニを潰してその体液を皮膚に付けないよう注意する必要がある.
著者
関根 正
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-53, 2011-03

目的:出身地域以外で生活を送る精神障害者の地域生活過程を明らかにし,生活のしづらさの要因と地域生活支援の方向性についての示唆を得る.方法:インタビュー調査を行い,質的帰納的に分析した.結果:対象者は7名.年齢は30代後半から70代前半,地域生活期間は6年から17年.地域生活過程は,社会的孤立期,社会的自立期,社会的実存期に区分でき,【自己喪失感の実感】【不自由さへの馴化】【仲間との出会い】【社会環境への慣れ】【生活の確立】【人への慣れ】【自分自身の実感】【生きがいの発見】という地域生活のあり方が抽出できた.結論:地域生活過程は,地域生活に必要な自己アイデンティティを再構成する過程であった.生活のしづらさの要因は地域生活で直面した自己の危機的状況であり,地域生活を送る上で必要な社会的・対人的な体験の支援,地域生活モデルの提示,失敗できる安心感の提供,自己表現・他者評価の場の提供が地域生活支援の方向性として示唆された.