著者
高木 浩一 齋藤 達也 日下 智博 坂本 裕一 高橋 久祐 成松 眞樹 長根 健一 山口 諒
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.483-489, 2012-11-01 (Released:2014-02-20)
参考文献数
11

食用きのこの増収を目的に,電気刺激用パルス電源の開発と,それを用いて増収効果を検証した。木材腐朽菌のシイタケ,ナメコ,クリタケ,ハタケシメジの4種類を実験に用いた。パルス電源は,軽量コンパクト化が可能な誘導性エネルギー蓄積方式で構成した。電源出力は100kV以上,パルス幅は約100nsである。この電源でホダ木や菌床に高電圧を印加し,収量を調べた。電圧印加により,収量は1.3∼2.0倍に増加した。シイタケの4シーズンの累積収量は,電圧50または100kVの1回印加で,160から320gへ増加した。しかし電圧130kVでは240gに減少した。他のきのこも,50∼100kVで増収となった。
著者
竹村 和久 高木 修
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.57-62, 1988-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
3

“Ijime” (in Japanese, a rough equivalent of bullying) is a serious social phenomenon in which some school children are frequently and systematically harassed and attacked by their peers. In this study, differences of negative attitude toward a deviator and conformity to majority were investigated in connection with various roles (victims, assailants, bystanders, spectators, mediators, and unconcerned persons) in the “ijime” situation. The subjects, 195 junior high school students, were asked to respond to a questionnaire which measured (a) negative attitude toward a deviator and (b) conformity to the group in various situations. Major findings obtained were as follows: (1) Regarding attitude: there were no significant differences among the above six roles.(2) Regarding conformity: several significant differences were found in every role. In general, the conformity level of assailants was higher than that of mediators.(3) The result of multivariate analysis suggested that the victims were more deviant in both attitude and conformity than in any other roles.
著者
高木 潤野
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.209-218, 2018-12-31 (Released:2020-03-10)
参考文献数
23

本研究は、日本語を母語とする場面緘黙(SM)児に何らかの言語・コミュニケーション能力の問題がみられるかを明らかにすることを目的とした。自閉スペクトラム症および知的障害の診断のない幼児から中学生のSM児32名を対象に、日本版子どものコミュニケーション・チェックリスト(CCC-2)、音声の聴取、場面緘黙質問票(SMQ-R)を行った。その結果、一般コミュニケーション能力群(GCC)値は32名中4名が44(3パーセンタイル)以下であった。領域ごとでは、2領域以上で5パーセンタイル以下の値があった者は13名であった。音声の聴取ができた21名中2名に構音障害疑い、2名に吃音疑いが認められた。これらを併せると言語・コミュニケーション能力に何らかの問題が認められた者は32名中16名であった。したがって、日本語を母語とするSM児においても海外の先行研究と同様に、言語やコミュニケーションに関連する能力に問題がある者が半数程度存在する可能性が考えられた。
著者
鈴木 ドロータ 高木 秀雄 河本 和朗 中村 祐治 中村 れいら
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.587-605, 2015-08-25 (Released:2015-09-17)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本州弧に対する伊豆–ボニン弧への中新世の衝突の影響を受けて,中央構造線の東西走向が,紀伊半島東部伊勢地域で東方に向かって東北東–西南西へと曲がりはじめるものとされている。しかしながら,伊勢地域では第四系堆積物が広く覆っており,都市化も進んでいることから,中央構造線の地表トレースの正確な位置は不明瞭である。中央構造線の位置の正確な把握は,たとえば地盤の違いを反映した地震動予測に資することや,中部日本における中央構造線の折れ曲がりのより正確な説明を与える上でも重要である。本論は伊勢地域(玉城町・伊勢市)に存在する(1)美和ロック玉城工場,(2)伊勢市役所,(3)伊勢観光文化会館のボーリングコアの岩石学的検討を行うとともに,伊勢市内のその他の建設基盤調査資料や,玉城町大池の断層岩類,領家帯に分布すると考えられる宮川沿いの中新統礫岩,伊勢市内に存在する三波川結晶片岩の露頭など,限られた露頭の地質調査結果から,中央構造線の位置をより正確に求めることができた。今回の調査で,三波川変成岩が一部に露出している伊勢神宮外宮に存在する中央構造線が正宮付近に想定され,ジオツーリズムとリンクしたその教育的活用が望まれる。
著者
高木 徹
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.11, pp.29-34, 2019-03

現行の中学校国語教科書(5 社)に掲載されている教材に関する調査報告である。主に文学教材を対象とし、小説、詩、近代短歌、近代俳句、説明・評論、随筆・随想、古文、漢文の各分野で、どのような教材が採用されているかを調査し、頻出する教材が何であるかを明らかにしたものである。
著者
阿部 晋吾 高木 修
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯心研 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.35-42, 2018-08-07

<p>In this study, participants (623 students) were examined using two scenarios whether justifiability evaluation of anger expression would be affected by the differences in victim's position or perpetrator's position, the magnitude of damage, and perpetrator's responsibility. As a result, against the prediction, perpetrators tended to evaluate victim's anger expression as being more justifiable than victims. However, since the magnitude of damage and responsibility had significant influences on justifiability evaluation, and these influences were stronger in perpetrators than in victims, the other hypotheses were supported. Moreover, in the specific situation, it was suggested that expressing anger was evaluated as being more justifiable than suppressing anger.</p>
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
高木 智世 森田 笑
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.93-110, 2015

日本語会話でしばしば用いられる「ええと」は,従来,「フィラー」や「言いよどみ」などと呼ばれてきた.本稿では,質問に対する反応の開始部分に現れる「ええと」が,相互行為を組織する上でどのような働きを担っているかを明らかにする.具体的にどのような環境において,質問に対する反応が「ええと」で開始されるかを精査することにより,上述の位置における「ええと」が,単なる「時間稼ぎ」や発話産出過程の認知的プロセスの反映ではなく,質問に対する反応を産出する上での「応答者」としてのスタンスを標示していることを明らかにする.日本語話者は,質問を向けられたとき,まずは「ええと」を産出することにより,「今自分に宛てられたその質問に応答するには,ある難しさを伴うが,それでも,応答の産出に最大限に努める」という主張を受け手(質問者)に示すことができる.すなわち,「ええと」を反応のターンの開始部分で用いることは,相互行為の進展が阻まれているように見える事態において,「今ここ」の状況についての間主観性を確立し,相互行為の前進を約束するために利用可能な手続きなのである.
著者
向山 武彦 平川 直弘 高橋 博 滝塚 貴和 木村 逸郎 小川 徹 小寺 正俊 安俊 弘 若林 利男 原田 秀郎 井上 正 高木 直行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.159-193, 1995-03-30 (Released:2010-03-08)
参考文献数
140
被引用文献数
2

原子力開発の当初から高レベル廃棄物は重要問題の1つであったが,原子力利用の進展に伴いその重要性はますます大きく厳しいものとなってきている。現在,地層処分が多くの国で既定の処分方法となっているが,より優れた方法を目指して消滅処理の研究が進んでいる。特に最近,この方面の研究が盛んになり,しかも日本がその重要な牽引車の役割を担っている。本「特集」では,このような事情に鑑み,消滅処理技術の解説,関連技術の現状,研究開発の経緯,オメガ計画,国際動向,国内における技術開発の現状,地層処分からみた位置付けについて,一般の読者を対象に解説して頂いた。
著者
高木伸也 佐々木淳
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

問題と目的 DSM-5が2014年に発刊され,新しく不安症の中に選択性緘黙(Selective Mutism; 以下,SM)が加わった。中でも社交不安症(Social anxiety disorders; 以下SAD)はSMと近い症状があることが知られており,併存する確率が高い(Vecchio et al,2003)。SM自体の研究は臨床心理学の研究としてSMに対する事例研究として行動療法(沢宮・田上,2003)・遊戯療法(上野,2010)などが適用されてその効果が検討されている。しかしSMのメカニズムを明らかにする研究は数少ない。中でも維持期における認知行動モデルが解明されることは、今後の臨床でのより細やかな認知行動療法の適用だけでなく,SM児と日々接している教師・保育士に対して有益な見立てを提供できる可能性を秘めている。 SADの認知モデル(Clark&Wells,1995)はこれまでの研究の蓄積が多い。これを参考にしつつSM独自のモデルを作成することは意義深い。また,SMに関する尺度はSMQ(Selective Mutism Questioner; Bergman,2008)やその日本語版の場面緘黙質問票(以下,SMQ-R; かんもくネット,2011)があるが,これは行動指標を主に捉えているスクリーニング用の質問紙であり,苦手とする状況の最中で考えていること(認知)に着目した尺度は存在していない。そのため本研究では,⑴SMの維持期における認知行動モデルの作成,⑵SMの認知行動尺度の項目作成を目標としたインタビューを行う。方 法手続き 半構造化面接の方法を用い,事前に作成したインタビューガイドに基づいて70分程度のインタビューを行った。SMの症状があった時期の脅威的状況および克服した現在における同様の状況の場合の双方を想定し,その状況下の認知・感情・行動・身体的変化について焦点を当てて質問した。対象者は筆者がSMの治療の経験が豊富な臨床心理士等に依頼し,現在は克服しているSMの経験者の紹介を求めた。インタビューで得られたデータは内容分析によって,質的研究の観点から⑴SMにおける認知行動モデルを作成,⑵SMの認知行動尺度を作成することを念頭においてまとめられた。 なお,本研究は,大阪大学大学院人間科学研究科教育学系研究倫理委員会において承認されている(受付番号15-061)。対象者 現在3名(女性3名)。年齢平均21.3歳であり,過去に緘黙の診断をもっていたのは2名であった。質問紙 インタビューを始める前に,SMの程度を把握するためにSMQ-Rを二枚用意して回答を求めた(一枚目はSMの症状が一番顕著に表れていた時,二枚目は,現在の状態を想定する)。SM時の平均得点は12.3,現在の平均得点は37.3であった。なお,Bergman(2008)によると,健常児は43点,SM児は12点であった。結 果 想起された状況は,「自己紹介の場面」「スピーチの場面」「話すことを強制させられる場面」であった。本研究では,感情,行動,身体的反応のうち特に認知と行動に焦点を当てて報告したい。認知は主に2つに分類することができた。<受動的な認知>と<能動的認知>である。<受動的認知>は「自分の番でどうやってやり過ごそう」「早く終わらないかな」などの受身的な考えやイメージであった。<能動的認知>は「何を話そうかな」「1対1の時のように話そう」などの自発的な考えやイメージであった。また,行動は主に2つに分類された。即ち,<受動的行動>と<能動的行動>であった。<受動的行動>は「先生がもういいよと言うまで待つ」「話せなくなる」などの受身的な行動であった。<能動的行動>は「ネットでコツを調べた」「職場だったら頑張って話すようにする」などの自発的な行動についてであった。 また社交不安症の維持要因として考えられている自己注目や安全行動などは,緘黙を克服した現在においてもなお続いていた。考 察 SMの経験者の認知と行動には受動的側面と能動的側面が共通して見られた。SMの維持期においては受動的側面が多く,克服した現在においては能動的側面が多く見られる傾向が示唆された。そしてインタビューにおける文脈から<受動的認知>が<能動的認知>に変化して,それが<能動的行動>を促進していることが推測された。即ち,受動的体験から能動的体験にシフトしていると捉えることができた。 また,SMを克服した者でも現在において社交不安傾向があったため,SMの維持期は,社交不安の維持期よりもさらに複雑な仕組みを持っていることが考えられる。そのため,今後は,SM独自の維持要因という視点からもデータ収集と分析を行っていく必要がある。 最後に本研究の結果から,SMに対する支援のあり方として,受動的認知という内的な側面に働きかける試みがその糸口となることが考えられた。
著者
高木貞治 著
出版者
開成館
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1909
著者
高木 まさき
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.147-156, 2016-10-31 (Released:2016-12-07)
参考文献数
13

The inquiry from the Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology (2014) aimed for the development of the new curriculum and the Central Education Council Reports suggesting how the reform on linking high school education to university education has both similar educational objectives of implementing active learning from primary to high school education. Active learning has been strongly emphasized because the quality of learning is under discussion and it shows that improvement of classes through language activities has not been sufficient. In the future practice and research of Japanese Language education, it is crucial that activities that fully implement Japanese language and linguistic functions are repeatedly conducted.