著者
楠本 泰士 樋室 伸顕 西部 寿人 木元 稔 宮本 清隆 高木 健志 髙橋 恵里 阿部 広和
出版者
一般社団法人 日本小児理学療法学会
雑誌
小児理学療法学 (ISSN:27586456)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-17, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
27

【目的】共同意思決定(Shared decision making;SDM)の知識と実践状況の乖離,患者の年齢帯や療法士の経験年数による目標設定の違いを明らかにすることを目的とした。【方法】小児疾患に関わる療法士115名を対象とし,ウェブアンケートにて目標設定の負担や実践の程度,目標設定に関するSDMの実践状況や内容を調査した。経験年数による2群で比較し,自由記述の内容は質的記述的分析を行った。【結果】目標設定に負担を感じている対象者が全体の2/3以上いた。2群間でSDMの実践状況に差はなく,対象児の年齢に応じて目標設定内容に違いがあった。SDMの実践状況と質的記述的分析の抽出内容に乖離があった。【結論】小児分野の療法士は,SDMの知識とSDMの実践状況に乖離があり,経験年数の違いにより目標設定内容に違いがあることが示唆された。SDMの正しい理解や経験年数,目標設定の思考過程を参照して,卒前卒後教育に活かしていく必要がある。
著者
向井 貴彦 二村 凌 丹羽 大樹 後藤 暁彦 三輪 直生 石塚 航 矢追 雄一 高木 雅紀
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.149-156, 2015-11-05 (Released:2018-03-26)
参考文献数
35

Japanese char Salvelinus leucomaenis, red-spotted masu salmon Oncorhynchus masou ishikawae, hybrid individuals were collected from a tributary of the Ibigawa River, Gifu Prefecture, Japan. The char and hybrids were mainly distributed in the headwater area where eyed eggs of red-spotted masu salmon are released in each year. Principal component analysis (PCA) of the morphological features of parental and hybrid individuals indicated that hybrid body shape was similar to that of char. Partial nucleotide sequences of mitochondrial DNA indicated the female parental species to be red-spotted masu salmon, without exception. Genotyping of three loci of short interspersed repetitive elements (SINE) of inserted alleles showed all hybrid individuals to be F1, with no evidence of backcrossing. These results indicated that the introduced red-spotted masu salmon hybridized with male char, with a high survival rate of sterile F1 offspring.
著者
高木貞治 著
出版者
開成館
巻号頁・発行日
vol.算術及代数, 1911
著者
中田 康太 高木 健太郎 陶 亜玲
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.304-321, 2019-01-15

半導体製造における歩留解析では,製品の品質検査結果と各工程の処理履歴から不良の原因を特定し,対策に繋げることで生産性を向上している.半導体の製造プロセスから得られるデータは大量かつ複雑であるため,人手による歩留解析では作業に時間がかかることが問題となっている.本稿では,機械学習・データマイニングの技術を用いて不良の発生状況の可視化と不良原因装置の推定を網羅的に行う歩留解析支援システム「歩留新聞」について紹介する.歩留新聞はウェハ上の特徴的な不良の出現パターン(不良マップ)を自動で分類し,それぞれの原因装置候補を抽出する.不良マップの分類結果と原因装置候補を技術者に提示することで,不良1件あたりの解析時間を平均6時間から2時間に短縮した.ここでは,歩留新聞の概要とともに,コア技術となる深層学習技術について紹介し,製造現場における機械学習技術適用の課題とその解決方法について議論する.
著者
松浦 康治郎 高木 大輔 影山 昌利 小島 怜士 佐々木 嘉光 宮城 道人
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.203, 2011 (Released:2011-12-22)

【はじめに】長胸神経麻痺とは、長胸神経が外傷等により損傷を受けることで前鋸筋の筋力低下をきたし、肩関節の屈曲、外転方向の運動が障害され、翼状肩甲骨等の臨床症状を呈す疾患である。一般的に外傷性の神経断裂がなければ2~3ヶ月、遅くとも6ヶ月程度で自然治癒してくるとされ、24~48ヶ月でほぼ回復するとされており、理学療法介入の機会は少ない。<BR>1998年に北村らは、8症例に対し保存的治療後5年間の経過を追ったが、治療成績には個体差がみられ、また、1995年にKuhnは二次的に上肢帯機能不全を呈す症例があると報告している。つまり、長胸神経麻痺症例がたどる経過や治癒成績は一定していないと考えられ、さらに理学療法の介入効果の報告は散見される程度である。今回長胸神経麻痺を呈した後に運動時の疼痛を主とする二次的な上肢帯機能不全の合併が疑われた症例を経験した。約8ヶ月間の理学療法介入を経験する機会を得たため、経過をまとめて報告する。 【症例紹介】症例は10歳代後半の男性で、平成21年5月上旬に左肩周辺に疼痛が出現し、上肢挙上困難となった。8月中旬に当院受診し、長胸神経麻痺と診断。その後、上肢安静、運動制限(良肢位保持)を行い約3ヵ月後より医師の指導で肩周囲の自主訓練を行ったが、機能改善に乏しく、同年12月中旬より理学療法開始となった。尚、今回の報告に際し、本人に口頭および紙面で説明し同意を得た。 【初期評価時現症(平成21年12月中旬)】左肩ROM(Active/Passive)は、屈曲80°P/120°P、外転60°P/70°P。徒手筋力テスト(MMT)は屈曲・外転4。握力(左/右)25/47kg。疼痛(NRS)は、左肩屈曲・外転・外旋の自動運動時に6~8で、翼状肩甲を認めた。筋持久力の評価を目的とし、連続して反復運動可能な回数(左/右)を評価した結果、肩屈曲2/53回、肩外転1/45回であった。 【経過】平成21年12月中旬より理学療法を開始。ホットパック、ストレッチ、マッサージ、他動・自動のROM訓練を40~60分、週4回実施した。理学療法介入より40病日で左肩屈曲・外転筋群の筋力がMMT5となり、59病日には、ROMが左肩自動屈曲120°、外転150°となった。84病日には左肩自動屈曲・外転ROMが150°になり、116病日には左肩自動屈曲・外転ともに170°まで改善した。116病日より前鋸筋を中心に筋力訓練を開始。127病日に明らかな翼状肩甲が消失し、左肩自動運動時痛も減少を認め(NRS 4~6)、左肩反復屈曲は15回、外転は12回まで可能となった。143病日には左肩自動屈曲、外転180°まで改善。189病日には左肩反復屈曲が25回まで可能となり、左肩運動時痛はNRS2~4となった。200病日には左肩反復外転20回となり、228病日に理学療法終了となった。 【最終評価時現症(平成22年7月下旬)】左肩ROM(Active/Passive)は、屈曲180°P/180°、外転180°P/180°。MMTは屈曲・外転5。握力(左/右)32/50kg。疼痛(NRS)は、肩屈曲・外転・外旋時に2~4で、明らかな翼状肩甲は消失。連続して反復運動可能な回数(左/右)は、肩屈曲25/48回、肩外転20/51回であった。 【考察】長胸神経麻痺後の症例に対して、約8ヶ月間の理学療法を実施した結果、MMTが介入後約40病日、ROMが約140病日まで改善を認めた。ROMの改善については、2009年に加古原らは過剰収縮のある筋群を抑制し、前鋸筋訓練を行うことで、長胸神経麻痺症例の肩ROMが大幅に改善したと報告している。本症例も、代償筋群へのリラクセーションや前鋸筋を中心とした訓練により、筋の過緊張が抑制され、ROMが改善したと考える。また、MMTにおいても、代償筋群の過剰収縮の軽減による筋出力の再調整、疼痛の軽減が改善の要因に挙げられるのではないかと考える。疼痛については、1995年にKuhnらは、長胸神経麻痺症例では、上肢帯運動時に代償筋群の過剰な収縮により、二次的に疼痛を起こす場合があると報告している。本症例は上肢帯拳上の際に、努力性の動作を認めたことから、代償筋群の過剰収縮が筋血流量の減少をもたらし、筋の収縮時痛が生じていると考える。また、筋血流量の減少により筋持久力の低下も招いている可能性が推測されるが、今回は客観的評価に乏しかったため、今後検討が必要である。 【まとめ】長胸神経麻痺で二次的な上肢帯機能不全がある症例に対して理学療法を行い、ROMとMMTの改善がみられた。一方で、疼痛や筋持久力低下などのさらなる障害も認めたため、今後は長胸神経麻痺に対してのリハビリテーションによる経過や効果等の検討を積み重ねていく必要がある。
著者
岩橋 大希 亀山 高範 高木 直行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

原子炉内で中性子照射により水銀から金に核変換する技術(原子炉錬金術)の開発を進めた。原子炉内の水銀の配置と装荷量などから、金の生成量と核的な成立性を炉心計算コードを用いて定量的に評価した。
著者
高木 幸一郎 雨宮 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.58, pp.67-74, 2001-06-07
被引用文献数
3

本論文は、従来すべて手作業で行われていたRPGの戦闘のバランス調整を自動化することを最終目的とする研究における基礎段階の研究報告であり、RPGの戦闘のバランスとは何かを分析しそこから自動化のために必要な要素を考察、実験を行った。RPGの戦闘のバランスにとって重要な点はプレイヤーが感じる楽しさにあるが、このため心理学的な要素の考慮が必要である。そこで本研究では利用者の嗜好(UP)をテストプレイによって取得しバランス調整に利用する方法を提案する。実験では、戦闘を単純化したゲームにおいてUPを適用した強さの調整を行なう事例を示した。This paper is the primal report of our effort aimed for developing automatic balance configuration program of battle part in role playing games (RPGs). This paper analyzes what the balance of RPG means, and concludes that psychological analysis is important in order to configure it. Aiming for the design and development of our system, we propose the way of extracting user preferences(UP) from their behaviour. In the experiment, we apply UP to simple game and inspected the utility of UP.
著者
此枝 史恵 鈴木 重明 西本 祥仁 星野 晴彦 高木 誠
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.373-377, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
17
被引用文献数
23

症例は74歳女性.2014年に進行直腸癌を指摘され直腸離断術を受けたが,残存病変に対する化学療法が副作用のため継続困難となり放射線療法のみで経過観察となっていた.2016年4月に他院で通常より低用量のニボルマブが開始された.ニボルマブの最終投与から約2週間の経過で近位筋優位の筋力低下・筋痛,眼瞼下垂,嚥下障害,呼吸苦が出現した.ニボルマブによる筋炎合併重症筋無力症と考え各種免疫療法を行い症状の改善がみられた.ニボルマブ投与開始から短期間のうちに発症し,従来知られているものとは違い急速に呼吸筋障害をきたすなど重症化する傾向があり,コンサルテーションをうける神経内科医には迅速な対応が求められる.
著者
田代 忠 青柳 成明 小島 逸也 田尻 敏行 豊増 弘幸 山本 英正 藤岡 康彦 赤 須厳 小須賀 健一 高木 博己 大石 喜六 古賀 道弘
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.310-316, 1979-03-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
37

心臓内伏針は,比較的まれな疾患であり,そのほとんどは,心房および心室切開を必要とせず心外より摘繊されている.したがって心腔内の異常所見の報告はきわめて少ない.われわれは,現在まで2例の本症を経験し,うち1例は,経過中に伏針が腐食により折れるという特異な所見を呈した症例で,無血体外循環の元に,左心室に切開を加え,心腔内の検索を行い,乳頭筋起始部心内膜の線維化および陳旧性血栓を発見し針を抜去した.自験例2例を中心として本邦の摘出治験報告例33例を集計し,心臓内伏針の原因,診断,手術適応,手術方法などについて若干の文献的考察を加えた.
著者
高木 哲一
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.165-178, 1993-04-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
66
被引用文献数
5 4

This paper describes the petrography of magnetite-series and ilmenite-series granitoids in the San'yo and San'in belts, and estimates the redox paths of the granitoid magmas during cooling. In magnetite-series granitoids in these areas, the magnetite commonly occurs as secondary minerals after decomposition of magmatic mafic silicates such as pyroxenes, hornblende and biotite. The magnetite is divided into two types, differentiated by their coexisting minerals. The first-type of magnetite crystallizes concurrently with hornblende and biotie after decomposition of pyroxenes and brown hornblende at the late magmatic stage, and continues to crystallize during subsolidus conditions. The second-type of magnetite crystallizes with actinolite, cummingtonite and chlorite during subsolidus stages of crystallization. Petrography, combined with Fe-Ti oxide geothermo-barometers for the magnetite-series granitoids, suggests that the magnetite crystallizes due to an increase in the oxidation state of the magma (and/or fluid phase) above the NNO-buffer during cooling. However, the redox states of the ilmenite-series granitoid magmas are kept below the FMQ-buffer, throughout the solidifying process of the magma. The chemistry of the fluid phase determines whether the magma follows the magnetite-series or ilmenite-series trend.
著者
兼子 伸吾 亘 悠哉 高木 俊人 寺田 千里 立澤 史郎 永田 純子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2302, (Released:2023-09-08)
参考文献数
58

マゲシカ Cervus nippon mageshimae Kuroda and Okadaは、その形態的特徴によって記載されたニホンジカ C. nipponの亜種である。しかし、2014年の環境省のレッドデータブックの改訂に当たっては、亜種としての分布域が不明瞭であり、分類学的な位置づけが明確でないとされている(環境省 2014)。その一方で、近年実施された遺伝解析の結果からはマゲシカの遺伝的独自性が示されつつある。その遺伝的特徴から、マゲシカの分布域を明らかにし、近隣に生息するヤクシカ C. n. yakushimae(屋久島および口永良部島)やキュウシュウジカC. n. nippon(九州本土)との関係性を議論することが可能となってきた。そこで本研究では、マゲシカの遺伝的な特徴やその分布について、先行研究において報告されているミトコンドリアDNAのコントロール領域のデータを中心に再検討を行った。その結果、マゲシカの分布域とされる馬毛島および種子島の個体は、キュウシュウジカだけでなくヤクシカとも明確に異なる塩基配列を有していた。また核DNAやY染色体DNAに着目した先行研究には、マゲシカの生息地である種子島とヤクシカの生息地である屋久島間で対立遺伝子頻度に明確な違いがあることが示されていた。形態については、馬毛島および種子島のニホンジカと遺伝的にもっとも近いヤクシカとの間に明瞭な違いがあることが先行研究によって示されていた。一連の知見から、少なくとも馬毛島と種子島のニホンジカを九州に生息するニホンジカとは明確に異なる保全単位として認識することが適切であること、さらに2島間にもミトコンドリアハプロタイプの頻度をはじめとする集団遺伝学的な差異が存在する可能性が高いことが示唆された。
著者
粕谷 昌宏 加藤 龍 高木 岳彦 伊藤 寿美夫 高山 真一郎 横井 浩史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.887-899, 2016-03-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
38
被引用文献数
2

本稿では,身体機能を補完する義手と,身体を拡張する義手について述べる。まず,身体機能を補完する義手として,これまでに用いられてきた義手の種類や構成要素,動作原理を解説する。特に,義手の中でも近年注目されている,筋電義手について詳しく記述する。筋電義手の歴史は半世紀以上前までさかのぼるが,その制御方法は長らく革新されてこなかった。そのため,近年登場してきた多自由度の筋電義手においては,制御が複雑で使用者の負担となっていた。これに対し,多自由度の筋電義手でも,直感的で簡便な制御を可能とする,新たな制御方法が実用化されつつある。その研究動向について解説し,そのうえで,この新たな制御方法が実用化されることにより,身体を拡張する義手として,今後社会がどのように変化していくかを述べる。本稿では,最新の筋電義手の動向を,研究段階のものから実用段階のものまで広く解説する。

5 0 0 0 OA 嗅覚の生理学

著者
高木 貞敬
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.346-351, 1973-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1

食品とニオイの関連性については今さら云々するまでもないが, 醸造の分野におけるニオイの研究は, 主にニオイ物質の解明に重点がおかれている。そこで本稿では視線をガラリと変えて, ニオイを感じる主体, すなわち嗅覚の側から最新の解説をお願いした。筆者は, わが国の嗅覚生理の領域における指導者的立場にあリ, 現在群馬大学医学部の生理挙教授として御活躍中である。特に最近, 悪臭公害防止法による規制基準の作成にあたって委員長として貢献され, また日本人の嗅覚力測定のために, 全国各大学耳鼻科の研究活動をとりまとめるという大変な労をとられている最中である。