著者
松田 佳久 高木 征弘
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.67-83, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
66

金星の軌道に投入された気象衛星である「あかつき」が金星の気象について画期的な情報をもたらしつつある.また,大気大循環モデル(GCM:General Circulation Model)を用いた金星大気の数値シミュレーションも大きな成果をあげつつあり,両者により金星気象学が大きく刷新されつつある.この機会に,金星大気や気象の概要と今までの研究を紹介するとともに,今後の金星気象学を展望したい.
著者
中司 敦子 神崎 資子 高木 章乃夫 岩田 康義 池田 弘 福島 正樹
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.163-168, 2004-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

慢性腎不全患者の意識障害として尿毒症性脳症が知られているが, 透析療法が普及した昨今ではこの病態を経験することはまれである. 今回われわれは緩下剤の連用中に高マグネシウム (Mg) 血症による意識障害をきたした慢性腎不全の2症例を経験したので報告する.症例1は77歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全で加療中, 食欲不振と意識混濁が出現し入院. 血清Cr 4.31mg/dL, BUN 64mg/dL, 血清Mg 7.3mg/dLと上昇. 血清カルシウム値は5.8mg/dLと低下. 皮膚の潮紅, 肺炎および呼吸抑制による呼吸不全を認めた. 血液透析で血清Mg値は低下したが, 翌日再分布によると考えられる再上昇をきたしたため血液透析を再度行い軽快した.症例2は78歳, 女性. 慢性関節リウマチ, 腎機能低下で加療中に尿路感染症により腎機能が増悪し, 全身倦怠感, 見当識障害が出現したため入院. 血清Cr 6.56mg/dL, BUN 96mg/dL, 血清Mg 7.1mg/dLと上昇. 血液透析を3日間連続して行い軽快した.いずれの症例もMg製剤の服用歴を有し, 高度な高窒素血症が存在しないにもかかわらず意識障害を呈した. 当院で2年間に血液透析導入時に血清Mgを測定した78例中, 中毒域の高Mg血症をきたしたのは今回提示した2例のみであった. その他に, 意識障害をきたした症例は低血糖の1例のみで, 尿毒症性脳症による意識障害はなかった. 今回の症例では緩下剤の連用および感染による慢性腎不全の急性増悪が重篤な高Mg血症の原因と考えられた. 治療として血液透析が有効であったが, 再分布による血清Mg値の再上昇に注意が必要である.
著者
長谷川 兼一 石山 智 大澤 元毅 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 高木 理恵
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.21, no.49, pp.1117-1120, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 2

In order to clarify indoor climate in a crawl space after flooding, long-term experiment using a test house was performed. A second-story test house was constructed in a campus of Akita Prefectural University in 2003. In this experiment two rooms on the first floor of the test house and crawl spaces were used. Tap-water was supplied to 100mm depth on a crawl space in each room, and after 72 hours it drained. In this paper, indoor humidity and water contents of wood and concrete in a crawl space were analyzed from the view point of moisture balance in a crawl space after flooding.
著者
高木文 編
出版者
高木文
巻号頁・発行日
vol.第二回, 1934
著者
松井 晋 高木 昌興 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.29-31, 2006 (Released:2007-07-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
高木 英至
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.39-52, 2022

意見によって社会が多数派と少数派に分かれるとき、少数派成員は多数派成員より自己の(自集団の)意見への確信度が高い――この点を筆者の社会的影響モデルから予測できるかどうかを確認する。報告する3つの計算機シミュレーションにより、同モデルがこの予測を生み出すことを示す。社会的影響の公的同調モデルからは、少数派の規模が小さく、個人の信念が適度なバラツキを持つときに、この予測が顕著に成り立つ。
著者
高木 聖
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.215-223, 1972-12-25 (Released:2012-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1970年,気象測器工場に,強震計検定用の振動台が出来たので,この上に,人間を乗せて,震度の人体実験をおこなった。震度は人体感覚によって判定する以外に方法がないので,この実験が意味を持つことになる。実験の結果は第1図に示してある。測定値は表になっている。震度は記号で表現した心これらの震度が,第1図の破線(従来の加速度level)で区分出来ないのは,震度は加速度で規定出来ないことを示している。これらの震度は,第1図の実線で区分され,震度は energy に関係があることを示している。それゆえ,震度は,単位時間に単位面積を通る地震波の energy の対数に比例する,と考えられる。
著者
原田 幹生 宇野 智洋 佐々木 淳也 村 成幸 高木 理彰
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.22-26, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
9

小中学野球選手の睡眠を調べ,肩肘痛や投球パフォーマンスとの関係を検討した.野球肘検診に参加した小中学野球選手80名を対象として,アンケートを用いて,投球時の肩肘痛,投球パフォーマンス(KJOCスコア),および睡眠を調べた.肩肘痛を41名(51%)に認め,KJOCスコアは平均91点(38~100)であった.肩肘痛は,睡眠の質がとても良い選手(29%)に比べ,それ以外の選手(63%)で有意に多かった(p<0.05).睡眠において,就眠中の寒さ暑さ,睡眠時間が7時間以内,眠気による授業の支障,および起床時のすっきり感がKJOCスコアの低下と関連していた(いずれもp<0.05).適切な睡眠により,肩肘痛の予防や投球パフォーマンス低下の予防に繋がる可能性がある.
著者
河野 貴美子 坂本 政道 世一 秀雄 高木 治 小久保 秀之 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.34-39, 2013-03-01

意識探究プログラムとして知られるヘミシンクは、左右の耳にわずかに異なる周波数の音を聞かせることにより、深くリラックスした状態を作り出し、通常と異なる意識状態に導くことが容易な方法とされている。著者らは、今まで様々な変性意識状態下の脳波を検討してきた。今回、5名のヘミシンクトレーナーの脳波計測からヘミシンク聴取による脳の変化を検討することを試みた。後頭部のα波平均振幅値は、セッション中に減少し、軽眠を思わせたが、各帯域含有率で、α帯域における比率が大きく減少していたわけではなく、通常の入眠時とは異なると思われた。β帯域含有率はフォーカスレベルF10とFl2で、交互に変化する様子が見られ、刺激音のうなり周波数との関係を示唆させた。左右脳波のコヒーレンス値が聴取時に大きくなる傾向が見られたが、セッション中に後頭から前頭にかけて位相同期的な瞑想様脳波が見られた被験者も複数おり、瞑想に近い状態を容易に実現することで、コヒーレンスが高くなっていることも考えられた。

3 0 0 0 OA J波の機序

著者
相庭 武司 河田 宏 横山 光樹 日高 一郎 高木 洋 石橋 耕平 中島 育太郎 山田 優子 宮本 康二 岡村 英夫 野田 崇 里見 和浩 杉町 勝 草野 研吾 鎌倉 史郎 清水 渉
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.345-351, 2015 (Released:2015-07-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

これまで良性と考えられてきた早期再分極(J波)だが,一部の症例で突然死との関係やBrugada症候群,QT短縮症候群との合併が注目され,必ずしも予後良好とはいいきれない.その成因は,主に動脈灌流心筋切片(wedge)モデルの実験結果から,心外膜側の活動電位第1相notchに起因する「早期再分極」異常と,臨床の電気生理学的検査から得られた心室内伝導遅延による「脱分極」異常の両方が考えられている.しかし,脱分極と再分極は相反するものではなく,ひとつの心筋細胞の活動電位において表裏一体であり,両者が密接に関係し,特徴的な心電図異常と心室細動発生に至ると考えるべきであろう.遺伝子レベルでも特発性心室細動(早期再分極)やBrugada症候群が,必ずしも単一の遺伝子異常では説明不可能な点もこれを裏付ける考え方である.今後,心電図学のさらなる研究によって,より具体的に良性J波と不整脈の原因となる悪性J波の鑑別が可能となることを期待したい.
著者
高木 信
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1-13, 1992-12-10 (Released:2017-08-01)

『平家物語』の「剣巻」は、『愚管抄』的な認識と似て、宝剣が海底に沈んでも王権は安泰であると主張するものとして位置付けられる。また構造的には、アマテラス・宝剣を<聖なるもの>として形象化する。ところが、スサノヲに退治されたヤマタノヲロチが復活し、宝剣を奪うことにより、王権の正統性は奪われてしまう。このことは覚一本の<カタリ>のなかで実現されるのであり、他の諸本は「王権の物語」としての自らを維持しようとするために様々な不整合を抱え込むことになる。
著者
藤田 禎規 岸 良示 中沢 潔 高木 明彦 長田 圭三 龍 祥之助 宮津 修 渡邉 義之 西尾 智 松田 央郎 石川 由香子 三宅 良彦 中村 雅 望月 孝俊
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.737-743, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は52歳, 女性.心室細動 (Vf) による心肺停止状態となり, 植込み型除細動器 (ICD) 植込み術を施行した.以後Vf発作は認めなかったが, 発作性心房細動 (Paf) によるICDの不適切作動を頻回に認めた.Pafは多剤無効でアミオダロンを使用したが, 甲状腺機能亢進症を生じたため継続不能となった.アミオダロン中止により, 再びPafによるICDの不適切作動を認めた.このため薬物コントロールは困難と考え, カテーテルアブレーションによる房室プロツク作成術および心房リードの追加を行いDDIRペーシングとした.その後はICDの不適切作動は認めなかったが, 7カ月後に失神発作を生じた.ICD記録では, 頻拍イベントは認めなかったが, 入院後の心電図モニターで失神前兆と一致して心停止を認めた.心房波は75bpmの自己調律で, ICDの心内心電図記録から, 心房波のオーバーセンシングによる心室ペーシング抑制と考えられた.
著者
及川 昌訓 佐藤 稜汰 糀谷 喜久 郷間 啓介 高木 靖雄 三原 雄司
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.26-31, 2020 (Released:2020-01-24)
参考文献数
9

高負荷運転時においてNOxが大量に排出される課題がある水素エンジンで,噴射する噴流形状と噴射時期の最適化および希薄燃焼との組み合わせにより,熱効率向上に加え大幅なNOx排出低減を達成した.さらに,希薄燃焼で低下した出力は過給によって回復させ,高熱効率・ニアゼロエミッション水素エンジンを実現した.

3 0 0 0 OA 心身強健法

著者
高木兼寛 著
出版者
東亜堂
巻号頁・発行日
1919

3 0 0 0 OA 支那地圖概観

著者
高木 菊三郎
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.577-588, 1940-12-15 (Released:2010-10-13)
被引用文献数
1 1
著者
高木 寛之 大津 雅之 田中 謙 高木 寛之 大津 雅之 田中 謙 TAKAGI Hiroyuki OTSU Masayuki TANAKA Ken タカギ ヒロユキ Takagi Hiroyuki オオツ マサユキ Otsu Masayuki タナカ ケン Tanaka Ken
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 (ISSN:21874344)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.125-137, 2017-03-16

本研究では、ソーシャルワーク実践現場として地域包括支援センターで活躍する社会福祉士と保健師に着目し、養成過程における地域アセスメントの視点の相違について明らかにし、今後の専門職養成への示唆を得ることを目的とした。その結果、地域アセスメントについて、両専門職養成課程において、語られる文脈に違いはあるものの、その項目については共通項を見出すことができ、地域の人々の状況や取り巻く地域資源だけでなく、文化やシステムの状況といった理解の必要性も重視していることがわかった。一方で、社会福祉士養成過程は、地域アセスメン項目やポイントを羅列するだけに留まり、保健師(看護師)養成過程では、地域をコアとサブシステムという構造的に把握し、データの例示と視点と判断・解釈の例示というそれらをより具体的に理解するための思考の枠組みと方向性を示している点に大きな違いがあった。