著者
成 元哲 牛島 佳代 松谷 満 阪口 祐介 永幡 幸司 守山 正樹 高木 竜輔 田中 美加
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、原発事故が福島県中通りに居住する親子の生活と健康にどのような影響を与えているのかを明らかにし、必要な支援策を検討することにある。そのために、参与観察、聞き取り調査、調査票調査を通じで、原発事故後、中通り9市町村に暮らす親子は急激な生活変化を経験しており、それに適応できない母親は精神健康の低下を経験しており、それが子どもの問題行動につながっていることを明らかにした。親子への支援策は、経済的負担感と補償をめぐる不公平感を軽減し、放射能への対処をめぐる認識のずれを軽減する。また、保養・避難を選択できる環境にし、福島での子育て不安、健康不安を軽減することが必要である。
著者
平田 遥久 嘉名 光市 高木 悠里
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1592-1599, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
16

近年、都市中心部等で道路空間の再配分や歩道部と沿道建築物低層部の一体的な活用などが進められたことで、沿道低層部は様々に変化し新たな景観を形成している。本研究では、街路の沿道建築物低層部、歩道部、滞留施設などの道路占有物で構成される沿道低層部の景観要素と景観印象評価との関係を分析し、沿道低層部によって形成される景観の特徴を明らかにした。その結果、景観印象評価の結果を用いて数量化理論Ⅰ類により、建築物の連続数、歩道形状、歩道幅員、セットバック距離の4つが特に景観印象評価への影響が高いことが明らかとなった。またクラスター分析により、御堂筋の街路景観を5パターンに分類し、その分布を明らかにした。さらに、低層部への滞留施設の設置が街路景観における賑わい創出の手法として期待されることを示した。
著者
高木 絢加 谷口 彩子 駒居 南保 村 絵美 永井 元 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.19-25, 2014 (Released:2014-03-03)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

炭酸水の口腔内刺激 (清涼感) に着目し, 炭酸水の飲水が実体温をどの程度変化させるのか, その反応は炭酸の口腔内刺激のみでも起こるのかどうかを明らかにするために, 等温・等量の炭酸水と水を用いた飲用試験と偽飲 (Sham-feeding;SF) による口腔内刺激のみの試験を行った。炭酸水の飲水 (炭酸水) , 水の飲水 (水) , 炭酸水の偽飲 (炭酸水SF) , 水の偽飲 (水SF) の4試行をrandomized crossover designで実施した。前夜10時より絶食した若年女性13名に, 室温を26℃に保持した実験室で異なる日の朝9時にサンプル (15℃, 250 mL) を負荷した。心電図 (心拍数, 心拍変動) をサンプル負荷前20分間および負荷後40分間測定し, 深部体温 (鼓膜温) , 末梢体温 (足先温) を高感度サーモセンサーで連続測定した。鼓膜温は水・炭酸水ともにSFでは変化せず, 飲水で一過性に低下した。足先温は, 飲水 (水, 炭酸水) で約2.5-3℃低下し, 水SFでは約1℃の低下であったのに対し炭酸水SFでは約2.5℃の低下を認めた。心拍数は, 炭酸水, 炭酸水SFで負荷直後に一過性に上昇した。結果より, 炭酸水の口腔内刺激 (味, 炭酸刺激) のみでも足先温や心拍数を変化させることが示された。
著者
甲斐 公規 高木 雅之
出版者
日本作業科学研究会
雑誌
作業科学研究 (ISSN:18824234)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.66-73, 2022-12-31 (Released:2023-02-01)
参考文献数
18

近年,男性が積極的に育児に参加することが求められている.男性が父親になっていくプロセスは,育児という作業を通して起こるトランザクショナルな変化であり,父親になっていくプロセスを理解するに は,個人の経験を注意深く見る必要がある.よって本論では,父親であることに付随してトランザクショナルに拡大していった作業経験を振り返った.その結果,主体的な Doing によって,男性が理想的な父親や活動家としての Being に調和的に変容していったことが分かった.また,育児という作業が起点となり,育児を取り巻く状況的要素と有機的に交わって調和し,作業が発展しながら継続的にトランザクションを生じさせるプロセスが明らかとなった.さらに,一個人の父親の奮闘から始まった行動は,身近な集団レベルに波及し,集合体レベルでのより作業的に公正な社会づくりへとつながっていったと解釈できた.
著者
土山 聡宏 荒木 理 高木 節雄
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.382-390, 2020 (Released:2020-05-31)
参考文献数
22
被引用文献数
1 4

The upper and lower yield points of ferritic steel containing a small amount of carbon were discussed in terms of the critical stress for dislocation emission from a grain boundary, namely, “critical grain boundary shear stress”, on the assumption of the pile-up model. Considering some experimental results such as tensile testing, relaxation testing and nanoindentation testing on grain boundaries, we concluded that both upper and lower yield points could be similarly understood as a phenomenon of dislocation emission from dislocation sources existing at grain boundaries. The difference in stress between upper and lower yield points was explained in terms of the density of mobile dislocations, which determines the extent of stress concentration at grain boundary caused by pile-up of the dislocations. Slow cooling after annealing or aging at low temperature, by which Cottrell atmosphere is formed, leads to a significant decrement of the mobile dislocation density, and this results in an occurrence of the sharp upper yield point because of a reduced number of piled-up dislocations and insufficient stress concentration at grain boundaries.
著者
布田 花子 森田 修一 山田 秀樹 花田 晃治 齊藤 力 高木 律男
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.85-93, 2002-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the changes of the soft tissue profile in the nose following Le Fort I osteotomy in skeletal Class III patients.The subjects were 30 females who underwent twojaw surgery to correct anterior reversed occlusion, and who were classified into three groups according to the directions of surgical displacement of the maxilla.1. Advancement-Impaction group (n=11)2. Advancement group (n=12)3. Advancement-Downgraft group (n=7)For each patient, lateral cephalograms, taken preoperatively and postoperatively, were traced and superimposed, and linear and angular measurements were obtained. And, alinasal width was measured on frontal facial photographs taken preoperatively and postoperatively. These data from the three groups were compared.The results were as follows:1. In the Advancement-Impaction group, Pronasale and Subnasale were displaced in the upward and forward direction after Le Fort I osteotomy.2. In the Advancement group, Pronasale and Subnasale were displaced in the forward direction after surgery.3. In the Advancement-Downgraft group, Pronasale was displaced in the forward direction, and Subnasale was displaced in the downward direction.4. Alinasal width was increased in the three groups with advancement of the maxilla.In conclusion, there were differences in the postoperative changes of the nose, with different movement of the maxilla.
著者
高木 健三 川部 勤
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

健康補助食品として知られているフラボノイドは抗アレルギー作用など様々な効果を持つことが知られているが、その作用機序については不明であった。本研究によって、フラボノイドの一種であるミリセチンおよびケンフェロールは肥満細胞においてHO-1 の発現および活性を増加させることにより抗アレルギー作用を示すことが明らかとなった。
著者
高木彰彦
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1997

博士論文
著者
川畑 龍三 三池 徹 上船 雅義 岡部 弘高 高木 正見 甲斐 昌一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.289-296, 2004-11-25
参考文献数
26
被引用文献数
2 5

本研究では、インゲンマメの葉がカンザワハダニによる食害を受けると、そのフォトン放射強度が増加することが明らかになった。その放射強度は経日的に増加し、ハダニが最もよく集まる葉脈付近で強い発光を示した。食害を受けた葉からの発光は、二つの異なったプロセスから成り立っており、おのおの傷害直後に起こる一過性の反応による発光過程と、食害によって誘導された防衛反応に起因する発光過程と考えられた。また、その放射スペクトルから、長波長(500-700nm)側では食害に伴う物理的損傷に対するストレス反応に起因し、一重項酸素の2光子過程(580、634nm)が関与していると推測された。一方、短波長域(300-400nm)の発光は傷害応答とともに食害ストレスに応答した防御物質生産等の防衛反応に起因すると考えられた。以上のように、食害応答と放射フォトンの強度変化との関連が示されたことから、フォトン計測が生体防衛機構の新たな先端計測手段として利用できる可能性が示された。特に、今回注目したフォトン計測は特別な手法を必要とせず、高感度かつリアルタイムで試料の測定が行えるので、広範な応用が可能である。
著者
合屋 将 中野 泰 十九浦 宏明 高木 雄亮 渡邊 紘章 松田 能宣 角甲 純 笠原 庸子 小原 弘之 森 雅紀 中山 健夫 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.261-269, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
12

【目的】進行性疾患患者の呼吸困難に対する高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)の有効性を検討する.【方法】MEDLINE, Cochrane Library, EMBASE, 医中誌Webを用いて文献検索を行った.適格基準は,呼吸困難に対するHFNCの効果を評価した無作為化比較試験であること,18歳以上の低酸素血症を伴う進行性疾患患者を対象としていること,対照群が通常の酸素療法もしくは非侵襲的陽圧換気であるもの,とした.集中治療室患者,人工呼吸器からの離脱後は除外とした.【結果】6件が採用された.短期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,通常酸素有効1件であった.長期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.運動負荷時の介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.【結論】低酸素血症を伴う進行性疾患患者の呼吸困難に対してHFNCは有効である可能性がある.
著者
池内 克馬 高木 雅之 西田 征治 齊藤 隆一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.809-816, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
23

われわれは地域在中のがん経験者を対象にした,ピアや作業療法士との対話,活動日記の振り返り,作業に焦点を当てた目標設定,目標の経過の共有という特徴を持った教室を考案した.本報告の目的は,この教室が生活の質に与えた影響を事例の経過から検討することだった.治療完了後もしくは治療中の女性3名に対して,教室を1週間に1回の頻度で6回開催した.結果,すべての参加者が少なくとも部分的に目標を達成し,かつ生活の質が向上した.この要因として,活動日記の記録の振り返りと目標設定により参加者の作業に対する認識が向上したこと,ピアと作業療法士双方が支持的に関わったことが考えられる.
著者
高木 亨
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-136, 2005-10-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

本研究は, 醤油醸造業者の存立要因の一つとして消費者の醤油嗜好の地域性を想定し, 醤油の生産統計をもとに, 醤油生産の地域的な特徴について考察した。醤油の二大産地は千葉県と兵庫県であり, 千葉県産が関東地方で, 兵庫県産が関西地方で圧倒的なシェアを占めている。しかし, それらの周辺地域ではあまり高いシェアを占めてはいない。全国で広く生産されている醤油は,「濃口」,「本醸造」,「特級」であるが, その生産方式は一様ではなく, 同じ「濃口」でも東北, 北陸, 中国, 九州の各地方では「新式醸造」と「アミノ酸液混合」が多いなどの地域差がみとめられる。これは, 消費者の醤油嗜好の地域的差異の表れと考えられる。醤油の生産と流通の特徴を整理すると, 各都道府県は (1) 県内産醤油の割合が高い「県内産醤油優位型」, (2) 県内産醤油と県外産醤油との割合がほぼ等しい「県内・県外均衡型」, (3) 県外産醤油の割合が高い「県外産醤油依存型」の3つに大別できる。以上の検討から, 醤油嗜好の地域性の一端を明らかにすることができた。