著者
田中 雄一郎 高橋 篤司
雑誌
DAシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.221-226, 2014-08-21

本稿では,平面基板上の集積回路設計における配線問題と親和性の高いペンシルパズルである,ナンバーリンクの特性について考察し,その解法について述べる.ナンバーリンクは,縦横斜めの周囲 8 マスで隣り合う数字を一塊にして島とすることで,空洞内島配線問題として解くことが可能である.外部配線問題において,CHORD-LAST 法は全ネットが配線可能である時,平面性を失わないネットの配線順序を与える.提案アルゴリズムでは,この順序を利用してナンバーリンクの解を生成する.また,対となる数字が共に外側のマスに位置する時,その数字を結ぶ配線で配線領域を分割することが可能であり,他の数字の組は共に片側の領域に位置する.領域の分割を用いた枝刈りを組み合わせることにより,計算量を削減したアルゴリズムを提案する.
著者
松山 裕城 堀口 健一 高橋 敏能 萱場 猛夫 石田 元彦 西田 武弘 細田 謙次 朴 雄烈
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.395-404, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

第一胃刺激用具(RF)の投与およびサイレージ調製したビール粕の給与が,圧ペン大麦主体の濃厚飼料多給与条件下の去勢牛から発生するメタンに及ぼす影響について検討した.供試動物は,ホルスタイン種去勢雄牛4頭(平均体重698kg),給与飼料は,チモシー乾草(TH),ビール粕サイレージ(BS),圧ペン大麦および大豆粕を用いた.給与量は,代謝エネルギー換算で維持要求量とした.処理は,TH配合の飼料とBS配合の飼料のRF無投与処理,それぞれの飼料給与時にRFを1頭あたり3個ずつ,経口的に第一胃へ投与したRF投与処理の合計4処理とした.その結果は,以下の通りであった.1)乾物の消化率は,BS配合の飼料給与時がTH配合の飼料給与時に比べて有意に低く(P<0.01),RFを投与することでは有意に高くなった(P<0.05).2)一日可消化有機物1kg摂取量あたりのメタン発生量は,飼料間に差がなかったが,RFの投与では有意に減少した(P<0.01).3)第一胃内容液のpHは,いずれの処理においても差がなかった.プロトゾア数は,飼料間に差がなかったが,RFの投与では有意に減少した(P<0.05).4)液相部と固相部の第一胃通過速度は,RFを投与すると有意に高まった(P<0.05).これらの結果から,圧ペン大麦主体の濃厚飼料多給与条件下の去勢牛から発生するメタンは,BS配合の飼料を給与しても影響がなかったが,RFを投与すると消化率を低下させることなく,メタン発生量を抑制することが可能であった.
著者
高橋 信弘 吉川 治孝 泉川 桂一 石川 英明
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-15, 2017 (Released:2018-05-21)
参考文献数
65

光学顕微鏡で認識可能なほど巨大なリボソームは全ての細胞におけるタンパク質合成すなわち生存に必須である.細胞は,その増殖に必要とする総物質量・総エネルギー量の70~80%をこのリボソーム生合成のためだけに消費する.したがって,リボソーム生合成は,細胞増殖だけでなく,細胞の成長・細胞周期の制御,老化・ストレス応答,癌遺伝子や成長因子の作用にも大きく関わっている.しかし,ヒト細胞のリボソーム生合成過程が数百種類のタンパク質とRNAが関わるあまりにも複雑な過程であり,それを解析する手段が近年まで無かった.プロテオミクスの進展に伴い,タンパク質複合体の単離技術,タンパク質の大規模な同定及び定量化の技術が飛躍的に向上した.そして,ヒト細胞におけるリボソーム合成中間体の構成成分の同定とその機能解析が急速に進み,ヒト細胞リボソーム生合成経路とその制御機構が明らかになりつつ有る.本総説では,解明されつつあるヒトのリボソーム生合成過程とその制御機構について我々の知見を含めて概説したい.
著者
塩田 智美 高橋 和久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.1618-1623, 2012 (Released:2013-06-10)
参考文献数
10

COPDによる慢性呼吸不全への標準的治療法である在宅酸素療法は生存率の改善に貢献する.高二酸化炭素血症とその換気障害に伴う臨床症状を有する際は,補助換気療法である非侵襲的陽圧呼吸換気療法(NPPV)の適応である.NPPVは,急性期において気管内挿管への移行や感染症の発生率を有意に低下させ,慢性期において肺胞低換気を改善し,呼吸筋負荷を軽減する.HOT,NPPVの導入には,医師の適切な適応基準の判断が重要である.
著者
本間 洋州 高橋 昌稔 兒玉 直樹 岡田 和将 足立 弘明
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.734-739, 2018 (Released:2018-12-01)
参考文献数
9

反復するげっぷと腹部膨満感を主訴とする27歳男性患者に対して, 各種身体検査にて器質的な消化管疾患を除外し, RomeⅢ基準に基づいて空気嚥下症と診断した. 一般的治療に対して反応性に乏しく, 職場不適応といった心理社会的背景をもつ症例と考えられたので, 生物心理社会的な治療アプローチを試みた. 生物学的観点からは, 空気嚥下の動画や腹部X線写真での腸管ガス像の変化といった生物学的変化を明示して病態理解を促した. 心理的観点からは, 失感情症傾向に対して受容的に関わりながら感情表出を促すとともに, 過剰適応傾向に対して自分の趣味に時間を割くことの重要性を説明して行動変容を促した. 社会的観点からは, 患者の知能特性として処理速度が有意に低いことに基づき職場における環境調整を行った. このような多角的治療アプローチを有機的に組み合わせることで, 難治性消化管症状の改善につながった空気嚥下症症例を経験したので報告する.
著者
横山 美加 道脇 幸博 高橋 浩二 衣松 令恵 平野 薫 道 健一
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.223-226, 2001-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the relationship between shapes of the epiglottis and risk of aspiration. The subjects consisted of ten normal volunteers and sixty-eight stroke patients with dysphagia. Using videofluorographic images, shapes of the epiglottis were divided into three groups, straight, curved, and closed type. The appearance ratio of types of epiglottis shape in normal volunteers was not significantly different from those in dysphasic patients. The risk of aspiration was significantly different from the types of epiglottis shape, which was the highest in the patients of curved epiglottis and lowest in those of straight-type epiglottis.The results revealed that the shape of the epiglottis is useful to predict the risk of aspiration.
著者
高橋 成一 木内 喜孝 遠藤 克哉 志賀 永嗣 下瀬川 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.1983-1995, 2011 (Released:2011-12-05)
参考文献数
79

潰瘍性大腸炎の寛解維持療法は,ステロイドを使用せず,サリチル酸製剤をアドヒアランスを考慮し長期に継続することが重要である.それでも易再燃性やステロイド依存性を示す場合は,チオプリン製剤が用いられる.インフリキシマブで寛解導入された症例では,特に中止すべき理由がなければ,8週間隔の維持投与が継続される.大腸癌死を減少させるために,8年ないし10年以上経過した全大腸炎型または左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎には,サーベイランス内視鏡検査を行う.色素内視鏡と狙撃生検が今後の標準的手法となる可能性がある.
著者
中川 翔太郎 橋本 明憲 高橋 俊樹
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-10, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
15

窓から室内に侵入したスギ花粉挙動を,数値流体力学と粒子軌道計算の連成シミュレーションにより解析した。シミュレーションには群馬大学で開発した“数値流体力学及び浮遊粒子状物質挙動の特性解析ツール群:CAMPAS”を用いた。本研究では,窓と換気扇を有する室内を想定し,大規模な換気時の室内花粉飛散を定量的に示し,また弱換気時の空気清浄機導入による花粉捕集効果を明らかにすることを目的とした。窓を花粉の侵入源とし,窓のある壁面に対して左側面壁奥上に換気扇がついているものとモデル化した。換気回数8.3回/hの大規模換気時における花粉の室内侵入を調べるため,床面への落下率,換気扇からの排出率,または落下花粉を計算した。窓の対面壁近傍,換気扇の下などに多数の花粉が床面へ落下することがわかった。次に換気回数1回/hの弱換気時に空気清浄機を稼働した際の花粉捕集を調べた。空気清浄機の設置位置は,右側面壁中央下部とした。捕集できる花粉数は落下花粉数の半分程度であることがわかった。また,空気清浄機の生成気流により,窓から侵入した花粉を広く拡散させることも明らかになった。
著者
井上 敏宏 高橋 菜奈子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.2157, 2023-09-30 (Released:2023-10-04)

本稿では,「GIGAスクール構想」のもとで普及してきたデジタル教科書について,制度化に向けた文部科学省での政策の展開および著作権法上の留意点を整理し,国立教育系大学図書館におけるデジタル教科書の導入状況や普及の取り組みについて,全体の概況と大阪教育大学と東京学芸大学の事例を紹介する。これにより,デジタル教科書に関する基礎的な情報の整理を試みつつ,最後に教員を志望する大学生の利用を保証するための課題と展望を述べた。
著者
平野 恵健 西尾 大祐 池田 誠 新田 收 宮崎 泰広 皆川 知也 高橋 秀寿 木川 浩志
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.115-119, 2015-04-01 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23
被引用文献数
3

本研究の目的は,回復期リハビリテーション(リハ)病棟に入院した脳卒中重度片麻痺患者に対して,入院時の身体機能から退院時の歩行能力を予測することの可否を検討することである.対象は,回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者のうち,入院時に重度片麻痺を有し,長下肢装具を処方された49名とした.方法は,対象者を退院時の歩行能力から歩行可能群と歩行不能群の2群に分類し,入院時の患者属性,神経症候,高次脳機能障害,運動機能を単変量解析した.さらに,有意差を認めた評価項目を用いて,退院時の歩行能力を従属変数とした判別分析を行った.その結果,単変量解析では,年齢,神経症候,高次脳機能障害,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力において有意差が認められた(p < 0.05).また,判別分析では,年齢,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力が選択された.以上より,回復期リハ病棟に入院した脳卒中重度片麻痺患者の退院時の歩行能力は,入院時の年齢,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力を用いることにより予測することができると考えられた.
著者
新堀 有佳 安川 生太 荒木 聡子 鈴木 梢 水野 智仁 高橋 紘子 古殿 孝高 稲川 利光 渋谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.599-606, 2014 (Released:2014-10-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4

透析患者が高齢化し透析期間が長期化する中で, 透析患者の日常生活動作の維持は重要な課題である. 今回われわれは, 維持透析患者に対しセルフエクササイズ形式のresistance exerciseによる透析中の運動療法を考案し, その効果を検討した. 透析中の血行動態が安定している当院外来透析患者を対象に運動療法を施行し, そのうち運動療法開始後6か月経過した9例を対象に解析を行った. 右大胸筋筋力・右大腿四頭筋筋力ともに有意差をもって増強を認め, また運動機能評価では速歩でのTimed “Up and Go” test (TUG), 普通歩行速度・最大歩行速度・30秒立ち座り・5回立ち座りで有意差をもって改善を認めた. 筋力増強や運動機能評価の改善を認め, 当院で施行した運動プログラムは有用であると考えられた.
著者
磯田 広史 榎本 大 高橋 宏和 大野 高嗣 井上 泰輔 池上 正 井出 達也 德本 良雄 小川 浩司 瀬戸山 博子 内田 義人 橋本 まさみ 廣田 健一 柿崎 暁 立木 佐知子 井上 貴子 遠藤 美月 島上 哲朗 荒生 祥尚 井上 淳 末次 淳 永田 賢治 是永 匡紹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.510-513, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
5

Hepatitis medical care coordinators (HMCCs) in Japan are trained by local governments and regional core centers, and are expected to play an active role in various aspects of hepatitis countermeasures. A 2019 survey revealed varied activity statuses of HMCCs among facilities. This study surveyed the present status of HMCCs in 21 of the 72 regional core centers in the fiscal year 2021.A total of 951 HMCCs were trained at these 21 facilities. The 17 participating centers of the 2019 survey indicated a slight increase in the proportion of HMCCs who actively contributed to hepatitis patient care, from 84.2% to 85.8%.Despite the COVID-19 pandemic, HMCCs remained active in many facilities.