著者
松本 佳久 高山 義浩 後藤 伸 橋川 拓郎 長田 優衣 吉武 秀展 坂井 英生 中川 摂子 高橋 研二
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-18, 2019-03-20 (Released:2019-04-05)
参考文献数
18
被引用文献数
3

目的  日本を訪れる外国人旅行者は、2018年度で3000万人超が予想されており、増加傾向にある。この訪日外国人旅行者の1.5%が訪日旅行中に怪我・病気になり、医療機関を受診する必要性を感じている。しかし、訪日外国人旅行者の27%が保険に未加入とされる。我々は、保険未加入の外国人旅行者が脳梗塞を発症し、経済的な問題が診療に影響を与えた事例を経験したので、報告を行う。症例  40代男性、東南アジアより、日本在住の親族を訪問中であった。突然の片麻痺を主体とする症状が発生し、病院受診となった。診察の結果、急性期脳梗塞と考えられ、対応を行った。その後、患者が保険未加入であること、親族も医療費支払は難しい状況であることが判明した。また、経済的な援助も見込めない状況であった。医療費を含めて診療内容について相談を行い、外来診療を継続して早期帰国を目指した。考察  保険未加入の外国人が日本滞在中に外傷や疾病に見舞われることがある。支払い能力の有無によらず適切な医療を提供すべきであるが、その結果として高額の医療費負担が生じ、患者本人や家族を困窮させることがないように配慮すべきである。利用できる制度がないか検索することや、医療費を含め診療内容について検討を行う必要がある。また、母国での医療につなげられるように長期的で継続的な診療をめざす必要がある。結論  保険未加入の外国人旅行者に脳梗塞に伴う症状が認められた。医療費や長期的な方向性を含め、相談を行いながら診療を行った。医療機関ごとの対応には限界があり、全国的な事例集積や具体的な対応方法についての相談先の整備が必要と考えられる。
著者
志水 茂 高橋 洋二
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.14, pp.141-148, 2006-05-28 (Released:2011-08-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では広域貨物流動を対象に高速道路の利用選択が所要時間に料金・燃費を加えた一般化費用でどの程度説明できるかを確認すること目的とした。このため、道路距離、輸送時間、費用、輸送品類・品目、地域条件等を盛り込んだ高速道路利用分担モデルを作成した。モデルにより、一般化費用の変化による高速道路利用率への影響は自家用よりも営業用のほうが大きいこと、自家用では道路距離、流動量の品類・品目が高速道路利用選択に寄与することが示された。また、高速道路料金の割引は、自家用トラックに比べ営業用トラックで高速道路利用率の増加が大きいことがモデルを使用した試算により明らかにされた。
著者
神作 愛 今井 崇雄 高橋 一郎 澤田 茂樹 山内 美智子 長谷川 英美 石井 和浩 米重 成人
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-35, 1997-06-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

The effects of the traditional Chinese (Kampo) medicines, Hochu-ekki-to, Yoku-kansan and Saiko-ka-ryukotsu-borei-to, were compared to those of imipramine, a tricyclic antidepressant, in a mouse model of despair. Mice were placed in a water tank, from which there was no escape, for 15 min. The tank contained a water-wheel and the number of wheel rotations counted as escape attempts and, in accord with previous reports, imipramine (10 mg/kg i.p.), given either acutely or daily for 3 days 10 min before testing, markedly increased the number of wheel rotations. The Kampo medicines were administered for 14 consecutive days in the drinking water prior to testing. Hochu-ekki-to (60, 150 and 300 mg/kg/day) also increased wheel rotations but the effect was not dose-dependent. Yoku-kan-san markedly increased the number of wheel rotations at lower doses (60, 150 mg/kg/day), but decreased the number at the highest dose (300 mg/kg/day). Saiko-ka-ryukotsu-borei-to also increased the number of wheel rotations at the lowest dose (60 mg/kg/day), but decreased the number of rotations at higher doses (150, 300 mg/kg/day). These results suggest that these Kampo medicines, like imipramine, may ameliorate despair in mice.
著者
笠原 秀浩 高橋 純
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.4, pp.135-140, 2023-12-04 (Released:2023-12-04)

本研究は,AIを用いた文章生成技術を応用し,児童の自由記述に対する指導・助言の生成を可能にする新たなプローチを試みるものである.具体的には,小学校の理科授業における自由記述に対してAIを適用し,生成された指導・助言が教師の指導をいかにサポートできるかを試みる.本研究により,教師の負担軽減と教育の質の向上の両方を目指す評価支援システムの開発に向けた基盤を築くことを目的とする.
著者
北川 純一 高辻 華子 高橋 功次朗 真貝 富夫
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.143-149, 2013 (Released:2018-05-30)

「おいしさ」にとって重要な要素である「のどごし」の形成には、咽頭・喉頭領域の感覚が深く関与していると考えられる。しかしながら、咽頭・喉頭領域の感覚についての研究報告はあまり多くない。本稿では、これまでの研究によって明らかにされた咽頭および喉頭領域を支配する神経(舌咽神経咽頭枝と上喉頭神経)の味覚応答特性ついて紹介するとともに、近年、盛んに研究されているTRPチャネルファミリーとのどごし感覚の関連性を検討する。さらに、健康的な生活を過ごすために大切な摂食(嚥下)機能に対する咽頭・喉頭領域からの求心性情報の役割について考察する。
著者
小田 綾 吉田 啓太 向井 友宏 高橋 珠世 好中 大雅 大植 香菜 向井 明里 神田 拓 尾田 友紀 入舩 正浩
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
11

核磁気共鳴画像法検査は,診断上必要とされることもあるが,検査に時間がかかり,激しい騒音を伴う.そのため,検査中に安静を保つことが難しい患者ではプレパレーションを行った後に検査を行うこともあるが,知的障害者では行えない場合も多い.診断価値のある画像を得るため,深鎮静下で検査を行うことがあるが,撮影中に呼吸停止を起こすことも考えられる.さらに患者が肥満を伴っている場合は重篤な合併症に繋がる可能性もあることに加え,持ち込み可能なモニター機器は限られている.今回,われわれは,肥満を伴う知的障害者に対し静脈内鎮静法に物理的手法を併用することで,深鎮静を回避しMRI検査を安全に行いえた症例を経験した.症例は21歳男性,知的障害とてんかんおよび肥満を有しており,舌海綿状血管腫疑いのため静脈内鎮静下MRI検査が予定された.本院では,MRI室で使用できるモニタリング機器は,パルスオキシメータのみであり,カプノメーターも使用しない予定であったため,深鎮静下での管理は回避し,ミダゾラムを用いた意識下鎮静法と,抑制具や固定器具を使用した物理的手法による行動調整法を併用した.検査中に呼吸抑制や舌根沈下はみられず,問題なく終了した.肥満を伴う知的障害者に対しミダゾラムを使用することで,適度な鎮静作用と健忘効果が得られ,抑制具や固定器具使用による不快な記憶が残りにくくなり,安全かつ適切なMRI検査が可能となることが示唆された.
著者
蕪野 有貴 田口 巧 松永 邦則 高橋 ゆうき 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.345-357, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
5 6

アスパラガスの露地栽培において,1年間の株養成後,定植翌年の春に萌芽してくる若茎をすべて収穫し,その株の収穫を終了させる栽培法(1年養成株全収穫栽培法)を開発し,採りっきり栽培と名付けた.採りっきり栽培では,アスパラガスのセル成型苗を,新規ホーラーを使って深植えすることにより,霜害や低温のため,これまでは定植が不可能とされてきた早春の定植を可能にした.本研究では,採りっきり栽培の定植適期を検討するため,ムラサキアスパラガスの‘満味紫’およびグリーンアスパラガスの‘太宝早生’の2品種を用いて,定植時期が異なる株の生育および収量を比較した.その結果,両品種ともに,新規ホーラーを使って早期に定植することにより,大株が養成できた.また,定植時期が早まるに従ってL級規格以上の太ものの若茎の収量が増え,総収量および可販収量も増える傾向であった.さらに,春季の出荷端境期となる4月に収量が増え,露地栽培の年間平均単収に比べて,収穫1年目の収量だけで同等かそれ以上となった.採りっきり栽培は,省力かつ低コストで高品質多収栽培が可能であり,高収益が見込める新栽培法である.
著者
根岸 將太 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第296回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.189-192, 2021 (Released:2023-03-31)

サッカーのゴールキーパーは,ペナルティキックを止めるためにプレイすることが期待される.しかし,キッカーがどの方向にシュートを蹴るかをゴールキーパーが判断するための時間は非常に短い.本研究では,キッカーごとに3 シュート方向別の動作特徴を統計的に分析し,ゴールキーパーにシュート方向予測のためのヒントを提示するシステムを提案する.実験の結果,キッカーによっては,軸足の向きと利き足の振り上げ角度がシュートの方向と正の相関があることがわかった.
著者
佐々木 陽 久保田 史 高橋 亨 梅津 芳雄 成田 榮一 森 邦夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.316-324, 1997-05-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

硫化水素型合成温泉水 (湯花の抽出溶液) を用い木材を長時間煮沸処理すると, 蒸留水で処理した場合よりも, 重量の減少が大きく, 空隙率の高い木材が得られた. その時の抽出溶液を液体クロマトグラフで分析した結果, 針葉樹ではアラビノース, キシロースが, 広葉樹ではキシロースが確認され, いずれも合成温泉水処理した溶液で顕著に認められた. 抽出された糖類は木材の非晶部分であるヘミセルロースが加水分解されたもので, 合成温泉水処理によりさらに分解が進んだ結果と考えられる. スギの100時間煮沸処理では, ホロセルロースが蒸留水の場合約18%, 温泉水の場合22%減少し, また, リグニンはこれらの処理において, 見かけ上前者で18%, 後者で20%増加していることから, 熱水処理によるリグニンの分解溶出は認められなかった. 合成温泉水処理により, 水溶性の非晶部分が加水分解されるため, 水に対する木材の膨潤性が改善され, 寸法安定に優れた木材が得られることが分かった.
著者
高橋 幸利
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.99-105, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
20
被引用文献数
7

非ヘルペス性急性辺縁系脳炎を代表とする神経細胞表面抗原に対する自己抗体の関与する脳炎では比較的予後が良いとされる. 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の抗NMDA型glutamate receptor (GluR) 抗体は, NMDA型GluRの内在化により脳炎症状を起こすと考えられているが, シナプス外NMDA型GluRの内在化により, グルタミン酸などによるGluR活性化—アポトーシス (興奮毒性) を抑制, 予後を改善している可能性がある. シナプスのNMDA型GluRは内在化されにくく, cAMP-response-element-binding-proteinリン酸化が保持され, 細胞生存が可能となっている可能性がある.
著者
山崎 さゆり 高橋 公子
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.7, pp.39-42, 1994-09-30 (Released:2012-08-01)

This study is about difference in “sense of value” of husbands or wives, which depended on what sort of rooms they think them as settled place. The analysis for the research was based on the questionnaire to inhabitants at Alute apartment in Yokohama City, Kanagawa.Through this study, “sense of value” means in a broad sense, included such as opinion, behavior, or consciousness, especially related to family relationship.The results are as follows;1) For husbands, relationship on his place, “sense of value”, and demand for private room shows straightly connected one another.2) For wives, the relationship is more complicated. In other words, the factor that decides their settled place lies on something else.
著者
高橋 敦子 松田 康子 駒場 千佳子 奥嶋 佐知子 吉田 企世子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.122-131, 2006-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
被引用文献数
4

Sensory tests and textural measurements were made of komatsuna grown in normal soil, soil enriched with chemical fertilizers and soil enriched with organic fertilizers. Uncooked komatsuna grown in normal soil achieved the highest overall score, while komatsuna grown in soil enriched with chemical fertilizers and soil enriched with organic fertilizers achieved lower scores because of the grassy smell and harsh taste. Significantly more energy was required for chewing komatsuna grown in soil enriched with chemical fertilizers (p<0.05), suggesting high consistency. Uncooked komatsuna grown in normal soil was most favored. No difference was apparent among the komatsuna samples grown in different soil types after cooking by hitashi (parboiling and pressing). Ni-bitashi (boiled and seasoned) komatsuna grown in soil enriched with organic fertilizers was significantly favored (p<0.05)in its overall evaluation. Stir-fried komatsuna grown in soil enriched with chemical fertilizers was slightly more favored than the samples grown in the other two types of soil according to the overall evaluation and results of tests on tastiness and texture.
著者
高橋 恵利子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.169, pp.16-30, 2018 (Released:2020-04-26)
参考文献数
34

日本語学習者の日本語アクセントの習得に関わる認知的な要因を調査するために,上級韓国人日本語学習者70名を対象に,アクセント習得に関わると考えられる複数の課題を課した。課題は,有意味語の読み上げ課題,アクセント正誤判断課題,無意味語の読み上げ課題とそのモニター課題,およびアクセント弁別課題の5つであった。読み上げ成績と最も相関が高かったのはアクセント正誤判断課題であった。また変数間の関係について,アクセント生成と他変数との関係を考察するために重回帰モデルの検討を行った結果,アクセント生成成績を予測する変数はアクセント正誤判断課題成績のみであることが示された。
著者
吉川 恵次 高橋 将史 行田 祐樹 川井 桂 羽柴 正夫
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.219-228, 2008-04-15 (Released:2009-07-19)
参考文献数
21

症例は58歳,男性。アルコール依存症で某精神病院に入院中。原因不明の心肺停止(CPA)を来した時期は抗酒薬の投与で無症状,安定期にあった。某日,午前 6 時55分,病棟ホールでCPAとなった。CPAの 1 分後から,胸骨圧迫の中断をできる限り少なくした心肺蘇生(CPR)を開始,継続した。卒倒から14分後に初回のAED通電, 3 回目の通電が心肺停止後30分での自己心拍再開に繋がった。転院先病院での低体温療法を併用しない集中治療の後,患者の神経学的所見はCPA前の程度にまで回復,良好な神経学的転帰が得られた。本症例はCPAからAED実施まで経過時間が長い場合でも,適正なCPRが実施されれば脳血流の維持による良好な神経学的転帰が期待できることを示した症例と考えられる。AED心電図では心室細動に対するアドレナリン投与の有効性が示唆された。
著者
小長谷 幸史 小田島 大 山家 真奈美 高橋 悠斗 古俣 真夕 重松 亨
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.425-435, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
21

分子生物学など幅広い分野で用いられているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,現在では高等学校の生物の教科書にも記載され,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査で用いられていることにより社会にもPCRが広く認知されるようになった。高等学校の生徒に対してPCRの原理と応用に関する質問紙調査を行った結果,ほぼ全員PCRという言葉を知っていたが,SRAS-CoV2の検査に関すること以外の記述はほとんどなかった。この生徒に対し大学と連携によるPCRの実験を伴った授業を行った。授業は通常の授業時間のなかで説明,PCRの操作,電気泳動を含めて2校時内に行うものとし,PCRは3台の温度の異なるウォーターバスを用いて生徒が反応液の入ったPCRチューブを移動させる“手動PCR”の方法で行った。PCRは原核細胞の16SリボソームRNA遺伝子のほぼ全域の約1500 bpの部分を標的とし,試料は納豆から分離したBacillus subtilisの菌体およびそのDNA,納豆の粘りを用いた。1校時目に全体の説明とPCRの反応操作を行った。PCRの条件は初期変性2分間の後,94°C 20秒間56°C 20秒間72°C 20秒間の25サイクルで行った。2校時目にPCR後の反応溶液を電気泳動に供した結果,9班中2班で目的のPCR産物が得られていた。本実践では感染症対策を十分にとって行うことができた。授業後の課題の設問への解答にはPCRの原理や検査以外の応用の記述がみられるようになった。本実践により通常の授業時間の2校時と課題による時間外学習によりPCRについて学ぶことができる生徒実験が構築できる可能性が見出された。
著者
大西 新介 小野寺 良太 杉浦 岳 高橋 宏之 近藤 統 岡本 博之 大城 あき子 清水 隆文 森下 由香 奈良 理
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.469-474, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
8

目的:消防覚知段階の情報から墜落外傷のトリアージが可能か検討する。方法:2003年4月からの4年間に当院へ救急搬送された墜落外傷症例を導出コホート,検証コホートに分けて後方視的に調査した。まず墜落高の重症外傷(ISS≧25)予測能についてROC解析を行った。次に重症予測にかかわる因子の多変量解析を行い,スコアリングを作成し検証した。結果:導出コホート111例において墜落高の重症予測能はAUCが0.65であり,墜落高の閾値は4mとなった。多重ロジスティック解析では高所,高齢,受傷時の意識障害が独立した重症予測因子であった。それぞれの因子を1点としたスコアリングを用いるとAUCが0.76となった。検証コホート128例においてもAUCは0.77であった。結論:墜落外傷においては,墜落高だけではなく高齢,受傷時の意識障害の情報を付加することでより正確なトリアージが可能となる。