著者
高橋 令二 徳山 龍明
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / The Japanese Society of Soil Microbiology
雑誌
Bulletin of Japanese Society of Microbial Ecology(日本微生物生態学会報) (ISSN:09117830)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.95-107, 1993-10-31 (Released:2009-10-05)
参考文献数
56
被引用文献数
1

Ammonia and nitrite-oxidizing bacteria contribute to nitrification, a part of the nitrogen cycle in natural environments. These bacteria are important since they decompose accumulated inorganic nitrogen compounds and toxic substances such as nitrogen oxides and consume (fix) of CO2, a factor implicated in global warming. Nitrosomonas europaea, a chemoautotrophic ammonia-oxidizing bacterium which contributes to the first stage of nitrification has been studied in detail. It oxidizes ammonia as the sole nitrogen source of nitrite via hydroxylamine as an intermendiate. It grows under completely inorganic conditions using energy (65kcal) produced by the oxidation of ammonia and atmospheric CO2, its sole carbon source. Its growth rate is thus quite low and no extensive biochemical studies have been conducted. This paper reviews recent studies on the ammonia-oxidizing system (ammonia and hydroxylamine oxidation) in Nitrosomonas europaea. Data obtained with two strains of Nitrosomonas including a pure isolated strain of Nitrosomonas sp. TK794 are presented.
著者
澁谷 正俊 富澤 正樹 高橋 道康 谷口 孝彦 小笠原 國郎 岩渕 好治
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要 第29回反応と合成の進歩シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.212-213, 2003-09-24 (Released:2004-03-16)

ダイヤモンドの基本構成単位に相当する高度な対称性を有する三環性脂環式炭化水素:アダマンタンは医薬品素材として極めて重要な位置を占めている。例えば、パーキンソン病治療薬ならびにA 型インフルエンザ予防薬であるアマンタジンを始め、合成レチノイド、NMDA 型グルタミン酸受容体アンタゴニスト、抗腫瘍剤など多様な薬剤分子の生理活性発現に関与している。アダマンタンは創薬化学における有用素子として、その官能基化と誘導体化に関する研究が盛んに行われているが、意外にもその分子上へのキラルな要素の導入に関しては、広瀬らの豚肝臓アルコールデヒドロゲナーゼを用いた置換2-アダマンタノンの不斉還元ただ一例が知られるのみであった。我々は、アダマンタンの創薬資源としてのさらなる可能性に興味を抱き、その母核上へのエナンチオ制御下の効率的官能基導入法を開発すべく検討を開始した。その結果、入手容易なσ-対称性7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのエナンチオ特異的修飾と、その生成物のアダマンタン核への閉環という2つの工程を鍵として、アダマンタンの不斉修飾への途を拓くことができた(Scheme 1)。本シンポジウムでは、その経緯とともに本手法のキラルα-アダマンチル-α-アミノ酸合成への活用について報告したい。【7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのエナンチオ選択的修飾】村岡らの報告に従って合成した7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのケトン部周辺へのエナンチオ選択的な官能基の導入を検討した。キラルリチウムエノラートを生成後、ベンズアルデヒドとの不斉アルドール反応を行ったところ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離可能な2 種のジアステレオマー混合物(生成比10:1)が得られた。収率79%、89% ee で得られる主成績体は一回の再結晶によって、光学的に純粋とすることができた。一方、エキソメチレン部を足場とするエナンチオ非対称化については未だ良好な結果を得るには至ってないが、エキソメチレン体から4 工程を経て導かれるラセミアリルアルコールが香月–Sharpless 不斉エポキシ化反応下に速度論的分割を受け、高光学純度(96%ee)のアリルアルコールを与えることを見いだした(Scheme 2 )。【7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン誘導体のアダマンタンへの閉環反応】上述のようにして得た7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン誘導体を基質として、Olah らの条件に準じてアダマンタンへの閉環反応を検討した。その結果、いずれの場合も0.35 当量の四塩化チタン存在下、塩化メチレン中、–30℃で速やかに閉環反応は進行し、光学活性なアダマンタン誘導体を与えた(Scheme 3 )。ここで、アダマンタン核への多様な官能基導入法の開発という観点から、オキシムエーテルへと導き、このものの閉環反応を検討した。その結果、オキシムエーテルもケトン体と同様にルイス酸条件下、種々のヘテロ原子求核剤と速やかに反応して良好な収率で1,3-置換アダマンタン誘導体を与えることを見いだした。【キラルα-アダマンチル-α-アミノ酸の合成】アルドール成績体を光延条件下アジドへと変換した後、閉環条件に付し、高収率でアダマンタンを得た。アミノ基への還元、保護、ベンゼン環の酸化を経てキラルα-アダマンチル-α-アミノ酸を合成した(Scheme 5)。また、キラルシリルエノールエーテルとイミンとのMannich 反応と閉環反応の組み合わせによる短工程合成も達成した(Scheme 6)。
著者
高橋 浩 南 雅代
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

水の溶存無機炭素(DIC)分析では、試料採取から分析までの期間に生物活動によりDICが変化しないように、塩化第二水銀の添加が認知されているが、水銀の錯体形成等の影響や環境負荷が大きいことが問題である。そこで、水試料のDIC変化を防ぐ処理として、塩化ベンザルコニウム(BAC)の添加とろ過を併用した手法を確立する。具体的には、ろ過実施に関するブランク検証と最適なろ紙孔径の選択、BACの添加によるブランクの低減手順の検証、複数の天然試料を用いた処理の有効性の検証を行う。本研究により水銀を使用せずに正確なDIC分析が可能となることで、分析の効率化と安全性の向上を実現し、将来にわたって大きな貢献となる。
著者
青山 祐樹 高橋 索真 稲葉 知己 泉川 孝一 中村 聡子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.145-152, 2019-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
30

70歳男性.黒色便・貧血精査の小腸カプセル内視鏡検査で回腸に輪状潰瘍を認め,原因としてnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)貼付剤が疑われた.貼付を中止し小腸粘膜保護剤を開始後,潰瘍治癒にともなう瘢痕狭窄によるイレウスを発症し外科切除を要した.特異的な病理所見は認めず,臨床的にNSAIDs起因性小腸潰瘍と診断した.貼付剤でも消化管粘膜傷害を生じうる.
著者
内山 朋規 高橋 大志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.BI-003, pp.01, 2015-11-13 (Released:2022-02-25)

本研究では,企業の利益還元政策の変更が株価に与える影響を分析し,その情報が持つ意味を探究する.結果として,増配アナウンス後の株価の正の異常リターンはマーケットタイミング仮説に整合的で,自社株買いアナウンス後のそれはシグナリング仮説とフリーキャッシュフロー仮説の双方に整合的なことを得た.さらに,アナウンスを行った企業に関するアナリストの推奨やニュース記事のトーンもまたこれらの仮説に整合的であった.本研究の結果は,経営者と投資家の間の情報の非対称性やエージェンシー問題といった市場摩擦がアナウンス後の異常リターンの要因であることを示している.
著者
惣野 円彩 坂梨 秀地 中川 洸志 田久 浩志 高橋 宏幸 田中 秀治
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.71-76, 2022-10-07 (Released:2022-10-15)
参考文献数
10

【背景】昨今,本邦においてオートショックAEDが発売された【目的】ファーストレスポンダーを対象にオートショックAEDと一般的なAEDの操作時間の比較を行うこと【方法】ファーストレスポンダーを対象に,オートショックAEDと一般的なAEDを用いたクロスオーバーランダム化比較試験(n=39)を行い,操作時間を比較した【結果】オートショックAEDでは,到着から電気ショックまでの平均が77.1±10.9秒とAEDの82.9±10.6秒と比べ5.8秒短縮した【結語】ファーストレスポンダーにおいてオートショックAEDは適切かつ迅速に操作が可能である
著者
中川 武正 吉野谷 定美 高橋 孝喜 宮本 昭正 西村 浩 早川 哲夫 信太 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.184-189, 1987-04-30 (Released:2017-02-10)

卵が原因食物と推定された成人気管支喘息症例において経口摂取誘発試験を実施した結果, 5例中3例が喘鳴を呈して誘発陽性と判断された.誘発試験前後での血清中ovalbumin特異的IgGサブクラス抗体およびC1q結合性免疫複合体の変動をあわせて検索したが, 5例中1例において卵摂取15分後に血中IgG 1抗体の低下, 免疫複合体の増加を認めた.本例では摂取8時間後に1秒量の低下をともなう喘息症状を認めており, あたかもIII型アレルギー反応が症状発現に関与している印象をうけた.なお, 卵アレルギーにおけるIgG 4抗体の役割に関してもあわせて言及した.
著者
澤井 恭兵 菅野 のぞみ 田口 裕大 柳内 充 櫻井 圭祐 深澤 雄一郎 中村 茂夫 高橋 俊司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.158-162, 2017-03-25 (Released:2017-03-29)
参考文献数
4

培養継続中であった血液培養にグラム染色を行い,菌の染色性と形態から早期に侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease; IPD)を診断することができた症例を経験した。症例は60歳代男性。全身に紫斑が出現し,急激に全身状態が悪化した。培養継続中であった血液培養にグラム染色を行ったところグラム陽性双球菌が認められ,尿中肺炎球菌抗原検査と併せてIPDが早期に診断できた。しかし,全身状態が改善することなく永眠された。本症例から培養継続中である血液培養にグラム染色を行うことで,血液培養自動分析装置で陽性を示すよりも早期に原因菌を推測できることが示唆された。実施には課題もあるが,検討に値する方法であり,この方法を臨床に周知・啓蒙したい。
著者
佐野 裕基 遠藤 健司 土田 奨 六本木 さくら 荒井 芙美 高橋 亮吾 石山 昌弘 長田 卓也 上野 竜一 山本 謙吾
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.145-154, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

【目的】首下がり症状を呈した変形性頸椎症2 症例の前方注視障害に対して,腰椎・骨盤矢状面アライメントの改善をめざした理学療法の有効性について検討することを目的とした。【症例】変形性頸椎症を既往とし,首下がり症状が出現した2 症例であった。両症例の立位姿勢は全脊柱アライメントより,頸部屈曲位,胸椎後弯,後方重心,また症例1 は腰椎前弯代償,症例2 は骨盤後傾代償が認められた。【経過】両症例ともに頸部および,腰椎・骨盤帯に対する理学療法を実施した。いずれも介入3 ヵ月で頸胸椎アライメントが改善し,一時的に前方注視可能となり,6 ヵ月で腰椎・骨盤帯アライメントが改善し,長時間前方注視可能となった。【結論】首下がり症状による前方注視障害の改善には頸部自動伸展機能の改善に加えて,矢状面上における脊柱全体と骨盤帯のバランスが取れた立位姿勢をめざした介入が有効であると考えられた。
著者
鈴木 萌々香 氏家 悠太 高橋 康介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第19回大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2022 (Released:2022-04-20)

複数の顔写真を周辺視野に次々に提示すると不気味さや歪みを感じる(FFDE)。本研究ではFFDE刺激として顔全体提示、上半分提示、目のみ提示、目非提示、輪郭非提示の5条件を用いて、顔の各部位がFFDEの強さに及ぼす影響を検討した。実験では250 msごとに写真を切り替えながらFFDE刺激を10秒間提示し、刺激観察中に歪み知覚が生じたらボタンを押すこと、刺激提示後に歪みと不気味さの主観的強度を7段階で回答することを求めた。実験の結果、提示する顔部位により歪みや不気味さの主観的強度が異なり、顔全体>輪郭非提示>上半分>目非提示>目のみ提示の順となった。また刺激観察中に歪みを知覚するまでの潜時も提示する顔部位により異なっていたが、主観的強度の順序とは乖離が見られた。以上の結果から顔の全体処理がFFDEの生起に関与すること、またFFDEの強度と潜時には異なる決定要因が存在することが示唆された。
著者
島田 一志 阿江 通良 藤井 範久 川村 卓 高橋 佳三
出版者
日本バイオメカニクス学会
雑誌
バイオメカニクス研究 (ISSN:13431706)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.12-26, 2004-03-31 (Released:2023-03-11)
参考文献数
27
被引用文献数
31

The purpose of this study was to analyze the mechanical energy during baseball pitching for 22 varsity baseball players by using three-dimensional motion analysis technique with two force platforms. Joint torque powers, joint force powers, and segment torque powers of the joints were computed using an inverse dynamics approach.In the energy increasing phase of upper torso, a great deal of mechanical energy flowed into the torso. The mechanical energy transferred to the upper torso due to the segment torque power significantly related to the ball velocity at the release (r=0.480, p<0.05). In the late cocking and accelerating phase, great mechanical energy flowed into the distal segment and the ball due to the joint force power were observed at the throwing arm joints. There were significant relationships between the ball velocity at the release and mechanical energy flows due to the elbow and the wrist joint force powers (r=0.775, p<0.001 and r=0.827, p<0.001). These results suggested that the mechanical energy flows to the upper torso in the energy increasing phase of upper torso and to the throwing arm and ball in the late cocking phase are important to increase the ball release velocity.
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 濱岡 豊 高橋 博子 中原 聖乃 林 衛 徳永 恵美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進める。
著者
井坂 和一 豊田 透花 大前 周平 高橋 悠 大坂 利文 常田 聡
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.217-223, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)
参考文献数
30
被引用文献数
1

高濃度窒素排水の処理方法として,嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)反応を用いた排水処理システムの実用化が進められている.化学工場の排水や天然ガス採掘で発生するかん水などは,37°Cを超える高水温になる場合がある.さらに国内の夏季気温が40°Cを超えることがあることから,高温条件がアナモックスプロセスへおよぼす影響について,実排水処理を想定した長期的な影響評価が必要である.本研究では,アナモックス細菌を包括固定化担体と付着固定化した異なる2種類の担体を用いて連続試験を行い,高温条件がアナモックス活性へおよぼす影響を評価した.その結果,包括固定化担体を用いた試験系では,37°C条件とすると活性は徐々に低下し,窒素変換速度は1週間で37%低下した.また,38°C条件に設定すると,1週間で49%の窒素変換速度の低下が確認された.付着型担体を用いた試験系においても,37°C条件とすると活性の低下傾向が確認された.16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコンシーケンシング解析により,アナモックス細菌の優占種は“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”であることが明らかとなった.これらの結果から“Candidatus Kuenenia stuttgartiensis”を優占とするアナモックスプロセスでは,37°C以上の運転は困難であり,36°C以下で運転する必要性が示された.さらに,高温条件下におけるアナモックス反応比について調査した結果,アンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する硝酸の生成量(ΔNO3−)の比(ΔNO3−/ΔNH4+)およびアンモニアの除去量(ΔNH4+)に対する亜硝酸の除去量(ΔNO2−)の比(ΔNO2−/ΔNH4+)は,共に低下する傾向が確認され,高温による活性低下を検知する1つの指標が示された.
著者
高橋 誠 森本 哲介
出版者
河原学園 人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.23-35, 2022-03-31 (Released:2022-09-28)
被引用文献数
1

キャリア教育で育むべき性格特性的強み(CS)について明らかにするために,社会人の持つCSと経済的・心理的な要素との関連を検討した。社会人231名を対象にオンライン調査を行った。年収,年齢,勤務年数に性差が見られたため,男女ごとに相関分析を行った結果,男女とも全CSのうち9割以上に職務満足度やワーク・エンゲージメントの間に有意な正の相関がみられた。年収との間に有意な正の相関がみられた CS の多くが,男性では「業務を円滑に遂行するために必要な強み」であり,女性は「対人関係を円滑化させるような日本特有の強み」であった。年収により3群に分けてCS得点の差を検討した結果,330万円未満群と695万円以上群との間に有意な差が見られ,「積極的に現状を打開するために必要な強み」が多くみられた。
著者
名古屋 祐子 佐藤 篤 木村 慶 相馬 伸樹 吉本 裕子 高橋 久美子 坂田 悠佳 蜂谷 ゆかり 長澤 朋子 大塚 有希 五十嵐 あゆ子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.235-240, 2023 (Released:2023-10-30)
参考文献数
10

本研究は,小児専門病院の緩和ケアチームが院内コンサルテーションを開始する前後で院内スタッフの緩和ケアに対する困難感の変化を明らかにすることを目的に行った.5領域21項目で構成される困難感に関する自記式質問紙を用い,2015年に開始前,3年後に開始後調査を実施した.開始前は222名(回収率70.9%),開始後は384名(回収率87.3%)から回答を得た.回答者の7割以上が看護師・助産師であった.全職種では,“苦痛症状の緩和”,“看取りの際の家族ケア”,“自分自身や周囲のスタッフが感じる不全感や喪失感に対する支援”の3項目で困難感の有意な減少が認められた.介入した部署の看護師・助産師の困難感は6項目で有意な減少を認めた.緩和ケアチームが介入した16件中11件が疼痛コントロール難渋例の2名の患者への複数回の介入依頼であり,コンサルテーション活動が看護師・助産師の困難感の減少に寄与したと推察する.