著者
土元 喜美子 高橋 貴美子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5-6, pp.183-194, 1966 (Released:2010-10-29)
参考文献数
6
被引用文献数
1

In order to standardize the cookery method and to develope rice boiling experiment, the authors surveyed the cooking practice in 113 mass feeding kitchens and studied cooking better method of “boiled rice” through experiments using square type rice boiler.The authors pointed out two factors for quality “boiled rice”: The hours from the beginning of cooking to the point raising the temperature of rice at 100°C and keeping this temperature of rice over 30 minutes.
著者
安田 喜徳 中川 毅 高橋 学 佐藤 洋一郎 北川 浩之 福澤 仁之 外山 秀一 徐 朝龍
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

平成13年度はプロジェクトの最終年度にあたり、主として研究成果のとりまとめと、補足調査ならびに研究成果の発表を実施した。平成13年度「長江文明の探求」の成果として特筆すべきことがらは、1)世界最古の焼成レンガの発見、2)中国最古の祭政殿の発見、3)中国最古の王宮の発見、4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見、5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、6)城頭山遺跡の住人が苗族であった可能性が高いこと、7)長江文明と日本文明の関係の解明、8)国際シンポジウムの実施し、9)研究成果報告書の刊行、10)記者発表による研究成果の公開などである。1)世界最古の焼成レンガの発見湖南省城頭山遺跡から出土した紅焼土とこれまでよばれてきたものの焼成過程を詳細に分析した結果、それが火事などで偶然できたものではなく、焼成レンガであることが判明した。焼成温度は摂氏600度以上の高温で、均質に焼かれており、かつそれらを大量に生産するシステムが存在したことが判明した。14C年代測定の結果その焼成レンガはすでに6400年前に作られていたことがあきらかとなり、世界最古の焼成レンガであることが判明した。2)中国最古の祭政殿の発見大渓文化の土廣墓の上にこの焼成レンガを敷き詰め、その上に屈家嶺文化早期の正殿・前殿・脇殿の構造をもった建築物が発見された。これは中国最古の祭政殿とみなされる。3)中国最古の王宮の発見祭政殿の西側に焼成レンガの上にさらに40cmほど版築をした上に、列柱回廊を持つ大型の建物が発見されんた。内部には御簾を支えたとみなされる列柱も発見され、これが王宮であった可能性がきわめて高いことが判明した。4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見東門の背後から直径1m以上の木柱をもつ大型の建物跡が発見され、その周辺から大量のイネの籾殻のプラントオパールが集中して発見された。このことから、この大型の木造家屋はイネ籾の貯蔵庫であった可能性が指摘できる。5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、城頭山遺跡の修景保存のための発掘調査の結果、城頭山遺跡の城壁は3回にわたって築造が内側から外側へと城壁が拡大築造されていることが判明した。6)城頭山遺跡の住人が苗族であった城頭山遺跡から出土した木材片の分析の結果、大半がフウの木であることが判明し、城頭山遺跡の住人はフウの木を愛用し崇拝していた可能性が高いことが判明した。現在フウの木を崇拝し愛用しているのは少数民族の苗族であり、城頭山遺跡の住人が苗族である可能性が高いことが指摘された。7)長江文明と日本文明の関係の解明城頭山遺跡周辺では水陸未分化の稲が栽培され、畑作雑穀も栽培されていた城頭山遺跡から出土した大型種子の分析の結果、水田雑草の種子とともに大量の畑作雑草の種子が検出され、遺跡周辺での稲作は水陸未分化の稲であったことが指摘できる。これは縄文時代晩期の唐津市菜畑遺跡の分析結果とよく似ており、稲作の日本への伝播経路が長江下流域から直接東シナ海を渡って日本に伝播した可能性が高いことが明らかとなった。8)国際シンポジウムの開催平成13年11月に長江文明の興亡と環境変動についてて世界の古代文明の研究者を招聘して、国際シンポジウムを実施した。その結果4200年前の気候悪化が長江文明の崩壊に決定的な意味を持ったことが明らかとなった。9)研究成果の報告書の刊行英文1冊、中文2冊の研究成果の報告書を刊行した。英文の報告書は「Origins of Pottery and Agriculture」(Lusre Press Roli Book)384pp.中文の報告書は「神話・祭祀和長江文明」文物出版社200頁と「長江流域乃青銅器」科学出版社200頁である。さらに現在中文の報告書「城頭山遺跡」を編集中であり、平成14年12月までには刊行できる見通しである、予定頁数は1000頁を越える膨大な報告書が出る予定である。10)記者発表平成13年11月2日に記者発表を行い、研究成果の公開を行った。
著者
高橋 真生 北野 優里 須田 昭夫
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.115-117, 2002-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
6

症例は25歳の男性. アルポート症候群による慢性腎不全にて透析歴12年の患者であり, 慢性膵炎を合併している. 1998年ごろよりパニック障害を発症し, 2000年12月より塩酸パロキセチン水和物による治療を開始した. 服用開始21日目の血液検査で膵酵素の急上昇を認めたが自覚症状はなく, 他覚的所見でも異常を認めなかった. 腹部エコーや腹部CTでも軽度の膵腫大を示すのみであった. 2001年5月, 塩酸パロキセチン水和物の中止にて膵酵素は速やかに低下したがパニック障害に対して塩酸トラゾドンを開始したところ, 再び膵酵素の上昇を認め, 塩酸トラゾドンの中止にて膵酵素は低下した. SSRI (selective serotonin reuptake inhibitors) と系統の異なるスルピリドに変更したところ膵酵素の上昇はなかった.SSRIによる慢性膵炎の急性増悪と考えられ, 報告する.
著者
坂本 昭彦 金子 智之 金谷 淳志 木村 将貴 高橋 さゆり 山田 幸央 三宅 康史 坂本 哲也 中川 徹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.65-69, 2021-04-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること. (対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した. (結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた. (結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.
著者
榎本 好恭 高橋 俊明 久米 正晃
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.523-528, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
7

症例は80歳代,男性。発熱を契機として鼻咽頭PCR検査を施行,新型コロナウイルス感染症と診断された。入院時CTにて両肺野にすりガラス影とconsolidationを認め,COVID-19肺炎と診断した。デキサメタゾン6.6mg注にて治療開始後速やかに解熱したが,デキサメタゾン休止翌日より再度高熱となった。細菌性肺炎の合併を考慮し抗生剤を投与したが奏功せず,サイトカインストームを疑いステロイドパルス治療を行なった。一時的には解熱したが,ステロイド減量とともに高熱が再燃し,鑑別として真菌感染症,サイトメガロウイルス感染症などのいわゆる日和見感染症,特発性器質化肺炎などの非感染性肺疾患,肺結核などを念頭に置いて検査,治療を行なった。結果として,肺結核,サイトメガロウイルス感染症と診断され,それぞれに対して治療を開始,その後,結核患者収容・治療施設に転院となった。 ステロイドは新型コロナウイルス感染症治療におけるキードラッグだが,免疫機能を低下させ易感染性となることがあるので,各種感染症に注意が必要である。
著者
清水 一 山﨑 文惠 柏俣 玲於奈 矢野 照雄 高橋 康輔 田島 麻衣 伊藤 耕 佐藤 毅
出版者
埼玉医科大学 医学会
雑誌
埼玉医科大学雑誌 (ISSN:03855074)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.9-15, 2022-08-31 (Released:2022-09-10)
参考文献数
33

近年,歯科インプラントによる治療は一般的になりつつあり,インプラント周囲に生じる悪性腫瘍症例がいくつか報告されている. インプラント周囲の発がん危険因子には,口腔癌の既往とそれに関連する放射線療法の既往,白板症や扁平苔癬などの粘膜疾患,飲酒および喫煙が含まれるが,病因はいまだ不明である. 今回われわれは,インプラント埋入手術から 10 年後に右上大臼歯のインプラント周囲の歯肉に発生したインプラント周囲扁平上皮癌のまれな症例を経験した.. 症例は 74 歳の男性.右上大臼歯歯肉に潰瘍性病変を呈していた. 口腔内検査により,右上第二大臼歯の口蓋側歯肉に 5×2.5 mm の潰瘍性病変が認められた. エックス線検査では 2 本のインプラントが右上大臼歯に埋入されており,垂直的な骨吸収像も見られた. 生検での病理組織検査では扁平上皮癌の診断結果であったため,全身麻酔下で上顎部分切除術を行った. 手術から 18 ヶ月が経過し再発や転移はなく経過良好である.本症例に加えて,PubMed および Medline データベースを使用し渉猟した 61 症例をまとめ,文献的考察を行い報告する.
著者
高橋 健彦
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.118, no.9, pp.502-505, 1998-09-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
17
著者
高橋 和久 重松 良祐
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.136, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 近年生活習慣病は増加傾向にあり、運動や食事を中心としたライフスタイルの改善が重要視されている。これまでリハビリテーション医学では日常生活活動の改善を主体とした取り組みがなされているが、運動療法に生活習慣病の維持・改善を視野に入れた理学療法の展開は重要と思われる。脳卒中および脊髄損傷患者とインスリン抵抗性の関係についての報告は認められるが、脳性小児麻痺と生活習慣病における報告は見当たらない。そこで本研究は脳性小児麻痺患者での運動と糖尿病の関係について一症例を対象とし検討を行った。【症例紹介】 50代男性。脳性小児麻痺。既往歴は高血圧、糖尿病、高脂血症、脂肪肝。経過は、学童期にアキレス腱延長術、下肢延長術施行。X年に胆嚢摘出術を施行した。それを機に歩行機会が減少し、以後片松葉杖を使用するようになった。X+15年10月に胃部分切除術を施行。さらに歩行機会が減少し、以後両松葉杖を使用するようになった。以降人間ドックで糖尿病の指摘を受け、A病院を通院となる。X+21年5月より当院内科通院(糖尿病)となり、肩関節周囲炎を機に当院整形外科受診した。歩行能力低下のため、X+21年12月より当院理学療法開始。X+22年5月より左長下肢装具及び右短下肢装具を作成し、歩行訓練開始。5月末より自宅での自主歩行訓練開始となる。【理学療法初期評価】 機能的自立度評価法(FIM)は114点であった。X+22年5月より以前の21カ月間の運動開始前平均血糖値は159.9㎎/dl、運動開始前平均HbA1cは6.5%であった。【経過】 X+22年5月より装具を使用し、サイドウォーカー、四点杖へと段階的に歩行訓練を進めた。X+24年3月に、一本杖使用にて約100mの連続歩行が訓練室にて可能となったが、FIMに関して顕著な変化は認めなかった。運動を開始したX+22年5月以降の23カ月間の運動開始後平均血糖値は128.4㎎/dl、運動開始後平均HbA1cは6.1%と改善した。経過期間中の運動内容は、訓練室では筋力強化訓練、歩行訓練を中心に週2回の頻度で1回約1時間、自宅内では歩行訓練を約30分とした。食事に関しては本人の意向に沿い、摂取量の維持に努めた。薬物療法に関して、種類と量に変更はなかった。【考察】 今回運動実施前後の血糖値及びHbA1cの経年的変化について検討した。その結果、運動実施後において両測定値ともに改善することが確認された。本症例の活動量は、糖尿病患者向けの一般推奨活動レベルよりも、少ないと思われる。しかしながら、座位中心といった生活活動に運動を継続して実施することで、糖尿病を良好にコントロールできる可能性が示唆された。今後は症例を増やして検討することが必要と考える。
著者
高橋 庄二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-169, 2004-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
44
被引用文献数
4 4

Recently, there have been remarkable developments in the treatment of jaw deformities. Nowadays, surgical correction of jaw deformities is performed at maxillo-facial surgery clinics throughout Japan.This paper discusses the history of surgical treatment for correction of jaw deformities in Japan. It also discusses the rationale behind the author's introduction of the sagittal splitting method of the mandibular rami for treatment of mandibular prognathism, and reports the results of the first and second cases treated using this method in 1969. Then, it discusses various methods used by the author in orthognathic surgery. As a historical background, the development by Prof. Hugo L. Obwegeser of sagittal splitting of the mandibular rami and LeFort I osteotomy, which are among the most important procedures in orthognathic surgery, are introduced. The factors that have influenced the development of the treatment of jaw deformities in Japan are considered, and finally the challenges involved in the treatment of jaw deformities are discussed.
著者
亀田 貴雄 高橋 修平 渡邉 興亜 平沢 尚彦 佐藤 秀昭 浜田 始
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.541-554, 2018 (Released:2023-03-01)
参考文献数
27

1991年から現在まで,北海道足寄郡陸別町では雪氷分野での実験・観測として,陸別の寒さに関する観測,深層掘削機開発実験,雪上滑走路造成実験,降雪量比較観測,が実施されてきた.これらの大規模な観測・実験を実施するためには,実験を計画する研究者側の熱意とともにそれを受けとめる地域の協力が極めて重要である.陸別での観測・実験では両者が有機的につながったため,これらの実験・観測を実施することができた.この報告ではこれらの観測・実験の最初の一歩の説明から始まり,それぞれの観測・実験の実施状況,さらに主要な成果を説明する.
著者
高橋 秀依
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2023-006, 2023 (Released:2023-12-15)
参考文献数
3

6年制の薬学が始まってから,ことさら薬剤師養成を意識した教育が推し進められるようになり,研究もこれに沿ったものに変えていくべきではないかと議論されるようになった.本稿では,筆者が経験した興味深い例を報告する.病院薬剤師を希望していた6年制学生には,医薬品の代謝物の合成を研究テーマとして与えた.しかし,その過程で,学生はNMRスペクトルの解析から興味深い発見をし,学生が執筆した基礎的なNMRの論文は有機化学系の伝統ある雑誌に掲載された.一方,光反応の開発に携わっていた4年制の学生は,ビタミン剤と医薬品の相互作用に興味を持ち,医療系の雑誌に掲載される論文を書き上げた.教員は,4年制,6年制,それぞれにふさわしい研究テーマを割り振るのではなく,学生が研究を楽しめるよう支援することが重要と考える.卒業研究は,学生が課題を発見し,解決する能力を養成するもの,という原点を忘れてはならない.
著者
一杉 裕志 佐野 崇 中田 秀基 高橋 直人 竹内 泉
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究ではヒトのような合目的的な言語理解・発話計画を行う機構の基本原理を明らかにする。対話の目的は長期的な報酬期待値最大化であると仮定し、我々が開発した再帰的強化学習 RGoal を用いて、対話を行うための行動ルールを自律的に学習・実行する知的エージェントを実装する。さらに、エージェントの脳内のワーキングメモリの機構や、知識獲得を促進させるためにエージェントの脳・身体に備わる様々な機構を実装し、性能との関係を明らかにする。
著者
外山 恵里 関 ゆかり 高橋 里佳 梅原 郁美 若山 曉美 七部 史 阿部 考助 下村 嘉一
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.213-218, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

【目的】アトロピン硫酸塩点眼薬(以下アトロピン)による屈折検査は弱視や斜視の治療に不可欠な検査であるが、副作用の発現が報告され注意が必要である。今回アトロピンによる副作用の発現率と症状について検討した。【対象及び方法】対象は2008年4月から2011年3月の3年間に屈折検査のためアトロピンを点眼した387例とした。初めて点眼した症例は387例中326例(84.2%)、2回目以上の症例は61例(15.8%)であった。点眼薬の濃度は3歳未満が0.5%、3歳以上は1%を基準とし、1日2回7日間行った。処方時に点眼による作用と副作用、点眼時の涙嚢部圧迫の必要性を説明した。副作用については発現率、発現時期、症状、濃度や年齢、他の疾患の合併の影響について検討した。【結果】初めて点眼した症例の副作用の発現は18例(5.5%)、このうち7例が点眼を中止した。症状は発熱が最も多く、点眼開始4日以内の発現が多かった。発熱や顔面紅潮は7月と8月の発現が他の期間より有意に高かった。副作用が発現した症例に他の疾患の合併はなかった。濃度別の副作用の発現は、0.5%は212例中12例(5.7%)、1%は114例中6例(5.3%)で有意な差はなかった(p>0.05)。年齢、性別による副作用の発現も有意な差はなかった(p>0.05)。2回目以上の症例の副作用の発現は61例中1例(1.6%)であった。【結論】アトロピンによる副作用の発現率は5.5%で、症状は発熱が多く、点眼薬の濃度、年齢、性別による影響はなかった。
著者
鵜飼 康東 長岡 壽男 竹村 敏彦 峰滝 和典 高橋 洋一
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、第一にマルチエージェント・シミュレーションの手法を用いて、いかなる社会的および個人的条件の下で、金融パニックが発生するかを解明することである。第二に、社会シミュレーションの関数系のパラメータを確定して、金融パニックを回避するための妥当なミクロ金融政策の支援ツールを開発することである。なお、金融パニックは、本研究では、預貯金の取り付け騒ぎ、金融機関の連鎖倒産、金融資産価格の暴落をもたらす経済状況と定義される。シミュレーションに入力するデータとして、ウェブ調査により収集した個票データを用いる。平成21年度には、鵜飼が、平成20年度に設計した金融パニックシミュレーションを二つの英文査読誌に投稿して採択された。レフェリーに高い評価を受けた点は預金者行動に地域的特性が強いということを新たに発見した点である。さらに、韓国慶北国立大學校情報科学部、中国復旦大学社会主義市場経済研究所および上海社会科学院において当該論文の報告を行った。最も重要なコメントは、銀行信用度が預金者行動に大きな影響を与えているという韓国の研究者の指摘であり、第二の重要なコメントは、マルチエージェント・シミュレーションにこだわらず、遺伝的アルゴリズムなどの他の社会シミュレーションツールも有効ではないかという中国の研究者の指摘であった。竹村と峰滝は、シミュレーションツールをコンピューターネットワークに実装するツールを開発してハワイにおける国際会議で報告した。長岡は、平成20年度の「金融機関における取り付け騒ぎの事例研究」の英語版をトルコにおける国際会議で報告した。いずれの国際会議もツールの現実妥当性を強める上で非常に有益であった。竹村は、データの統計的分析結果を英文査読誌に投稿して採択された。レフェリーに高い評価を受けた点は預金者行動の心理的特性パラメータを推計したことである。
著者
高橋 尚子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.38-41, 2023-12-15

2025年に始まる大学入学共通テストの「情報」,受験勉強の頼りは大学入試センターが公開している模擬問題しかない.情報処理学会のnoteでは2020年12月から問題解説を連載し,2023年になってようやく出版社から問題集や対策本が発売され始めた.実際,受験にどう備えればいいか,想像がつきにくい.そこで,「情報」とは異なるが,似ている「情報関係基礎」の受験体験記を,文系大学に合格した現役大学生にインタビューを行い,まとめた.
著者
杉井 将崇 柄澤 智史 大戸 弘人 福田 伸樹 藤森 大輔 伊藤 史生 小山 知秀 高橋 功
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.38.1_04, (Released:2023-12-15)
参考文献数
10

甲状腺腫瘍の既往がある85歳男性が高所墜落後に救急搬送された. 来院時吸気性喘鳴と頚部腫脹を認め呼吸困難を訴えたため, 気道確保目的に緊急気管挿管を行った. CT所見と病歴から甲状腺腫瘍破裂と診断した. 気道狭窄を伴う血腫拡大のため手術適応と判断し, 血腫除去後に甲状腺左葉摘出術・気管切開術を施行した. 第2病日に人工呼吸管理を離脱, 第28病日に独歩退院した. 鈍的外傷による甲状腺損傷は稀だが, 気道閉塞の場合に致死的となる. 手術は止血だけでなく血腫除去も行えるが, 腫瘍出血に対しては甲状腺摘出を要する場合がある. 手術後も気道狭窄が残存する場合, 気管切開を行うことで早期人工呼吸離脱やリハビリテーションが可能となる.
著者
平田 和也 西野 曜子 森重 幸雄 高橋 邦充
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2016年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.635-636, 2016-08-20 (Released:2017-02-20)

近年、パワーデバイス向け材料としてSiCが注目されている。しかし、SiCはワイヤー加工に多くの時間を要し、カーフロスも大きいといった課題がある。そこで、我々はレーザを利用した新しい原理に基づくレーザースライシング方法(KABRA)を開発しこれらの課題を克服した。KABRAの加工メカニズムについて報告する。