著者
諏訪 竜一 大見謝 恒太 西原 隆 高橋 昌弘 住 秀和 殿岡 祐樹 河野 恵美子
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.19-23, 2020

<p>沖縄県における海洋汚染の主たる原因の一つとして,畑地からの赤土流出が挙げられる。これらの赤土流出保全のため沖縄県においてはベチバー(<i>Vetiveria zizanioides</i>)がグリーンベルトとして広い地域に植栽されている。本研究では,このグリーンベルトとして栽培がされているベチバーから精油の採油が可能であるか,また,市販の精油との比較,さらに採取時期による採油率の変化および成分変動の有無について検証を行った。本研究で比較のために用いた二つの市販精油(インドネシア産およびスリランカ産)では精油中の組成成分の構成が異なっていた。採油を行った精油中の特長では,最も主要な成分ではkhusimolやvetiselinolなどのアルコール類が主要であり,この傾向はインドネシア産と同様であった。また,初夏と初冬における採油率(乾物重あたり)を比較した場合,初夏において0.62%であるのに対して初冬においては0.34%であった。一方,精油製造時に季節を問わず,構成成分の変動が比較的小さかった。このため,採油時期に起因する品質の不安定の懸念が少ないことが示された。今後,グリーンベルトを用いた精油の製造が進むことにより,一次産業とアロマ業界が複合することによる環境保全の促進につながることが想定される。</p>

1 0 0 0 OA 太宰治の研究

著者
高橋 宏宣
巻号頁・発行日
no.22,
著者
江原 義弘 高橋 茂 丸田 耕平 土屋 辰夫 森井 和枝
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.159-163, 2002-04-01 (Released:2010-02-25)

大腿切断者のための膝継手の選択を, 効率的に行うためのフローチャートを提案した. 選定手続きは以下の4ステップになる. 最初のステップでは切断者の身体状況より到達可能と思われる日常生活のレベルを予測する. これにより「車いすとの併用」「杖を使用し屋内外移動可能」「杖なしで日常生活自立」「制限なく屋内外移動可能」の4つのレベルを予測する. 次のステップでは対象者の希望を確認する. 第3, 第4のステップでは使用状況に応じて膝継手を選定する. フローチャートを用いると選択作業が効率的に実行できるばかりでなく, 選択の手順について他の担当者や, 対象者・メーカー・代理店などと意見交換がたやすくできるという利点がある.
著者
佐藤 宏昭 中村 一 本庄 巖 藤田 明彦 高橋 晴雄 林 正彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1383-1387, 1988-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

The clinical usefulness of Tsumura-Saireito, which was judged by tympanoaudiometric tests, was compared with that of cepharanthin in 64 ears of 42 children with otitis media with effusion. The trial was a randomized controlled study.The efficacy rate for the 32 ears treated with Tsumura-Saireito was 43.8% and that for the 32 ears treated with Cepharanthin was 18.8%; the difference was significant (p<0.05). No side effects were observed in either group.These results indicate that Tsumura-Saireito is more effective in children with otitis media with effusion than Cepharanthin.
著者
林 伊吹 林 与志子 宇野 功 藤原 裕樹 高橋 宏明
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.666-672, 1997-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

嚥下を観察する際, 嚥下開始の指標を決定するために, 舌骨上筋群表面筋電図を用いることが多い. これは, 被験者に非侵襲的であるため, 有用な方法とされている. しかし, 舌骨上筋群表面筋電図と実際の筋の活動とが, どのように関わつているかを確認する必要がある. 著者らは甲状舌骨筋とオトガイ舌骨筋に電極を刺入して得た筋電図と, 舌骨上筋群表面筋電図を同時記録し比較検討した.嚥下の際に, 舌骨上筋群表面筋電図波形上, 2つの波形変化を認めた. 最初におこる小さい振れと, それに続く大きい振れである. 前者をEMG1, 後者をEMG2とした. 筋電図の比較により, EMG1はオトガイ舌骨筋の活動開始点と, EMG2は甲状舌骨筋の活動開始点と強い相関を認めた.この結果より, 舌骨上筋群表面筋電図は嚥下開始の指標を決定でき, EMG1は嚥下第一期の開始を, EMG2は嚥下第二期の開始の指標を表すものと考えられた.
著者
田畑 陽彩 高橋 侑希 井上 絢音 竹山 悠斗 真野 航輔 山野 莉緒
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

【はじめに】ため池は雨水や河川水を貯め、稲作灌漑に利用されてきた。また、生物の生息場所の保全、地域の憩いの場を提供するなど多面的機能を果たしている。しかし、農家数の減少により灌漑用途としてのため池使用は減少し、管理が行き届いていないため池が増加している。このようにため池の管理が行き届かなくなると、水が長期間滞留することから水質悪化が懸念される。水質悪化を避けるため、多くのため池で伝統的におこなわれてきた「池干し」が見直されている。池干しとは、ため池において水利用の少ない冬期に一定期間水を抜き、底泥を乾燥させることである。そして、富栄養化した水の排出、底泥の洗い流し、栄養塩類の溶出抑制などにより水質改善が見込める。しかし、その水質改善についての詳細なメカニズムは不明な点が多い。これは、池干しによる有機物分解等の作用の違いを実験的に作り出すのが難しいからである。そこで私たちは、池干し下にある底泥を採取し、実態に即して検討することにした。具体的には、何十年も池干しをおこなっていない池と、毎年おこなっている池を選定し、リン循環の周年変化を比較し、違いを考察する。【実験結果】本研究では、加古川市東部の台地上にあり、市街地化も同程度と立地環境が似ている2つの池を選定した。池干しをおこなっていない池が源太池、おこなっている池が新川池である(図1)。まず、この 2 つの池において底泥の堆積構造を調べ、サンプリングをおこなった(図2・3)。 実験1では、サンプルを天日干しして水分を除いた後、電気炉を用いて強熱減量(有機物量)を求めた。その結果、有機物量は源太池で平均 15.7%、新川池では 13.0%となった(図4)。これは t 検定では有意差である。 実験2では、モリブデン青法を測定原理とする試薬と吸光光度計とを使って、全リンと溶存態リンの溶出濃度を測定した。全リンについてはオートクレーブを使用している。実験開始後 25 日目における溶出濃度をみると、新川池の方が全リン・溶存態リンともに溶出が抑制されている(抑制率は順に 82.1%、55.5%)ことから、池干しの効果が大きいと考えられる(図5・6)。 全リンは有機態リンも含んでおり、源太池に有機物が多く含まれているという実験1の結果と整合する。【考察】以上の結果に基づき、池干しをおこなう新川池のリン循環モデルを作成した(図7)。①池干し前の湛水期は、水中の有機態リンが溶存酸素用いた微生物の活動で異化され、無機態リンとなる。底泥に含まれている Fe2+イオンが溶出して、酸化・水酸化反応により水酸化鉄に、PO43-イオンは水酸化鉄との吸着反応により沈降する。嫌気状態で還元が起き、リン酸イオンが溶出する。このリン酸イオンが植物プランクトンの栄養分となり、有機態リンに変わる。② 池干しをおこない底泥が空気にさらされると、好気性微生物が活動し有機物が分解される。③その後、新たに溶存酸素を多く含む水が流入してくる。起こる反応は池干し前の湛水期と同じであるが、溶存酸素をより多く含むため有機態リンから無機態リンへの異化、リン酸イオンの水酸化鉄との 吸着・沈殿がより活発になる。また、新たな溶存酸素を多く含む水が流入してくることで水中の溶存酸素量が増えるだけでなく、池干し期間中に換気によって有機物の分解が既に起きているので、水中の溶存酸素消費量が減り溶存酸素量の低下が抑制される。溶存酸素量は池干しをおこなっていない池よりも多くなり、有機態リンから無機態リンへの異化が進みやすい。 このように、①から③を一年かけて繰り返す。池干しをおこなうことで溶存酸素量が増え、結果的にリンが多く流入しても富栄養化を防ぐ作用が働くため、水質改善の効果を示す。底泥は沈殿したリンを保持する役割を果たしている。【おわりに】池干しによる水質改善効果について、リンの周年的循環に注目し、その解明に取り組んだ結果、池干しによって単に溜まっていた水が酸素を多く含んだ水に入れ替わることで水質が改善されるだけではなく、換気により水質悪化の原因の一つである硫化水素の発生も抑制し、その後しばらくの間抑制効果が持続するということが分かった。
著者
高橋 洋子 粟津原 宏子 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.310-319, 2006-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
34
被引用文献数
1

Salmon and yellowtail are recognized as special fishes in Niigata, Nagano, and Toyama prefectures. The traditional dish of Shiobiki Sake originated in the Murakami region of Niigata prefecture, and salmon became popular in the Iiyama, Nagano and Saku districts of Nagano prefecture from its fishing in the Chikuma river. On the other hand, yellowtail became popular in the Matsumoto, Suwa, Ina, and Iida districts of Nagano prefecture due to being on the supply route for salted yellowtail from Toyama prefecture. Toyama bay provides good fishing grounds for catching yellowtail in the winter as Kannburi, while Toyama prefecture is recognized for its development of the fishing method, processing technique and distribution of yellowtail.
著者
高橋 賢一
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.41-55, 2016-11-30 (Released:2019-02-15)
参考文献数
36

本研究は,援助者が遭遇する困難やストレスを主体的な取り組みが含まれる「苦慮」という概念で捉え,成長に至る契機やプロセスを明らかにすることを目的とした.精神保健福祉士10名のライフストーリーをSCATによる質的分析を行った結果,援助者にとって苦慮を伴う体験が肯定的認識となり成長に寄与していることが示唆された.そのプロセスは,新人から現場の中核を担う過程において,ネガティブな状況にありながらもクライエントや職場スタッフとの関わりや支えられた体験を意味あるものとして自分のなかに落とし込めることにより新たな価値認識に至りポジティブな転換に移行していた.さらに,苦慮と対峙してきた経験が専門職としての意識や価値の形成,信念や持論など援助者としての自分を支える基盤に結びついていた.
著者
高橋 典明 佐藤 良博 清水 哲男 橋本 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.175-178, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
9

肺がんにおける緩和ケアは他のがんと基本的に同じである.ただし,肺がんはがんのなかでも予後が不良で,他のがんよりも疼痛ばかりでなく咳や呼吸困難などの呼吸器症状が伴いやすい.そのため病名告知されるだけでも精神的負担は特に強い.したがって,肺がんにおいて身体的,精神的,社会的およびスピリチュアルな苦痛に対する緩和ケアはきわめて重要であり,早期から緩和ケアを実施することは肺がん患者の延命にもつながる重要な要素である.肺がん終末期の身体的苦痛として呼吸困難の頻度は高く,臨床的に問題となることも多い.呼吸困難の治療は原因病態に対する治療が第一であるが,複数の原因が絡み合い難治性で不可逆的なことも多い.その呼吸困難に対する薬物治療としてモルヒネは第一選択とされ,日本緩和医療学会の「呼吸器症状の緩和に対するガイドライン」でも推奨されている.しかし,その有効性については一定の見解は得られていないのが実情である.そのことを踏まえて,肺がん終末期医療の実情について,呼吸困難に対するモルヒネ投与を例にとって検討し,さらに非がん性呼吸器疾患に対する終末期医療との比較についても述べる.
著者
石村 大輔 岩佐 佳哉 高橋 直也 田所 龍二 小田 龍平 梶井 宇宙 松風 潤 石澤 尭史 堤 浩之
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

2016年熊本地震以後に、布田川断層帯および日奈久断層帯において精力的に古地震調査が行われてきた。我々の研究グループでは、2016年熊本地震で出現した副次的な地表地震断層の過去の活動について明らかにするために、2017年には阿蘇カルデラ内の宮地トレンチ、2018年には出ノ口断層上の小森牧野トレンチを実施してきた。その結果、2-3千年という短い間隔で2016年に活動した断層が繰り返し活動していることが明らかとなった(石村ほか,2018,2019)。これは2016年熊本地震同様に、過去にも布田川断層の活動に際して、周辺の広い範囲に断層が出現したことを示唆する。一方、布田川断層の活動履歴については、多くのトレンチ調査が行われているが(熊原ほか,2017;岩佐ほか,2018;白濱ほか,2018;堤ほか,2018;上田ほか,2018,遠田ほか,2019,など)、それらの多くは鬼界―アカホヤ火山灰(7.3 ka;町田・新井,2003)以降に複数回活動したことを示すのみで、個々のイベントの年代が十分に制約できていない。また、トレンチ調査場所も、阿蘇カルデラ内や益城町に向かって分岐する断層上といった地点に偏っており、最も変位量の大きかった布田川断層の中央部に位置する布田周辺での活動履歴はよくわかっていない。そこで本研究では、布田川断層中央部に位置する布田地区でトレンチ調査を行なった。 掘削地点は、布田川断層と布田川が交わる西原村布田地区である。布田川断層と布田川が交わる地点では、2016年熊本地震で出現した大露頭の記載を石村(2019)が行なっており、高遊原溶岩を数10 m上下変位させる布田川断層の主断層と10 m前後上下変位させる副次的な断層が確認されている。そこから約50 mほど東の林内で5つのトレンチを掘削した。トレンチ掘削地点では、2条の地表地震断層が確認されており、南側のものは約10 cmの南落ちを伴う左ステップする開口亀裂、北側のものは30-40 cmの南落ちを示す断層崖であった。地表地震断層の変位様式と布田川の露頭で認められた断層との位置関係から、南側が主たる右横ずれ断層で、北側が副次的な正断層であると考えられる。トレンチは、南側で2箇所、北側で3箇所の掘削を行なった。 トレンチ調査の結果、すべての壁面で2016年の断層活動に加えて、過去の活動が認められた。特にK-Ah以降には少なくとも3回の断層活動(2016年イベント含む)が認められ、高い活動度を示した。現在、放射性炭素年代測定を実施中であり、発表ではそれらを加えて、より詳細な断層活動の議論とその時期について示す。