著者
高橋 佑治 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.675-680, 2015 (Released:2016-02-26)

ファジィ遺伝的機械学習 (Fuzzy genetics-based machine learning: FGBML)とは遺伝的ファジィシステム(Genetic Fuzzy Systems: GFS)の1つであり,ファジィ識別器を設計するための手法として盛んに研究が行われている.ファジィ識別器において重要な点は,複雑性が小さいこと,また,識別性能が高いことである.しかし,これらの2点の間にはトレードオフの関係があり,識別性能が高く,かつ複雑性が小さい識別器を獲得することは困難である.また,大規模データにGFSを適用した際の計算時間も問題視されている.そこで先行研究において,多目的最適化アルゴリズムを取り入れ,複雑性と識別性能のトレードオフに沿った解集合を獲得する多目的ファジィ遺伝的機械学習 (Multiobjective FGBML: MoFGBML) の提案と,MoFGBMLに並列分散実装を適用し,計算の高速化に関する調査を行った.しかし,MoFGBMLに並列分散実装を適用した場合,計算時間は短縮できるが,得られる識別器の数が減少し,識別性能の高い識別器が得られにくくなることが分かった.そこで本研究では,探索方向にバイアスをかけ探索を行う場合の影響を調査する.本研究では,多目的最適化において目的関数を回転させることで探索にバイアスを与える.MoFGBMLの持つ,識別性能と複雑性の2つの目的のうち,2つまたは1つの目的関数を回転させることにより,より識別性能の高い解の獲得を目指す.数値実験において,目的関数を回転させた場合に得られる解集合への影響を調査する.
著者
高橋 隆雄
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 = Studies of advanced ethics (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.30-48, 2020-03

This paper is based on my personal experiences of fighting against cancer, because referring to such experiences is necessary to consider the relationships between the tendency of normalization and the concept of the buddha-nature. I had two operations for cancer, i.e. the stomach and the pancreas which had grown independently. As a result, I lost the stomach, duodenum, gallbladder, spleen, and a half of the pancreas. About two years ago, the pancreas cancer spread to the liver, then began the treatment using anticancer drugs. Through those serious experiences, I noticed, in my mind, the reception of the world view of the Buddhism, i.e. at the core of the world there exists the good power or mechanism which had been called as Dainichi Nyorai, Amitabha, and Kannon, etc. I also noticed in my mind the existence of the tendency of normalization which contributed to the calm of the mind, and such a tendency is common to animals as well as human beings. The tendency of normalization can be a candidate of the buddha-nature, because, according to Buddhism, the buddha-nature helps us to overcome the difficulties and is common to all sentient beings including human beings. To interpret in this way will make the concept of the buddha-nature within the reach of the general public. However, the tendency of normalization is only one aspect of the multilayer concept of the buddha-nature. At the base of that concept, according to Zen Buddhist Dogen, there exists the impermanence or mutual dependency, i.e. Mujo. At the last chapter, the participation into and the good deed based on the Buddhist world view of the good power and Mujo will be considered.
著者
中山 絵美子 高橋 聡明 北村 言 野口 博史 仲上 豪二朗 桑田 美代子 四垂 美保 真田 弘美
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.116-129, 2020 (Released:2020-07-31)
参考文献数
25

本研究は,介護保険病床を有する病院に入院している認知症高齢者を対象に,1.患者とコミュニケーションロボット(以下ロボット)との関係構築にかかわる要因,2.ロボットの継続的な使用にかかわる要因,3.ロボットへの期待を明らかにすることを目的とし,ロボット事業が継続している介護保険病床を有する病院において,6名の病棟スタッフへの半構造化面接の記録を質的に分析した.その結果,関係構築にかかわる要因として{患者のもつさまざまな特性や変化する患者・療養環境とロボットのマッチング}が,継続使用にかかわる要因として{スタッフがやりがいを感じながら,新しい試みであるロボットの導入・活用と向き合うこと}が,ロボットへの期待として{ロボットが患者・スタッフとともに過ごすことができる存在となる}ことがテーマとして抽出された.これらから,ロボット導入時には患者-ロボット間,継続使用の際にはスタッフ-ロボット間の関係構築が重要であると示唆された.
著者
合屋 渉太 力丸 厚 高橋 一義
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.217-223, 2018 (Released:2019-11-01)
参考文献数
8

Plant height, one of the fundamental crop growth parameters, is usually collected by a direct measurement. The authors have developed a method for the estimation of rice plant height by using a short-range LiDAR measurement from above a paddy rice canopy. In this method, the estimated rice plant height is calculated based on the analysis of the vertical distribution of 3D point cloud data, therefore the estimation is affected by foliage abundance and laser incident angle conditions. Plants with similar height but different foliage abundance were observed using a short-range LiDAR from above a paddy rice canopy to examine the influence of the incident angles on rice plant height estimation. The results of the examination showed that the influence of the incident angle condition was similar in different foliage abundance until the maximum tiller number stage. In addition, the estimation of rice plant height was not affected by foliage abundance in a laser incident angle less than 8 degrees which is almost a vertical incident condition.
著者
高橋 正樹
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.107-124, 2004-09-30
被引用文献数
1 2

林知己夫氏の御存命中, 1990年代より「木曜会」と称する勉強会が開かれていた。初めは渋谷の桜ヶ丘にあった林事務所, 後に参加メンバーが増えると統計数理研究所で, 月一回程度のペースで数名から十数名が集まって, 林氏の数々の研究を若手が勉強したり, 逆に若手の研究発表を林氏を中心に皆で自由にコメントしあったりする会合であった. 本記事は, その中で開かれた公開のインタビューのひとつを採録したものである。特に, 高橋正樹氏(当時, 東京大学大学院総合文化研究科博士課程在学)の発案と司会により, 2001年4月7日に統計数理研究所内で実施したのであるが, この会合では前後全部で3回の公開インタビューを行っている. このインタビューでは, あらかじめ林氏にいくつかの質間事項を提示しておき, それを基に戦後日本の社会調査や統計学の様相とともに, 林氏自身の統計および科学に対する哲学を語っていただいた. なお, このインタビューでのテープを高橋氏が文章に起こしものを, 林氏自身が目を通し, テープの余白部分の追加, 加筆, 録音時に不明だった点や表現, 人名の確認などといった修正, 補足をされている. 今回の採録にあたり, 読者の便宜を図って, 高橋氏が文章化に必要な修正, 補足と小見出しや注釈を付した. さらにその原稿に吉野が目を通して, 必要最低限の修正を加えた. 注釈については, 語られたことの背景事情などを高橋氏が調べたものである. 全体を通して, 本誌の編集委員として吉野が目を通しているが, 不適切もしくは不十分な表現などが見られるとすれば, ご容赦いただきたい.
著者
湯浅 徹也 朝日 国比古 高橋 真智子 橋本 健治 谷口 芳記 清水 正之
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.341-345, 1995 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

35%水酸化ナトリウムにより, 顔面, 頚部, 四肢, 躯幹を受傷した19歳, 女性例を報告した。流水洗浄, 生食洗浄後, 保存的に経過をみたところ, 洗浄の遅れた胸腹部のみに瘢痕を残し治癒した。アルカリによる化学熱傷は受傷直後の洗浄が, 予後を決定する重要な因子と考えられた。
著者
高橋 亨
巻号頁・発行日
2004-05

鎌倉時代初期に書かれ、現存する最古の物語評論を中心とした王朝女性文化論である『無名草子』について、その引用関連の文献を総合的に調査し、文学史と文化史の中に位置づけた。従来は現存しない散逸物語などの資料とされ、その批評は、和歌的な美意識による印象批評とみなされてきたが、これを失われた王朝女性文化に固有の視点からの王朝憧憬の書物として、その特殊な位相を解明したところに特色がある。それは、この作品において取り上げられた文献の引用から見られる特徴を、女房の視点からジェンダー論として捉えるとともに、取り上げられなかった作品や歴史的また文化的な事象をも視野に置くことによって可能となった。具体的な実績としては、引用関連文献を、注釈レベルにおいて再検討することを基礎作業として、「引用関連文献年譜」「引用作品年表」「登場人物年表」を作成したことである。これによって、作品名と人名を中心とした文学史の中に、引用関連からみた『無名草子』の特質を文学史の中に位置づける基本的な視座を得ることができた。個々の文献の成立年次は確定できないものも多いし、年譜や年表としては大まかな流れを示すものであるが、王朝女房の視点により、貴族社会が崩壊したあとの<女>文化の歴史的位相が明確となる。『無名草子』という作品の表現の構造からは、序の物語における仏教的な価値評価の強さに対して、本論ではそれが弱く、失われた現実としての王朝女性文化への憧憬が価値基準となっている。これは、すでに和歌や歌集の編纂、鏡ものなど歴史物語、また説話集が男性文学として女性から簒奪されていた時代にあって、『源氏物語』を中心とした「作り物語」を王朝女性文化の中心となす伝統を示し、<物語の詩学>というべき批評原理を読むことができる。また『枕草子』以来の「草子」というジャンルを仮説することにより、「世継」や「歌語り」との関連を問う視点が拓かれた。
著者
高橋 新太郎
出版者
岩波書店
雑誌
文学 (ISSN:03894029)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.p11-19, 1986-08
著者
高橋 酉蔵 岡田 寿太郎 上田 善子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.260-264, 1960-02-25 (Released:2010-02-19)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In order to examine analgesic activity, dimethylaminoethyl and dimethylaminopropyl 6-chloro (methoxy or ethoxy)-2-benzothiazolecarboxylates were prepared. 2-Benzothiazolecarboxylic acids were obtained by the reaction of ethyl 4-chloro (methoxy or ethoxy)-oxanilate and phosphorus pentasulfide to form ethyl thioöxanilates, hydrolyzed with sodium hydroxide to thioöxanilic acids, and cyclized with potassium ferricyanide in alkaline aqueous solution. The acids were derived to the acyl chloride with phosphorus pentachloride and condensed with dimethylaminoethanol or dimethylaminopropanol. These esters underwent decomposition in the air to form 6-chloro-(methoxy or ethoxy)-benzothiazole.Dimethyl- or diethyl-aminoethyl and dimethyl aminopropyl 6-chloro- or 6-ethoxy-2-benzothiazolepropionate were prepared by the application of sulfuric acid in methanol to N-(p-chlorophenyl)- or N-(p-ethoxyphenyl)-succinimide to form methyl succinanilates, reacted with phosphorus pentasuifide to form N-phenylthiosuccinimides, and cyclized with sodium hydroxide to thiosuccinanilic acids, which was further cyclized with potassium ferricyanide to 2-benzothiazolepropionic acids, derived to aryl chlorides with thionyl chloride, and finally condensed with dimethylaminoethanol, dimethylaminopropanol, or diethylaminoethanol.
著者
一杉 裕志 高橋 直人

大脳皮質の言語野における、構文解析・意味解析機構のモデルを提案する。このモデルは、計算論的神経科学における大脳皮質ベイジアンネット仮説と、形式言語学における組み合わせ範疇文法(CCG)の理論を融合している。文の意味を階層アドレス表現と呼ぶ方法で表現することで、従来の CCG で用いられてきたラムダ計算を不要にし、ベイジアンネットでの実現を容易にする。モデルの一部を破壊することでブローカー失語とウェルニッケ失語に似た振る舞いを再現できる。
著者
久島 昭浩 高橋 雅哉 高橋 克之 蜂須賀 仁志 布村 眞季
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2855-2859, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
11

症例は63歳,男性.吸収不良症候群の状態で入院となり,糞便と尿検査から播種性糞線虫症と診断した.糞線虫症治療薬であるIvermectin(ストロメクトール®)を投与したが,小腸穿孔による腹膜炎を発症し緊急開腹手術を施行した.糞線虫は熱帯・亜熱帯地域に広く分布する寄生虫で,日本では九州南部,沖縄に保虫者が多く存在している.成虫は十二指腸および空腸粘膜に寄生し,自家感染により感染が何十年も持続する.過剰感染を起こすと腸管の固有筋層に虫体が浸潤し吸収不良症候群やイレウス,小腸壊死を引き起こすことがある.九州,沖縄に居住歴のある原因不明の腹膜炎や腸管壊死,イレウスの患者の診察に際しては糞線虫症を鑑別する必要がある.
著者
橋本 栄里子 東山 朋子 高橋 裕子
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.39-59, 2000-12-15 (Released:2012-11-27)
参考文献数
47
被引用文献数
3 1

インターネットの普及に伴い,コンピュータを介したコミュニケーション・コミュニティ(CMCC)が急速に人々の生活に浸透している。本研究は,コミュニケーション論の立場からインターネット上で実施された禁煙プログラムの事例を取り上げる。期間中にメーリングリストを介してやり取りされた電子メールのログを定量的に分析した結果,禁煙指導における電子メディアコミュニティの活用は,禁煙開始後の継続的・個別対応的なフォローアップの実施に有効であることが明らかになった。また,先輩禁煙成功者ボランティアが大きな役割を担っており,医師等の負担を軽減するばかりでなく,後輩を継続的に支援することで自らの禁煙を維持するうえでも貢献していることが示唆された。
著者
高橋 ゆう子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.29, pp.581-590, 2019-01-01 (Released:2019-11-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本論の目的は,RDI(対人関係発達指導法)の特徴と効果について,一家族の事例から検討することである.対象は,6 歳のASD 児とその両親で,約2 年間RDI に取り組み,その間,アセスメント(RDA)として親子のやりとりを3 回録画した.その映像は,関係性を捉える3 つの状態(共同注意,相互調整,間主観性)について評価された (Larkin, et al, 2010).また,日常生活における母子のやりとりを録画した63 場面について母親が振り返りとして記述した内容について,コンサルタントとともに分類を試み,その特徴を整理した.結果は次の通りである.まず,3 回のRDA から父親,母親とも共同注意,相互調整,間主観性のいずれにも変化がみられた.次に母親の記述については,その内容が肯定,否定,分析,課題,疑問の5 つのカテゴリーに分類でき,否定的な内容が減って肯定的なもの,子どもとの関係性に関する内容が増えた.以上から,RDI が親子の関係性の変容に影響することが推測された.そして,情緒的意欲的関係性に焦点をあてた育て直しをねらったRDI の特徴と課題について考察を行った.
著者
網本 和 杉本 諭 高橋 哲也 後藤 恵子 牧田 光代 小松 みゆき 三好 邦達 青木 治人
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.205-209, 1992-03-15

Ⅰ.緒言 脳損傷例における高次脳機能障害と重度な麻痺の存在はきわめて重篤な障害を構成し,そのリハビリテーションは著しく困難であることが知られている.このような例に対してどのような治療的接近が可能であるかを検討することは重要である.これまでにも早期歩行に関する幾つかの報告1~5)があるが,いずれも早期から歩行しなかった群,すなわち対照群と比較しての検討は行なわれていなかった.今回われわれは,1988年5月からこのような重症例に対して,早期から長下肢装具を用いて積極的に誘発歩行訓練を施行し,その臨床効果について従来の訓練方法を施行した群と比較検討したので報告する.
著者
高橋 哲也 藤澤 美智子 土井 賢治 永田 功 中山 祐介 武居 哲洋
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.475-480, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
18

目的:当院で手術対象となった壊死性軟部組織感染症の臨床的特徴を検討すること。 対象:2006年4月1日〜2018年9月30日に軟部組織感染症で手術を施行した症例のうち組織に壊死性変化を認めた症例を対象とし,その特徴を後方視的に検討した。なお初回手術は壊死組織の完全除去を目的としたdebridementではなく感染部位を切開洗浄する方法を行っている。結果:33例が対象となり,来院から切開までの時間は1時間以内が18例(54.5%)と最多であった。切開後の創部は20例で自然閉鎖または縫合で軽快し,植皮術は10例,肢切断は3例に施行された。入院死亡は8例(24.2%)であった。体幹部感染は死亡症例の全例で認められ,ロジスティック回帰分析で死亡の独立危険因子であった(オッズ比29.0,95%信頼区間1.09-771,p<0.05)。結論:壊死性軟部組織感染症に対する初回にdebridementを施行しない切開法は,来院後きわめて迅速に施行されていた。死亡率は24.2%で,体幹部感染が死亡の独立危険因子であった。