著者
竹野 真帆 大槻 一彦 高田 明典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.79, pp.1-6, 2014-03-06

過去,主として民俗学や社会学・哲学などの分野において,多くの研究者が神話・祝祭・遊戯・舞踊などなどの文化現象の意味を見出そうとして研究してきた.今日においては,コンピューターゲームのような新しいタイプの遊興物が,新たな文化現象を形成しつつあると言える.しかしながら,一方で,かつて隆盛を極めた当該分野の文化現象にまつわる研究状況とは異なり,学術的にコンピューターゲームを研究している研究者は多くない.そのような状況は,文化研究にとって好ましいものではない.その理由としては,この分野で用いられる分析手法によって実利的な研究を構成することが必ずしも簡単ではないことがあげられる.その状況を改善するために,マーケティング調査などにおいても利用可能な,訴求力を分析するための訴求構造分析の手法を構築し提案することを本研究の主たる目的とした.その目的に沿って,ヒットしたゲームの要素を項目化し,数量化 III 類列の分析を施すことによって,その訴求構造の抽出例を示した.There have been various studies to know meanings of cultural phenomena. Tn old days, many researchers mainly in the area of folklore, sociology and/or philosophy have studied cultural phenomena such as myth and legend, folk tales, festivals, playing, dances, and so on. Nowadays people have seen new types of cultural phenomena like computer games, but researchers in this research area are not so many as compared to old days and these situations are not desirable for academic research and studies of cultural phenomena. There exist difficulties to construct practical research, and that is the reason why many researchers have not engaged in this research area. Therefore main aim of this paper was to construct a method to analyze appealing structure of computer games that can be utilized in marketing research. To accomplish this aim we categorize factors of top seller games and used Quantamanized Theory III, and then we analyzed an appealing structure of those games.
著者
長谷川 陽一 高田 克彦 八木橋 勉 櫃間 岳 齋藤 智之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.261-265, 2015-10-01 (Released:2015-12-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1 5

日本に固有の樹木であるアスナロ属ヒノキアスナロは伏条更新によるクローン繁殖を行うことが知られており, これまでにアイソザイムマーカーを用いたクローン構造の調査が行われている。しかし, 一般にアイソザイムマーカーの多型性は低いため, 正確なジェネットの識別は難しい。そこで本研究は,近年開発された多型性の高いEST-SSRマーカー 6 座を用いてマルチプレックス PCR を行い, ヒノキアスナロ天然林に分布する稚樹 359 本のクローン識別を試みた。その結果, EST-SSR マーカー を 3 座以上用いることで 45 ジェネットが識別された。また, 1 ジェネット当たりの幹数の最大値は 82 であり, 平均値は 8.0 であった。本研究の結果から, EST-SSR マーカー 6 座を 1 回のマルチプレックス PCR で増幅することで, ヒノキアスナロ天然林の稚樹のジェネットを簡便かつ正確に判別可能であることが示された。
著者
荻野 貴大 高田 哲司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1833-1842, 2017-12-15

Drive-by Download攻撃などWebを通じたマルウェア感染の脅威が問題になっており,その対策が求められている.Webはpull型の情報メディアであるため,マルウェアを流布するためには,Web閲覧者をマルウェア流布のために構築した「仕掛け」に誘導する必要がある.本研究では,このために既存のWebページを改ざんし,「仕掛け」に誘導するページを「誘導ページ」と定義し,その検出を可能にする研究を行った.誘導ページに関するWeb記事を対象に調査を行い,その結果から悪性コンテンツが隠蔽されるという特徴に着目した.この特徴を基に判定ルールを策定し,Webブラウザ上で誘導ページを検出可能にするプロトタイプシステムをFirefoxの拡張機能として実装した.実装したシステムを用いて誤検出率に関する検証を行った結果,False Positiveについては5%を下回る結果を得た.また実際の運用可能性についても検証を行い,実用性についても見込みがあることを示した.
著者
互 恵子 高田 定樹
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.128-134, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
13

対人コミュニケーションの非言語行動は言語行動とともに,心理的意味を生じさせる。特に外見的特徴は第一印象の形成に影響する。店頭の対面場面を設定し,視線計測より,販売員の外見による顧客の印象形成を視覚的注意の応答から検討した。実験参加者は日本人や中国,北米,ドイツ等の出身者とした。販売員モデルの姿・形の外見を整えた場合と整えない場合のどちらも,顧客を想定した観察者の視線の停留の時間と回数は顔部分で最も大きく,印象評価より目線や表情が重要であった。外見を整えない場合はモデルの身体部分への注視が増加し,印象評価より姿勢や手の位置との関連が高かった。対面相手の顔は文脈の影響を受けないが,身体は文脈の影響を受け,非言語情報となることが示唆された。美容コンサルテーションの販売員と顧客の関係性では,文脈に合わせ,外見を整えることで,顧客の視線が商品に誘導されることが示され,販売につながることが予想された。
著者
飛田 宗重 高田 博仁 土肥 守 千田 圭二 小林 顕 関 晴朗 亀谷 剛 宮澤 幸仁 小野寺 淳一 鈴木 博義 今野 秀彦 吉岡 勝 會田 隆志 野村 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.503-507, 2003-08-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)は, いまだ病因不明で治療法未確立の難治性疾患であるが, 疫学調査を行うにも共通の登録基準さえ整備されていない状況にあった. 近年, 「神経疾患の予防・診断・治療に関する臨床研究班」(湯浅班)において, 疫学調査のための登録基準が提唱されたことを契機に, 東北ブロック政策医療神経筋疾患ネットワーク参加施設にてPSPの療養環境整備にむけた共同研究を施行した. 最初に剖検例を対象に登録基準の有用性について検討した. 病理学的に診断確定したPSP7例全例が登録基準を充たしていたが, PSPと鑑別を要する疾患群(MSA4例, PD8例, DLB4例, CBD1例)はいずれも登録基準を充たさず, 登録基準の有用性が示された. 次いで登録基準を用いて患者登録を行い, 療養環境について調査した. 今回の調査では, 入院療養への依存度が高く, 介護保険の利用が少ない実態が認められた. 重症化してから長期入院療養目的で国立医療機関へ紹介される症例が多い傾向を反映しており, 療養上の諸問題について検討した.
著者
田邊昇 冨森苑子 高田雅美 城和貴
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-143, no.7, pp.1-10, 2014-02-24

疎行列ベクトル積 (SpMV) は多くの場合にキャッシュアーキテクチャとの相性が悪い.並列処理においては負荷不均衡が性能に与える影響も大きい.これまでは SpMV 性能を決める要因として,キャッシュのヒット率や一行あたりの非零要素数の平均,最大値,分散が注目されていた.しかし,それらと性能との相関が不明瞭であり,SpMV の挙動は長年にわたり謎に包まれていた.それは SpMV の最適化や,効率的な疎行列ライブラリ構築の障害であった.本報告では,SpMV 性能を左右する様々な要因をアプリケーション依存の要因とプラットフォーム依存の要因に分けて考察した.それを踏まえて行列の非零要素配置から導かれる時間的局所性と空間的局所性等のアプリ依存パラメータを導入した SpMV 性能モデルを構築した.その上でフロリダ大コレクションから抜粋した 115 種の疎行列と GPU を用いて SpMV 性能モデルの評価実験を行った.その結果,GPU 上で実行する場合は Padding に関する補正と小さな行列での補正が必要であることと,長行を折り畳むなど適切な負荷分散がなされた場合はキャッシュのヒット率よりも,空間的局所性やインデックス転送の抑制の方が実効性能に敏感であることが明らかになった.
著者
仲山 悠也 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 東 昭孝
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.50-57, 2017-11-30

金沢大学では,Shibboleth を用いた統合認証基盤を構築・運用している.現在は ID ・ パスワード認証だけの運用であるが,セキュリティ強化のために,リスクベース認証の導入を検討している.本研究では,本学において最適なリスクベース認証を実現するため,運用中の統合認証基盤のログデータの解析を行い,リスク判定基準と,大半の人に適用可能である汎用的なリスクベース認証アルゴリズムを提案し,シミュレーションによる評価・検証を行なった.
著者
坂本 雄司 白井 良成 高田 敏弘 片桐 滋 大崎 美穂
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-4, 2012

探索目標に関する映像中の位置情報を用いて録画データからインタラクティブに目標を探索する手法を提案する.手法の考え方は発掘作業になぞらえることができる.地層を掘り下げるように,利用者はスコップのような道具と目標位置に関する補助情報を用いて過去映像を掘り下げ,目標映像を探す.手法を実装したシステムの詳細とその評価実験の結果を紹介する.
著者
林 遼 高田 遼 坂本 龍一 近藤 正章 中村 宏 児玉 康弘 新 善文
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLDM-179, no.27, pp.1-6, 2017-03-02

ネットワークルータにおいて,ルーティングやフィルタリングの処理を行うために,IP アドレスから該当する情報を検索する必要がある.その実装に現在広く用いられている TCAM ( 3 値連想メモリ) は高コストかつ高消費電力であり,今後ネットワークに接続されるデバイス数の増加が見込まれるなか,その消費電力削減は重要な課題である.ハッシュテーブルの利用などの代替手法もあるが,ハッシュ競合など解決すべき問題がある.本稿では,ニューラルネットワークを用いた IP ルックアップ方式を検討し,その性能と電力を評価する.
著者
篠澤 和恵 楜沢 順 高田 雅美 城 和貴
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.119-127, 2013-03-12

コンピュータ上での絵具の発色シミュレーションは,グラフィックソフトウェアへの応用が期待できる.古典油彩画における「グレーズ」は,薄く溶いた透明な絵具の層を重ねる技法であり,混色で表現できない色調を,重色によって表現するものである.その発色は,放射伝達方程式を解くことによって求められる.しかし従来手法は,異なる絵具でグレーズを行う方法が示されておらず,高精度な解を得るには計算量が大きくなるため,グラフィックソフトウェアへの応用には不向きである.本研究では,まず従来手法を異なる絵具の層に対応できるように拡張する.さらに,係数行列を分解し,刻み幅を固定することにより,高精度な解を小さい計算量で得ることが可能な数値解法を提案する.また,実際の油絵具のデータを用いて数値実験を行い,高精度な解が,従来手法の約4%~7%の計算時間で求められることを示す.
著者
松田 秀人 橋本 和佳 関 哲哉 吉田 真琴 増田 拓也 加藤 大輔 伊藤 裕 栗崎 吉博 斉藤 滋 高田 和夫 長嶋 正實 滝口 俊男
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.141-145, 2002

チューインガムの機能には, 咀嚼能力の向上, 脳血流の亢進, 中枢神経系への作用, 唾液の分泌亢進など咀嚼による直接作用が認められている. 食欲の調節機構としては, 満腹中枢および摂食中枢が食行動調節を司っている. 咀嚼が中枢に及ぼす影響についての研究は少なく, 臨床研究は特に少ない. 摂食抑制物質のうちヒスタミンの分泌は, 咀嚼すなわち噛む刺激によることが, 遺伝性肥満動物Zuckerラット実験により判明した. このような背景から, 食事前にチューインガムを噛むことにより, 咀嚼がインスリン分泌に及ぼす影響について検討した.<BR>19歳から25歳までの健康な女子19名を対象に, ガムベースの15分間咀嚼の後, 75gブドウ糖負荷試験を行い, ガム咀嚼の前, 咀嚼後3分, 6分, 9分, 15分と, それに引き続いて75gブドウ糖負荷後の15分, 30分, 60分, 120分後の計9回, 肘静脈より採血して, 血糖, インスリンを測定した. さらに, ガムを咀嚼しない場合で同様の測定を行った.<BR>その結果, コントロールに比べてガムベースを咀嚼した時のほうが, 75gブドウ糖負荷後の30分値において, インスリン分泌量が多かった. このことから, 咀嚼による中枢への関与が示唆された.
著者
春山 潤 袖山 慶太郎 高田 和典 館山 佳尚
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集
巻号頁・発行日
vol.34, 2014

我々は全固体リチウムイオン電池の実用化に向けた大きな問題である酸化物正極/硫化物電解質の界面抵抗の原因を調べるため, 界面の第一原理計算を行い, 修飾層の有無で界面構造の変化を調べた.典型的な系としてLiCoO<sub>2</sub>/LiNbO<sub>3</sub>/Li<sub>3</sub>PS<sub>4</sub>を扱い, 得られた界面の原子構造とLiイオン空孔の形成エネルギーから平衡状態と初期充電時の界面のリチウムイオン分布を求め, 界面抵抗の原因を推測した.
著者
高田 峰夫 藤田 幸一 長田 紀之 Srawt Aree 竹口 美久 和田 理寛 山本 真弓 森本 泉 小島 敬裕
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

タイの南アジア系移民3集団(1.北タイ在住バングラデシュ系ムスリムの子孫、2.「ネパリ」、3.南アジア系子孫であるビルマ系ムスリム)の調査を行い、南アジアと東南アジアとのつながりを探った。1に関しては移動ルートと祖先の出身地等を明らかにすることができた。また、2については、内部のサブ・グループの存在やタイへの移入時期の違い等を明らかにした。3についてはミャンマーの政治的事情により十分に調査できなかった。また、ミャンマー人移民労働者の調査からは、大規模・継続的に国境地帯から離れたタイ内部へ出稼ぎに出ている実態が判明し、従来の国境地帯中心のミャンマー系移民労働者研究のバイアスが明らかになった。
著者
岡安 優弥 高田 雅倫 渡辺 邦浩 濱川 礼
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第72回, no.人工知能と認知科学, pp.511-512, 2010-03-08

本論文では日本語語呂合わせ(以下,語呂とする)の自動生成手法について述べる.本研究における語呂とは,複数の単語が規則性を持って並んでいる順番を覚える際に使われるものとする.良い語呂の定義は,覚えやすく,元の単語が思い出しやすい語呂である.本研究では,より良い語呂を生成するための手法を提案し,システムとして実装,実際に良い語呂が生成できるかの検証を行った.