著者
高田 英一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.99-104, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

大学においてIRを適切に機能させるためには,適切な部署に適切な資質を有するIR人材を配置する必要がある。しかし,わが国では,IRを担当する人材が十分でないため,その育成を進める必要がある。このIR人材の育成の検討の前提として,本稿では,国立大学におけるIR担当組織の構成員の実態を調査した。調査の結果,IR担当組織の構成員は,IRに関する能力,関心等の個人的な資質よりも,全学として組織的にIR に取り組む体制の構築を意図して,役職を指定して任命される場合が多いことが分った。また,IR人材の養成のための研修を充実する必要があるが,個別の大学では困難であるため,大学間連携や学会を通じた取組が必要である。また,研修の内容を大学がIR人材に求める資質やIR人材の担当する職務,経験に対応した内容とすることが望まれる。
著者
高田 宏 村川 三郎 西名 大作 高橋 大輔
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.96, pp.85-94, 2005
参考文献数
7
被引用文献数
5

1年間にわたり測定した複合商業施設内飲食店舗における使用水量データをもとに,経時的な使用水量の変動傾向を解析し,各店舗の水使用実態を明らかにした。得られた結果をもとに水使用モデルを作成し,モンテカルロ・シミュレーション手法を用いて給水負荷の算定を行った。はじめに,1分間隔で測定した使用水量データの時系列的な取り扱いについて検討を行った。また,時間使用水量と来客者数の関係について,1日の来客状況調査を実施し,両者の関連について考察した。さらに,年間休日の時間平均使用水量の変動パターンを用い,店舗の水使用パターンの類型化を行った。最後に,各種店舗の厨房内における水使用モデルとして,吐水時間,吐水流量,水使用頻度からなる負荷算定モデルを作成し,全店舗を合計した時系列的給水負荷の算定を行った。
著者
高田 学也 原 隆
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.492, pp.88-101, 2005-10-24

「ライブドア、公衆無線LAN参入を発表」「ソフトバンク、携帯電話サービス来秋開始目指す」。来る日も来る日も、新聞紙上にはモバイル関連のニュースが踊る。様々な企業が、新サービスを次々と繰り出しながら、最後のITフロンティア「移動体通信サービス」に殺到しているのだ。モバイル通信の世界は、まさに「バブル」の様相を呈している。 半面、ニュースの中身は業界話ばかり。
著者
櫻井 孝 楊 波 高田 俊宏 横野 浩一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.962-965, 2000-12-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
4
被引用文献数
4 5

アルツハイマー病脳ではグルコース代謝率の低下, 乳酸代謝率の上昇が知られている. そこで細胞外液のグルコース濃度を調節し, 或いは乳酸に置換した時の神経活動, シナプスの可塑性および神経の生存について検討を行なった. 神経活動は海馬の貫通線維を刺激して歯状回で記録される集合電位の振幅で評価した. 細胞外液のグルコースを除くと神経活動は非可逆性に抑制されたが, グルコースを乳酸に置換すると神経活動は一過性に抑制されたが自然に回復した. 一旦無グルコースから回復した海馬切片では乳酸による神経活動の抑制は見られなかった. シナプスの可塑性は長期増強現象の発現について検討した. 細胞外液に10mMグルコースが存在する時は高頻度刺激により約140%の長期増強現象を誘発したが, 乳酸では神経活動の増強は約110%に留まった. 次に海馬スライス培養系を用いて乳酸の神経生存に及ぼす作用を検討した. 培養24~48時間では Propidium iodide の取り込み, LDHの分泌は乳酸栄養での培養ではグルコース栄養での培養と同程度に抑制した. 以上の結果より神経細胞でグルコースの利用が障害された時, 乳酸は神経活動の維持に利用され, 神経細胞の生存にも寄与するが, シナプス可塑的現象 (長期増強現象) の発現には十分でないことが示された.
著者
堤 智昭 田島 孝治 小助川 貞次 高田 智和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.278-287, 2018-02-15

本研究では,訓点の一種であるヲコト点を対象とし,計算機を用いて解析することを目的としたヲコト点の構造化記述方式を提案する.提案方式に基づいてヲコト点図の電子化を支援する入力支援ツールを開発し,主要ヲコト点26種を電子化する.さらにそれを用いてヲコト点の基礎計量を行う.基礎計量では,ヲコト点を構成する要素である「読み」・「位置」・「形状」を対象とした.その結果,最も多く登場する「読み」は「ス」「ナル」「ナリ」「タリ」であり,形状は「・」であることや,漢字の四隅に多くのヲコト点が付与されることなどを定量的に示した.また,主要ヲコト点26種の電子化処理と基礎計量の結果を受けて,提案する構造化記述方式の有効性を確認した.
著者
高田 順三 Junzou TAKADA 尚美学園大学大学院総合政策研究科
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 = Shobi journal of policy studies, Shobi University (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-22, 2016-06-30

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した新情報の一部を公開した。今回のパナマ文書の最初の報道は2016年4月3日になされた。この文書はオフショア金融取引文書の機密文書で、アイスランドのグンロイグソン首相を含む多数の政治家周辺・著名人・企業幹部・スポーツ選手などが、タックスヘイブン(租税回避地)を利用していることがわかった。彼らは、アンフェアだか、法を犯しているわけではない。彼らにしてみれば、それを行使することは自由で、何のやましいことがあろうかと思っている。事実それを利用することは法律違反ではないのだか、税の源泉国である彼らの母国に納税すべきところを回避したモラルは問われるのではなかろうか。そして、いまも現実に多くの企業や富裕者がタックスヘイブンの有利さを享受している。これは世界的レベルで悪用されており、今回のパナマ文書はほんの氷山の一角と言えよう。問題は、世界の税秩序を規律するシステムが壊れており、現行の一国一法主義の税制では対応できなくなっていることだ。そこで、この投げかけられたパナマ文書の問題について考えることにする。
著者
堀井 洋 堀井 美里 上田 啓未 林 正治 高田 良宏 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-361, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
7

科学実験機器資料など学術資料に対しては,組織・機関を越えた横断的な情報共有と,広く社会に向けた公開および活用が求められている.著者らは,これまで明治・大正期の科学実験機器資料や教育掛図資料に関する資料情報についてサブジェクトリポジトリを構築し,大学や自治体博物館に所蔵されている約800 点の資料情報を公開している.さらに,それらに対してデジタルオブジェクト識別子(DOI: Digital Object Identifier)を付与する試みを実施してきた.本発表では,“科学実験機器サブジェクトリポジトリ”の概要について報告するとともに,広く社会おいて資料情報を公開・活用する試みとして,SNS への資料情報の掲載や博物グッズとの連携などについて紹介する.
著者
根本 しおみ 高田 良宏 堀井 洋 堀井 美里 飯野 孝浩 林 正治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.347-352, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
2

天文学研究資料は機器や乾板,設計図等多岐にわたっており,我が国の天文学や自然科学の発展を記録した重要な資料である.また,これら資料群は国内の大学や研究機関に広く保管・収蔵されている.資料の種類や機関を横断した資料情報の整理の手法として,我々はデジタルオブジェクト識別子(DOI)を用いた「サブジェクトリポジトリ」の構築を目指している.その嚆矢として,国立天文台岡山天体物理観測所の資料群を対象にサブジェクトリポジトリの構築を試みた.天文学分野では,常に最新の科学技術が研究・観測に適用され,かつ観測プロジェクト単位で観測機器を独自に製作・運用する,いわゆる一品物の観測機器等が多いことから,観測データを再利用するには併せて観測機器やその図面,マニュアル等の関連資料についてもリポジトリ化・オープン化することが求められる.本稿では天文学研究資料の分類,サブジェクトリポジトリの構築,および,DOI による観測機器を中心とした資料間の関連付けの検討について報告する.
著者
秦野 真衣 米澤 朋子 吉井 直子 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.33, pp.1-6, 2012-02-23

本稿では,子どもの空間認識能力を高めるための AR を用いた新たな学習方法を提案する.AR を用いる利点として,物体を実際に動かすことで子どもでも直感的に,動作と視覚の両方の感覚を使って扱うことができる点がある.また,空中に浮いている立体などの仮想立体でも提示することが可能である.本学習方法は,イメージの中で物体を回転させやすくなるような支援を行っている.学習者は AR 空間の中に表示された物体を別の角度から見る場合を想像し,想像された物体を新たに作成するものである.この学習方法による空間認識能力の学習効果を調べるために,小学生を対象とした実験と実験結果による分析を行っている.In this research, we propose a method to progress spatial reasoning capacity of children with Augmented Reality(AR). AR has two advantages. First, children can use AR tools viscerally with sence of action and vision, since this tool can be moved actually. Second, AR tools with AR can display virtual solids like floating solid. An AR tool, which is based on the proposed method, supports to make image which rotates objects more easily. Learner images rotated objects which was displayed in AR. Then, they make this imaged objects. To evaluate spatial reasoning capacity in the AR tool, we experiment and analyze in regard to elementary school children.
著者
高田 実 大河内 重信 那須 伝夫
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.23-27, 1954-03-30 (Released:2017-06-02)

The values of the absorption coefficient of snow have been measured by Standing Wave Method. The propagation of sound has also been tested under various conditions of snow, such as soft new, hard old, frozen and falling. The results obtained were compared with that under the snowless condition. In newly fallen state, because of its appreciable absorption, sound is considerably reduced at a distance more than two hundred meters from the sound source, while, in hard and frozen state, the reduction is comparable with that of the snowless condition. The propagation of sound under the condition of a rising vapour in spring was found quite peculiar.
著者
越山 健治 室崎 益輝 高田 祐孝
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.550, pp.217-223, 2001-12-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3

This paper is written about the relations between city planning and disaster prevention planning on five cases of destructive city fire -lida in 1947, Noshiro in 1949 and 1956, Tottori in 1952, Niigata in 1950- after World War II. It was cleared about following 3 aspects. 1 Relations between city planning and disaster prevention were changed for that dozen years. The planning theory of that term changed "Park, Parkways and Boulevard System". 2 Characteristics about city planning and disaster prevention planning were similar each other. 3 Speed and difficulty of land readjustments were different each other. Those cases show that regionality has effects on the operation process of city planning rather than planning process of city planning.
著者
高田 啓二
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.736-741, 1992-10-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
16
著者
高田 寛
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.551-581, 2017-03

世界の人口は,2050年には90億人を超えると予想されている。人類が今まで経験したことのない急激な人口の増加とともに,地球温暖化による異常気象が世界各地で頻繁に起きている。また,毎年約6万平方キロメートルの規模で地球の砂漠化が進み,土壌劣化現象が起きている。このため,2050年には,世界の総人口を養うためには,食料の生産を2000年に比べ1.5倍以上に引き上げる必要があると予想されている。このような将来の食料危機を打開するものとして,遺伝子組換え技術が注目を集めている。遺伝子組換え技術とは,植物に限らず,あらゆる生物の遺伝子を人為的に改変する技術であり,21世紀に入り急速に技術革新が行われた。特に,近時,予め狙った遺伝子を直接改変するゲノム編集技術が開発され,不確定要素が多く効率が悪かった従来の遺伝子組換え技術にも導入され,人類は,これら遺伝子改変技術により,植物だけでなく動物をも含む食料の増産及び安定供給を可能とする時代を迎えようとしている。しかし一方で,遺伝子組換え技術を使った作物(Genetically Modified Organisms/GMO)(遺伝子組換え食品も含む。以下「GMO」という。)が人体へ影響を及ぼす可能性があるのではないかという報告もなされ,GMOの安全性及び生物多様性についての懸念が表明されている。また,これらの報告を受け,消費者団体及び市民団体を中心にGMOの反対運動も行われている。各国のGMOに対する法規制は様々であり,特にフランスがGMOの栽培を禁止したように,EUでは規制を強化する傾向にある。しかし他方,米国はモンサント社をはじめとする種子ビジネスの巨大企業が,GMOを中心としたビジネスを世界各国で展開している。このような中,わが国の食料自給率は40%以下と先進国の中では最も低く,多くの農作物を海外から輸入している。特に,米国産の遺伝子組換えトウモロコシや大豆を大量に輸入・消費しているため,わが国にとってもGMOの安全性に関して無関係ではない。GMOの賛否については,ややもすると感情論に走りがちな議論も散見されるが,本稿では,GMOが抱える法的問題,特に食物に対するGMOの表示制度を整理し,トレーサビリティの必要性の有無について,EU及び米国の法制度も踏まえながら,わが国の採るべき法規制の検討を行いたい。