著者
清水 哲也 水口 義昭 吉岡 正人 松下 晃 金子 恵子 川野 陽一 勝野 暁 神田 知洋 高田 英志 中村 慶春 谷合 信彦 真々田 裕宏 横室 茂樹 内田 英二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.79-85, 2016-01-31 (Released:2016-04-26)
参考文献数
19

ERCPは胆膵疾患の診断に不可欠な手技となり,ERCPを応用したさまざまな手技が活用されている一方,ERCPの偶発症は重篤化しやすく慎重を要す手技である。ERCP合併症の中でも後腹膜穿孔は死亡率が高く,その診断と対処が重要である。1999年1月から2015年5月までのERCP自験例 4,076例のうちERCPの後腹膜穿孔を10例(0.25%)に認め,その原因と対応を検討した。穿孔部位は,乳頭部3例,胆管3例,膵管2例,十二指腸2例であり,原因は,乳頭部穿孔ではEST,胆管穿孔では砕石処置具の挿入,膵管穿孔ではカテーテル操作,十二指腸穿孔では内視鏡の挿入による損傷であった。後腹膜穿孔を疑う際にはENBDや胃管で減圧しCTで後腹膜穿孔の重症度を確認する。CTで後腹膜に液体貯留を認め,かつ発熱や疼痛のある症例は緊急手術を行う。後腹膜気腫のみ,もしくは少量の液体貯留のみで無症状の症例は保存的加療を行い経時的に疼痛や液体貯留をフォローし,所見の悪化がある際は緊急手術を考慮する。
著者
高田 衛
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.1-8, 1988-08-10

十八世紀、「江戸戯作」と称される文芸(小説)が成立していった過程で、科学者平賀源内の『根南志具佐』ほど、この文学ジャンルの性格と形成を決定づけた作品はなかった。だが、滑稽と笑いを喚起し、大きな虚構によって都市江戸の生態を活写し、江戸の文学の流れを変えたこの作品について、現在いまだにすぐれた作品論は存在していない。本論文では、『根南志具佐』の作品論へ向けて、その前段階として、大田南畝の『根南志具佐』批評を引用し、分析しつつ、この作品が<江戸>のスキャンダラスな悪場所(バッドシティホリゾン)つまり芝居町=男色者たちの世界の、実際の生態と深くかかおり、そのスキャンダラスな世界(ホリゾン)を逆手にとって、ちょうど遠目鏡で地獄をのぞくように、遠近法を充分に駆使して、コトバで「江戸」をカリカチュアにし、また滑稽なミニチュアにして、読者の前に提供した初めての作品であったことを、豊富なエピソード(悪場所の)を並記して、証明した。そして、「戯作」という文学ジャンルが、じつは文学ジャンルである前に、文学の新しい方法であり、地上的人間世間(シャバ)の全体性を、明快に相対的に描き出す「志」(こころざし)(自立し、他からの妨害を排除し、自由な精神の確立を目的とする作者のつよい意志)に根ざす、笑いを武器とした創造的な文学であることを証明した。従来の学問における固定的な「戯作」観念(余技的な遊び)は、改められなければならない。
著者
中村 昇平 松尾 直人 部家 彰 山名 一成 高田 忠雄 福山 正隆 横山 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.359, pp.17-20, 2014-12-05

DNA(チャネル)/SiO_2/Si(ゲート)構造において,DNAのキャリアの振る舞いを調べた.シリコン基板を使って電極間に120nmのギャップを作り,DNAはギャップの間に作製した.dI_D/dV_Dは0.7Vで極値を示ており,この理由はDNA中のトラップとデトラップが関与していると考える.電子はグアニンにトラップされ,チャネル部における電圧によってデトラップが引き起こされる.p^+Siの場合多数キャリアのホールはDNAチャネル中の電子と再結合し,質量作用の法則により,トレイン電極からチャネルに注入される.
著者
小林 貴 久保 典史 坂倉 建一 高田 宗典 平原 大志 荒尾 憲司郎 宇賀田 祐介 森 将之 船山 大 菅原 養厚 阿古 潤哉 百村 伸一
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1438-1443, 2010

たこつぼ心筋症(transient left ventricular apical ballooning, takotsubo cardiomyopathy; TTC) では診断時, 冠動脈の有意狭窄を除外基準とすることが多い. しかしながら, 高齢者に多い病気であり, 最近, 冠動脈に有意狭窄のあるたこつぼ心筋症の存在もいわれるようになってきた. 症例は83歳, 女性. 普段から行っているわけではない, 緊張を伴った神社参拝, 豆まきという行事直後の食事, 飲酒をした際に著明な冷汗と意識が遠のく感覚を自覚したため, 救急要請となり当センターに救急搬送された. 急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)が疑われ, 緊急心臓カテーテル施行. 左冠動脈前下行枝(left anterior descending artery; LAD)#7に90%狭窄を認めたため, 緊急経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention; PCI)を行った. 直後の左室造影(left ventriculography; LVG)では, LADの支配領域に合致しない左心室基部の過収縮と心尖部の無収縮を認め, 高度冠動脈狭窄を合併したTTCと診断された. TTCとLAD病変の関与したACSは最も重要な鑑別点である. ACSとして判断されていた症例の中にも実際には詳細に検討すると, たこつぼ心筋症が潜んでいる可能性があることを示唆している. また, 診断方法の感度を考慮すると, 疾患概念による形体描写に基づかない命名の必要性が指摘されている. 病態解明の進歩が, 今後一層期待される.
著者
高田 義久
出版者
神戸史学会
雑誌
歴史と神戸 (ISSN:02887789)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.21-30, 2005-10
著者
笹野 博 神谷 智仁 高田 哲郎 丸山 直久 渋谷 崇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.241, pp.19-22, 2000-07-21
被引用文献数
2

符号化率1/3の非組織畳込み符号について拘束長が13から18の最良符号を約40台の計算機を用いた探索により求めた。符号化率1/2, 拘束長26の符号についても同様の探索を行い、部分探索における最良符号を求めた。
著者
高田 求
出版者
日本共産党中央委員会
雑誌
前衛 (ISSN:13425013)
巻号頁・発行日
no.200, pp.84-92, 1962-08
著者
饗庭 絵里子 高松 直也 沼田 晃佑 柳田 修太 鈴木 征一郎 佐藤 暢 長田 典子 高田 勝啓
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.677-685, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
23
被引用文献数
3

The purpose of this study is to identify a ‘kansei’ space for ‘kandoh’ evaluation model that considers individual characteristics. We performed two experiments that attempted to construct such kandoh models for a younger age group and a mature age group. In the first experiment, 69 suitable words for evaluating the image quality were selected from 150 Japanese words to express kandoh. In the second experiment, using the selected kandoh words, the kansei space for each age group was identified and analyzed by individual differences in scaling, multi-dimensional scaling, and cluster analysis. Based on the results, we observed differences in the interpretation of the words between age groups. Thus, the constructed kansei spaces were shown to also have differences depending on the age group.
著者
高田 昌広
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.140-148, 2014-03-05

「宇宙は膨張している」という宇宙の観測結果は,今では小学生の理科辞典にも当たり前のように載っており,すでに広く認識されている.「膨張する宇宙」の宇宙論の歴史は,1920年代後半にエドウィン・ハッブルら天文学者が,遠方の銀河が我々から遠ざかっているというハッブルの法則を発見したことから始まった.これは,宇宙は不変で定常的であると考えられていた当時の宇宙観・宇宙像を覆す大発見であった.実は,ハッブルらの発見以前に,宇宙膨張を予言する理論的研究があった.アルバート・アインシュタインは1915年に重力の理論である一般相対性理論を提唱したが,他の研究者らが一般相対性理論を宇宙に適用したところ,膨張する宇宙の解が存在することを見つけたのである.あのアインシュタインでさえも,動的な宇宙像を受け入れることができず,重力を打ち消し合う,実質的に万有斥力を引き起こす「宇宙定数」を方程式に導入し,静的な宇宙解を得ようとしていた.後に,ハッブルらの宇宙膨張の発見を受け,アインシュタインはこの宇宙定数の導入を生涯で「最大の過ち」として後悔したエピソードは有名だろう.しかし,宇宙膨張の研究史はこれで決着ではなかった.1998年のほぼ同時期に2つの独立な研究グループが,多数の遠方銀河で起きたIa型超新星の測定から宇宙膨張を調べたところ,約70億年前から宇宙が加速膨張に転じた,つまり宇宙の膨張がどんどん速くなっているという驚きの観測結果を報告したのである.この宇宙の加速膨張の発見を受け,ソール・パールマッター,ブライアン・シュミット,アダム・リースの3氏が2011年のノーベル物理学賞の受賞という銀河天文学史上初の快挙を成し遂げた.アインシュタインの一般相対性理論によれば,宇宙の膨張の歴史を測定することは宇宙に存在する全エネルギーおよび物質を測定することと等価である.宇宙の加速膨張は,物質の重力を凌駕する,万有斥力を引き起こす謎のエネルギー,「ダークエネルギー」で現在の宇宙が満たされていることを意味する.正体不明という意味で「ダーク」と呼ばれているが,皮肉にも80年の年月を経て,現代の宇宙論ではアインシュタインの宇宙定数が復活したのである.ダークエネルギーの正体は何か?宇宙の膨張とともに無尽蔵に増え続けるダークエネルギーに宇宙は支配され,宇宙はこのまま加速膨張を続けるのか,あるいは宇宙は終焉を迎えるのか?これらの疑問は,21世紀の宇宙論が解決すべき難問である.ダークエネルギーの性質の探求には宇宙観測だけが唯一の手段であるので,これを目的とした宇宙探査計画が世界中で計画されている.この宇宙探査には,できるだけ夜空の広い領域にわたり,より遠方にある暗い銀河までくまなく観測するという,言わば宇宙の「国勢調査」が必要になる.この世界の潮流に先駆けて,日本が誇る口径8.2mのすばる望遠鏡に超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(HSC)が本格始動した.今年2014年から5年間の計画で,すばる史上最大の宇宙探査を行うことになっている.ハッブル宇宙望遠鏡では1000年以上もかかる壮大な計画である.
著者
高田 望 平野 かよ子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.67-75, 2015-10-01 (Released:2015-09-30)
参考文献数
20

本研究は,ICU において医師・看護師が終末期医療へのシフトをどのような情報・状況をもとに判断しているのかを明らかにすることを目的とした.ICU に勤務する医師・看護師各4名に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析を行った.その結果,28 コード,9サブカテゴリーから《救命の困難さ》と《治療継続の不適切さ》の2カテゴリーが抽出された.《救命の困難さ》は,【臓器機能の悪化】【治療に対する反応の低下】で構成され,これ以上の治療を継続しても患者の命を救うことが困難であるという情報である.《治療継続の不適切さ》は,【本人および家族の自己決定】【その人らしさの消失】【家族内の患者の居場所の欠如】などで構成され,これ以上治療を継続することは患者の利益にならないことを示す情報である.医師は《救命の困難さ》に重点を置いて終末期医療へのシフトを判断するが,看護師は《救命の困難さ》だけでなく《治療継続の不適切さ》を重視して終末期医療へのシフトを判断していた.この医師と看護師の判断の特徴の背景には,職務上の役割の違いがあることが示唆された.
著者
高田 宗平
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.265-292[含 英語文要旨], 2011-03

日本古代の『論語』注釈書の受容について、日本史学では『論語集解』のそれに関しては研究が見られるものの、『論語義疏』については等閑に付されてきた。このことに鑑み、『論語義疏』を引用する日本古代典籍の性格、成立時期、撰者周辺の人的関係を追究すること、古代の蔵書目録から『論語義疏』を捜索すること、古代の古記録から『論語義疏』受容の事跡を渉猟すること、等から、日本古代の『論語義疏』受容の諸相とその変遷を検討した。『論語義疏』は、天平一〇年(七三八)頃には既に、日本に伝来しており、奈良・平安時代を通じて、親王・公卿・中下級貴族・官人・釈家に受容され、浸透していた。八~九世紀では「古記」・「釈」・「讃」の撰者である明法官人によって律令解釈に、一〇世紀末~一一世紀初頭に於いては皇胤である具平親王が『止観輔行伝弘決』所引外典の講究のために、更に、一一世紀前半では明法博士惟宗允亮が朝儀・吏務の先例を明らかにするために、右大臣藤原実資が有職故実の理解のために、それぞれ『論語義疏』を利用していた。また、釈家では、九世紀で空海、一〇世紀で法相宗興福寺の中算が『論語義疏』を利用していたが、一一世紀後半に至ると、仏典を始め多様な日本古典籍に『論語義疏』が利用された。そして、一二世紀前半では、左大臣藤原頼長が幾多の漢籍を講読したが、その一つとして『論語義疏』を講読していた。就中、具平親王の周辺や藤原頼長の周辺に、文才に長けた公卿並びに中下級の貴族や官人である文人・学者が集まり、両者はともにそれぞれの時期の論壇の中心となって、漢籍・漢学の講究・談義が行われた。そこに於いて、講読されていたものの一つが『論語義疏』である。Regarding the acceptance of the commentaries of the "Analects of confucius" in ancient Japan, Japanese historical studies have discussed "Lunyu–jijie", but have paid little attention to "Lunyu–yishu". This article examines various aspects of the acceptance of "Lunyu–yishu" in ancient Japan and its historical development by the following methods : investigation of the nature of ancient Japanese books quoting "Lunyu–yishu", the time of their formation, and human relationships around the editors; search of "Lunyu–yishu" in the ancient inventory of books; and search of the evidence of the acceptance of "Lunyu–yishu" in ancient historical records."Lunyu–yishu" was introduced to Japan in 738 ( Tenpyo 10) , and was accepted by Imperial princes, court nobles, middlegrade and lowgrade nobles, officials, priests of Buddhism, etc., and permeated among them through the Nara period and the Heian period.From the 8th to 9th century, "Lunyu–yishu" was used by legal officials, who were the editors of "Koki", "Shaku", and "San", to interpret legal codes. From the end of the 10th century to the beginning of the 11th century, it was used by Prince Tomohira, who was an imperial descendant, to investigate non–Buddhist scriptures quoted in "Shikan–bugyoden–guketsu". In the first half of the 11th century, it was used by Koremune–no–Tadasuke, who was a teacher in laws and ethics, to clarify the precedents of court ceremonies and official duties, and by Fujiwara–no–Sanesuke, who was the Minister of the Right, to understand the ancient practices and usages. Among the priests of Buddhism, Kukai used "Lunyu–yishu" in the 9th century, and Chuzan of the Kohfuku–ji Temple of the Dharma– character school in the 10th century. In the last half of the 11th century, "Lunyu–yishu" was used in various Japanese classical books including Buddhist Scriptures. In the first half of the 12th century, Fujiwara–no–Yorinaga, who was the Minister of the Left, lectured on many Chinese classical books, one of which was "Lunyu–yishu".Writers and scholars with literary talent, who were also court nobles, middlegrade and lowgrade nobles, and officials, gathered especially around Prince Tomohira and Fujiwara–no–Yorinaga. Both of them played a key role in lectures and discussions on Chinese writings and literature in respective times. One of the books treated in such activities was "Lunyu–yishu".
著者
高田 美一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学紀要 (ISSN:03899543)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.105-115, 1986-03-15

一八八六年七月三日、ヘンリー・アダムズと画家ジョン・ラ・ファージが日本を訪れ、フェノロサ一家とともに日光にて夏を過ごし、その後、フェノロサとともに鎌倉、京都、奈良、岐阜へと旅行し、日本古美術品を蒐集した。文部省派遣のヨーロッパ美術教育調査に出発するフェノロサと天心は、十月二日横浜出航のシティ・オヴ・ペキン号でアダムズ、ラ・ファージと同船し親交を結んだ。一九四〇年、パウンドは「アダムズ・キャントウズ」を出したが、それはアダムズ家のアメリカ建国の父祖第二代大統領ジョン・アダムズの功績と人格を顕揚したもので、その資料はヘンリーの父チャールズ・フランシス・アダムズ編の『ジョン・アダムズ著作集』からえた。ヘンリーも、ジェファーソンに焦点をあてたアメリカ建国時代の歴史の大著を出し、パウンドもまたジェファーソンの功績と人格を賞揚した。
著者
高田 艶子 岩永 誠
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.49-55, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究は,認知症高齢者を対象として,補完代替医療 (CAM) としての音楽療法がその行動・心理症状 (behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD) のうちアパシーに与える効果を検証することを目的とした.平均年齢 85.9 歳の施設の認知症高齢者 20 名に,なじみの音楽による集団音楽療法を隔週で 8 ヶ月間,合計 10 回実施した.その結果,対象者全体では「情動反応」領域の歌唱,リズム,身体運動に有意な改善が認められ,「社会性」領域の集中力に改善傾向が認められた.アルツハイマー型ではリズム,集中力の改善および歌唱と参加意欲に改善傾向が認められたが,脳血管型では改善が認められなかった.このことから,音楽療法は認知症高齢者,特にアルツハイマー型のアパシーの側面に見られる BPSD 軽減に役立ち,QOL の向上に結びつくものと考えられ,薬物療法の補完代替医療法として有効であることが示唆された.