著者
児玉 基一朗 赤木 靖典 髙尾 和実 難波 栄二 山本 幹博 秋光 和也 柘植 尚志
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.207-216, 2014

地球上に存在する糸状菌の大多数は,分解者として腐生的生活を送っている。その一方で,特定の糸状菌が生物学的に大きなコストをかけて植物寄生能力を進化させてきた要因は,宿主植物というニッチを占有することの利点にある。病原糸状菌の感染様式は,栄養関係の樹立に生細胞との相互作用を必要とする活物寄生菌(biotroph)から,感染成立過程において植物細胞を激しく加害し死に至らしめる殺生菌(necrotroph)まで多岐にわたる。その他,共生菌,あるいは感染過程の少なくとも一部において生細胞との相互作用が重要であるとされる中間型の寄生菌(hemibiotroph)なども存在する。このように多種多様な寄生様式のいずれも,相互作用における進化のほぼ最終的な形態として具象化されているのか,それとも単に理想的な最終型に収斂する過程の途上に現れた一つにすぎないのか,議論の分かれるところである。
著者
髙原 慧一 脇坂 崇平 荒川 陸 檜山 敦 稲見 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.199-203, 2020-08-22

身体スキル学習において,教示者が学習者の習熟状態・適正を見定め,適宜教示を行うことが必要となる状況がしばしば存在する.本発表では,ボールジャグリングを対象として,独習時にも学習者が適切な教示を取得可能な学習支援システムを提案する.本システムは,1. 学習時映像からの姿勢・ボール軌道等の検出,2.検出情報に基づく習熟状態算出,3.習熟状態に対応する教示が記録されたデータベース(経験バンク)の三点により構成される.
著者
髙橋 徹 熊谷 昌則 髙山 裕子 大野 智子 山田 節子 三森 一司 逸見 洋子 駒場 千佳子 長沼 誠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】日本調理科学会特別研究平成24〜25年度『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』の聞き書き調査を通して,秋田県における次世代に伝えるべき家庭料理を抽出し,「副菜」に着目してその特徴と調理特性について明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】秋田県内8調査地域(鹿角・北秋田・山本・秋田・由利・仙北・平鹿・雄勝)において,昭和35〜45年頃に調理を担当していた対象者19名(女性,74.2±7.8歳)に聞き書き調査を実施した。調査から得られた110の料理のうち,副菜に該当した料理の特徴および調理特性について検討した。</p><p>【結果および考察】副菜に該当した36の料理のうち,漬物が13と約1/3を占めていた。有名となった「いぶりがっこ」の他に,「ふかしなす漬け」や「平良かぶの漬物」等,米麹を使用する漬物も見られた。漬物の原料となるダイコン,カブ,ナスには伝統野菜も用いられている。また,山菜やキノコ料理も豊富で,「ぜんまいの一本煮」,「カタクリの花のクルミ和え」,「ばっけみそ」,「なめこと大根おろしの酢の物」,「なっつ」などが挙げられた。「なっつ」は,漬物の原型ともいわれ,野菜やキノコをだし汁や塩辛で和えたものである。「てん(ところてん)」,「えご」,「寒天料理」に代表される,寒天(海藻)を利用した料理は県内全域で食されており,その種類も豊富であった。他県では日常的に食されている「煮しめ」が,正月(年越し)や行事の料理として継承されている地域もあった。</p>
著者
髙橋 和輝 苗 山 片山 昇
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.12, pp.1011-1012, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
2

This study proposes a method to estimate the states-of-charge (SoCs) and states-of-temperature (SoTs) of secondary batteries using neural networks and electrochemical impedance spectroscopy. The impedances in the frequency range of 100mHz-10kHz of a general lithium-ion battery were measured for various SoCs and SoTs and used for training a neural network with two hidden layers. The performance was evaluated using the measured impedances that were not used for the training. The mean square errors obtained were 2.094% and 0.511°C for SoC and SoT respectively.
著者
葛本 佳以 久保田 紀子 齋藤 儀信 藤岡 文夫 湯本 佳良子 日髙 惠以子 川上 由行
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.207-210, 2013-03-20 (Released:2014-12-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

Kingella species including K. kingae are non-motile coccobacilli or short straight rods, and their normal habitats appear to be the upper respiratory and oropharyngeal tracts of humans. In recent years, K. kingae strains have been in creasingly recognized as common causes of invasive infections in children at the age of less than 4 years. In Japan, however, invasive K. kingae infections including osteomyelitis have rarely been described. We incidentally encountered isolation of a K. kingae strain from intraoperatively obtained specimens from a previously healthy 44-month-old boy. He first consulted a nearby medical facility and a suspected diagnosis of osteomyelitis was made, after which the patient was then transferred to our Nagano Childrenʼs hospital. There was evidence of inflammation in his right calcaneus and toe walking was noted. He was treated with surgical drainage. An isolate grown on sheep blood agar with positive oxidase and negative catalase was biochemically characterized with the ID-Test HN20(Nissui Pharmaceutical Co., Ltd., Tokyo, Japan)kit system together with genetic examinations involving sequencing the 16S rRNA gene, and the infection was finally identified as K. kingae. The patient was successfully treated with cefotiam(CTM)for the first 7 days followed by the administration of trimethoprim-sulfamethoxazole(ST)for an additional 2 months. The K. kingae isolate was confirmed as a sure causative pathogen by observing that the serum showed high agglutinin titers against the isolate. Accumulation of the case reports in Japan with the isolation of this species is essential for clarifying invasive infections due to K. kingae. Our case report is a noteworthy and useful piece of information.
著者
髙橋 昭
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.328, 2016-04-01

「こんな本があったら」と,かねて願っていた本が出版された。勘違い,手落ち,不手際,不覚,思い込み,などさまざまな誤りは,神ならぬ人にとって避けて通れない性である。しかし,医療には,誤りは許されず,細心の注意と配慮が求められる。 誤り(誤診)の原因は,患者側にある場合と診察者側にある場合とがある。本書の序論に相当する「誤診(診断エラー)の原因と対策」の章では,原因を①無過失エラー,②システム関連エラー,③認知エラーの3種に類型化し,さらにそれらを細分した分類を引用し,本書で扱われている各症例の誤診原因をこの分類と照合させている。本序論は必読の価値がある。
著者
髙橋 直樹 松橋 仁 西村 修 須藤 隆一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_429-III_434, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
18
被引用文献数
2

本研究では近年普及の進んでいる性能評価型浄化槽に着目し,塩素消毒前の工程における大腸菌群の除去効果,および塩素消毒による除去効果を解析した.さらに大腸菌群の除去特性について他の水質項目の除去効果と比較しながら解析した.その結果,調査した浄化槽25基のうち24基で塩素消毒前の大腸菌群数が排水基準値である3,000cfu/mL以下を満たすことが確認された.また,塩素消毒によって全ての浄化槽において1,000cfu/mLを下回るものの,残留塩素濃度が2mg/L以上検出されても大腸菌群数が200cfu/mL以上検出される場合もあった.大腸菌群数はSSと正の相関が,硝化率と高い負の相関が認められ,SSおよび窒素を高度に除去できる浄化槽によって大腸菌群数を低下させることが可能であることがわかった.
著者
岩嶋 孝夫 髙橋 仁大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.283_1, 2019

<p> テニスラケットのグリップエンド部に装着するだけで様々なデータを取得できるテニスセンサー(以下センサーとする)であるが、その信頼性についての検証はまだなされていない。そこで本研究では、ドップラー効果を応用することで打球データを測定することができるトラックマンを用いて、センサーで得られた球速データとの比較及び検討を行った。測定にあたっては、レベルの異なる男女9名にひとりあたりフォアハンド、バックハンドそれぞれ30球ずつ打球させた。</p><p> その結果、全打球におけるセンサーの球速データとトラックマンによる球速データの間に有意な相関関係が見られた。さらに打球者のレベルや球速域の違いによる相関や誤差について比較、検討しながら、センサーデータの信頼性について考察していく。</p>
著者
髙木 龍太 鈴木 夏海 入野 浩之 伊藤 このみ 伊東 隆臣 浅川 満彦
出版者
日本獣医寄生虫学会
雑誌
獣医寄生虫学会誌 (ISSN:1347961X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.50-52, 2020

四国沖で捕獲され、高知県土佐清水市に所在する大阪・海遊館以布利センターの飼育プールで約11カ月間飼育されたジンベエザメRhincodon typus Smith, 1828の口腔壁から、ハナガタムシAnthosoma crassum (Abildgaard, 1794)(カイアシ亜綱ツツウオジラミ科Dichelesthiidae)に類似した雄成体1個体が見出された。種同定には形態の精査が必要であり、今後の課題となる。今回の報告により、日本産ジンベエザメからは計4種の甲殻類が記録されたことになった。
著者
髙橋 拓也
出版者
地方史研究協議会
雑誌
地方史研究 (ISSN:05777542)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.80-85, 2021-10
著者
小室 友理奈 岡崎 あかね 髙野 ルリ子 大久保 紀子 桐谷 佳惠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.93, 2014 (Released:2014-07-04)

メーキャップにおいて肌色と同系色のメーキャップの色が肌なじみがよいとされる。しかし肌色と反対色のメイクをすると肌色がきれいに見える場合がある。本研究の目的は,メーキャップを施すことによって女性の肌色が元の肌色とどのように違った色味に見えるのか標準刺激と比較刺激の肌色を比較してもらうことで検証することである。実験刺激は標準刺激の顔刺激21個,比較刺激は楕円27個を用いた。またアイシャドウを施していない状態の標準刺激の肌色の見えを測定した。実験は経時比較実験と同時比較実験を行い,実験参加者16人が選択した比較刺激をa*,b*,Lvで表しアイシャドウを施していない標準刺激から差分を求めた。経時比較実験において,黄肌かつアイシャドウ橙のとき,対比現象が起きていた。同時比較実験において,黄肌かつアイシャドウ紫の時,同化現象が起きていた。新提案のメーキャップで,肌色とアイシャドウの同化現象が特に起きている組み合わせは,経時比較実験の赤肌にアイシャドウ黄,黄肌にアイシャドウ赤だった。これらから経時比較実験と同時比較実験ともにアイシャドウを施すことによって肌色の見えが違ってみえるということがわかった。
著者
髙﨑 順子 Junko Takasaki
出版者
金城学院大学大学院人間生活学研究科
雑誌
金城学院大学大学院人間生活学研究科論集 = Annual report of Graduate School of Human Ecology Kinjo Gakuin University (ISSN:1346597X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-12, 2018-03-17

ASD (autism spectrum disorder) has been studied mainly with regard to boys because it is more common in boys. Studies have shown that in girls, noticeable symptoms do not appear in childhood, and problems with human relationships appear from puberty onwards. In some cases, where children experience periods wherein they refuse to go to school or dysphoria, they are diagnosed of ASD. Interviews with mothers whose daughters have ASD revealed that it is absolutely necessary to be able to share difficulties about the child's early upbringing and have continuous support from parents.