著者
若月 利之 石田 英子 増田 美砂 林 幸博 広瀬 昌平 TRAORE S.K.B ALLURI K. OTOO E. OLANIYAN G.O IGBOANUGO A. FAGBAMI A. 小池 浩一郎 宮川 修一 鹿野 一厚 中条 広義 福井 捷朗
出版者
島根大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

ナイジェリア中部ニジェール洲、ビダ市付近のエミクパタ川集水域のヌペ人の村落から農民の参加意欲と土と水条件より5ケ村のベンチマーク村落を選んだ。アジア的な水田稲作とヌペの伝統的低地稲作システムを融合させながら展開するための実証試験をニジェール洲農業開発公社の普及研究員と国立作物研究所の研究員の協力を得ながら、農民参加により実施した。又、多目的樹種を中心にした育苗畑の整備と管理法及び成熟苗を利用したアップランドにおけるアグロフォレストリーの実証試験も実施した。東北タイより収集した品種特性の異なるタマリンドの種より育苗した。次年度には移植する予定。ガーナのクマシ付近のドインヤマ川小低地集水域でも、同様の水田農業とアグロフォレストリーを農民参加により実施することにより、劣化集水域を再生するための実証試験を実施するに当たって必要な土と水と気象条件、在来の農林業システム、村落の社会経済的条件等、各種の基礎的調査を実施した。一部では水田造成と稲作、村落育苗畑等の小規模実証試験を行った。ニジェールのドッソ付近のマタンカリ村付近のサヘル帯の小低地集水域でも同様の基礎調査を実施した。タイとインドネシアでは西アフリカに応用可能な農林業システムの文献資科や、上述のように樹木のタネ等を収集した。アジアと西アフリカの研究者と意見交換し、農林業システム融合の条件を検討した。又、タイで採取した樹木種子はナイジェリアの苗畑で発芽生育させ、生育は順調なので移植を準備中である。フィリピンでは世界の稲作システムに関する既存の資料を収集した。
著者
加藤 照之 CATAPANG Her KOSHIBA Frit PARK PilーHo FEIR Remato GERASIMENKO ミハエル BEAVAN John 小竹 美子 平原 和郎 中尾 茂 笠原 稔 GERASIMENKO Michael D HERBERT Cata FRITZ Koshib PILーHO Park RENATO.B. Fe MICHAEL Gera JOHN Beavam FEIR B. Ren
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

西太平洋地域は収束するプレート境界が複雑に入り組み、多くの海盆やトラフがあって地震や火山噴火の活動の盛んな地域である。この地域のプレート運動とその境界の非剛体的変形を検出して監視することにより各種の地殻活動の予測に役立てられると同時にプレート運動の機構がより詳しく明らかにされると期待される。最近のGPSによる基線解析では1000kmを1cmの精度で計測することが可能である。そこで本研究では、これまでの日米科学協力事業等による基礎調査をふまえて西太平洋地域にGPS連続観測網を構築した短期間の観測研究により当該地域の変位場を明らかにすることを目的とした。本研究では、IGS(国際GPSサービス機構)のグローバル観測網の手薄な地域に観測点を建設して資料を蓄積すると同時にIGSによるデータを取り込みながら得られたデータを解析して観測点の速度ベクトルを算出するという観測と解析を並行して実施するという方式をとった。平成7年度には気象研究所と共同で南鳥島に連続観測点を建設したのを手始めに、トラック島、マニラ、大田、ウラジオストックに観測点を建設しいずれも現地収録方式により観測を開始した。また、平成8年度にはポートモレスビ-に観測点を建設した。これにより、別途設置した石垣島とパラオとを合わせ8点のGPS連続観測点を建設し、IGSの他の観測点と合わせ西太平洋に1000kmスケールのGPS連続観測網を建設することができた。この観測網から取得できた1995年7月からのデータを用いて基線解析を実施しつつある。ここでは最高精度による基線解析を実施するため新たにfiducial freeによる解析方法を考案した。この方法ではIGSグローバルサイトの観測点を取り込み、観測網全体がバイアスを持たないようにしたうえ、どの観測点も固定しないで解くという方法を用いる。ソフトウェアはBernese software Ver.4.0を用い、IGS精密暦を使って解析を実施した。こようにすると、座標の絶対値は正確には求められないが、基線は正確に求められる。このようにして基線を求めた上でHeki(1996)によるつくば(TSKB)の速度を与えて固定し、全観測点の位置座標を決定する。このような解析を毎日のデータについて実施し、各観測点の時系列を得た上で直線近似によって速度ベクトルを求める。求めた速度ベクトルをマップにまとめたところいくつかの新しい事実が判明しつつある。1)マニラの観測点は北西に約4cm/yrの速度で移動しつつあり、フィリピン海プレートによる圧縮の影響が顕著である。2)石垣の観測点は南南東へ約6cm/yrで移動しつつあり、フィリピン海プレートが押している影響は見られない。このプレート境界はむしろカップリングは弱く、背孤である沖縄トラフが拡大しつつあるのを見ているものと考えられる。3)グアムはフィリピン海プレートないにあるにも関わらず、その変位速度は剛体的変位から考えると速度が小さすぎる。マリアナトラフの拡大の影響を受けているものと考えられる。4)大田、上海、イルク-ツク等の東アジアの観測点はすべてヨーロッパに対して東向きの変位を持ち、インドプレートの北方への衝突による大陸地殻の東への押し出しの影響を見ているものと考えられる。以上を要するに、本研究によって西太平洋地域にはじめてGPSの連続観測網が構築され、テクトニクス研究の基礎を築くことができたと同時に、日本の南西諸島,フィリピン,マリアナ諸島などにおいて従来の剛体的プレートモデルでは説明できないようなプレート境界部における非剛体的変位が明らかになりつつある。このことをふまえ、今後もこの地域にGPS観測点を増強すると共にその観測領域を東アジアに拡げ,当該地域のテクトニクスを明らかにすべく観測研究を強化する予定である。また、本観測網は「海半球ネットワークプロジェクト」(新プログラム:研究代表者 深尾良夫)に引き継がれ、引き続き観測を続行する予定である。
著者
Barbro B Johansson
出版者
The Keio Journal of Medicine
雑誌
The Keio Journal of Medicine (ISSN:00229717)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.231-246, 2004 (Released:2005-06-17)
参考文献数
238
被引用文献数
60 81

Research during the last decades has greatly increased our understanding of brain plasticity, i.e. how neuronal circuits can be modified by experience, learning and in response to brain lesions. Currently available neuroimaging techniques that make it possible to study the function of the human brain in vivo have had an important impact. Cross-modal plasticity during development is demonstrated by cortical reorganization in blind or deaf children. Early musical training has lasting effects in shaping the brain. Albeit the plasticity is largest during childhood, the adult brain retains a capacity for functional and structural reorganization that earlier has been underestimated. Resent research on Huntington's disease has revealed the possibility of environmental interaction even with dominant genes. Scientifically based training methods are now being applied in rehabilitation of patients after stroke and trauma, and in the sensory retraining techniques currently applied in the treatment of focal hand dystonia as well as in sensory re-education after nerve repair in hand surgery. There is evidence that frequent participation in challenging and stimulating activities is associated with reduced cognitive decline during aging. The current concept of brain plasticity has wide implication for areas outside neuroscience and for all human life.
著者
和田 正平 PIUS S.B MASAO F.T 小田 亮 阿久津 昌三 栗田 和明 渡辺 公三 江口 一久 端 信行 PIUS S.B. MASAO F.T.
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

本調査はケニア、タンザニア、ザイ-ル、カメル-ン、ガ-ナを主要調査国として1989年から3年間(3年目は調査総括)伝統的政治構造と近代化の比較研究を目的に実施された。調査開始後の1990年頃からアフリカには「民主化」の気運が急激に高まり、複数政党制へ転換する要求運動が実現にむけて動きだした。1991年11月ザンビアで一党独裁が打倒され、12月にはケニアの一党制廃止がきまった。こうした独立時を彷彿させるような急激な民主化運動は社社主義の挫折という国際関係の大変化に呼応しているが、内実、根強い部族主義から噴出している面も否定できない。調査は政治人類学的な視角から住み込み調査法によって行なわれ、以下のような調査成果が得られた。ケニアでは、新しく結成された二大野党FORDと民主党の支持基盤について調査を行なった。民衆の民主化要求では裏面で小数派のカレンジン族出身の現大統領に対する反政府運動であり、新党の結成は新しい部族の対立と反目を生み出している。他方部族の基盤である農村では西ケニアを中心に住み込み調査を行なった。地方では、近代行政とは別個に伝統的権威をもった長老会議が実質的な力をもっていることが明らかにされた。具体的にはアバクリア族のインチャマのように長老会議は邪術者によって構成されているが、個別利害をこえて裁判等を行ない、その権威は正当化されている。タンザニアでは逆に伝統的な長老会議は衰退、共同体儀礼の消滅が記録された。調査したイラク族の村ではウジャマ-開発が強行された後、行政組織はCCM(革命党)に密接に関連するようになり、長老会議は家庭内のもめ事を解決するだけに機能が縮小した。しかし、かつて首長制があったニャキュウサ族ではCCMの影響もさほど強くなく、長老会議の権威がまだ維持されていて、土地の再分配等に大きな発言力をもっている。ザイ-ルでは1990年にカサイ州、クバ王国を調査した。現王朝は17世紀前半の王から数えて22代目にあたり、今日も伝統的権威をもった王が、実効的な統治を行なっている。今回は、王国に生きる人々の社会空間の場がどのようにつくられるかを目的に調査を行なった。具体的にはクバ王権とその傘下のショウア首長権を対比し、両者の最大の質的差異が女性の「集中=再分配」システムから発していることが明らかになった。王権の形成史を女性の授受関係を通してみることがいかに重要な視点であるかを明示できたと思う。カメル-ンでは19世紀末から20世紀初頭にかけて、北部フルベ諸王国で創作された抵抗詩「ムポ-ク」を採録した。「ムポ-ク」はヨ-ロッパ人の前では決して明かすことのなかったフルベ族の本心が、詩というメタフォリックな形で表現された貴重な資料である。伝統的な吟遊詩人「グリオ」が朗唱の中で暗に植民地政府を批判し、世論を形成していった社会状況がこの詩からうかがい知ることができる。また北西部州では、マンコン王国の伝統的王制と近代文明的価値をめぐって調査を行なった。歴代伝承されてきた王の伝統的諸儀礼と近代化に対応する社会と文化の変容過程に注目し、両者が功緻に融合している状態を観察し、その実態について民族誌的記録をとることができた。ガ-ナでは中部アシャンティ王国の王都クマシにおいて現地の歴史資料に依拠しつつ、歴代王位の継承方式のついて調査を行ない、アサンテ王における王位をめぐる相克の歴史を明らかにした。王朝は統合と分裂を繰り返したが、王母を核とする「血の原理」に着眼し、王位継承を論じたところに、今回の研究の新しい展開がある。ト-ゴでは、中部山岳地方に居住するアケブ族の首長制の形成と解体に関する調査を行ない、同地方の伝統的政治組織が海岸諸王国の奴隷狩りに対抗していたことを証明することができた。以上、調査を分担した各個は、成果報告として論文を作成中であり、国立民族学博物館論文報告や学会誌等に寄稿する予定になっている。
著者
藤田 禎三 ターナー マルコム リード ケネス エゼコビッツ アラン 水落 次男 小林 邦彦 松下 操 TURNER Malcolm w REID Kenneth b m
出版者
福島県立医科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1).マンノース結合蛋白(MBP)はマン-スやN-アセチルグルコサミンに結合特異性を持つ血清レクチンの一つで、補体活性化能が有り、生体防御上重要な役割を演じている。MBPによる補体活性化のメカニズムに関しては次の2つの説が提唱されている。一つは、補体第一成分C1と同様にMBPはC4,C2の分解にプロテアーゼ成分としてC1の亜成分C1rとC1sを用いるとする考え方である。これはイギリスのReid博士らのMBP-C1r/C1s複合体が形成し得ることを示した再構成実験に基づく。一方,我々の連休からヒト血清MBP画分からC4,C2分解活性能を有するプロテアーゼMASP(MBP-associteel sereine pntease)が単離されたことより、MBPはMBP-MASP複合体を形成して働いているとする見方である。生体的でMBPによる補体活性化(レクチン経路)のメカニズムを解明する上で、MBPとC1r/C1s,MBPとMASPなどの結合性が重要な手がかりとなる。そこで、MBP-MASP,C1の亜成分間の結合性を結合定数の測定により検討した。Reid博士らの調製したC1と我々の調製したMBP-MASPを材料として蛋白成分間の結合状態を調べる装置であるBiacoreを用いてMBP-MASP,MBP-C1r/C1s,C1g-MASP,C1q-C1r/C1s各々の結合定数を求めたところ、これらの値はほぼ同程度てあることが判明した。血清中よりMBP-MASP,C1q-C1r/C1sのみ得られることを考慮すると以上の結果は、これら2つの複合体は何らかの制御機構を受けてin vivoで形成される可能性を示唆している。2).MBP欠損患者が高頻度(白人で5-7%)で知られており、幼児における易感染性との関連が報告されている。これらMBP欠損患者のMBP遺伝子では塩基230の点突然変異でコドン54がGGC→GACに変化していることが明らかにされている。これはMBP蛋白のグリシン(G)がアスパラギン酸(D)への置換につながる変異であり、この結果,変異MBPは合成されても生体内で分解が速いものと推定されている。アメリカのEzekouitg博士らは正常タイプのMBP(MBPG)と変異MBP(MBPD)のリコンビナント体を作製して両MBPの性状を検討した。その結果MBPGがヒト血清中の補体活性化能を示したのに対して、MBPDには本活性が損われていた。そこで,このような活性の違いの原因を解明する目的でMBPとMASPとの反応性に着目して検討を行った。その結果、EZRkouitg博士の調製したリコンビナントMBPのうち、MBPGはヒト血清MBPと同様にMASP共存下、補体成分C4,C2分解を伴なう補体活性化能を示したが、MBPDにはその活性が見られなかった。更に、MBPとMASPとの結合性を検討したところ、MBPGはMASPと結合したのに対して、MBPDは結合しなかった。以上の結果より、MBPDに補体活性化能が損なわれている原因として、MASPとの結合活性がないことが明らかとなった。(投稿中)。3).リウマチ患者血清中のIgGの多くは、非還元末端のガラクトースが欠損して次のN-アゼチルグルコサミン残基が末端に位置している異常な糖鎖構造をしている。MBPはN-アセチルグルコサミンに親和性を持つので、このガラクトース欠損IgGにMBPが結合すると補体活性化をおこし、それがリウマチの病態と関連がある可能性が考えられる。そこで、リウマチ患者血清IgGへのMBPの結合性を調べたところ、正常人のIgGに比べて、より多くのMBPが結合することがわかった。更に、このMBP結合性IgGをプロテインGカラム及びMBPカラムを用いて単離後、MBP-MASPによる補体活性化能をC4消費を指標に調べたところ、明らかな活性化を示した。また、このIgGはIgMタイプのリウマチ因子と複合体を形成していた。これらの結果より、リウマチ患者血清中の異常な糖鎖構造をもつIgGを含大複合体がMBP-MASPを介したレクチン経路の活性化を起すことが明らかとなった。
著者
野村 亨 WOLLNIK H. MEUSER S. ALLARDYCE B. SUNDEL S. 稲村 卓 RAVN H. 中原 弘道 松木 征史 HANSEN G. D'AURIA J.M. 永井 泰樹 篠塚 勉 藤岡 学 和田 道治 池田 伸夫 久保野 茂 川上 宏金 福田 共和 柴田 徳思 片山 一郎 NITSCHKE J.M BARNES C.A. KLUGE W.K. BUCHMANN L. BARMES C.A. MEUSEV S. D´AURIA J.M. SUNDELL C.
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は,原子核反応で生成するさまざまな短寿命の不安定核種を,その場で分離・選別し,さらに加速して二次ビ-ムとして実験に供する技術の開発とそれによる先駆的研究の実施であった。上記の実験技術は,現在世界的に注目されている先端的技術で,原子核物理学と関連基礎科学分野に全く新しい研究手法を導入するものと期待されている。本研究では,以下の研究課題を設定し,東大核研を軸にして,欧米の主な関係大学・研究所と共同開発・研究を実施した。その成果は,国際会議等に発表するとともに,論文として雑誌に報告されている。A.大効率・高分解能オンライン同位体分離器(ISOL)の開発・・・不安定核のその場分離・選別(ア)大効率ISOLイオン源の開発CERN(スイス)とTRIUMF(カナダ)等と共同開発を実施。表面電離型,FEBIAD型,ECR型イオン源を試作し,さまざまな不安定核原子のイオン化効率を測定。その結果を踏まえてイオン源の改良を行った。アルカリ金属元素については40%以上の大効率イオン化に成功した。また,ビ-ムバンチングについても成功した。(イ)超高質量分解能ISOLの光学計算M/ΔM【greater than or similar】20,000のISOLイオン光学系の設計を,東大核研・東北大・ギ-セン大学(独)の共同研究として実施。機械精度や放射線ハンドリングの観点から,そのフィ-ジビリティを検討。その成果は,東大核研の不安定核ビ-ムファシB.不安定核ビ-ムの加速技術の開発(ア)世界の現状の調査・検討不安定核ビ-ムの加速は,唯一例としてベルギ-の新ル-バン大学でサイクロトロンによって試験的に実施されている。そこでの現状を調査の上,CERN(スイス),GANIL(仏),TRIUMF(カナダ)等の加速計画を吟味し,種々の加速器の長所・短所を明らかにした。この結果は次の(イ)に反映されている。(イ)分割同軸型RFQリニアックの開発電荷質量比の極めて小さい,入射エネルギ-の非常に低い重イオンリニアックの設計・開発を東大核研で行った。そのさい,GSI(独)とTRIUMF(カナダ)の研究者に詳細な検討・批判をあおいだ。試作した分割同軸型RFQリニアックは順調に稼動し,世界的な注目を集めている。C.不安定核ビ-ムによる核物理・天体核物理学の研究(ア)レ-ザ-による不安定核の精密核分光GaAs,AlGaInPなどの固体結晶中に, ^<75>Br, ^<114m>In等の不安定核を打ちこみ,レ-ザ-による光ポンピングにより,娘核( ^<75>Seや ^<114>In)のスピン偏極を実現した。固体中の不安定核のスピン偏極は世界的に稀な成功例である。さらに,RADOP法により,娘核の核磁気能率を精密に測定した。これは,CERN(スイス)との共同研究である。(イ)不安定核の天体核反応率の測定東大核研・理研・GANIL(仏)との共同研究として宇宙における重元素合成機構において,不安定核の天体熱核反応に役割の研究を実施。 ^<13>Nの熱核反応率の測定に成功した。上述の研究成果の多くは,平成3年度に開催された国際会議(原子核・原子核衝突に関する第4回会議,於金沢;第2回放射性核ビ-ム国際会議,於新ル-バン大学[ベルギ-];第12回EMIS会議,於仙台等)の招待講演として発表されている。また,国際誌等に論文として報告した。本研究成果は国際的な反響をよび,東大核研の研究プロジェクトにその結果が活用されたばかりでなく,CERN(スイス),TRIUMF(カナダ),LANL(米)等の研究所から共同研究が期待されている。
著者
BALDERMANN Susanne (2009) 渡辺 修治 (2007-2008) SUSANNE B.
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ンモクセイにおけるβ-,α-ionone生合成・発散制御に関わるカロテノイド分解酵素・遺伝子:カロテノイド分解酵素遺伝子ofCCD1の発現レベルの明暗変動(明期に高く暗期に低い)リズムが、分解産物であるC13-ノルイソプレノイド系香気成分β-,α-iononeの明暗発散ズムと一致することを明らかにし、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成することも明らかにすると共に香気特性の変化にも言及した(J.Expt.Botany,in press)。色調変化に伴って香気成分を生成・発散する中国バラにおけるカロテノイド,分解酵素,香気成分の変動:各開花段階にあるRosa chinensis Mutabilisの花の香気成分、カロテノイド、アントシアニン、およびカロテノイド分解酵素の消長を明らかにした。ノリの香気成分、色素とカロテノイド分解酵素:浜名湖周辺で採取した新鮮ノリからC13ノルイソプレノイド系香気成分生成に関与するカロテノイド分解酵素を生成し、その生化学的特徴、および、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成する等の機能解析に成功した。ノリの実験室内培養系を確立し、本培養によって得られたノリのC13-ノルイソプレノイド系香気成分としてβ-,α-iononeを同定し、同時にβ-,α-caroteneを同定した。チャ花のカロテノイドおよびカロテノイド起源生理活性物質:チャ花の生殖器官よりカロテノイドおよびその分解生成物として植物ホルモンであるABAを同定すると共に、その消長を明らかにし、花弁の展開との関係を明らかにした。
著者
レムケ アンドジェ B. スタム デェアドレ C. 水谷 長志 :訳 中村 節子 :訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.101-123, 1996 (Released:2001-04-01)
参考文献数
24

アート・アーカイヴズという言葉は,美術資料を集めるところを意味するとともに,美術に関する刊行物そのものを指す場合がある。アート・アーカイヴズを六つのカテゴリーに分類するとともに,アーカイヴズの歴史を,アーカイヴズ一般とアート・アーカイヴズに分けて論ずる。また,現代におけるアート・アーカイヴズについて,その利用,資料と方法,配列とアクセス,保存,スタッフ・トレーニング,刊行物,助成,主要なアート・アーカイヴズ,関連アーカイヴズ,将来展望を述べる。
著者
LONDONO B John Makario 小林 芳正
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.31-47, 1994-05-20

1990年8〜9月,ネバド・デル・ルイス(NRV)火山でいくつかの高周波火山性群発地震が,5カ所におかれた可搬式3成分デジタル地震計で記録された.この期間に3つの群発地震が記録されたが(8月28日,9月11日,9月17日),それぞれの群の震源は,活動している火口周辺の,互いに異なる領域内に決定された.スペクトル解析と波形の観察から,同一の群に属する多くの地震は,同一観測点ではよく似たスペクトルと波形を示すが(ほとんど相似),群が変わると非常に違った形状になることがわかった.これは,一つの群発地震中,震源時間関数がどの地震でも互いに似ているためと考えられる.また,同一群の地震でも観測点が変わるとスペクトルが異なっており,伝播経路の効果が強いと考えられる.これらの群発地震と比較するため,9月11日の群発地震の震源領域に近い領域で起こったいくつかの孤立的な地震を同様に解析した.これらの孤立的地震のスペクトルと波形は,同一の観測点でも,異なる観測点間でも互いによく似ていた.このことは,孤立的地震では経路効果はあまり強くないことを意味し,孤立的地震の経路が,経路効果の強い群発地震とは,性質の異なる領域を通っているためと考えられる.今回の解析から,NRVの高周波群発地震はある決まった領域内に起こること,それぞれは特有のスペクトルと波形を持つことがわかった.孤立的地震は均一な領域などで不均質な領域で起こり,この不均質のために観測点ごとに経路効果が異なるものと考えられる.NRV周辺各点のスペクトル間の相似性からNRV地域は3つの地帯に分けられそうである.
著者
田中 義人 TRIVEDI N. VERSHININ E. HIDAYAT B. YEBOAHーAMANK ディ LYNN K. FRASER B.J. 野崎 憲朗 立原 裕司 坂 翁介 高橋 忠利 北村 保夫 瀬戸 正弘 塩川 和夫 湯元 清文 HYDAYAT B YEBOAH-AMONKWAH D ANISIMOV S. YEBOAHーAMANK ディー. 宗像 一起 桜井 亨 藤井 善次郎
出版者
山口大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

太陽風によつて運ばれる太陽プラズマのエネルギーは、地球の磁気圏の境界領域から極域に侵入しオーロラや地磁気擾乱をおこし、さらに磁気圏内部から赤道域まで流入し様々な現象を引きおこしている。磁力線で結ばれた日・豪の共役点を含む磁気軽度210度に沿った、高緯度から赤道域にわたる広域地上多点で、電磁場変動,極低周波のプラズマ波動やオーロラの光学同時観測を行い、関与する電磁波エネルギーや粒子エネルギーのグローバルな輸送・流入機構を調査した。また、流入した太陽風エネルギーが集積し、且つ、電離層高度にジエット電流が流れている赤道域の南太平洋域で電磁環境変動の総合観測を行った。さらに、赤道域の経度の離れた南アメリカのペル-とブラジルの多点観測網において電磁気変動の同時観測を行い、磁気圏全体の太陽風エネルギーの流入ルートやエネルギー変換過程を明らかする手がかりを得た。1、太陽風変動に呼応したグローバルな地球磁気圏の応答を明らかにするために、特に、空間変化と時間変動が分離できる210度磁気子午線沿いの広域多点観測を、アメリカ、インドネシア、オーストラリア、台湾、日本、パプア・ニューギニア、フィリピン、ロシア等の28研究機関との共同研究として実施した。210度地磁気データ、LF磁気圏伝搬波データ、光学観測のデータの解析研究を行つた。(1)、惑星間空間衝撃波や太陽風中の不連続変動によって引き起こされ、地上の低緯度で観測されるSc/Si地磁気変動の振幅が季節変化しており、特に、夏半球で冬半球のおよそ2倍になっていることが見いだされた。このことは、極冠域に侵入した変動電場により誘起されたグローバルなDP型の電離層電流の低緯度への侵入の寄与を示唆している。(2)、SC/Siにより励起されたほとんどのPc3-4地磁気脈動は磁力線共鳴振動であるが、SC/Siの振幅が極端に大きいときには、プラズマ圏のグローバルな空洞振動モードも励起されている。(3) SCにより励起されたPc3-4の振幅の減少率はL<1、5の低緯度の領域で急激に増加する。また、赤道側に行くほど卓越周期が長くなっていることが観測的に明らかにされた。この結果は、低緯度電離層における理論的な薄い電離層モデルの限界とマス・ロ-デング効果を表している。(4) L=1,6の母子里観測所で光学・地磁気観測から、Dstが-100nT程度の磁気嵐の主相の時に、時々、目には見難い低緯度オーロラが地磁気H,D成分の湾型変化と大振幅Pi脈動の発生と同時に出現することが明らかになった。(5)美瑛LFデッカ局(85、725kHz)の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLFで磁気圏伝搬波の観測データ、NOAA-6衛星での高エネルギー電子のデータ、低緯度の地上観測VLF/ELF電磁放射のデータの解析から、磁気擾乱の伴う磁気圏深部への高エネルギー粒子の流入の様子が明らかにされた。2、磁気赤道帯は赤道エレクトロジェットで知られる様に、電離層電気伝導度がまわりの緯度より高く、地磁気脈動や電離層電流の赤道異常が現れる等の興味ある地域である。しかし、地磁気に関する研究は低感度の記録データもとにするしかなかったため、現象の理解はあまり進んでいない。そのため、磁気赤道帯で高時間精度、高感度フラックスゲート磁力計による磁場観測を試みた。(1)、ブラジル内陸部の6点の密な観測網で比較的長期(半年)にデータを取得した。また、ペル-の磁気赤道をまたぐ4点に観測点を設置し赤道ジェット電流の観測を開始した。さらに新しい試みとして、南部太平洋ヤップ島で、地磁気と電離層FMCWレーダーとの同時観測を実施し成功した。(2)、高時間精度、高感度磁場観測により、赤道域での地磁気脈動の振幅がおよそ0、1-1、0nTの範囲にあることが分かってきた。(3)、高感度のデータから、日出に伴う電離層電子密度上昇による地磁気脈動の振幅変調や、電気伝導度の赤道異常が引き起こす地磁気脈動の位相遅れなどの新しい結果が得られた。高時間精度のデータからはSSCやPi2脈動のグローバルな構造、衛星データとの比較からPi2脈動の開始と関係した磁気圏粒子環境の変化(オーロラブレークアップ、サブストームオンセット)などの興味ある研究が始められた。(4)、赤道域での多点観測や電離層レーダーとの共同観測から、赤道ジェット電流の空間構造や赤道反電流と電離層電場との関係など興味ある研究が始められた。
著者
ザイダン L. B. P. デイトリッチ S. M. C. フェリッペ G. M.
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.569-574, 1980-12-10

パラグアイから最近導入されたアマハステビアにおける日長の影響について研究した. それらは日長時間に対する反応によって,A) 8,10および12時間の日長で開花,B) 10および12時間の日長だけで開花,C) 8,10,12および14時間の日長で開花,の3グループに分けることができた. 開花中の植物の葉と花序の抽出物からステビオサイドが結晶化できることが示され,茎の抽出物中にも検出されたが,根には認められなかった.
著者
Sehgal Ravinder N. M. Jones Hugh I. Smith Thomas B.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.295-301, 2005-03-25
被引用文献数
28

西アフリカの国々であるカメルーン, 赤道ギニアおよび象牙海岸の, 21科121種969羽の鳥類に関して, 薄層血液塗抹標本を用いて住血原虫を検査した.その結果, 277個体(29%)から原虫が検出され, 内訳はHaemoproteus(陽性率8%), Plasmodium(11%), Leucocytozoon(5%)およびTrypanosoma(7%)であった.これらに加えて, 住血糸状虫のミクロフィラリアが供試個体の4%から検出された.これらの鳥類は1989年から2001年の12年間に熱帯雨林や推移帯で捕獲されたものであった.集団営巣型や2種の地面営巣型の鳥類で陽性率が高い傾向が認められた.既報と同一の場所に関して, 2つの異なる季節を含む2年のデータを比較したが, 寄生虫感染率に有意な差は認められなかった.今回の結果は, 同様または異なる手法で行われたアフリカにおける他の研究との比較も行った.
著者
バーチ J. B.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-27, 1968-08-31

核型分析が近縁種問の類縁関係を知るのに非常に有効であることは明かであるが, 軟体動物では僅かにSTAIGER(1954)その他数篇の報告があるに過ぎない。これはよい検鏡標本を作るのが大変困難なためで, この問題を解決するために著者は組織培養を計画した。材料はCatinella vermeta(SAY)(オカモノアラガイ科)とHelix pomatia L.(ブドウマイマイ, エスカルゴ;マイマイ科)である。1) 生殖腺の摘出。殻をよく洗い, 70%アルコールで拭き乾いてからこわして軟体部を取出す。次に中腸腺(肝ぞう)に埋没している生殖腺(両性腺)を注意深く摘出する。この際, 小葉を傷つけぬことが大切である。生殖腺は蝸牛用生理塩水で数回洗った後, 1&acd;2mm^2に切刻んで手早く生理食塩水で洗って培養管に入れ培養液に浸しておく。使用器具その他は充分消毒滅菌し, 殺菌灯下で操作することはいうまでもない。2) 培養。4種の培養液(調製等については文献及び付記参照)を使用したが, 結果は何れも良好であった。培養液には何れも10^<-3>モルになるようにコルキシンを添加する。濃度は10^<-5>, 10^<-7>でも効果があった。培養管は室温(23℃)及び15℃に4日間おいたが, 大抵は42&acd;48時間後検鏡標本を作った。1&acd;24時間位では分裂像は稀である。また培養温度は23℃も15℃も大差なかった。3) 検鏡。1mm^2位の小片をスライドに取り, 醋酸オルセイン押しつぶし法で検鏡する。4) 結果。C. vermetaでは4対の中部付着型(中部狭窄型, V型ともいう)と小さい2対の次中部付着型(L型)の染色体があり, そのうち1対は他のどれよりも大きい。H. pomatiaでも前種同様で端部付着型(I型)の染色体はないが小型で数が多く, 16対の中部付着型, 11対の次中部又は次端部付着型(J型)の染色体が見られた。両種共染色体の長さは, 細胞が異ってもほぼ一定していた。このように組織培養法が核型の分析や比較に応用されれば, 系統分類学上多大の効果をもたらすものと信ずる。(稲葉明彦 抄訳)
著者
Shin J.-H. Sohn H.-J. Choi K.-S. Kwon B.-J. Choi C.-U. Kim J.-H. Hwang E.-K. Park J.-H. Kim J.-Y. Choi S.-H. Kim O.-K.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-7, 2003-01-25
被引用文献数
1 15

韓国は1934年以来口蹄疫の発生はなかったが,2000年3月から4月にかけて15箇所でOタイプの口蹄疫発生が生じた.同時期に台湾,中国,日本,ロシア,モンゴルでも,牛または豚にOタイプの口蹄疫発生が報告された.南北朝鮮境界非武装地帯から約5kmに位置する農場において口蹄疫擬似患畜が検出され,緊急調査を行った.病原ウイルスは,3D polymerase 領域,IRES領域,1D/2B領域を対象としたRT-PCR,抗原検出および型別検出用ELISAにより,口蹄疫ウイルスOタイプであることを同定した.発病牛の水疱を材料として1D/2B領域の塩基配列を調べた結果,台湾で分離された口蹄疫OタイプKinmen株と98%の類似性が認められた.原因ウイルスは若齢マウス経代後,黒ヤギ胎児肺細胞接種により分離された.
著者
山口 陽子 McNaughton B.L.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.98, no.673, pp.15-22, 1999-03-18
被引用文献数
5

ラット空間探索時に観察されたシータ位相歳差という現象を再検討し、神経振動子のダイナミックスとして位相歳差現象をもたらす神経回路モデル提案する。さらに計算機実験により、この回路が位相コードを用いてエピソード記憶を海馬内に固定する働きをもつことを示す。