著者
岡田 みゆき
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-15, 2003-01-15
被引用文献数
4

The objective of this study is to clarify how the nature as well as the contents of a dinner time talk between parents and their children has changed over the years. The children under study are those in elementary school and junior high school. For this purpose, the junior high school students' perception of dinner conversation was surveyed and compared to the results obtained of elementary school children. The results are as follows: 1) Junior high school students have conversation with parents less frequently than when they were elementary school students. The percentage of the students who feel happy or useful about dinner conversation is becoming lower. 2) Overall, the conversation seems to be centered around their entrance examinations; more specifically, their academic achievement and future aspirations. The subjects such as their school life, episodes in their younger days, and political and economic issues are less frequently taken up. 3) Among those students who feel happy and useful about the dinner time talk with parents, the junior high school students would want to talk more about subjects such as their academic achievement in connection with their future, social issues, and things about their parents. 4) There is more significant relevance between the children's image of their parents and the contents of conversation than when they were elementary school students.
著者
細田 智子 加藤 千晶 三戸 夏子 平山 倫子 佐藤 和人
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.473-479, 2000-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

乾燥ビール酵母摂取が免疫機構に与える影響について検討するため, DBA/1Jマウスに対照飼料およびビール酵母飼料 (BY) を4カ月間投与した.(1) 実験1 : 腸管免疫系における免疫組織学的観察において, 腸管のB細胞数がBY摂取により減少していた.(2) 実験II : タイプIIコラーゲン誘導関節炎 (CIA) モデルマウスに与える影響について検討した.関節の組織学的観察において, 関節炎はBY摂取により抑制された.さらに経口トレランスもBY摂取により影響される可能性が示された.以上の結果より, BYは腸管免疫系に影響を与え, CIAの抑制に有効であることが示された.
著者
岡田 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.37-44, 1992

自己の体つきの意識と体つきに配慮する生活行動とのかかわりを, 下着の衣生活を中心に検討するため, 質問紙調査に基づき数量化第III類を用い考察した.対象は20歳前後の女子400名とその母親366名である.調査は1985~1988年の5~6月に実施された.<BR>(1) 各解析項目の検討から, 体つきに配慮する生活行動を食生活やスポーツに求める人は, 娘, 母親ともに20%を占めている.これに対し, ブラジャーおよびガードルに整容効果を求める人は母親60%, 娘45%で, 体つきに配慮する生活行動を衣生活に頼っている現状が明らかになった.<BR>(2) 胸囲, 胴囲, 腰囲を大きいと意識する者は, 痩せるために食生活やスポーツにも体つきに配慮する生活行動を起こしている傾向がみられた.<BR>(3) 娘と母親とは胸囲に対する意識構造が異なり, ブラジャーの着用行動には明白な相違が認められた.<BR>(4) ガードルの着用行動には娘と母親はともに類似した傾向が認められた.<BR>(5) ファウンデーションの着用による弊害経験が, 実生活でブラジャーおよびガードルを着用しないとする行動とかかわっていることが明らかになった.このことは, 肌に密着したファウンデーションの生体に与える影響の大きいこと, ブラジャーおよびガードルの適正な活用のたいせつさを示唆しているものと思われる.
著者
岡本 祐子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.923-932, 1995

高齢者の精神的充足感獲得の実態を調査し, それに関連する生活的・心理的要因を分析した.高齢期の精神的充足感形成に関連する要因として, (1) 高齢者をとりまく物理的・環境的状況に関する要因 : 家族構成において配偶者や孫と同居していること, 健康, 経済状態がよいことなど, (2) 自分の現状に対する高齢者自身の主観的評価に関する要因 : 他人や社会に対する貢献度, 家族との関係, 宗教・信仰などにおいて満足できていること, (3) 高齢期以前の要因 : 現役引退までの職業, (4) 人格的要因 : 主体的欲求をもっていること, の四つの側面が存在することが示唆された.高齢期の精神生活の質的向上のためには, これらの側面の状況の改善とともに, 高齢者の主体的欲求が実践できるような支援を行っていくことの必要性が考察された.
著者
後藤 昌弘 彼末 富貴 西村 公雄 中井 秀了
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.521-525, 2000-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

真空調理法の条件設定は, 経験と勘に基づく試行錯誤によって決められることが多い.本研究では, 少ない実験回数で最適値を決定することができるRCO法を用いて, 真空調理によるリンゴコンポートの最適調理条件を求めた.リンゴ果実は, 高知県佐川町産 “ジヨナゴールド”, “ふじ” を用いた.まず, 一般的調理書5冊の調理条件の平均値を用いて普通調理と真空調理を行い, 評点法によりどちらのコンポートが好まれるかを調べた.その結果, 真空調理品が有意に好まれた.次に, シロップの糖濃度10~50% (w/w), 加熱時間0~60分の範囲でRGOプログラムにより示された調理条件で調理を行い, 官能検査の総合評価が最も高くなる条件を最適調理条件とした.その結果, シロップの糖濃度37%, 加熱時間32分が最適調理条件であることがわかった.
著者
和田 淑子 霜田 有花 肥後 温子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.597-606, 1997-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

低水分食品が微量の水分吸着によって硬くなったり, 軟らかくなる現象について, 市販の菓子・ 乾物類など31種類を用い, 6 段階の湿度条件下 (相対湿度 7.6~97.0%) で検討し, 以下の結果を得た.(1) 試料は吸湿後, ある時点より硬さが低下し軟化するグループ (クッキー類, ビスケット類, ボーロ類, クラッカー類, ゲル化製品) と, 硬さの低下が少ないか, むしろ硬くなるグループ (米・ 小麦煎餅類, 乾パン類, スナック菓子, 種実類, その他の乾物類) に分類できた. 軟化するグループは湿度 43% 付近より軟化が進み, 軟化しにくいグループは湿度 68% 付近で硬さがピークに達する場合が多いことがわかった.(2) 吸湿曲線の大部分は二つの変曲点をもつS 字状曲線を示した. 単分子吸着水量は 2.5~14g / 100g乾燥物で, 試料による差が大きかった.(3) 大部分の食品において, 単分子吸着水領域以上の広い吸着水領域においてテクスチャー変化が少なく, むしろ水分吸着によってテクスチャーが安定化した.(4) 吸湿後, 軟化しやすい食品グループは 5% 程度の水分量で軟化するものが多く, 軟化しにくいグループは 10% 程度の含水率でも軟化しないものが多かった. 前者は後者に比べて単分子吸着水量が少なく, 高湿度での吸着水量が増大するものが多い傾向があった.
著者
大西 真理子 小川 宣子 山中 なつみ 庄司 一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.303-313, 1997-04-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2

(1) 米を搗精する際の米の種類が理化学的特性に及ぼす影響について, 山田錦, コシヒカリ, タカネミノリの3品種の化学的成分, 吸水率, 酸度, 粘度特性から調べた結果, 以下のような傾向を示した.1) いずれの品種も化学的成分の水分, 粗タンパク質, 粗脂肪, 還元糖比は搗精度が90%, 80%, 70%と高くなるにつれ減少した.2) 搗精度が高くなるにつれ, 吸水率は高くなり, 山田錦の搗精度60%, 50%の吸水率はより高くなった.3) 脂肪酸度と水溶性酸度は搗精度が90%, 80%, 70%と高くなるにつれ減少した.4) アミログラムによる糊化温度は搗精度が90%, 80%, 70%と高くなるにつれて低くなり, 特に山田錦は80%搗精での温度低下が大きくなった.最高粘度と崩壊度は搗精による影響はコシヒカリではみられなかったが, タカネミノリや山田錦ではそれぞれ高い値を示し, 品種間に差異がみられた.老化度では, 搗精度を高くすることにより, コシヒカリは老化しやすい性質を示したがタカネミノリや山田錦ではこの傾向はタンパク質染色搗精度 50 % 脂質染色みられなかった.(2) 酒造米 (山田錦) における搗精度が理化学的特性および米組織での成分分布と表面構造に及ぼす影響を調べた.1) 蒸し加熱した米飯組織におけるタンパク質, 脂質の分布状態を光学顕微鏡で観察した結果, 果皮, 種皮, 胚芽, 糊粉層および胚乳におけるでんぷん細胞の細胞膜に沿った部分にタンパク質の存在が認められ, 脂質は種皮, 胚芽, 糊粉層のみに分布していた.搗精度の異なる米飯においては, タンパク質, 脂質が多く存在する胚乳部が段階的に削られていく様子が観察され, 粗タンパク質と粗脂肪の含量の分析値の変化と一致するものであった.2) 米の表面構造は搗精度が高くなるにつれ胚乳部のでんぷん細胞膜が破壊され, でんぷん粒の露出が観察された.
著者
古田 幸子 鈴木 明子 木岡 悦子 森 由紀 高森 壽 菊藤 法 谷山 和美
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-58, 1998-01-15
被引用文献数
2

歩き始めの子どもの靴の着用実態を調査し, 着用靴にどのような特徴があるのかを, 足部形状の成長変異の結果をふまえて, サイズ, はかせやすさ等の面から, 検証することを試みた. 主な結果は以下のとおりである. (1) 調査当日の着用靴について, 保育者は「サイズ」「はかせやすさ」を主な購入動機としており, 足への適合性と同程度に, はかせる側の着脱の簡便性が重視されていた. 一方, 半年から1年の間同サイズの靴をはかせている例もみられた. また, ほとんどの者がはかせやすさについては評価の高い靴を着用しているものの, とめ具の様式によってはかせやすさの評価が有意に異なることなどが明らかになった. (2) 乳幼児靴全般を対象にしたサイズ適合に関する実態は, 約3割強が, 大きめのサイズを購入しており, 全体の約半数の者が, 足長を基準に選んだ際, 他の部位が合わない場合があるとの回答であった. 特に足先から甲を覆う部分に関して, 市販靴のゆとり量に問題がある場合が多かった. (3) 足部計測値と着用靴サイズ間の関係を分析した結果, 足高の計測値と靴サイズとの相関が低く, 靴設計において考慮する必要があることが確認された. 本調査を行うに当たり, ご協力いただいた保育園ならびに保護者の皆様に感謝いたします. 本研究の一部は日本家政学会第45回大会において発表した.
著者
中西 茂子 大河内 文子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.285-292, 1992-04-15

To investigate the combusting behavior of fiber assemblies such as sleeping Futon ,a small beat source was tested for the simulation of real cigarette. From the comparison of combusting behavior of real cigarette and that of simulated cigarette, the heat energy of real cigarette was estimated to be 16.6 kJ. This value was corresponded to the heat of combustion of one piece of cigarette observed by the use of bomb calorimeter. The simulated cigarette was inserted between two sheets of small Futons, heating behavior was monitored by nine pieces of thermocouple for many conditions of heating energy to the extent of three times of above mentioned value and heating time of 15,30 and 60 min, respectively. The results were summarized as follows: 1) The temperature at the ignited front point along horizontal direction showed its maximum value in the early stage of heating; Contrary to this, the downward direction retarded most remarkable to reach the maximum value of temperature. Such order of position at which the time required for reaching the maximum temperature remained unchanged among nine positions (3 directions and 3 position of cigarette) under the different conditions of heating. However, longer time was requested for reaching to that temperature under prolonged heating time for every measuring point. 2) Increase in area enclosed by the temperature curve and baseline indicating time were also observed as the functions of prolonged heating time and heat energy, respectively, and were to be especially enhanced in the downward direction at the center and rear ends. 3) On the other hand, either heating time or heat energy both gave little effects on the level of maximum temperature. This suggests that once fiber assemblies are ignited, the rising level of temperature is dominantly depended on the progress of smoldering of fiber assemblies rather than to the effect of heat source itself. The temperature at each position in each position in each direction showed their inherent upper limit. The lowest temperature was 450℃ and the highest 600℃,respectively. Accordingly, these temperatures both exceed the ignition point of cotton and much hazards are involved which may occasionally turn to flaming combustion, causing fire.
著者
長津 美代子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.949-959, 1991-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
20

The purpose of this study is to explore gaps between attitudes toward gender roles of male and female students, by using such criteria as attitudes toward role relationships between male and female, the double standard of sexual morals, men's leadership in dating, and energy allocation to occupation and homemaking after marriage. The survey was conducted in January, 1990 to 735 university students in Tokyo and its outskirts. The major findings are as follows :(1) ISRO (The Index of Sex-Role Orientation, E.A. Dreyer et al.) scores on attitudes toward role relationships between male and female point out that 45% of the female students are innovative type, but about the half of the male students are traditional one.(2) Compared with female students, male students tend to accept the double standard of sexual morals.(3) Female students expect that males play leadership roles when they go out together more than male students themselves intend to.(4) Male students wish to allocate less energy to occupation than their fathers do, and female students hope to allocate less energy to homemaking than their mothers. As a result, the present tendency to give too much attachment to occupation for males and homemaking for females will be relieved in their married life.
著者
地井 昭夫 永原 朗子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.599-610, 1996

以上の結果から, 金沢市における高齢者のいる家族の住生活の安定性について, 次のことが指摘できる.<BR>(1) 調査対象期間における住生活の安定性の変化について見ると, 結婚, 未婚, 転勤, 夫婦の高齢化, 就職, 離婚, 転居, 家族関係の不和, 就職・結婚, 子供なしや富山市で見られなかった配偶者の転勤, 高齢者の夫死亡, 子供の死亡, 養子縁組, 転勤・結婚等を契機とする居住地選択によって, 富山市と同様, 安定型, 準安定型, 準不安定型, 不安定型等の多様な住生活タイプを形成しており, 子供の結婚, 就職による他出が大きな転機となっている.<BR>(2) 将来も同居を継続, もしくはその可能性のある安定型の居住関係をとる家族は73家族 (64.6%) であるが, 残りの40家族 (35.4%) は子どもと離れて暮らす不安定型等 (準安定型, 準不安定型, 不安定型) の居住関係を形成しており, 富山市と同様, 安定型以外の居住関係をとる家族が約4割いる.<BR>(3) 今回のサンプル数からは断定出来ないが, 娘と近居にある家族は, 富山市は19家族 (17.1%) であったが金沢市は8家族 (7.1%) しかなく, 両市の家族関係意識の差異を表すものと考えられる.また, 借家, 公営, 社宅等に住む家族は, 富山市で安定型が1家族 (1.7%), 安定型以外が8家族 (15.4%) であったが, 金沢市は安定型が2家族 (2.9%), 安定型以外が1家族 (6.7%) であり, 富山市の場合ほど, 住生活の安定性と住宅事情の問の相関関係は顕著ではないと思われる.<BR>(4) 高齢者の就業は, 無職から有職に変化した人は1人いたが, 有職から無職に変化した48人を含めて現在, 85人 (75.2%) が無職である.しかし, 85人のうち5人は子供のいない高齢者であるため80人が子供から何らかの援助 (含・精神的) を受けていると思われる.なお, 将来において, 同居継続もしくは同居に変化する可能性のある73人は, 子供からの援助がより緊密になると思われる.<BR>以上見てきたことから, 金沢市における高齢者の住生活は, 現在および将来にわたって, 大局的には富山市と似た傾向を示しており, 特に, 将来, 安定型以外の居住関係をとる家族が, 両市共に約4割いることは注目される.<BR>したがって, 今後, 子供の数の減少や扶養意識の変容から, これらの家族に対する支援は不可欠となってくる.<BR>家族, 地域, 行政によるきめ細かな高齢者福祉対策や住宅対策が求められる.<BR>次報では, 一連の調査結果から富山市と金沢市の住生活を総括的に比較すると共に, 住生活の安定性から見た今後の課題を整理するため, 本調査と行政および民間の取組み状況や今後の取組みについて検討し, 第2報で報告した住生活の安定性のタイプと高齢者の心身の自立度レベルのクロスによる家族・地域ケア, 医療・福祉施策および求められる住宅タイプや施策に関する整理と提案を行いたい.
著者
森田 美佐
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.79-91, 2012-02-15 (Released:2013-09-30)
参考文献数
23

The objectives of this paper are to clarify the situation of kurumin companies, the leading ones in supporting employees' childcare in Japan, and to discuss the breakthroughs that are needed to solve their problems. This study surveyed all kurumin companies from March to May 2009. The main conclusions are as follows: Firstly, they have actively planned and practiced supporting employees’ childcare in order to recruit top-class personnel and to improve their employees’ work-life balance. Secondly, they have discovered the benefit of this work. They are, however, facing many problems. For example, in these companies, childcare support for male employees and long working hours have not improved enough. And some female employees want to delay their career advancement. From these results, it is important that kurumin companies should consider female employees as essential members, that they should understand the concept of “work-life synergy”, and that they should have a sense of responsibility when it comes to supporting childcare. These seem to be effective ways of raising next-generation children. In addition to these points, overtime should be eliminated. And the companies have to consider whether their childcare policies are really financial burdens.
著者
伊藤 セツ 姉歯 暁
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.725-730, 1995-08
被引用文献数
1

1993年に,フィレンツェで開催された第49回国際統計学会において,ジェンダー統計に関するセッションが設けられた.そこでは,家計・消費統計の分野でのジェンダー統計あるいは,ジェンダー明示的統計の作成とその重要性と可能性が議論された.本論文は,まずはじめに,ジェンダー統計あるいはジェンダー明示的統計とは何かを,国際統計学会の文献をもとに考察した.次に,家計・消費面でのジェンダー明示的統計の日本における現状を日本の総務庁統計局の「1989年全国消費実態調査」を用いて検討した.その結果,収入に関しては,不十分ながらジェンダー統計は得られるが,消費に関しては単身男女の場合しか得られないことが明らかになった.最後に,ジェンダー明示的家計・消費統計作成のための,総務庁に提言すべき最も容易で明白な改善点を示した.
著者
津久井 亜紀夫 小林 恵子 斉藤 規夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.115-119, 1989

フィリピン酸紫ヤム塊根粉末中のアントシアニン色素の安定性に関する研究の一環として, 蝶豆花アントシアニン色素とpH, 温度, 紫外線ならびに窒素ガス中での貯蔵における影響について検討し, 下記の結果が得られた.<BR>1) UBEおよびPAのANの23日後の色素残存率は, それぞれ 30℃ で 97% と 77%, 60℃ で 61% と 30%であった. 90℃ では4~5日でほとんど分解された.<BR>2) UBEおよびPAのANをアンプル管に入れ, 60℃で23日間加熱した.空気中での色素残存率はUBEが62%, PAが30%であったが, 窒素中では, それぞれ約85%で安定であった.<BR>3) UBEおよびPAのAN溶液に殺菌灯を直接照射した場合は6時間後約20~30%の色素残存率であったが, アンプル管中のPAの色素残存率は100%, UBEが約95%で安定であった.また屋外に放置した場合は両ANとも1日間で分解退色した.<BR>4) PAのAN溶液に各種添加物を添加し, 加熱した結果, とくにレアスコルビン酸および過酸化水素水によって, 分解退色した.<BR>以上の結果, UBEのANは, ANの中では温度には比較的安定で紫外線照射さえ避ければ十分に加工食品への利用が可能であると考える.
著者
難波 敦子 成 暁 宮川 金二郎
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.193-197, 1998-02-01
参考文献数
6

A search for the correlation between Japanese and Chinese food cultures identified the production of natto, a non-salted and fermented soybean product, in China. Natto is prepared by Jingpo-zu in Dehong Thai-zu Jingpo-zu Province of Yunnan in China. Boiled soybean covered with bamboo grass, straw or loquat leaves is left to ferment in a bamboo basket. After fermentation, it is eaten with pepper, or salt and pepper is added to produce a seasoning like Japanese miso. Salted natto is also dried for storage as drynatto, and some natto is used to prepare Shui-douchi a kind of supplementary food. Our search indicates that the nattoline from Nepal via Bhutan and Myanmar that has been presented by Sasaki can be extended to Yunnan in China.
著者
木村 友子 加賀谷 みえ子 福谷 洋子 小杉 信之
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.887-895, 1990-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

女子大学生の昼食行動と食生活との関連を調べる目的で, 女子大学生の昼食の取り方について弁当群 (A群) 146人, 外食群 (B群) 140人の計286人に昼食行動に関する意識調査を行い, さらに岡じ対象者のA・B群より弁当群 (a群) 60人, 外食群 (b群) 60人を無作為抽出し, 生活行動調査と食物摂取量調査を実施し, 次の結果を得た.(1) 対象者は自宅生が94%と多く, 昼食のとり方は弁当群 (4日以上弁当/週) 51%, 外食群 (4日以上外食/週) 49%であり, それぞれ簡便化を志向し, 習慣化していた.(2) 月額の小遣い額は弁当群27,911±13,381円, 外食群31,589±13,027円であり, 外食群の昼食代は小遣いの22~33%に相当した.(3) 身体状況では弁当群・外食群ともに, 体型は太っていると思う傾向が強く痩身型志向が多くみられ, 生活行動調査でも消費エネルギー量は摂取エネルギー量を弁当群が 253 kcal, 外食群が292 kcal上まわり, 痩身体型の現状を裏づけた.また両群ともに疲労感のある者は91%に及んだ.食欲は, 外食群では弁当群に比し, 食欲のない者が5%高率であった.休養では, 休養不足がちと思う学生は外食群のほうが弁当群より21%多かった.(4) 生活行動調査では弁当群は学業時間が53分長く, 一方, 外食群では休養に関与する睡眠時間が17分と余暇時間が31分長く, 両群の生活時間に若干の相違を認めた.(5) 食事調査による欠食率は, 外食群のほうが弁当群に比し, 朝食10%, 昼食6%, 外食3%高かった. 1日あたりの栄養素摂取量では, 栄養的には弁当群のほうが多少良好とはいえ両群ともにエネルギー量が低く, カルシウム, 鉄の不足が顕著であった.摂取食品数も両群ともに22品目前後にとどまっていた.(6) 買取り調査での昼食内容は弁当群では食品数平均10品目をとっていたが摂取重量301gと少なく, また所要量の1/3量に対し, エネルギー量や栄養素不足の現状にあった。一方外食群は, エネルギー量は充足していたが, 食品数は弁当群に比し平均8品目と少ない.(7) 外食内容の選択は両群ともに好み・見た感じを優先していた.(8) 食生活の満足感では満足者は弁当群42%, 外食群33%にすぎず, 不満足者は外食群が3%多かった.総合的にみると, 外食群は家事的生活時間や余暇時間がやや長く, 一方, 弁当群は外食群に比し勉学時間が長く, 1日あたりの食事調査からは欠食者も少なく, 栄養素摂取量ではやや良好と判断された.しかし総体的には両群ともにやせ志向を根底に摂取食品数, 食事量, 安易な食選択等々, 昼食行動に慎重さが欠け必然的に1日のエネルギー量や栄養素不足になっていることがうかがわれた.今後いっそう自己管理能力を高めるための積極的アドバイスを加えた実践的教育の強化の必要性を痛感するとともに, 近い将来健康な母親となるべき女性としての反省と努力を望みたい.
著者
三井 隆弘 重松 公司
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.147-150, 2012

The joule (J) has been the only scientific unit of energy included in the International System of Units(SI) since the 1950s; nevertheless, the calorie (cal) is still commonly used as a unit of energy in the field of nutrition and related areas. The unit used in any particular academic paper depends on the editorial policy of the publishing journal, so there is a great deal of inconsistency among academic papers in this field. We investigated in the present study the policy on energy units in 20 noted international journals and consider the reasons for each journal's policy. We identified five types of journal policy after contacting the journals and looking up 'energy intake' in PubMed. Two journals have exclusively adopted kJ (MJ), three require kJ but also permit authors to provide kcal in parentheses where appropriate, one allows the use of kcal but also requires kJ in parentheses when kcal is used, twelve allow both kcal and kJ, and two have exclusively adopted kcal. Despite the general prevalence of using SI units in the modern world, kcal remains widely recognized as a unit of energy in the field of nutrition. We suggest four possible reasons for this. First, J did not originally refer to heat or potential energy. Second, the potential energy of food is measured by burning it and measuring the resulting increase in the temperature of water in a process directly related to the definition of cal. Third, cal is easy for the general public to understand. Fourth, cal is the unit most commonly used by the general public in daily life, and therefore must be adopted in field studies.
著者
谷口 彩子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1011-1019, 1997-11-15
被引用文献数
1

Home Economics is changing drastically. One of the most remarkable ideas which is driving this change is "life-span human development." I feel that the life-span human development is one of the key concepts of new Home Economics. The purpose of this paper is to elucidate a scheme of Home Economics from this standpoint. The Creekmore-Imai model was useful to make a scheme of Home Economics based on the "official definition in 1984" of Home Economics in Japan. I tried to modify the scheme in order to accomodate "life-span," a time factor, and systematize the study items of Home Economics in order to incorporate the developmental tasks of individuals. Furthermore, I clarified the methodology of trans-disciplinarity needs for the integration of various sub-disciplines of Home Economics. While aiming at the systematization described above, I came across some issues that made me feel a need to modify the present categories of Home Economics in the areas of Child Study and Home Management.
著者
岡田 宣子 渡部 旬子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.87-98, 2008-02-15
被引用文献数
2

ユニバーサルデザインの設計要件として,身体機能の低下が反映された腕ぬき・腕入れしやすいかぶり式上衣のゆとり量を一般解としてとらえるために,介助されずにどうにか自立している高年(29名)に更衣を行ってもらい若年(83名)と比較し検討した.6サイズの実験衣の中から最適なサイズを選び,ゆとり量3種とAH下げ寸法を2種変化させた6着の実験衣table tableを用いて椅座位で実験を行い,腕ぬき・腕入れ動作所要時間を測定した.高年では身体への負担を詳細に評価するため同時に重心動揺測定を行った.腕ぬき可能となる時の被験者の体形とパターンとの関わりをみるために身体計測を行った.主な結果はつぎのとおりである.1)円滑な更衣動作を行うためには,腕ぬき可能となるBL上の最小ゆとり量より若年では4cm,高年では8cmゆとり量を多く要する.これは若年では腕ぬきしやすいゆとり空間を確保するため,実験衣を左腋下までずらせ,脊柱を側屈し柔軟かつ敏速に対応しているが,高年では身体機能の低下が影響して,若年のように細やかに対応できず衣服をずらさず,着たままの状態でAHから腕ぬきしている傾向があることによる.若年・高年ともに腕ぬきの方が腕入れより身体負荷が高く生体への負担が大きいことがわかる.2)身体計測値と腕ぬき可能な最小ゆとり量の実験データを含めた18項目について主成分分析を行ったところ,4つの主成分が抽出された.第1主成分は体幹の太さ,第2主成分は肩峰幅,第3主成分は腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量,第4主成分は肘丈と解釈された.累積寄与率は76%である.各主成分の主成分得点の平均値を高年と若年とで比較した.高年が若年より第1・第3主成分では大なる,第2主成分では小なる有意差が認められた.3)解析項目の平均値の検討から,高年と若年とでtableは,腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量はそれぞれ28cmと19cmである.このように腕ぬき可能な最小出来上がりバスト寸法は高年が10cm程大きい(腕ぬき可能な最小出来上がりAH寸法は54cmと49cm).4)円滑に腕ぬきできるゆとり量を確保するには,胸囲に高年では36cm,若年では23cm多く加える必要があることが明らかになった.これらには,素材やデザイン・パターンによる工夫で見栄えを良くするための配慮が求められる.