著者
佐藤 大樹 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.105, pp.31-35, 2010-06-18

本論文ではユーザのブラウザの閲覧履歴から探索行動と探索目的ページの抽出方法を提案する.近年,ウェブページの爆発的な増加に伴い,ウェブページ推薦の研究が盛んに行われている.我々は,小グループにおける検索サイトを利用した情報探索においての推薦システムをめざしている.特にウェブページ全体を推薦の対象としながらも,ユーザへの負担が少ないことを狙っているが,その実現にはいくつかの課題がある.本論文ではこの中で特に,推薦対象を自動抽出するという課題に対し,ユーザのブラウザの閲覧履歴に基づいた探索行動と探索終了ページの抽出手法を提案し,さらに終了ページが探索の目的ページ(推薦対象ページの候補)となる割合を調べた.評価実験の結果,52.3%の割合で探索行動を抽出でき,そのとき87.0%の割合で探索結果として有用なウェブページを抽出できた.
著者
是津 耕司 田中 浩也 池田 新平 金 星〓 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.191, pp.121-126, 2003-07-10
被引用文献数
3

Webブラウジングでは,現在閲覧しているWebページのWeb空間における位置付けやリンク先の情報を把握することが重要である.筆者らは,これまで,現在閲覧しているWebページの周辺を様々な形式で呈示してユーザをナビゲーションするシステムを提案してきた.一方,こうした周辺情報に基づくナビゲーションは,人間の都市的行動における"散策行動"をWeb上で支援するものと考えられ,ユーザに当初目的としてなかった情報への発見や遭遇を促す.本論文では,これらの機構を体系化し,新たなWebブラウジングの方式を提案する.
著者
山内 正人 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.97-100, 2010-02-22
参考文献数
18

センサの低価格化や高性能化が進み、様々なセンサの設置が進んできている。また設置されたセンサをネットワークで繋ぐことでセンサ単体では困難なことが可能となった。例えば気象センサネットワークでは高密度な気象データを集めることで、低密度なセンサデータでは困難であったゲリラ豪雨などの高精度な予測が実現可能となる。しかし、センサデータを応用するためには、データの信頼性も重要となる。従来では人手によってセンサデータの信頼性を確保していたが、本稿ではMicro blogを用いることで、自動でセンサデータの信頼性が向上できることの可能性について示した。これにより、今後規模が爆発的に増大するセンサネットワークヘも対応が可能となる。
著者
石川 智治 三井 実 大谷 社 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.37, pp.19-24, 2005-05-05

我々は, 人に深い感動を喚起させる情報:"高度感性情報"再生のための新・電気音響再生論に基づき高品質音響再生システム(Extra HI System M)の研究開発を行っている.そのシステムの再生音がスピーカ前3mまでの範囲において平面波の性質を持つことを実証した.このことはこれまでの通説: 球面波, とは全く異なる事実である.本報告では, 従来の代表的且つ, 標準的なモニタースピーカ: YAMAHA NS-1000Mにおける音伝搬(波面など)の特性を実測して明らかにした.次に, より忠実な波面を再生するように改造したところ, 7段階評価で+2以上の音質改善を得た.波面の忠実な再生は, 新・電気音響再生論の骨子であり, 新理論の正しさを実証した.
著者
今井 繁 小倉 信彦 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.1-8, 2000-03-13
被引用文献数
5

人間は言語を用いて互いにコミュニケーションを行う.しかし, 言語はその複雑さゆえに, 脳がどのように生成・獲得しているかは大きな謎となっている.一方, ある種の生物にみられるような単純な信号によるコミュニケーションを計算機により人工的に生成することが可能である.本研究では, 通信する2人のハンターによる獲物捕獲問題を分類子システムにより学習させる.次に, 分類子集合から決定木を生成することにより本質的なルールを抽出し, ハンター間のコミュニケーションについての分析を行う.実験の結果抽出されたルールは, 人間による理解が比較的容易であり, 元の分類子集合に対してわずか6%程度のルール数でほぼ同程度の獲物捕獲性能を獲得できた.
著者
船瀬 親王 毛利 元昭 Cichocki Andrzej 内匠 逸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.43-45, 2010-11-11

We have been studied saccade-related EEG signal before eye movements to develop Brain Computer Interface. In previous studies, we tried to comfirm relationship between saccadic eye movement and EEG signals recorded in visually guided saccade task(The eye movement in visually duided saccade tasks is not a voluntary eye movement perfectly). In these results, we observed sharply changed EEG signals just before eye movements in occipital lobe. The saccade-related EEG signals have sharp change in right occipital lobe when subjects moves their eyes to right side and these EEG signals have shrp change in left occipital lobe when subject moves their eyes to left side. In this paper, we recorded EEG signals in memory guided saccade task(The eye movement in memory guided saccade tasks is a voluntary eye movement) and comfirmed relationship between EEG signals and brain processing in saccade. As this results, we observed differences of the sharply changed EEG signal just before eye movements between visually guided saccade task and memory guided saccade tasks. Next, in order to focus on another saccade-related EEG signals, we do not use hi-pass filter (cut-off: 4Hz). As this resutls, we observed EEG signals which resemble contingent negative variation.
著者
伊藤 裕一 岩瀬 義昌 中尾 彰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.448, pp.747-752, 2011-02-24

無線WANは広く一般に使われるようになったが,その帯域は動画やクラウドの利用に十分なものでない場合が多い.その一方で,様々な種類のWANデバイスを持つ多くのユーザは帯域を常時使用しているわけではない.本研究ではこの問題を,(1)複数の無線WANユーザ間での帯域共有(2)仮想ネットワークの利用(3)ネットワーク状態に応じた資源の戦略的運用,という3つの手法により解決する.第一の手法では,余剰帯域を持つユーザが帯域を必要とするユーザに無線WAN帯域をad-hoc WLANを経由して提供し,マルチパスネットワークを構築する.そして,第二の手法である「IP-Layerでマルチパス通信を仮想化する」ことにより,マルチパスをシングルパスに隠蔽してアプリケーションとサーバに提供する.最後に,第三の手法により,ネットワークの状態に応じて動的に最適な通信手法を決定することで,様々な環境において構築された仮想ネットワークの性能を向上させる.本研究では,これらすべての仕組みをClick modular routeというソフトウェアルータを利用して実装する.構築したシステムの実環境における性能測定の結果,通常の通信と比較して25%から60%の性能向上結果が得られることを示す.
著者
岸 孝彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.430, pp.127-134, 2005-11-17
被引用文献数
3

目的の信号帯域より広い帯域のRF信号をディジタル処理するソフトウェア無線機やディジタル無線機の広帯域フロントエンドは, ディジタル部での自在な周波数の選択を可能とする.これにより, 従来からソフトウェア無線の特徴とされている任意の変調方式への対応が容易になるばかりでなく, 複数の方式や複数のオペレータで周波数を共同利用するCommonsにおけるダイナミックなチャンネル選択と方式変更への対応も容易になる.この広帯域フロントエンドで信号レベルを管理するための自動利得制御は, 限られたダイナミックレンジを最大限に活用する為に, 従来の自動利得制御とは異なる仕組みが求められる.本稿で提案する自動利得制御は, ダイナミックレンジを低い歪で有効に活用する.さらに, 高速な応答特性を持つことから, 周波数と時間の両面での周波数利用効率の向上が望めることを示す.
著者
内田 英子 四倉 達夫 森島 繁生 山田 寛 大谷 淳 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.722, pp.1-6, 2000-03-21
被引用文献数
9

顔面表情に焦点をあて、意図的なコントロールを受けたものと、なんらかの情動喚起に伴い自発的に現れるものとの違い、特に動的な変化の違いを実験的に検討した。被験者の顔面表情の変化を次の2条件下で高速度カメラにより撮影した。1つが意図的表出(動作教示)条件、もう一つが自発的表出条件である。意図的表出条件では、顔面動作教示に従って被験者に6つの基本表情を演じさせた。一方、自発的表出条件では、情動喚起映像(喜び、驚き、怒り、悲しみ、嫌悪、恐れ)を提示し、被験者に自然な表情を自発させた。高速度カメラで撮影した顔面表情の動的変化(特徴点の変位)を、画像解析ツールを用いて測定した。
著者
森 博章 宮脇 健三郎 佐野 睦夫 西口 敏司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.198, pp.159-162, 2008-08-29

人とロボットの円滑なコミュニケーションの実現において,顔の表情は重要な役割を果しており,表情認識はコミュニケーションの状態理解において極めて重要である.本研究では,横顔や後顔も含めた微妙な表情変化を認識することを目標として,第1段階として,検討例がほとんどない横顔の表情認識を扱う.具体的には,Active Appearance Model (AAM)を用いて顔の時系列画像に対して顔モデルの追跡を行い,顔モデルを構成する特徴点から,FACSモデルに対応したAU (Action Unit)特徴を算出し,AU特徴の時系列データの変動パターンを詳細に分析することにより,微妙な表情の変化に着目した認識方式について検討を行った.
著者
佐藤 和人 間所 洋和 門脇 さくら
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.363, pp.207-212, 2008-12-11

本論文では,心理的ストレスレベルに起因する表情の覚醒度合いとその時間的遷移が作り出す時系列パターンを表情表出リズムと定義し,顔の静的多様性と動的多様性に着目した個人固有な表情空間チャートを利用して,人間が創り出す表情表出リズムの可視化する手法を提案する.本手法は,SOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)の2種類の教師なしニューラルネットワークをハイブリッド化して得られる表情の覚醒度から表情空間チャートを生成し,更にFuzzy ARTMAPで学習することにより表情空間をモデル化するためのコードブックを作成し,HMM(Hidden Markov Model)を用いて表情の時系列パターンの変化から表情表出リズムを抽出する.18歳から22歳までの男子学生5名と女子学生5名の計10名を対象とした評価実験では,HMMが推定した状態遷移系列は表情表出に伴う表情変化の範囲を適切に捉えており,表情表出プロセスにおける中間表情の覚醒パターンを抽出する際にHMMの状態数を用いて制御可能であることを確認した.
著者
福井 竜一 桂田 浩一 入部 百合絵 新田 恒雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.470, pp.513-518, 2010-03-08
参考文献数
11
被引用文献数
2

本報告では,Active Appearance Model (AAM)を利用した表情成分抽出と表情模倣を提案する.AAMは,顔の形状や輝度,照明状況などを複合的に表すパラメータ群からなる顔モデルである.パラメータを変動させることで様々な表情顔を合成できる.通常のAAMは複数人の顔画像から構築されるため,AAMパラメータには表情以外の顔成分も含まれるため,表情模倣には個人間で不変な表情モデルを取得する必要がある.そこで本報告では,まず特定の人物が様々な表情をみせたデータを収集し,これらを主成分分析することで表情成分を抽出する.次に,これを人共通の表情モデルとすることで表情模倣を実現し,試作システム構築とその評価結果を述べる.
著者
服部 元 武吉 朋也 小野 智弘 滝嶋 康弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.390, pp.13-18, 2010-01-18
被引用文献数
1

本研究では,特定のテーマに関連するノウハウ情報を効率的に収集する「ノウハウ検索」手法を提案する.既存の検索エンジンにおいては,一般的に大量の検索結果が得られる.ここで,クエリが「富士山の標高」のような,検索結果上位の数文書程度を閲覧すれば十分な回答が得られるタイプの検索であれば,問題はない.一方,クエリが「おいしいカレーの作り方」のような多様なノウハウの収集を目的とするタイプの検索の場合は,なるべく多くのWeb文書を閲覧する必要があり,検索結果を順次閲覧する方法では,時間や労力の点で限界がある.本稿では,なるべく少ない閲覧数でより多くのノウハウを集める効率的な情報収集の手法を提案する.具体的には,単語の概念関係と出現頻度を利用してノウハウに関連する単語をWeb文書から抽出し,未読のノウハウ情報を含むWeb文書を優先的にユーザに提示する.評価実験を行い,単語の概念関係を導入することでノウハウに関連する単語を多く抽出できること,および,未読のノウハウ情報を優先的に提示することで,一般の検索結果を閲覧するよりも効率的にノウハウ情報を閲覧できることを示した.
著者
得永 嘉昭 吉村 政俊 西脇 基晃 會澤 康治 小木 美恵子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.366, pp.25-30, 2011-01-13
被引用文献数
10

細胞膜への遺伝子導入のための創発的インパルス応力波に関する理論的な検討を試みた。光エネルギ源は最大ピークエネルギ:200[mJ/pulse],パルス幅:約10[ns],波長:532[nm]のラボ対応型Qスイッチ対応のNd:YAGパルスレーザを使用した場合を想定した。創発的インパルス応力波はレーザ光を透明シート下に接着させた吸熱性表面吸収材料に照射して形成させる場合を考えた。計測された創発的インパルス応力波の時間的プロファウルの構成部分について説明を試みた。
著者
吉田 和子 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.154, pp.41-48, 2001-06-22
被引用文献数
2

強化学習とは、試行錯誤を通じて環境に適応する学習制御の枠組であり、エージェントは環境との相互作用によって学習を行なう。モデル同定強化学習法は、環境のモデルに基づいて価値関数を計算する手法であり、複雑な環境を扱うのに適している。本研究では、環境のモデル、すなわち状態遷移確率の近似にベイズ推定を用いる手法を提案する。強化学習における重要なトピックに、より良いポリシーを得るために行動を試すexploration(探索)と、より効率的に報酬を得るためのexploitation(搾取)のバランスの問題がある。本研究では、この2つの相反する制御を効果的に行なうために、エージェントの行動選択に逆温度メタパラメータの制御機構、すなわちメタ制御と、explorationボーナスを導入する。本手法を2次元迷路探索問題に適用し、逆温度の制御を行なわない手法と比較した。実験の結果、我々の手法は環境の変動にうまく適応できることが分かった。
著者
稲垣 忠 林 向達 中川 一史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.205, pp.29-32, 2007-08-25
被引用文献数
3

小学生高学年を対象にした携帯電話に関するWeb上の情報モラル教材を開発した。開発にあたってはGBS:ゴール・ベースド・シナリオ理論に基づき、学習者が自学自習できるものを意図した。本報告では、教材の基本構成及び開発プロセスと、小学校における形成的評価の結果を示す。
著者
長岡 千賀 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.34, pp.65-68, 2010-05-06

著者らの先行研究では,高評価のカウンセリング事例の間で,カウンセラーの相槌的表現を最初に含む発話の時系列的生起パターンが共通すること,そのパターンは低評価カウンセリングや日常的悩み相談では観察されないことが示された.本研究では,これと同じ結果が,異なる理論的背景を持つカウンセラーによるカウンセリング対話においても観察されるかどうかを検討する.1人のクライエント役に対する,認知行動療法のカウンセラーによるカウンセリング対話,ユング学派のカウンセラーによるカウンセリング対話,および高校教師による悩み相談を分析した.結果は,両カウンセリング対話における,相槌的表現を含む発話の時系列的生起バターンが,共通性を持つことを示した.結果から,カウンセラーによるクライエント理解の心的プロセスについて考察した.
著者
勝木 孝行 鳥居 英 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.83, pp.63-68, 2010-06-11

超解像は複数枚の解像度の低い観測画像から,より解像度の高い画像を推定する技術である.中でも本報告では,複層Markov確率場を用いたBayes超解像について扱う.先行研究では劣化変換パラメータ,または高解像度画像のいずれかについては周辺尤度の最大化による点推定を行っていた.しかし,それらの推定に加えてハイパーパラメータをも同時推定する場合,自由度が増加することによってオーバーフィッティングが生じやすいという問題があった.そこで,本報告では変分Bayes法にTaylor近似やLaplace近似を組み合わせた近似手法を用いて全変数をBayes推定することで,オーバーフィッティングを避けたより高精度な推定を試みる.
著者
加藤 健一 小川 哲司 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.442, pp.25-30, 2006-12-15

本稿では,特徴変換にブースティングの枠組を適用した識別器統合手法を提案する.一般的に,複数の識別器を統合するとき,識別性能は向上することが期待できる.しかし,識別器の統合にあたって,二つの重要な課題がある.一点目は,統合する識別器各々の誤り傾向が異なっていなければ(相補性がなければ),わずかな性能の改善しか得られない点,二点目は,相補的な識別器が生成されたとしても,各々の識別器が与える情報の統合手段が適切でない場合,やはりわずかな性能の向上しか得られないという点である.そこで本稿では,上述した二点を考慮した上で,相補的な識別器の生成手法と,その統合手法について検討を行う.相補的な識別器を生成するにあたっては,Heteroscedastic linear discriminant analysis (HLDA)に基づく特徴変換の過程でブースティングの枠組を適用した.また,統合においては,各々の識別器から出力される尤度の情報を特徴ベクトルとし,このベクトルが張る空間上でSupport vector machine (SVM)に基づくパターン認識を行った.提案手法により識別器を統合することで,孤立単語音声認識実験において,統合前と比較し74%の誤りが削減されることがわかった.
著者
今本 健二 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.745, pp.91-96, 2003-03-19

インターネットを介して重要な情報を交換する場合、認証を伴った鍵交換が必要となる。本研究では既知共有鍵を用いた鍵交換における問題として、ID情報盗聴・DoS攻撃・リプレイ攻撃・成りすましなどの攻撃を考える。これらを防いだ上で、少ない通信回数・通信量で安全な鍵交換を実現したい。本論文では、これらの性質を実現するために、一度限り有効な個人識別情報を導入した上で、Diffie-Hellman鍵交換をベースとした認証付き鍵交換方式を提案する。